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( ^ω^)ブーン系で読みとくおとぎ話のようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:01:05.51 ID:OxQ1FTtzO

むかーしむかし、ある所に若い夫婦が住んでいたそうな。
それはそれは、大変仲睦まじく、その仲の良さは大陸全土を震撼させるほど。

('A`)「じゃ、行ってくるぜ」

川 ゚ -゚)「もう帰って来んなよ」

冴えない顔の青年、ドクオが斧を肩に担いで、家を出ていきました。
春の暖かな風の中、涙を浮かべながら道を歩きます。

('A`)「あれで夜は凄いんだぜ」

ドクオの職業は、今、巷で大人気の木こりです。

――木こり。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:02:01.66 ID:OxQ1FTtzO

持てる力の全てを出し、斧を振るい、木々を薙ぎ倒す。

『ククク……俺を前にして無事立っていられると思うな……』

永遠の緑に立ち向かうその姿は、正しく勇猛果敢。
幼少の頃に封印された記憶を呼び覚まし、
まだかまだかと燻っていた小さな火を、業火に帰す。
人々はそんな木こり達を畏怖の念を込めてこう呼ぶ。

『ウッドバスター』

と。

――木こり。

――あぁ、木こり。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:03:03.30 ID:OxQ1FTtzO

('A`)「さーて、と」

作業場に着いたドクオは、早速近くの泉の畔で休みます。
歩くのはしんどいのです。人生のように。
斧を草の上に置いてドクオは寝転びました。
空には綿菓子のような白い雲が浮かんでいます。

('A`)「ふふっ、ちょっとセンチメンタル」

ドクオが風に流されて飛んでいる蝶々に質問しました。

( ゚д゚ )パタパタ

('A`)「ちょうちょさん、どうしてあなたはちょうちょなの?」

( ゚д゚ )「知らんがな」

('A`)「ですよねー」

蝶々は花を探しに、何処かに舞って行きました。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:03:56.72 ID:OxQ1FTtzO

('A`)「ねみい……」

川 ゚ -゚)「おーい」

ドクオが眠りに落ちようとした時、妻のクーの声が聞こえました。

(;゚A゚)「!?」

余りの不意討ち。
実力主義。年功序列。老後。終の在り方。
僕らは何故生まれて来たの。
様々な恐怖がドクオの精神と身体を蝕みます。
そう、ドクオはクーの尻に敷かれているのでした。

――サボっているのがバレたら、千分の一秒で三行半。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:05:07.78 ID:OxQ1FTtzO

ドクオは咄嗟に身を起こして泉の水をすくい、
顔にバシャバシャとかけました。
そして斧を持ち、木々へと急いで駆け寄ります。
この間、約八秒と少し。中々の好タイムでした。
勢い良く斧を振り上げます。
カツーン、カツーン、KAT-TUN。

川 ゚ -゚)「凄い汗だな」

(;'∀`)「はははっ、自分自身って最強の好敵手だよな!」

川 ゚ -゚)「? あ、ドクオ、弁当作って来てやったぞ」

(;'A`)「――!」

その言葉を聞いたドクオの動きが止まりました。
天から聖なる光がドクオに降り注ぎます。
大いなる九階級の天使達が弁当箱を祝福しました。

('A`)(おお、神よ。私は貴方に感謝致します)


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:06:18.55 ID:OxQ1FTtzO

ひとしきり神へと感謝を捧げたあと、ドクオは弁当箱を受け取りました。
ずっしりと重いこの中にクーの気持ちが篭っていると思うと、
変だな、涙が出ちゃう。
ドクオは今までクーから施しを受けた事など無かったのです。

(;A;)「ありがとう、本当にありがとう!」

川 ゚ -゚)「よせよ、照れるじゃないか」

(;A;)「クー! 愛してるぜ!」

勢い余って、ついドクオはクーを抱きしめちゃいました。
耳元に当たる生温い吐息。びしょびしょの服。
クーは心の底から思います。

川 ゚ -゚)(きめぇな……)

川 ゚ -゚)「あ」

クーはドクオの頭に蜂が止まっているのを見つけました。
それも刺されたら死ぬぜ系の大きな蜂です。

( ^ω^)ブーン


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:07:30.85 ID:OxQ1FTtzO

川 ゚ -゚)「やっべ」

(;A;)「!?」

自分の気持ちに素直なクーは、ドクオを両手で突飛ばしました。
きりもみ状態で飛んで行くドクオ。
地面に落ちた弁当箱から、ご飯が零れました。

(;'A`)「オー! ノー!?」

ちゃぽん。
吹っ飛ばされたドクオは泉にホールインワン。
それは命のホールインワンともいえます。
何故なら、この泉は底が無い事で知られているからです。

(;^ω^)「事件だお! 事件が発生したお!」

川 ゚ -゚)「助けて! 主人が……主人が! 足を滑らせてっ!!」

( ^ω^)「流石の僕でもそれは退くお」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:09:31.16 ID:OxQ1FTtzO

クーは恐る恐る泉に近寄ります。
すると、泉の中から綺麗な女神様が現れたではありませんか。
突然の事にクーも驚きを隠せません。

川 ゚ -゚)っd「写メ撮っとこ」

('、`*川「貴女が落としたのはこの金のドクオですか?」

問いかける女神様の手には金色に輝くドクオが掴まれています。

(*'∀`)ピッカーン!

川 ゚ -゚)「いや、違うな。もっとくすんでた」

('、`*川「そうですか。ではこちらの銀のドクオですね?」

そう言うと女神様は泉に手を入れ、可愛い銀髪の少女を出現させました。

从*゚∀从キラリン!

川 ゚ -゚)「ド……ク………オ………? 誰?」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:11:17.20 ID:OxQ1FTtzO

('、`*川「貴女は大変正直者です。
     金のドクオと銀のドクオと普通のドクオを授けましょう」

(*'∀`)('A`)

川 ゚ -゚)「増えよったで! 増殖ばしよった!」

('、`*川「では、私はこれで」

川 ゚ -゚)「あれ? 銀は? 銀どこ行ったの?」

('、`*川「それはご覧の番組の最後に」

そう言い残し、女神は泉の中へと消えて行きます。
金と普通のドクオとクーと蜂が、呆然とその様子を眺めていました。

( ;ω;)「良い話だおー」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:12:39.66 ID:OxQ1FTtzO

――――

夕焼けの下、オレンジジュースがこぼれたような道を、
二人のドクオ達とクーが歩いています。
三人の周りには蝶々と蜂が風の中を泳いでいます。

('A`)「弁当、すまなかったな」

(*'∀`)「俺、かっこよくね?」

川 ゚ -゚)「別に良いさ」

('A`)「でも……」

川 ゚ -゚)「これからは毎日作るから」

(;'A`)「!? 変な病気にでもかかったのか?」

失礼な、とクーは素っ気なく言って自分のお腹を優しく撫でました。
一瞬、笑顔だったのは夕闇が見せた錯覚なのでしょうか。

銀髪の少女が産声をあげるのは、もう少しあとの話。

――――


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:15:21.73 ID:OxQ1FTtzO

第一話「木こりとオーノーと泉」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:16:54.82 ID:OxQ1FTtzO

むかし、むかし、ある夫婦の間に、それはそれは可愛い女の子が産まれたそうな。
女の子はハインと名付けられ、夫婦の愛を受け、スクスクと育って行きました。
少し男の子っぽいところがありましたが、元気なのは良い事だ、
と両親は気にも止めませんでした。

『おれ、おっきくなったらパパのお嫁さんになるんだー』

小さな頃、そんな夢を見ていたハインも今年で十六歳です。

从#゚∀从「死ねよ。クソ親父が!」

少女は立派な大人になりました。
学校にも通わず、毎日悪い仲間達と遊び放題。
今では暴走族グループ、『赤頭禁』を束ねるリーダーです。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:18:03.74 ID:OxQ1FTtzO

――赤ずきん。

それは暴走族グループの名称、そしてハインの二つ名でもある。
彼女一人で敵対グループを壊滅に追いやったのはまだ記憶に新しい。
一人対数十人の圧倒的な力の差の中。
彼女は恐れを知らず、木刀一本で全員を病院送りにした。
遅れて応援へと駆け付けた仲間達が見た物、それは。

全身を返り血で真赤に染めた、ハインの後ろ姿であった。
余りに凄惨な光景に沈黙する仲間達へと、ハインは振り向いた。

血にまみれた、笑顔。
状況に堪り兼ねた仲間の一人が、震えながら呟いた。

「あ……赤ずきんだ……」

と。

――赤ずきんが誕生したのだ。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:19:18.28 ID:OxQ1FTtzO

さて、そんなどうでも良い話はおいときましょう。
ハインは自室のベッドに寝転んで本を読んでいます。
本のタイトルは愛空。人気沸騰中の恋愛小説です。

从 ゚∀从「くだらねぇな」

舎弟のW-Tanabeから強引に借りたそれを、ハインは投げ飛ばしました。
ごろりと寝返りをうって白い壁を見つめます。

从 ゚∀从「愛だと? 馬鹿馬鹿しい」

独り言を一つ呟いて目を閉じました。
世界が真っ暗になります。
そこにはハインが密かに求めている風景が映りました。

从 - 从「…………………」

バタン。

川 ゚ -゚)「やべえ、まじやべえ」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:20:30.50 ID:OxQ1FTtzO

部屋に血相を変えた母親のクーが、突然入ってきました。
ハインは身を起こして、勝手に入って来たクーに怒りを向けます。
近くにあった枕を掴んで、力の限り投げつけました。

川 ゚ -゚)「ふ、遅い」

その枕をクーは軽く裏拳で払いのけようとします。
クーの手に触れた途端、枕が破裂し、羽毛が部屋に舞いました。
この親にしてこの娘あり、というやつですね。

从 ゚∀从「…………何がやべえんだよ」

問うハインに、クーはしれっと答えました。

川 ゚ -゚)「まじやべえ、お婆ちゃんが死にそうだ」

从;゚∀从「Maji、Yabeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!」

ハインはお婆ちゃんの事が大好きでした。
不良のハインに昔からかわらず、優しくしてくれるからです。
そのお婆ちゃんが死にそう。姉さん、一大事です。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:21:47.41 ID:OxQ1FTtzO

川 ゚ -゚)「私は忙しいからな。こいつを届けてやってくれ」

そう言うとクーはお菓子とぶどう酒を渡しました。
酒は百薬の長。大丈夫、どんな病気でも治ります。
ハインは真っ赤な特攻服に着替え、外へと走って行きました。

从#゚ー゚从「総長! 気合い入ってますねぇー! どこかに攻めるのですかぁー!?」

外で待機していた舎弟のW-Tanabeが優しい声で喋りかけました。
彼女は月兎の娘です。本名は渡辺兎子と言います。
W-Tanabeはグループ内でのコードネームです。
頭からぴょこんと伸びた兎耳が、彼女の魅力を一層引き出していました。

从 ゚∀从「ちとヤボ用で隣町まで行くぜ!」

从#゚ー゚从「隣町……、とうとうあのノロマな亀共を潰すのですねぇー!?」

渡辺は颯爽とハーレーに跨がり、エンジンをイグニッションさせました。
それに続いてハインも後部座席へと座ります。

ハーレー「ドゥルンドゥルン!」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:22:53.90 ID:OxQ1FTtzO

心地好い振動がハインの体を通っていきます。
ゆっくりとハーレーが動き出しました。
アリス峠最速の渡辺は法定速度を遵守して走ります。

从#゚ー゚从「ヒャッホーイー! 今日もご機嫌だよぉー!?」

気持ち良い風を受け、渡辺はおっとりとした声をあげました。
それに対してハインは苛立ちを隠せません。
余りにもスピードが遅すぎるからです。
ハインは気を紛らわせようと煙草をくわえました。
ジッポで火をつけようとした瞬間、小さな声が聞こえました。

从  从「総長、私の親父はそいつのせいで死んじまったんだよ」

从;゚∀从y-「………………………」

小さな渡辺の背中。
それが物語ることは。
どんな難しい書物より重かったのでした。

――重量的にも内容的にも。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:24:00.88 ID:OxQ1FTtzO

ハインは煙草をポケットにそっとしまいます。
そうこうしている内に隣町へとたどり着きました。
親猫がたくさんの子猫達を連れて、道路を横断しています。
長い信号に捕まってしまいました。
時間を無駄にしたくないハインは、座席から降りて走り出します。

从 ゚∀从ノ「サンキュー! 渡辺!」

从#゚ー゚从(一人で充分って事ですね。流石……)

森の中へとハインは入って行きます。
お婆ちゃんの家はこの森の奥深くにあります。
不便な立地条件ですが、価格に妥協した結果でした。

从 ゚∀从「待っててくれよ……お婆ちゃん……」

草木をかき分け、必死にハインは駆け抜けます。
お婆ちゃんの家まであと少し、というところでハインの前に狼が現れました。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:25:38.80 ID:OxQ1FTtzO

从 ゚∀从「長岡……」
  _
( ゚∀゚)「ハイン」

全身茶色い毛に覆われた、大きな狼はハインへと近よります。
ハインと狼の長岡は中学生の時、恋人同士でした。
しかし、運命という物は上手く行きません。行かせてくれません。
ある出来事を切っ掛けに、二人の仲はこじれ、別れたのです。
それがハインがグレてしまった原因となったのでした。
  _
( ゚∀゚)「聞いてくれ、ハイン。俺はまだお前を……」

从#゚∀从「近付くんじゃねえ!」

ジリジリと近寄ってくる長岡に対し、ハインは怒鳴りました。
木の枝に止まっていた鳥達が驚き、一斉に羽ばたいて行きます。

从#゚∀从「俺は急いでるんだ! てめえに構ってる暇なんてねーんだよ!」

叫び、ハインは長岡のお腹に一発蹴りを入れ、再び走り出します。
長岡の側を横切ろうとしたその時、大きな手がハインの手を掴みました。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:26:46.71 ID:OxQ1FTtzO

从 ゚∀从「てめえ……まだ痛い目に会いたいのか」

鬼のような目でハインは長岡を睨みます。
しかし、長岡は臆せずにお腹を押さえて静かに言いました。
  _
(  ∀ )「この大きな手はお前を離さない為にある」
  _
(  ∀ )「大きな目はお前をしっかりと見る為にある」
  _
(  ∀ )「大きな耳はお前の声がちゃんと聞こえる為に」
  _
( ゚∀゚)「そんでよ、この大きな口は、口は……」



  _
( ;∀;)「お前に想いを伝える為にあるんだよっっっ!!!!!」

从 ;∀从「ッッ!!」

長岡は涙を流しながら、ハインを優しく抱きしめます。
そして同じように、いいえ、それ以上に優しくキスをしました。
乙女の恋心はいつだってWelcome。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:27:51.29 ID:OxQ1FTtzO

ノパ⊿゚)「遅かったな! 死ぬかと思ったぞ!!」

从 ゚∀从「ごめんよ。婆ちゃん」

お婆ちゃんのヒートは、ボクシンググローブをつけてサンドバッグを殴っています。
たまにローキックを挟む事も勿論、忘れません。

ノパ⊿゚)「まぁ、吸血鬼の私が死ぬ訳ないんだけどな!!」

从;゚∀从「あ?」

そうです。ヒートは永遠の若さを保つヴァンピレスなのです。
それにも関わらず、クーはヒートが死にそうだと言ったのでした。

ノハ*゚⊿゚)「首筋のそれ隠した方が良いぞ!」

从 ゚∀从「?」

ハインの首筋には赤く染まったキスマークが刻まれていました。
二人が森の中で深く愛し合った証です。

――てへへ。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:29:00.04 ID:OxQ1FTtzO

――――

「仲直り出来て良かったな」

「すみません。無理を言ってしまって」

「それは良いけど喧嘩の原因って何だったの」

「それは…………」

「眉毛が鬱陶しいから剃れと。
 これは俺の存在理由なんです」





「馬鹿な娘で、正直すまんかった」

――――


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:30:04.92 ID:OxQ1FTtzO



第二話「赤ずきんさん」




31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:31:57.41 ID:OxQ1FTtzO

今は昔、命(タマ)取りの翁といふ者ありけり。
流石組のヤクザ組長の兄者と、その妻の弟者。
どうした訳か、二人の間には長い間子供が出来ませんでした。

(´<_` )「ごめんなさい。ぜんぶ、私のせいです」

( ´_ゝ`)「なに、焦るな。その内に出来るさ」

しかし、兄者の心中は決して穏やかなものではありません。
兄者と弟者は、五十歳という高齢なのです。
組員の間では今、後継者問題で揺れています。

( ´_ゝ`)(…………奥の手を使うか)

兄者の考える奥の手とは、借金の肩に娘を頂くという物です。
本当は男の子が欲しいのですがなりふり構っていられません。
そしてある晩のこと、二人は月から子供を授かりました。

――大人の事情で、そうなのです。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:33:20.12 ID:OxQ1FTtzO

組員一同「おめでとうございます! これで我が組も安泰ですね!」

( ´_ゝ`)「三ヶ月前に生まれたんだが、何故かもう十六歳だよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「………………」

兄者と弟者の間に出来た娘は、とても美しく、見るものを魅了します。
そんな姿から老夫婦は彼女を、

『巻き髪のツン』

と名付けました。
ツンは優雅な立ち居振舞いと、生まれ持った美しさで、
流石組の士気を上げ、勢力を広めて行きます。
これを見た兄者と弟者は、財布の中身を膨らませました。

( ´_ゝ`)「フヒヒ! ツンは良い娘だなぁ」

(´<_` )「時にあなた。ツンもそろそろ結婚の時期では無いかえ?」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:34:52.10 ID:OxQ1FTtzO

この世界で生き残る為には、他の組のせがれと結婚させなくてはいけません。
兄者は早速知り合いの組長達に連絡を取り、ツンにお見合いをさせる事にしました。

ξ゚⊿゚)ξ「ダメね。こいつ顔がキモいわ」

ソファに座るツンは、見合い写真をポイとごみ箱に投げ捨てます。
美しさもさることながら、ツンは高飛車な事でも有名です。
元は心優しい少女でしたが、売られたせいで心が歪んでしまったのです。
そして、抗争の中で研ぎ澄まされた感覚、鍛え上げられた身体。
組で最強になったツンは、誰も逆らえなくなったのを良しとし、
流石組で自分のやりたいようにやっているのでした。

( ´_ゝ`)「そ、そうか。ならこっちはどうだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。こうしましょう」

ξ゚ー゚)ξ「『渡辺の命』を取って来た奴と結婚してあげる」

(;´_ゝ`)「………な!?」

(´<_`;)「そんな……無茶だわ………」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:36:20.46 ID:OxQ1FTtzO

――渡辺。

隣町、おとぎの国には凡そ千人で構成されている暴走族グループがある。
ヤクザですら尻尾を巻いて逃げる、そのグループの名称は赤頭禁。
吸血鬼と人間のハーフであるハインを筆頭に、数多の悪者達で構成されている。
悪魔、魔王、大妖怪、死神、大妖精など危なっかしい奴等がそうだ。

そんな悪者達の中でも群を抜いて有名なのが、渡辺である。
一見、極々普通の月兔の少女。
だがしかし、渡辺と対峙して無事に帰って来た者は数少ない。
奇跡的に命からがら生き延びて戻って来た者は言った。

『兔の皮を被った夜叉だ……』

と。

兔の眼は何故、赤いって?
それは涙を流しすぎたからだ。

――血の涙を、ね。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:37:58.10 ID:OxQ1FTtzO

( ´_ゝ`)「ツン、いくらお前の頼みでもそれは無理だ」

(´<_`;)「ああ、可愛いツンや、考え直しておくれ」

ξ゚⊿゚)ξ「――黙りなさい。あいつ邪魔なのよ」

ツンはふたつの拳銃を兄者と弟者の頭へと突き付けます。
全く隙の無い、手慣れた動作でした。
ツンは来るところまで来ちゃったようです。
両手をあげて兄者は震えながら言いました。

(;´_ゝ`)「おkおk。そうしよう」

(´<_`;)「どうしてこんな事に。あぁ、神様!」

――――

それから二ヶ月が経ちました。
やはり、とも言うべきでしょうか。
渡辺を攻撃した組は無事に潰されていきます。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:39:25.70 ID:OxQ1FTtzO

ξ゚⊿゚)ξ「全く使えないわねー」

着物姿でよしずの陰に座り、ツンは涼んでいます。
遠くから蝉の鳴く声が聞こえてきます。
大きな庭に鹿威しの音がカコーンと響きました。
大変風流です。良くできました。

(;´_ゝ`)「大変だーーーー!!!」

でも、そんな風流を打ち破る者が現れました。
縁側を時々こけそうになりながらもツンに駆け寄る兄者。
手には何やら手紙のようなものを持っています。

ξ#゚⊿゚)ξ「うるさいわね! パパ、もっと静かにできないの?」

(;´_ゝ`)「まずいんだよまずいんだよ!」

兄者はツンへ一枚の手紙を渡しました。
真っ赤に染まっていて、何だかベトベトします。

ξ゚⊿゚)ξ「何よ、これ」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:41:24.73 ID:OxQ1FTtzO

ツンは手紙を読みます。
そこには女の子らしい小さな文字で、こう書かれていました。

『拝啓、流石組のお姫さま。
 お姫さまは月から来たんだってねぇー?
 だったら次の満月の夜に
 月へと帰らせてやるよぉー!?
       わたちゃんより』

ξ゚⊿゚)ξ「これは…………」

刺客に怒った渡辺の反撃の宣戦布告でした。
捕まえた刺客をあれやこれやして、主犯を吐かせたのでしょう。

(;´_ゝ`)「せ、折角だから俺は逃げるぜ!」

ξ゚⊿゚)ξ「待ちなさい」

ツンは静かにそう告げ、逃げようとする兄者の足元を銃で撃ち抜きました。
足が止まり、恐怖で立っていられなくなります。
お姫さまの心は氷で作られているのでした。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:43:14.46 ID:OxQ1FTtzO

そして満月の夜が訪れました。
ツンは兄者に命令し、全ての組員を動員させました。
その数、326人。これだけ居れば安心ですよね。
着物姿で縁側に座ってツンは満月を見上げます。

ξ゚⊿゚)ξ「………………」

ハーレー「ズバロロロロロロロロロロロロ!!!!!」

ξ゚⊿゚)ξ(…来た)

月の使者、兔の鳴き声が聞こえてきました。
組員全員に緊張が走ります。

( ´_ゝ`)「敵の数は!?」

組員「そ、それが渡辺一人です!」

(;´_ゝ`)「狂ってやがるッッ!!」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふふ、良い度胸じゃないの」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:45:07.58 ID:OxQ1FTtzO

突如、大きな音と共に壁が崩れました。
渡辺がハーレーで強引に突入したのです。
驚いた組員達は、その方向へと銃を向けました。

从#゚ー゚从「こんばんはだよぉー!」

渡辺はのんびりとした声で、挨拶をしました。
いついかなる時でも挨拶はきちんとしましょう。
満月の白く柔らかな光が渡辺を映し出しました。
白い特攻服には『守護月天』と刺繍されています。
髪は白く、頭には兔耳が伸び、愛らしくぴょこぴょこ動いています。

――そして、眼は赤く、狂気そのものだ。

ξ゚⊿゚)ξ「撃ちなさい!!」

バキューン。
ツンの怒号を合図に、渡辺へとたくさんの銃弾が飛びます。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:46:35.80 ID:OxQ1FTtzO

从#゚ー゚从「あれれぇー!? 止まって見えるよぉ!?」

渡辺はハーレーに跨がったまま、木刀を引き抜きました。
夜空にかかげたその木刀を、斜めに振り下ろします。
すると、どうした事でしょう。
全ての銃弾が一刀両断されたではありませんか!

(;´_ゝ`)「あんなんまじ無理!」

(´<_`;)「渡辺ちゃん、流石だわ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、こらー!!」

兄者と弟者、そして組員達はツンを置いて逃げて行きました。
大きな庭にはツンと渡辺だけが残されました。
ツンは、また売られたあの時のように、ひとりぼっちです。
一人では夜叉に勝てるはずがありません。

ξ;⊿;)ξ「ばっかやろおおぉぉぉぉぉ!!!」

満月に向かってツンは泣き叫びました。
その声は遥か遠く、神が住まう月には届きません。

从#゚ー゚从「…………………」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:48:09.01 ID:OxQ1FTtzO

ξ;⊿;)ξ「うっ……ぐすっ……」

从#゚ー゚从「Hey! Princess? Stand up!」

地面に膝をついたツンの耳に声が届きました。
顔を上げると、ファイティングポーズをとっている渡辺がいます。
渡辺の姿に満月は隠されて見えません。

ξ#;⊿;)ξ「っっ! こんのぉぉ!!」

从#゚ー゚从「――!」

ツンはやり場の無い怒りの矛先を、渡辺に向けました。
不意打ち気味のボディブローです。
それはあっさりと渡辺のお腹に届きました。

ξ;⊿;)ξ(あ……れ……?)

ξ;⊿;)ξ(……いける?)

続けざまにツンはもう片方の拳を、渡辺の顔に向けて放ちました。
しかし、それは渡辺の手に軽々と受け止められました。


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:50:12.22 ID:OxQ1FTtzO

从#゚ー゚从「そう! 最後に頼りになるのは自分自身ッッ! その力ッッッ!!」

穏やかな甘い声で渡辺はツンに言います。
それから、ツンの胸に膝蹴りを入れました。

ξ;⊿;)ξ「う…くっ! でも……」

ξ#;⊿;)ξ「そこまで痛くない! 私が負った心の痛みはこんなモンじゃない!!」

掴まれている手を振りほどき、ツンは腹の底から吼えました。
凍っていた心を燃やし、ありったけの力を身体へと注ぎます。
首への回し蹴り、鳩尾に迫る拳、連続攻撃を避けながら、渡辺も鳴きます。

从#゚ー゚从「信じるその道を進むだけだよぉー!?」

ξ#;⊿;)ξ「どんな敵でも味方でも構わないわ!!」

      クロスカウンター
――この手をはなすもんか。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:51:51.60 ID:OxQ1FTtzO

――――

二人は白く綺麗な満月を寝転んで見ています。
数時間にも渡る死闘で、もう、全身ぼろぼろです。

ξメ゚⊿゚)ξ「……私、案外やれんじゃん」

从メ ー 从「それは私を倒してから言った方が良いよぉー」

ξメ゚⊿゚)ξ「……なんで武器を使わなかったのよ?」

渡辺の木刀、ティルトウェイトを使っていればツンなど一瞬だったはずです。
それなのに使わなかったのは、何故なのでしょう。

从メ ー 从「さてねぇー? 忘れちまったよぉー?」

ξメ゚⊿゚)ξ「兔って頭悪いのね」

ツンは知りません。
叫び声は月に住まう神々には届きませんでした。
けれど、渡辺の心にはしっかりと届いていた事を。

――――


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:52:45.14 ID:OxQ1FTtzO



第三話「月まで届け。真赤な叫び」




53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:53:44.71 ID:OxQ1FTtzO

おとぎの国の町から少し外れた丘に、新婚の夫婦が暮らしていました。

(,,゚Д゚)「しぃ、お茶」

(*゚ー゚)「はい」

男性の名前はギコ。女性の名前はしぃといいます。
二人は新婚にも関わらず、枯れています。
良く言えば枯れています。悪く言っても枯れています。
日曜日の昼、どこにも行かずにこたつでゴロゴロとしていました。

(,,゚Д゚)っ旦「ズズズ……」

(*゚ー゚)「ねぇ、ギコ君」

(,,゚Д゚)「何だゴルア」

(*゚ー゚)「………何でもないよ」

しぃは台所へと戻って行きました。
疑問の表情でギコはそれを見送ります。


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:55:09.90 ID:OxQ1FTtzO

(,,゚Д゚)「あー、明日仕事ヤダヤダア!」

ですが家族を養う為、働かねばなりません。
ギコはお茶をグイッと飲み干して、横になりました。
周りに散らかしている本を一冊手に取り、読み始めます。
今読んでいるのは、おとぎの国が発行している週刊誌のようです。

(,,゚Д゚)「『猛威をふるう赤頭禁、新メンバー彼愚矢』。……こえー」

(,,゚Д゚)「『ドクオ氏、再び泉にはまる。今度は銅』。どうでも良いわ。銅だけに」

((,,  ))「ぶふっ! 銅だけにて……ギコハハハハハ!!」

ツボにはまったのでしょう。お腹を抱えてギコは笑います。
数分後、落ち着きを取り戻して、ギコがページをめくって行きます。
するとある項目でギコの目が釘付けになりました。

(,,゚Д゚)「こいつは…………」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:56:23.44 ID:OxQ1FTtzO

(,,゚Д゚)「おーい! しぃ!!」

起き上がったギコは大声でしぃを呼びます。
しぃがお茶を持って台所から出て来ました。

(*゚ー゚)っ旦「またお茶? はい、どうぞ」

(,,゚Д゚)っ旦「サンキュー!」

(,,゚Д゚)「……じゃなくて!」

しぃのエプロンの裾を引っ張り、半ば強引に座らせます。
そしてギコが本へと指先を当てました。
そのページにはこう書かれています。

『幸せの青い鳥、脱獄』

(*゚ー゚)「これがどうしたの?」

その言葉を聞いたギコは、目をらんらんとさせて笑いました。
久しぶりに見たギコの元気な表情に、しぃは黙って聞く事にしました。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:57:37.61 ID:OxQ1FTtzO

(,,゚Д゚)「説明しよう!
     幸せの青い鳥を捕まえた奴は幸せになれる!
     金銀財宝ウッハウハ!
     つー訳で、今から行くぞ!!」

(*゚ー゚)「へぇ、そうなんだぁー」

しぃは頷きます。
青い鳥を捕まえたら幸せが手に入るのです。
全く、夢の様な話ですね。
しぃはコップをさげて、台所に去ろうとしました。

(;゚ー゚)(……今から行く!?)

ピタリとしぃの足が止まります。
振り向くとこたつから出て、準備運動を始めているギコの姿がありました。

(,,゚Д゚)「網要るかな? それとも鳥もち?」

しぃは少しだけ頭痛を覚えました。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:59:02.47 ID:OxQ1FTtzO

しぃが家の鍵をきちんと閉じました。
外はまっしろな雪景色。空気がとても澄んでいます。

(*゚ー゚)「で、その鳥はどこに居るの?」

(,,゚Д゚)「おとぎの国の町のどっかだってさ」

(;゚ー゚)「脱獄でしょ? 凶悪犯じゃあ……」

サクサクと雪を踏みしめながら道を歩きます。
動物達はみんな、冬眠中。ギコとしぃの声だけが丘に響きます。
小さな砂糖菓子のような雪が舞っていて、幻想の世界のようです。

(,,゚Д゚)「昔、実際に青い鳥を見た俺のじいさんが言うにゃ、手のひらサイズだそうだ」

(*゚ー゚)「そう。なら大丈夫ね」

二人は手を繋いで雪道を歩いて行きます。
目指すはおとぎの国の町です。


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:00:13.80 ID:OxQ1FTtzO

从#゚ー゚从「よぉー! 兄さん、姉さん人参だしなよぉー!?」

ξ#゚⊿゚)ξ「さもなきゃ、この眉毛がどうにかなっちゃうわよ!」
  _
( ;∀;)「ヘルプミー」

(,;゚Д゚)(;゚ー゚)

おとぎの国の町に入った二人を待ち受けていたのは、カツアゲでした。
兔の少女が、木刀を突きつけて脅します。
巻き髪の少女は狼の青年の凛々しい眉毛に、カミソリを当てていました。
狼青年の命の危機です。眉毛を剃られた一発で涅槃行き。

(,;゚Д゚)「わ、分かった。人参代を渡そう!」

(;゚ー゚)「その子をはなしてあげて!」

ギコが財布から千円銀貨を取り出して、兔の少女に渡しました。

从#゚ー゚从「きたぁー! カロテンたっぷり千円銀貨だよぉー!!」

ξ゚⊿゚)ξ「当分の食料には困らないわね!」


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:01:40.95 ID:OxQ1FTtzO

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあねー、兄さん!」

从#-、-从「サンキュ、へくしゅ!」

从#゚ー゚从「あぁー! 冬は嫌いだよぉー!」

二人の少女は喜んで、どこかに駆けて行きました。
しぃは残された狼の青年を介抱してあげます。

(*゚ー゚)「君、大丈夫?」
  _
( ;∀;)「眉質をとるなんて反則だろうがよ!」

(,,゚Д゚)「……青年はこの町のもんか?」

ギコが狼へと問いかけます。
それに一つ頷いて、答えました。

(,,゚Д゚)「なら話は早えや。青い鳥知らねぇか?」

ギコの言葉を聞いた狼は眉を動かしながら大笑いします。
そして、『そんなおとぎ話みたいなの信じてるのかよ?』と言いました。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:03:35.98 ID:OxQ1FTtzO

(,#゚Д゚)「悪いかよ」

(*゚ー゚)「ダメよ。ギコ君」
  _
( ゚∀゚)「まぁ、いいや。助けて貰ったし。青い鳥ならハインの家に居るぜ」
  _
( ゚∀゚)σ「あの家だ」

狼は高台にある、一件の家を指差しました。
雪が積もっていてよく分かりませんが、木造の小さな家です。
二人が礼を言おうと狼の方に振り向くと、そこには誰も居ませんでした。

(,,゚Д゚)(*゚ー゚)「あれ?」

首を傾げつつも、留まっていては凍りつきそうでしたので、
二人は教えられた家へと向かう事にしました。
坂道を滑りそうになりつつも、懸命に二人は進みます。
たどり着いたその家の前は、凄いことになっていました。


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:05:18.56 ID:OxQ1FTtzO

('A`) [恐怖を与えてやって下さい]

(,,゚Д゚)「こいつは……」

(*゚ー゚)「前衛的なアートね……」

一人の人間が氷漬けになっています。
すぐ側には『恐怖を与えてやって下さい』の看板。
二人は恐怖を覚えましたが、先に進まないと話にならないので、
勇気を振り絞って、木製のドアをノックしました。
ガチャリ。ドアがゆっくりと開きます。
中から現れたのは、エプロンを着た吸血鬼の女性でした。
二本の牙が口から覗かせています。

川 ゚ -゚)「やべえ、やべえって。食費まじやべえ」

(,,゚Д゚)「あの、青い鳥を……」

川 ゚ -゚)「外の奴を何とかしたら分かるかもわからんね」

バタン。ドアが閉じられてしまいました。
二人はドアの前で立ち尽くします。


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:06:33.51 ID:OxQ1FTtzO

(,,゚Д゚)「一体何なんだよ」

(*゚ー゚)σ「ギコ君、外の奴ってあれの事かなぁ?」

('A`) [恐怖を与えてやって下さい]

しぃの指の先には氷漬けになった人間。
これをどうにかしたら、青い鳥がどこに居るか分かるのでしょうか。

(,,゚Д゚)「んなもん、火で炙ってやりゃあ」

(*゚ー゚)「ライターなんて持って来てないよ」

(,, Д )「………………削ろうか」

ギコが爪で引っ掻いてみました。
ですが、大変冷たくて、指が少しだけ赤く腫れました。

(,;゚Д゚)「冷た過ぎたろ……。氷的に考えて……」


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:07:58.15 ID:OxQ1FTtzO

(*゚ー゚)「看板の通り、恐怖を与えてみる?」

(,,゚Д゚)「だがどうやって……っとあれは」

ギコは一本の斧が家の壁に立てかけられているのを発見しました。
それを手に持ち、大きく振りかぶります。

(,;-Д-)「どうか中まで届きませんように」

祈りを捧げて、振り下ろそうとしたその時です。
氷がピシピシと音を立てて割れました。
中から出てきた人間が寒さか恐怖か、それとも両方か。
声と身体を震わせて怒鳴ります。

(#'A`)「あほんだらー! 殺す気か!? これだから人間は……」

(,;゚Д゚)(;゚ー゚)「――!」

('A`)「人間? このにおいは……」

人間がギコに近寄ってくんくんとにおいを嗅ぎます。
そして、何やら分かったのか、ギコから離れ、したり顔で話かけました。


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:09:24.24 ID:OxQ1FTtzO

('A`)「お前、こっちの人間じゃないな」

(,,゚Д゚)「こっち?」

('A`)「そう、こっち。お前はあっち」

人間の言っている事は、ギコには全く理解出来ませんでした。
二人は顔を見合わせて、目をぱちくりさせます。

('A`)「早く帰れ。でないと喰われるぞ」

喰われる、という言葉にギコはなぜだかゾクリとしました。
ギコが唾を飲んで、人間へと口を開きます。

(,;゚Д゚)「喰われる……って何にだよ?」

('A`)「『夢』に、だ」

人間はそう言うとドアの中に入ろうと歩きだします。

(,;゚Д゚)「待て! 青い鳥は――」

(  )「おとぎ話だな。そいつはお前の家に居るよ」

――バタン。
人間が家に入ったと同時に、世界は音も無くひび割れて行きました。


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:10:40.75 ID:OxQ1FTtzO

――――

「ギコ君。ギコ君!」

(,;゚Д゚)「!?」

(*゚ー゚)「やっと起きたぁ……。眠りすぎだよ」

ギコが目を覚ますと、しぃの顔が映りました。
こたつの中でずっと眠っていたのでしょう。
身体中から滝のような汗を流しています。

(,;゚Д゚)「……ここは?」

(*゚ー゚)「ここ? 私達の家だけど……」

(,;゚Д゚)「…………夢か」

(*゚ー゚)「大丈夫? もうすぐ晩御飯だからね」


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:12:06.40 ID:OxQ1FTtzO

しぃが台所へと行きました。カレーの良いかおりが漂って来ます。
ギコは息をゆっくり整え、こたつから出ました。
立ち上がろうと床に手をついた時、ちくりと痛みが走りました。

(,;-Д゚)「ッ!?」

よく見ると指先がちょっぴり赤くなっています。

(,,゚Д゚)「『夢に喰われる』……。まさか、な」

(*゚ー゚)「ギコくーん! 食器運んでよー!」

(,,゚Д゚)「はいよー」

返事してギコは台所へと消えて行きます。
こたつの上には子供用の絵本が置いてありました。
本の間には栞代わりの青い羽が挟まれています。

もう少しすれば、ギコとしぃの間に赤ちゃんが生まれるようですよ。

――――


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:12:45.62 ID:OxQ1FTtzO



第四話「おとぎの国のナイトメア」







75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:15:52.24 ID:OxQ1FTtzO

後書き。

支援有難うございました。
多分大変読みづらかったと思います。

七日が短編祭でしたっけ。
俺はその日はジャパンにはおらんので、
支援的な意味を込めて投下させて貰いました。

深夜、お付き合い頂き本当に有難うございました。

[ 2010/11/10 18:33 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(0)

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