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川 ゚ -゚)奴隷と海賊のようです(゚Д゚,,)  最終スレ

4スレ目はこちら

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:20:10.03 ID:0+hyudJGO

あらすじ

魚の勇気が世界を救うと信じて
ご愛読ありがとうございました

 _л_
∑∈ヽ゜< <ギョッギョッギョ

(* ФωФ)「魚! 魚!」ジュルリ

ζ(゚ー゚;ζ「お父様! 涎をお拭きになって!」



まとめ

7xさん
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/quu_dorei_kaizoku.html

蛇屋さん
http://hebiya.blog40.fc2.com/

今までありがとうございました



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:22:05.57 ID:0+hyudJGO




誰かが嘆いた。ここには絶望しかないと


森を覆う闇は絶望。木の葉より漏れる夜空の輝きも、我には決して届かぬのだと嘲笑う絶望。
揺らめく焚き火の炎もまた、悲壮に満ちた顔を浮かび上がらせる絶望。

追いつめられた獣に抗う術はなく、誰もが皆虚空を眺めては打ちひしがれる。
また、生温い風に肌を撫でられる度、まるで死の恐怖が舌を這わせているようではないかと時折身体を震わせた。

静寂を彩る微かな息遣いと呻き、そして木々の囁きはどこまでも不気味なハーモニーを奏で、
数刻前に聞いた、闘志を鼓舞する喚声の合唱は久遠の夢であったのかも知れないと錯覚させる。

夢。そう、確かに彼らは夢を見ていた。

川 ゚ -゚)(……覚めてしまえば、夢など無かったも同然)

木の幹にもたれて座るクーは、未だ疲労の溜まる身体を忌々しく感じながら、
側で横たわり苦しげな寝息をたてる男の顔を見る。

( ´ω`)

川 ゚ -゚)「……」

川 - )(けれど、もう、取り返しはつかない)





6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:24:51.27 ID:0+hyudJGO




最早数日前にまで遡る剣闘士競技での最終試合。
クーを舞台の出口付近の壁際に追い詰めたブーンは、だが手にした剣の切っ先をクーに向けることはなく。

∫ノ ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……」

凶刃に倒れたのは出口を守る兵。脇腹の切り傷から鮮血をこぼす。その血を浴びていたブーンは、ただ一言。

( ^ω^)「逃げるお」

∫ノ;゚ -゚)「な……」

驚愕に目を見開くクーが、何か言おうと口を開けるが、瞬間、耳には再び信じられない言葉が入ってきた。

( ・∀・)「逃げ出すぞ! 剣闘士が二人とも! 逃げ出すぞ!」

「!」

客席から張り上げられた大声が、呆然となっていた場内の人間の意識をすぐに取り戻させると、
観衆は我先にと逃げ惑い、兵は次々と舞台に押し寄せる。
反対側の出口を守っていた兵もすぐに駆けつけ、近くにいたクーに短槍の刃を向ける。

「おのれ、奴隷風情が早まったことを!」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:26:02.75 ID:0+hyudJGO


∫ノ ゚ -゚)「む……っ!」

振るわれた短槍を三つ叉の槍で弾き、一合二合と交える。

∫ノ ゚ -゚)「違う、私は逃げ出すつもりなど……」

( ・∀・)「二人とも! 二人とも裏切った!」

∫ノ ゚ -゚)「……くっ」

不快さを滲ませた顔で客席を意識し、どうするべきかと思索するも虚しく、
クーが腰に携えていた短剣を抜き取ったブーンは、短槍を持つ兵の首に突き立てた。

( ^ω^)「生きて逃げるか、死んで逃げぬか。どっちがいいかお?」

∫ノ ゚ -゚)「ふざけるな。無駄なのは、わかりきったことじゃないか」

( ^ω^)「僕らだけじゃ、無駄だお。でも、僕らだけじゃない」

∫ノ ゚ -゚)「何を……」

「ぎゃあああ!」

∫ノ ゚ -゚)「!」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:27:14.03 ID:0+hyudJGO


叫びに目を向ければ、間近に迫ろうとしていた兵の集団が乱れ、
鎧の隙間を剣で突かれた兵が凄惨な形相で断末魔をあげていた。突いたのは、同じ装いをした兵。
客席でも、ある観客が他の観客を襲い、更なる恐怖と混乱を与えようとしている。

( ^ω^)「さ、今の内に」

∫ノ ゚ -゚)「……」

誘うブーンを、睨みつけるクー。

∫ノ ゚ -゚)「私は逃げない。いいやむしろ、君を止める」

( ^ω^)「僕を止めても、君は殺されるんだお」

∫ノ ゚ -゚)「それでも、だ。私は決して、主を裏切らぬぞ」

( ^ω^)「主……君を縛っているのは、家ではなく主」

∫ノ ゚ -゚)「……そうだ」

( ^ω^)「……けれど君は、その主に背いて罰を受けたお。それは何でだったかお?」

∫ノ ゚ -゚)「それは……」

( ^ω^)「束の間の自由を堪能したと、君は確かに言ったお。本当は、求めているんだお?」

∫ノ - )「……君まで、そんなことを言うのか」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:28:55.25 ID:0+hyudJGO


( ^ω^)「今しかないんだお。自由を手に入れるチャンスは、もう今しか」

∫ノ ゚ -゚)「……」

客席を、貴族の為の客席を、ワカッテマスの姿を見ようとして、見られなかった。
どんな顔をしているのか、わかるようでわからなくて、見るのがどうしようもなく怖かった。
淀み続ける記憶の、水底に沈んでいた言葉が蘇る。

∫ノ ゚ -゚)「……いつか」

( ^ω^)「……?」

∫ノ ゚ -゚)「いつか私を自由にすると、言ってくれたんだ」

( ^ω^)「……」

∫ノ ゚ -゚)「私はそのいつかを、待たなければならなかった」

∫ノ ゚ -゚)「……だが」

∫ノ ゚ -゚)「本当はその言葉、疑っていたんだろうな。だから、あの日……」

∫ノ ゚ -゚)「……」

両刃の剣を構えて向かってきた兵に、三つ叉の槍で応戦する。やがて攻防を制すと、遂には身体を串刺しに。

∫ノ - )「すまない……ワカッテマス」

届かぬ謝罪とわかりながら、敢えて、口にした。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:30:58.18 ID:0+hyudJGO




逃げ惑う観衆の合間を縫うビロードが、現状の報告の為主人のもとに戻ってくると、
彼はただ、舞台を見下ろしぼんやりと立ち尽くしていた。

( <●><●>)「……」

(;メx><)「ワ、ワ、ワカッテマス様!」

( <●><●>)「……」

(;メx><)「ワカッテマス様! ワカッテマス様お返事を!」

( <●><●>)「……」

(;メx><)「……っ!」

改めて見れば、ワカッテマスの周囲に人はなかった。
皆いち早く劇場を後にし、ロマネスクも、デレがいた為にワカッテマスに構うことはできなかったのだろう。

理解したビロードは即座に回り込み、ワカッテマスの眼前に立つと突然その頬を叩く。

(メx ><)「ワカッテマスくん!」

( <●><●>)「!」

( <●><●>)「……ビロード」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:32:38.05 ID:0+hyudJGO


(メx ><)「何ぼんやりしてるんですか! 外はもう、大変な騒ぎになってるんです!」

( <●><●>)「……わかってます。とにかく、剣闘士を決して逃さぬようにし

(メx ><)「それだけじゃないんです! 劇場の外で、待ち構えてたんです!」

( <●><●>)「……は?」

(メx ><)「身なりから見て恐らく奴隷、劇場を出る観衆や貴族を襲って……
      余りの数に今いる兵だけでは太刀打ちできず、それどころか兵の中にも……」

( <●><●>)「……」

俯き、片手を額に当てる。思考が追いつかない。

( <●><●>)「それでも、偶然でないことはわかってます」

(メx ><)「……何者かが、脱走を手引きした……んですかね」

( <●><●>)「首謀者かどうかはともかく、疑わしい男ならわかってますけどね」

反対側の客席を睨む。目当ての男はもういない。

(メx ><)「……モララー様、ですか」

( <●><●>)「あれのせいで、クーが逃げざるを得ないようにされたのもわかってます」

(メx ><)「……」



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:33:18.91 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「……ですが、もう手遅れです」

(;メx><)「そんな……」

( <●><●>)「至急、屋敷に残る兵を動員させ、反逆者とそれに関わるものを生死関係なく捕らえさせなさい」

(メx ><)「は……はい、なんです」

命を受け、走り去るビロード。
ワカッテマスは、もう舞台を見下ろすことなく、迷いのない足取りで客席を後にした。





14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:34:55.25 ID:0+hyudJGO




( ^ω^)「急ぐお!」

川 ゚ -゚)「ああ」

既に槍を捨て、ブーンが持つのと同じ幅広い両刃の刀剣を二本、奪って手中に収めていたクーは、
止めようとする兵を薙ぎ払い、通路を走り抜ける。

川 ゚ -゚)「しかし……これは一体どういうことなんだ。何故……」

( ^ω^)「モララーが兵を買収したんだお。他にも、モララー側の人間が紛れ込んでいるお」

川 ゚ -゚)「……モララー?」

( ^ω^)「スギウラヌス家の跡取り息子、だってお。ま、そんなことはどうでもいいんだお。
       とにかく僕らに協力してくれる貴族だお」

川 ゚ -゚)「……目的は何だ?」

( ^ω^)「さあ」

川 ゚ -゚)「おいおい……そんな怪しいのよく信じたな」

( ^ω^)「しがない貴族の考えることなんて、僕にはわからないお」

話す内に、劇場を出る。

川 ゚ -゚)「……!」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:37:59.87 ID:0+hyudJGO


まず飛びこんできたのは血に染まる屍。重々しくゆったりとした衣装に身を包んでおり、恐らく貴族かと思われる。
次に、入り乱れる様々な武器。剣に槍、はたまた棒に農具が、激しい攻防を繰り広げている。

川 ゚ -゚)「何だ、これは」

思わず目を見張って言ったクーに対し、ブーンは答える。

( ^ω^)「自由を手にしたいのは、僕らだけじゃないんだお」

武器を振るうのは、劇場を警備していた兵に見知った顔の剣闘士、更にはボロを纏った奴隷らしき者まで。
他にも、逃げ出す途中であった貴族や平民といった観衆もいたが、運悪く身を守れなかった者は巻き添えを食らい、
或いは略奪の対象として狙われ命を落としていた。

吹き出る血飛沫は飛び散り、それを浴びる度に、長らく平和であった都市の、
礎となっていた石材は、自身に染み込んでいた古い記憶を思い起こす。
歴史としては新しい、それでも人にとっては遠い昔の、この街を舞台にした戦乱の記憶を。

( ^ω^)「いい気味だお。代わりに余所の土地を戦場にして、今までぬくぬくと過ごしてきたんだから」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……どうしたんだお?」

川 ゚ -゚)「……いや」

川 ゚ -゚)「何でもない。それで、どうするんだ」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:39:49.19 ID:0+hyudJGO


( ^ω^)「お……えーと」

( ・∀・)「こっちだブーン!」

( ^ω^)「!」

川 ゚ -゚)「!」

名を呼ばれ見れば、丁度ブーンが探していた男の姿。いつの間に手に入れたのか、剣を持っている。

( ^ω^)「モララー!」

川 ゚ -゚)「モララーだと……この声、さっきの」

( ^ω^)「……ごめんだお。ああでもしないと、君は」

川 ゚ -゚)「む……わかってる、わかってるよ……結局選んだのは私だ、もう言わない」

( ^ω^)「……」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:40:39.21 ID:0+hyudJGO


( ・∀・)「……よくわかんないけど、いいから早く付いてこい。すぐに街を出る」

言って、モララーはすぐに駆け出す。ブーンとクーも、剣戟に巻き込まれぬようにして後に続く。

途中、クーは湧いた疑問を口にした。

川 ゚ -゚)「街を出て、何処に行くんだ?」

振り返らずに、ブーンは答えた。

( ^ω^)「海だお。僕、見るの初めてだお」

川 ゚ -゚)「海か……」

私もだ、とクーは呟いた。





19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:42:51.20 ID:0+hyudJGO




( <●><●>)「結局……ほとんど逃げられましたか」

(メx ><)「……仕方ないんです。兵の大半は本宅の方に置いてきちゃったんですから」

屋敷に戻ってきたワカッテマスとビロードは、どうしたものかと頭を悩ませていた。
剣闘士競技により落ちぶれた田舎貴族の汚名を返上していた家にとって、この失態は何よりも痛い。

( <●><●>)「とにかく、一刻も早く追撃しないと。
        ……しかし、元々少なかった兵力が更に少なくなった今、確実に叩ける保証はない。
        本宅の兵を呼び寄せるにも、奴隷たちが逃げ出した方向とは真逆……時間がかかる」

(メx ><)「……こうなってしまった以上、他の家の力を借りるべきだと思うんです」

( <●><●>)「私もです。けれどそれをすれば、ナヌス家の名を更に貶める。それだけは避けよ、とのことです」

(メx ><)「……」

( <●><●>)「……借りられるとしたら、一つ」

( ФωФ)「我が輩の兵、だろう。遠征中で余り残ってないがな」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:44:59.34 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「!」

(メx ><)「!」

低い声に振り返れば、デレと共に避難し自宅に戻っていた筈のロマネスク。
冷めた顔の双眸、奥深くには静かな怒りを湛えている。

( <●><●>)「……もう、ご存知で?」

( ФωФ)「既に各所で騒がれている。我が愚息、モララーが、奴隷を先導していたとな。
       他にも、捕らえられた者が彼奴に金で買われたと漏らしているとか」

( ФωФ)「……危険を承知で、わざと本名を明かし、目立つ行動を取りおった……我が家の名を貶める為に」

( <●><●>)「……」

( ФωФ)「共に、責任を取らねばならない……我が輩は息子を、君は剣闘士を。大事に育ててきた、な」

( <●><●>)「……わかってます」

(メx ><)「……」

(;メx><)(うぅ……色々とわかりたくないんです)

( ФωФ)「先ほど兵を収集し、準備を整えさせてきた。暫し待てば出発できる。
       丁度、君の劇場の片付けも落ち着く頃だろう」

( ФωФ)「……それに、ワカッテマス。この最悪の事態で、喜ばしいことが一つ」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:46:56.82 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「……え?」

意外な言葉に思わず聞き返すと、ロマネスクはニヤリと口角を釣り上げた。

( ФωФ)「これも主神の思し召しか……奴らが逃げたのは、森のある方だろう?
       その辺りには今、帰還中の部隊がおる」

( <●><●>)「!」

( <●><●>)「まさか、先の……落石に遭い、遠回りさせた?」

( ФωФ)「報告の書簡が来たからな、位置は把握しておる。陸側だ。
       運が良ければ鉢合わせ、悪くとも合流すれば追い詰め易くなる」

( ФωФ)「ふん……精々束の間の愉悦に浸っていればよい。すぐに打ち砕いてくれるぞ、モララー」

( <●><●>)「……」

俯き、考える。

( <●><●>)(……あなたも)

( <●><●>)(不本意なれど、今頃は、喜ばしい気持ちで一杯なのでしょうか)

( <●><●>)「……」

( <●><●>)(当然、ですよね)




22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:48:29.54 ID:0+hyudJGO




海辺へと至る道。平野を、一つの集団が歩き渡っていた。
構成するのは奴隷と脱走兵、それと謎の人物たち。
身なりは奴隷のようだと言うのに、進むべき道に導くのは彼らなのである。

川 ゚ -゚)「結局、何者なんだ。あいつら」

( ^ω^)「さあ……モララーも未だに教えてくれないし」

川 ゚ -゚)「……やはり、信用してよかったのか?」

( ^ω^)「クー。僕らが街を出れたのは、モララーのお陰だお」

川 ゚ -゚)「……」

納得のいかない顔を浮かべるクー。それが街を出たときから続いているので、ブーンは遂に聞いてみた。

( ^ω^)「君はどうして、嬉しそうじゃないんだお? 望んでいた自由への道を歩いているというのに」

川 ゚ -゚)「……嬉しいよ。まるで夢のようだ」

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「知ってるか? 手に入れたら飽きるかも知れないから、たまに見るだけがいいそうだよ」



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:50:04.01 ID:0+hyudJGO


( ^ω^)「お……何だお突然」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「そんなの、子供騙しだお。飽きるかどうか、手に入れるまでわからないお」

川 ゚ -゚)「私もそう思う。だが可愛いだろう? これを無邪気に信ずる幼子は」

( ^ω^)「……何が言いたいんだお」

川 ゚ -゚)「何も。ただ私は、これを聞いたときに思ったことがあってな。それをずっと、考えているんだ」

――激しく焦がれ求めた末に手に入れたとしても。
――裏切り犠牲を払ったとしても。

――その時本当に、それ程の価値を感じられているのだろうか。

川 - )「……逃げ出して手に入れた自由の中には、いないんだよ。それがやはり、酷く気にかかるんだ」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:50:48.17 ID:0+hyudJGO


( ^ω^)「……?」

訳がわからない。
そう思ったブーンが喋るのをやめると、急に前方の足が止まり、釣られてクーとブーンも歩くのをやめる。

川 ゚ -゚)「む……何かあったのか」

( ^ω^)「わかんないお……ちょっと見てく

(;・∀・)「親父の兵だ!」

( ^ω^)「……お?」

微かに聞こえた叫び声。それが、短い逃亡劇の終焉を告げる合図だと、予測できた者はいなかった。





26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:53:14.54 ID:0+hyudJGO




岸部には、巨石を落として停泊させた海賊船。甲板には、寝そべって欠伸をするギコ。

(,,-Д-)「ったく……何で俺が待機なんだか」

閉じた瞼に射す、天頂より大分落ちた太陽の弱い日差しが、目に白を感じさせる。
その刺激にかろうじて眠気を抑えられているギコが、ぶつぶつと文句を言っていると、

(´・ω・`)「やだなぁもう、何回説明させる気だい」

とショボンが現れた。

(,,-Д-)「わーってるよ。わかっちゃいるが、退屈だ」

(´・ω・`)「だから、魚でも釣ってろって」

(,,-Д-)「面倒」

(´・ω・`)「君って奴は……大体、そんな所で寝てたら頭蹴られるよ」

(,,-Д-)「おう、ちゃんと皆避けてるぞ」

(´・ω・`)「そうだね一蹴で殺さないと殺されるもんね」

(,,-Д-)「そうそう」

頷くギコは、やがて目を開ける。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:55:29.51 ID:0+hyudJGO


(,,゚Д゚)「しっかしま、随分と派手なこと考えたよなぁお前ら」

(´・ω・`)「僕も見たかったよ。きっと凄く混乱してたんだろうなぁ」

(,,゚Д゚)「何だよ、やっぱお前も行きたかったんじゃねぇか」

(´・ω・`)「仕方ないだろ。発端から海賊が関わってるってバレて、変に目を付けられたら厄介だ。
     海賊嫌い様の目と鼻の先で起こすんだからね、誘拐だけでもブチ切れてたんだからこれ以上は刺激できない。
     だから陸への支援は最小限、しかも下っ端ばかり」

(,,゚Д゚)「後先考えねぇ方が楽しいのに」

(´・ω・`)「君って馬鹿だよね、本当」

(,,゚Д゚)「うるせぇ」

再び目を閉じる。

(´・ω・`)「……で、楽しみかい?」

(,,-Д-)「……べっつにー」

(´・ω・`)「素直じゃないなぁ。君の為にやったのに」

(;,-Д゚)「その言い方はやめろ」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:56:58.99 ID:0+hyudJGO


(,,-Д-)「……」

(,,゚Д゚)「ま。待ち望んでたのは本当だけどよ。勿論、俺が勝つのをな」

(´・ω・`)「気が早いなぁ。いきなり噛みつかないで、ちゃんと迎えてやれよ」

呆れた顔をしたショボンは、やれやれと船縁に腕を置いて体重をかける。

(´・ω・`)「……にしても、まだかなぁ」

見渡す陸の先。いずれ、主人に反旗を翻した者たちがやって来る。



――筈だった。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:58:31.70 ID:0+hyudJGO


(´・ω・`)「……ん?」

端に広がる森から、小さな影が出てくる。
それが人影だとわかった頃、反乱に加えさせた自分の部下だということもわかる。全身が、血に塗れてはいるが。

(´・ω・`)「……これは嫌な予感しかしない」

すぐさま別の船員を迎えに行かせる。その血まみれの部下が甲板に上がり、息も絶え絶えにショボンに報告した後。
血の気の引いた顔で、抑揚のない声でショボンは言った。

(´・ω・`)「……失敗だ。想定外の敵が現れたらしい。
     残党は森に籠もったらしいが……こっちにも危険が迫らないとは限らない。すぐに船を出す」

(,,゚Д゚)「……」

しんと静まり返った甲板で、ギコはゆっくりと立ち上がった。

(,,゚Д゚)「そりゃ……仕方ねぇな」





31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 01:59:38.71 ID:0+hyudJGO




夜の闇が深まれば深まるほど、月と星は輝きを増す。
その下、岩の陰で一人膝を抱えたモララーが、震えながらぶつぶつと呟き続ける。

(メ ∀ )「何でだよ……何であんな所に……」

落石により山を迂回させた部隊がいることは無論知っていた。
だが、それと鉢合わせになるとは思いも寄らなかった。詰めが、甘かった。

人数が少なく見えた故、奴隷になりすましていた海賊たちが、屠り奪おうと突っ込んでしまったのもまずかった。
制止の声は届かず、それどころか他の奴隷まで釣られる始末。お陰で追いつかれた。

(メ ∀ )「っ……」

誰よりも先に戦場を離脱したのはいいが、何度か命を落としかけたし、傷だらけになった。
何よりも、父を、ロマネスクを見てしまった。生来見てきた憤怒の顔を、更に凝縮させたような……。

(メ ∀ )「くそっ!」

(メ ∀ )「親父なんかに……殺されるくらいなら……!」





32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:04:21.58 ID:0+hyudJGO




(メ´ω`)「……お」

ブーンが目を覚ました時、まず、クーの顔が瞳に映った。次に、少し白んできた空。

川 ゚ -゚)「おはよう。寝覚めはどうだ」

(メ^ω^)「……」

(メ^ω^)「最高だお」

川 ゚ -゚)「そうか。傷は痛むか?」

(メ^ω^)「……」

(メ^ω^)「今は……あんまり……」

川 ゚ -゚)「ならいいが、あまり無理はするなよ」

(メ^ω^)「……」

(メ^ω^)「見捨てて、よかったのに。怪我人なんて。どうして、残ったんだお」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:06:10.11 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「む……」

(メ^ω^)「闇に紛れて逃げれば……もしかしたら

川 ゚ -゚)「すまんな、暗い森を歩くのが怖かったんだ」

(メ^ω^)「お……」

(メ^ω^)「……」

(メ^ω^)「クーってばテラチキンwww」

川 ゚ -゚)「お化けが出るかも知れないだろう? 昔あったんだよ、そんな話が。森じゃないけど」

(メ^ω^)「おwww化wwwけwww」

腹を抱えるブーンを、訝しむような目で見る者もいたが、気にせず笑い続ける。

(メ^ω^)「ぶふっ、ぐふっ……はー」

(メ^ω^)「……ありがとうだお」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:07:26.97 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「礼を言ったってどうしようもないぞ。結局、お化けより怖いのがいる事実に変わりはない」

(メ^ω^)「お……」

(メ^ω^)「……ここまでかお」

川 ゚ -゚)「ここまでだな」

(メ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「……」

状況を打開する案は、何もなかった。夜が明けて、闇が光に照らされても、絶望が消えることはない。
今選択できるのは、死に方のみ。

川 ゚ -゚)「……だったら」

(メ^ω^)「……お?」

川 ゚ -゚)「どうせ死ぬのなら、もう少し足掻いてみようか」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:09:06.45 ID:0+hyudJGO


(メ^ω^)「足掻くって……何するんだお。まさか特攻でも

川 ゚ -゚)「違うよ。もしかしたら、運良く包囲に穴があるかも知れないだろ?
     再び、歩いてみようじゃないか。自由への道を」

ゆっくりと立ち上がる。

川 ゚ -゚)「何、難しいことは一切ない。私が先行して、様子を見る。それだけだ」

(メ^ω^)「……」

(;^ω^)「ちょ、それって……」

川 ゚ -゚)「ああ、安心しろ。見つかったら、ちゃんと囮になるから」





38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:12:03.50 ID:0+hyudJGO




地に落ちた枝葉を踏みしめる。
早朝の森の空気は静謐で、いつもなら、深呼吸でもして肺にたっぷりと収めたいところだなと思う。
今はただ、その空気ですら気持ちが悪い。

身に着けた鎧は重く、剣と擦れて音を立てる。流石に羽根飾り付いた兜は外し、別のを拝借してきた。

周囲に人はなく、歩いているのはただ一人。彼は自分でも、何をしているのかわからなかった。

森に追い詰めたのは明白、夜が明ければ一斉に進撃。
先の合戦で死体の見つからなかった首謀者たちを、捕らえて連れ帰っては磔にし、死なせたならば首を刎ねる。
だから、今、森に入る必要性は全くない。

( <●><●>)「やっぱり……何にもわかんないんです」

自嘲を聞いたのは、木々と、枝に止まる小鳥のみ。





39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:13:39.25 ID:0+hyudJGO




川 ゚ -゚)「……君まで付いてくることないだろう」

(メ^ω^)「気にするなお」

川 ゚ -゚)「気にする」

(メ^ω^)「そりゃすまんこ」

川 ゚ -゚)「……足は引っ張るなよ。一応、怪我人だろ」

(メ^ω^)「もう痛くないから平気だお」

川 ゚ -゚)「……」

ハァとため息を付くと、木の陰から慎重に辺りを伺う。人影はない。後方に向かって合図する。
これでここまで歩いてくるだろうと、クーとブーンは前に進む。
その手には両刃の刀剣、加えてブーンは短剣を持つ。行く先は運任せ。

川 ゚ -゚)「……案外、上手く森を出れたりしてな」

(メ^ω^)「おっおっお、出れちゃうかもしれないお」

両者、不思議と心は乾いていた。自由どころか、着実に死に向かって歩いているというのに。



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:16:18.37 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「森を出たらどうしようか。最早海に出るかもわからないしな」

(メ^ω^)「出たら考えるお。何とかなるお」

川 ゚ -゚)「……そうだな」

(メ^ω^)「……」

(メ^ω^)「もしも」

川 ゚ -゚)「む……?」

(メ^ω^)「もしも、森を出て、離れ離れになったら」

(メ^ω^)「そして君が生き延びて、あの高い山を越えることができたのなら」

(メ^ω^)「これ……代わりに埋めてきて欲しいお」

そう言って、ブーンは突然自分の髪の毛をぶちりと数本抜く。

川 ゚ -゚)「お、おい、いきなりどうした……?」

(メ^ω^)「お願いだお。できれば、お花のいっぱい咲いてるところがいいお。そこにいるから」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:17:30.22 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「え……」

(メ^ω^)「んじゃ、頼んだお」

衣服の裾を短剣で裂き、抜いた髪を縛るとクーに渡す。それを黙って受け取ったクーは、その布で更に腕に縛る。

川 ゚ -゚)「期待はするなよ」

(メ^ω^)「お、重ね重ねありがとうだお」

小さく頭を下げると、再び前を向く。未だ前方に人影は見当たらない。黙々と歩き続ける。

川 ゚ -゚)「……」

(メ^ω^)「……」



前方に、は。



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:19:02.22 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「!」

突如、空気を引き裂く鋭い音が鳴り、それが投擲された武器の発する音だとクーが気付いたのは、刃が腕を掠めてから。

(;^ω^)「クー!」

川 ゚ -゚)「大丈夫だ!」

叫び、剣を持ち変え肉を抉られた腕を押さえる。隙間からこぼれ落ちる赤い液体。

川 ゚ -゚)「ブーン! 君は戻って、皆を連れて逃げろ! 私が

(;^ω^)「それは君がやるんだお!」

川 ゚ -゚)「なっ……」

我先にと躍り出たブーンは、クーを置いて駆ける。勿論、刃物が飛んできた方に。

川 ゚ -゚)「待てブーン!」

(メ^ω^)「待てと言われて誰が待つかお!」

川 ゚ -゚)「ふざけるな!」

⊂二二二(メ^ω^)⊃「ブーン!」

川;゚ -゚)「っ……!」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:19:49.50 ID:0+hyudJGO


遠ざかるブーンの背中。追いかけることは、できない。

代わりに、言葉を投げかける。

川 ゚ -゚)「死ぬなよ!」

痛む腕を押さえ来た道を走り戻り、うろたえながら待機していた者らを別の方向へと誘導する。
とにかく走れ。新たな危険が待ち構えていようとも、まずは今の危機から脱さなければ。

ブーンに背を向け走るクー。
クーに背を向け走るブーン。

一言、呟いた。

(メ^ω^)「……短剣で防御するの、苦手だお」





44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:21:15.88 ID:0+hyudJGO




木々の間を走り抜ける足音がする。音はこちらに近付いている。

( <●><●>)「……」

音の主から隠れるように、木の陰に身を置く。剣の柄に指をかける。息を殺して耳をすます。

( <●><●>)(そろそろ来ますか)

徐々に大きくなる音から、現れるタイミングを予測し、身を低くする。気配を間近に感じた。
ワカッテマスは片足を軸に回転し、抜いた剣を突き出す。
刃は掠りもしなかったが、それでも足音は止まった。

一陣の風が頭上の枝葉を揺らす。

( <●><●>)「……」



川 ゚ -゚)「……」

眼前の切っ先を見据えていたのは、手負いのクー。緩やかに、一歩二歩と後ろと下がる。
それから剣を高らかに掲げ、逃走の合図を送った。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:22:35.70 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「……一人か?」

( <●><●>)「ええ、まあ」

川 ゚ -゚)「上が、一人で勝手に出歩いていいのかな?」

( <●><●>)「急に、散歩したくなりましてね」

川 ゚ -゚)「……君らしくも、ない」

( <●><●>)「そうですか」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「一応聞く。見逃してくれる気は」

( <●><●>)「ありません」

川 ゚ -゚)「……だろうな。勘弁してくれ、私は君を殺したくない」

( <●><●>)「私は殺しにきましたよ。あなたの首が、必要ですから」

川 ゚ -゚)「……」

( <●><●>)「……」

川 ゚ -゚)「……私は」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:24:30.16 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「何ですか?」

川 ゚ -゚)「約束が果たされるのを、待てなかった。すまない」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「むしろ」

( <●><●>)「何故あなたがあんな根拠のない言葉を信じ続けたのか。私にはわかりません」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「ワカッテマス、君が言ったからだよ」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「もう、どうでもいいでしょう。そんなこと」

川 ゚ -゚)「……そうか、そうだな」

剣を構える。血を流す腕を気にしないようにする。

川 ゚ -゚)「二本欲しかったが、残念だ」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「一本で、いいんですよ」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:26:51.78 ID:0+hyudJGO


ワカッテマスも構え直す。

川 ゚ -゚)「……」

( <●><●>)「……」

時を待つ。相手が動く時を。



――不意に、クーが僅かに口を開いた。

川 ゚ -゚)「ずっと、言おうと思ってた」

川 ゚ -゚)「最初は不快だった。でも楽しかった。本当に楽しかった」



川 ゚ー゚)「鍵を、扉を、開けてくれてありがとう、ワカッテマス」



( <●><●>)「……」

微笑んだのを初めて見た。これは勝てないな、と何となく思った。





49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:29:30.03 ID:0+hyudJGO




ずくん、と、また腹が痛んだ。目の前には、知らない子供が立っている。

川゚-゚)「可愛らしい……お化け?」

相手の言っている意味がわからなくて、復唱する。
すると、その子供の後ろから、別の子供が小声で喋った。

(;><)「ワ、ワカッテマスくん、何言ってるんですか! 本当にお化けなんです逃げるんです!」

( <●><●>)「……もののたとえってわかります?」

(;><)「わかんないんです! ほら早く、いくら可愛くてもお化けはお化けなんです!」

川゚-゚)「おい……お化けとは何だ」

( ><)「お化けってのは、怖いやつなんです! ひゅーどろどろなんですヒュードロ池難しいんです!」

∑(;><)「は!? お化けと話しちゃったんです! きゃあ!」

( <●><●>)「ワカンナイデス。君は少し落ち着きなさい」

(;><)「うえぇ、むしろ何でワカッテマスくんがそんなに落ち着いてるのかわかんないんです!」

( <●><●>)「全く……君が来たいと言うから連れてきたのに」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:30:52.78 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「お騒がせしました。私はワカッテマスで、この子はワカンナイデス」

川゚-゚)「……名前などどうでもいい。何故鍵を、扉を開けた? 鍛錬の時しか出てはならぬと言われたぞ」

( <●><●>)「何故と言われると、ふむ。怖いもの見たさと答えるのはマズいですかねワカンナイデス」

(;><)「もう言っちゃってるんです」

( <●><●>)「うーん、じゃあ、遊びに来ました」

川゚-゚)「……遊び? よくわからないが、出てってくれ」

( ><)「……ワカッテマスくん、この子機嫌悪そうなんです。帰って寝た方がいいんです」

( <●><●>)「わかってます。では今日は、名前だけでも教えて下さい」

川゚-゚)「……何でだ」

( <●><●>)「私は名乗りました。この子の名前も教えました。後はあなただけ」

川゚-゚)「……」

川゚-゚)「クー、だ。言ったから早く出ていけ」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:33:04.26 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「クー。いい名前ですね」

(*><)「お化けのクーちゃん……ちょ、ちょっと可愛い感じがします」

( <●><●>)「お化けはもういいですから」

( <●><●>)「……まあ私も、聞いた話じゃもっとゴツいのかと思ってたんですけど」

川゚-゚)「……?」

( <●><●>)「ではクー。次はもう少し早く来ますね」

川゚-゚)「いや来るな。もう来るな」

( <●><●>)「おやすみなさい」

(;><)「お、おやすみなんです」

川゚-゚)「……」

扉は再び、鍵と共に閉められた。

川゚-゚)「何だったんだ、今のは」

川゚-゚)「……」

川゚-゚)「……?」

川゚-゚)「これは……血か……?」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:34:36.90 ID:0+hyudJGO




( <●><●>)「こんばんは」

川゚-゚)「……また来たか。いい加減来ないでくれ」

(;><)「ご、ごめんなさい……」

( <●><●>)「まあまあ、今日も本を持ってきましたから」

川゚-゚)「む……文字という奴は難しいから嫌だ」

( <●><●>)「簡単ですよ。ねぇワカンナイデス」

( ><)「う……僕も難しいんです」

( <●><●>)「頑張りなさい。次期当主なんですから、君は」

(;><)「あうう……当主なんてなりたくないんです」

川゚-゚)「当主……ワカンナイデスは、あの男みたいになるのか」

(;><)「や、やめてください……僕、父上みたくなりたくないんです」

( <●><●>)「別に伯父……君の父親みたいになれとは誰も言ってませんよ」

(;><)「嘘なんです……スカルチノフさんは父親みたくなれとよく言ってるんです」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:36:19.94 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「あの人はまた……ワカンナイデス、あの人の言うことを聞いてはいけません」

川゚-゚)「スカルチノフか……私も嫌いだ。たまに鍛錬を見に来ては皆を叩いていく」

( <●><●>)「……本当に嫌な男ですね。わかってましたけど」

( ><)「……クーちゃんも、叩かれるんですか?」

川゚-゚)「全員叩かれるからな。当然だ」

( ><)「可哀想なんです……」

( <●><●>)「……さて、灯りでも点けましょうか。燃やさないように気をつけて下さいよ」

川゚-゚)「……結局やるのか」

( <●><●>)「やりますよ。今日は更に紙とインクも持ってきましたから、ちょっと書いてみますか」

(*><)「わぁい、僕お絵描き大好きなんです!」

( <●><●>)「お絵描きじゃ……いいですけど、別に」

川゚-゚)「……お絵描きとは何だ?」

( ><)「僕が教えてあげるんです! やっぱり女の子はお花とか好きですよね、僕得意なんですよ!」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:37:37.57 ID:0+hyudJGO


川゚-゚)「女の子……?」

( ><)「あ、女の子っていうのは」

( <●><●>)「あー、ちょっと、ワカンナイデス。こちらへ」

( ><)「?」



( <●><●>)「クーのこと、女の子と言ったら駄目ですよ」

( ><)「何でですか?」

( <●><●>)「どっちかと言えば女の子ですけど、男の子なんです」

∑(;><)「え、クーちゃん男の子なんですか!?」

( <●><●>)「まあ……一応付いてますし」

(;><)「そ、そんな……何で黙ってたんですか!? 僕ずっと女の子だと」

( <●><●>)「いや間違ってはないんですけど、男の子ってことにしたんですよ、家は」

(;><)「???」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:38:25.38 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「見たらすぐに言おうとは思ってたんですけど……何か言いそびれて」

( <●><●>)「ただ、私はやっぱり女の子かと



川゚-゚)「おい……何だ二人でコソコソと」

( <●><●>)「!」

( <●><●>)「クー、女の子というのはですね。いつもご飯を作ってくれている人の中で、ここら辺に肉が付いてる」

川゚-゚)「ああ、なるほど」

(;><)「その教え方はどうかと思うんです」





57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:39:49.61 ID:0+hyudJGO




( ><)「こーんばーんはー」

川゚-゚)「やあ、ワカンナイデス。久しぶり」

川゚-゚)「……今日は、ワカッテマスはいないのか?」

( ><)「はい、ワカッテマスくんは疲れたんでもう寝るんです」

川゚-゚)「珍しい……」

(*><)「あ、楽しみにしてたんですか? ごめんなさいなんですよぅ僕だけで」

川゚-゚)「いやいなくていい。あいつまだ私に文字を教えようとするからな」

( ><)「クーちゃん僕よりできるから、ワカッテマスくんも教え甲斐があるんです」

(*><)「おかげで僕はあんまりうるさく言われな……あ、何でもないんです」

( ><)「それよりクーちゃんにお土産があるんです!」

川゚-゚)「お土産……そう言えば買ってくるとか言ってたが、何なんだお土産って」

( ><)「これなんです!」



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:41:28.65 ID:0+hyudJGO


川゚-゚)「……? 紐……の先に何か付いてるな」

川゚-゚)「……!」

川゚-゚)「なるほど、戦うときはこれで相手の首を絞めろと」

(;><)「違うんです!」

( ><)「クーちゃんの首にかけるんですよ、ほらこうやって」

川゚-゚)「む……」

(*><)「わあ、可愛いんです! お似合いなんです! これ異国の花が彫ってあるんです!」

川゚-゚)「む……ぅ……」

( ><)「あ、でも付けて外に出るときは服の中に隠して下さいね、ってワカッテマスくんが」

(*><)「でも流石ワカッテマスくんなんです! お土産選ぶの上手……」

(;><)「あ、間違えたんです! これは僕が選んだんです、ワカッテマスくんはぜんっぜん選んでないんです!」

川゚-゚)「さっきから面白いな、君は」

川゚-゚)「……だが気に入った。ありがとうな、ワカンナイデス。ワカッテマス」

( ><)「はい、ワカッテマスくんにも伝えておくんです!」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:42:19.70 ID:0+hyudJGO


( ><)「……」

(>< )チラリ

(><*)(それにしても、ワカッテマスくん……可愛いんです! ぷぷぷ!)



( <●><●>)「……」

( <●><●>)(間違いなく私を馬鹿にしてるのはわかってます)

( <●><●>)「……」

( <●><●>)(別に恥ずかしくはないですけど……もうやりません)





60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:44:15.08 ID:0+hyudJGO




( <●><●>)「……」

川 ゚ -゚)「……? どうした、ワカッテマス。黙り込んで」

川 ゚ -゚)「お、今日はワカンナイデスがいないんだな」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「ワカンナイデスは」

( <●><●>)「死にました。当主と共に」

川 ゚ -゚)「!」

川 ゚ -゚)「死んだって……どうして……」

( <●><●>)「事故です。仕方がなかったんです」

( <●><●>)「仕方……なく……」

川 ゚ -゚)「……」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「代わりに」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:45:40.88 ID:0+hyudJGO


川 ゚ -゚)「む……?」

( <●><●>)「新しい人が仕えることになりました。紹介します」

( <●><●>)「……ほら、自分で見せるって決めたんでしょう」

(  )「う……」

川 ゚ -゚)「……?」

(  )「……」

(メx ><)

川 ゚ -゚)「!」

川 ゚ -゚)「ワカンナイデス! その傷は……」

(メx ><)「僕は!」

(メx ><)「ビロードなんです……ワカンナイデスじゃないんです……」

川 ゚ -゚)「な……」

(メx ><)「……ワカンナイデスは死んだんです。もういないんです」



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:50:04.99 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「……」

川 ゚ -゚)「……どういうことだ、ワカッテマス」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「元々ワカンナイデスは、ほとんど幽閉されていました……顔を知る者はあまりいないし、知る者は……」

( <●><●>)「……当主も、次期当主も死んだことで、いずれ私がこの家の当主を継ぎます」

川 ゚ -゚)「!」

川 ゚ -゚)「……そういうことか……スカルチノフあたりだな」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「当主になったら、もう今までみたいには遊べませんけど」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「クーのことは、いつか自由にしますから」

( <●><●>)「いつになるかわかりませんけど……そうしたら、また」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「私はもう行きます。ビロード、後はよろしくお願いします」



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:51:25.61 ID:0+hyudJGO


(メx ><)「は、はいなんです……」

川 ゚ -゚)「……」



(メx ><)「……」

川 ゚ -゚)「……」

(メx ><)「あの、その、僕……」

川 ゚ -゚)「ビロードか。いい名前だな」

(メx ><)「!」

川 ゚ -゚)「よろしくな、ビロード」

(メx ><)「よ、よろしくなんですクーちゃん!」





65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:53:37.36 ID:0+hyudJGO




声が聞こえる。誰かが名を呼ぶ声が。ゆっくりと目を開く。

(メx ><)「ワカッテマスくん! ワカッテマスくん!」

( <●><●>)「……」

ビロードの顔があった。酷く焦燥している。

( <●><●>)「どうしたんですか?」

(メx ><)「!」

(メx ><)「起きたんです! よかったんです!」

( <●><●>)「……?」

しばらくぼんやりとした頭で考えて、理解する。なるほど自分は気絶していたのか、と。

(メx ><)「血だらけだから、もう起きないかと思ったんです!
      もう、どうして一人で勝手に行っちゃったんですか!?」

( <●><●>)「申し訳ないです」

( <●><●>)「……血だらけ?」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:54:59.62 ID:0+hyudJGO


言われて、首を動かす。確かに、鎧もその隙間も血に塗れている。
そういえば、体の一部に感覚がない。体の一部がとても痛い。

( <●><●>)「!」

( <●><●>)(……急に痛くなりました)

( <●><●>)「ビロード、起きあがれそうにないんで手を貸して下さい」

(メx ><)「何でそんな平然と言うんですか……いきますよ」

よいしょ、と、ワカッテマスの体を起こして立ち上がらせると、肩を貸す。

(メx ><)「歩けますか?」

( <●><●>)「何とか」

(メx ><)「もう……一体何があったんですか?」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「負けました。わかってましたけど、負けました」

(メx ><)「え……」

( <●><●>)「どうしても。できるのならば、私の手で刎ねたかった」

( <●><●>)「ですが、私如きには無理でした」



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:56:50.29 ID:0+hyudJGO


(メx ><)「……」

(メx ><)「何人かには、逃げられましたが……残党はほとんど捕らえ、もしくは殺しました」

(メx ><)「それで、ブーンさんが……その……」

(メx ><)「手柄目当てか、単独で行動した兵たちと相打ちに……首は、もう落としてあります」

(メx ><)「……よくわかんないんですけど、金色の、髪の毛みたいな糸を握っていました」

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「髪の毛、だと思いますよ。彼の故郷、僅かですが金の髪を持つ人間が住んでるそうですから」

(メx ><)「……」

( <●><●>)「……行きましょう。勝手な行動を取ったことを、ロマネスク様に詫びなければ」

(メx ><)「あ、ロマネスク様なら

(;ФωФ)「ワカッテマス!」

( <●><●>)「!」

呼ばれ、首をあげると、ロマネスクがこちらに向かっている。

(;ФωФ)「こんなところにいたのか……心配したぞ」



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:58:33.58 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「申し訳ありませんでした……どんな罰もお受けいたします」

( ФωФ)「そんなものは後でいい。とにかく、無事でよかった」

( ФωФ)「しかし、一体誰にやられたのだ? ……まさか、モララーか?」

( <●><●>)「……いえ」

(( ФωФ)「そうか……いやな、まだ見つからないのだよ」

( <●><●>)「……?」

(メ( ФωФ)「全く……こそこそと逃げ回りおって。最期くらい、せめて男らしいところでも見せろというんだ」

(メ・( ФωФ)「本当に、信じられない愚息だ……何故あんなのが生まれてきたのか」



「それはね、あんたの息子だからだよ。糞親父」(メ・∀( ФωФ)





71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 02:59:36.30 ID:0+hyudJGO


( <●><●>)「!」



――痛みで悶えそうだというのに、体のどこかは動かないというのに。
動こうと思えば、結構動けるもんだなと、それなら、やろうと思えば、結構色々できたんじゃないかと、
ワカッテマスは、最期にわかった。



(;メx><)「ワカッテマスくん!?」

ビロードが見たのは、ロマネスクを庇い崩れ落ちたワカッテマスと、モララーを突き刺したロマネスク、
そしてワカッテマスの上に倒れるモララー。

それが、奴隷反乱のあっけない終結だった。





72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:02:24.07 ID:0+hyudJGO




土の上を醜く這いずっていた。足が一本しか動かないのは初めてだが、存外キツいなと思った。

川メ゚ -゚)「はっ……くっ……」

大分前に傷つけられた腕はまだ痛むし、先ほどの戦いでの負傷もかなり痛い。
このまま止まってしまいたいと、何度も考えた。
けれど、ワカッテマスを傷つけてまで逃げてきたのだから、命果てるまで進まなければならない気がした。

川メ゚ -゚)「……」

本当は、あのまま放置しておきたくなかった。早く誰かに発見されて、手当てを受けていればいいと願った。
多分、ビロード、いやワカンナイデスが真っ先に見つけるだろうけど。

川メ゚ -゚)「一体……どこまで行けるのかな」

這いずることで、肌には更に細かい傷が付く。服もボロボロだった。誰にも見られたくない姿だなと呟く。



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:05:12.61 ID:0+hyudJGO


ふと、ブーンの髪の毛が縛ってある布を見る。頼みは聞けそうにもない。向こうも、わかっていて頼んだ筈。

川メ゚ -゚)「……ごめんな、ブーン。やはり私には無理だ。君が生きて、行かなければ」

ブーンは、恐らく兵であったろう謎の敵をきっと倒したろう。果たして今はどこを逃げているのか。

川メ゚ -゚)「見つかってないといいな。私も今、運良く見つかっていない」



川メ゚ -゚)「だが、まあ。大体こういうことを思うと現れるのが定番だ。なぁ?」

「……なぁ、と言われても。なぁ?」

クーの前に立ち塞がるのは、鎧兜を身に付けた兵が数名。ここまでか、とため息を吐く。

川メ゚ -゚)「今頑張ってるんだ、見逃してくれよ」

「そりゃご苦労なこったな、虫けら。おめでとう、ここがゴールだ」

川メ゚ -゚)「そうか……ならとっとと、一思いにやってくれ」

「ふん、死ねるわけがないだろう? お前は生きたまま連れ帰って、磔だ」

「へへ……これで俺たちには褒美がたんまり」

川メ゚ -゚)「……」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:06:43.08 ID:0+hyudJGO


傷だらけの体が、縄で縛られる。食い込んで痛かったので、クーは思わず呻いた。

「……何か、変な気分になるな」

「仕方ねーよ、女みてーだもんこいつ」

「……俺、こいつなら掘

「バカッ、お前、バレたら死刑だぞ!」

「バレねぇって! お前ら黙ってたらバレねぇって!」

川メ゚ -゚)「……」

訳の分からない会話だなと思いつつ、磔になった自分のことを考える。
四肢を釘で穿たれ、晒されることで辱められ、じわりじわりと死んでいく。

川メ゚ -゚)(這いずる姿より幾分も見られたくないな)

一体、何処で磔にさられるのだろうか。恐らく街か周りの街道が濃厚だろう。

――見られたらどうしよう。

しぃに、あの純粋で愛らしいあの子に見られてしまったら。

川メ゚ -゚)(考えたくもない……だが……)



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:07:50.08 ID:0+hyudJGO


ギコに見られるのも大分嫌だなと思う。
決着をつけたがった相手のそんな姿を見たら、きっと、顔に惜しみなく失望を浮かべるだろう。

川 ゚ -゚)(……そうだ、決着)

目を閉じて、謝る。

川 - -)「……つけられなくて、すまないな。ギコ」







「あん? 何をだゴルァ?」



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:10:10.92 ID:0+hyudJGO


川メ゚ -゚)「!」

久方ぶりに聞く声だった。目を開けると確かにいた。

(,,゚Д゚)「よぉ」

川;゚ -゚)「何で、君が……ここに……」

驚愕し、開けた口を塞ぐことのできないクーの前で、ギコはいつものようにメイスを振るう。懐かしい姿だった。

「お、お前! 何者だ!」

(,,゚Д゚)「ん、あー……何者だろうなー、海賊やめてきちゃったしなー」

「海賊だと……!? まさかこの反乱、最初から海賊が関わっ

(,,゚Д゚)「だからやめたんだって……よっ!」

砕く。容赦なしに粉砕する。

川メ゚ -゚)「やめたって、どうして……それに、海賊が関わってたって……」

(,,゚Д゚)「後で話す。ま、別に海賊なんてまたやれるしよう。しぃにはしばらく会えねぇけど」

川メ゚ -゚)「……」

川メ゚ -゚)「自由だな、君は」

(,,゚Д゚)「おう、俺は自由だ」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:12:14.01 ID:0+hyudJGO


口角を吊り上げて笑い、またメイスの頭部を叩きつける。いつの間にか、兵は全滅していた。

(,,゚Д゚)「やっぱいいもんだろ、メイス。こいつら慣れてねぇからな、こういう時に強い」

川メ゚ -゚)「……」

川メ゚ -゚)「ありがとう。お陰で助かった」

(,,゚Д゚)「……まだ助かってねぇぞ、その内森にかなり入ってくる」

川メ゚ -゚)「む……」

(,,゚Д゚)「しっかしま、随分と満身創痍で」

クーの側にしゃがんだギコは、縛ってあった縄を外す。するとクーは、目を伏せて言った。

川メ゚ -゚)「惨めだろう……笑ってもいいぞ」

(,,゚Д゚)「……」

言われ、しばらく黙っていたギコは、やがて。

(,,゚Д゚)「はっ……ギコハハハ! お前、今からもっと惨めになるぞ!」

川メ゚ -゚)「む?」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:16:50.45 ID:0+hyudJGO


首を傾げたクー、その腰を抱えると、ギコは軽く持ち上げる。

∑川;゚ -゚)「なっ……!」

(,,゚Д゚)「おっ、背ぇ低いだけあって結構軽い。動けねぇんだろ、これしかねぇ」

川;゚ -゚)「ぐっ……これは確かに惨めだ」

(,,゚Д゚)「さて、ちゃっちゃと抜けるか」

深く息を吐いたギコは、最後に一つ、クーに尋ねる。

(,,゚Д゚)「で? 犬に食わせる価値もない手伝いを申し出た男に、とりあえず助けられた気分はどうだ?」

川メ゚ -゚)「……」



川メ゚ -゚)「最高だ」



 了








80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/31(日) 03:22:36.22 ID:0+hyudJGO

支援ありがとうございました

うはははははは!
書き貯めていた携帯をぶっ壊したのでカッとなって書いて投下した、今は反省してる

古代ローマ史の講義を受け脳内で盛り上がった結果なんだが、
俄仕込みですらない妄想古代ローマは痛かったという教訓、だが書いてて楽しかった
どうでもいいが、当初はワタナベさんVSロマネスクをやる予定だった

読んでくれた人、まとめさん、ありがとうございました

次は貞子か、一度tbしたネタで何か書いてみようかと思います


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