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川 ゚ -゚)奴隷と海賊のようです(゚Д゚,,) 4スレ目

3スレ目はこちら


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:09:45.22 ID:oERaeVSqO


あらすじ

ドクオに生き別れの兄弟が。

ξ ゚⊿゚)ξ「知らんがな」

( ^ω^)「それはあらすじじゃないお」

川 ゚ -゚)「正しくは『益々おかしくなっていくギコ』」

(,,゚Д゚)「やめろ」



まとめ

7xさん
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/quu_dorei_kaizoku.html

蛇屋さん
http://hebiya.blog40.fc2.com/

ありがたすぎて涙が出ます



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:11:50.71 ID:oERaeVSqO




穏やかな波が押し寄せる浜辺。切り立った灰色の断崖の下では
木々の緑が生い茂り、陰では、大穴がぽっかりと口を開けている。

その暗く湿った洞穴の中に足を踏み入れて、しばらく道なりに進んでみれば、
目には仄かな光が、耳には反響する笑い声が入り込んだ。

いつしかパチパチという小さな音も聞こえ、やがて開けた場所に出たかと思うと、
松明に灯された炎と共に、様々なものが視界に入る。

周囲を天然の岩石に囲まれた部屋には何人かの男たち。
談笑する者、盤上の戦いに勤しむ者、酒で喉を潤す者、それぞれ好きなように時を過ごしている。
その中の一人、ドクオは、今し方現れた男に向かって声をかけた。

('A`)「あ、ギコさん」

(,,゚Д゚)ノ「よう」

返したギコは、テーブルについていたドクオの隣に座る。

('A`)「聞いてよ。俺さ」

(,,゚Д゚)「またか。お前はどんだけ女泣かせりゃ気が済むんだよ」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:13:50.31 ID:oERaeVSqO


('A`)「まだ何も……大体、向こうが勝手に泣くんだもん」

(,,゚Д゚)(この台詞を吐いてるのがドクオという時点でオチ方はバレてる筈)

(,,-Д-)「はいはい、今回も娼館の女の子にお前の相手だけはしたくないって泣かれたんだよな」

('A`)「いや、今回の人はしてくれた」

(,,゚Д゚)「え」

('A`)「……」

(,,゚Д゚)「……」



('∀`)

(,,゚Д゚)「うぜぇ」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:15:57.64 ID:oERaeVSqO


('∀`)「ふっひひ……俺も遂に童貞卒業で、ギコさんを超えたでぇ」

(,,゚Д゚)「へいへいよかったな。そりゃきっと死亡フラグだ」

('∀`)「嫉妬ですね、わかります。何なら紹介しようか? ん?」

(,,゚Д゚)「何が悲しくてお前と兄弟にならなくちゃいけねぇんだよ」

('∀`)「いい乳してたでぇ。こう、な、デカくてな、こんな風に」

('∀`)「垂れててさ」
つ∪∪⊂ギュムッ

(,,゚Д゚)「……ん?」

('∀`)「吸うとさ、何故かカーチャンの温もりを感じるんだ」

(,,゚Д゚)「……お前まさか」

('∀`)「お腹も柔らかくてさ……触ると線みたいなのが」

(∩,-Д-)「もういい、もういいから」

耳を塞いだギコの横で喋り続けるドクオ。
その内に、一通り話して満足したのか、目尻に溜まっていた汗を拭ったドクオは

('A`)「家どうだった?」



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:17:44.22 ID:oERaeVSqO


(,,゚Д゚)「あぁ、いつもと一緒だった」

('A`)「俺の嫁は元気だった?」

(,,゚Д゚)「台所のゴキブリなら潰しちまった。スマン」

('A`)「間違えた、しぃちゃんは元気だった?」

(,,゚Д゚)「ババァのせいで得意技が金的になってた」

('A`)「……」

(,,゚Д゚)「……」



(*'A`)「ウッ」

(,,゚Д゚)「大変だドクオ、服の中にゴキブリが。もう未練もないだろうからいいだろ」

(;'A`)「あ、ちょ、まっ、今のは軽いジョーク……」

(,,゚Д゚)「潰したら魚に食わせるか」

(;'A`)「やめてぇ、武器をしまってぇ! 息子はまだ熟し過ぎた果実しか知らないのぉ!」

(´・ω・`)「何やってんの」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:19:30.45 ID:oERaeVSqO


と、呆れ顔のショボンがギコの背後から現れた。

(,,゚Д゚)「船長、今から目の前の巨大ゴキブリ退治するんすけど一緒にやりやすかぃ」

(´・ω・`)「あかん、ここぉ汚すのはあかんぜよ」

(,,゚Д゚)「よかったなドクオ、外に出るまでは生きてられるぞ」

(;'A`)「……」

代わりにドクオは、入れ替わるようにして別のテーブルに移る。
そのとき股間を両手で押さえていたのを、ショボンは見逃さなかった。

(´・ω・`)「……本当に何やってたの」

(,,゚Д゚)「毎度のこった……しかしあいつも懲りねぇよな。最早怒る気にもなれん」

(´・ω・`)「あぁ……あれだけ君に半殺しにされたのにね。愛って凄いね」

(;,゚Д゚)「ばっ、やめろ、虫唾が走る!」

ぞわりと鳥肌の立った腕を押さえ、ぶるりと一度震えたギコ。
その隣、丁度ドクオが座っていたばかりの椅子に、今度はショボンが腰をかける。

(´・ω・`)「モララー」

(,,゚Д゚)「あん?」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:21:51.44 ID:oERaeVSqO


(´・ω・`)「ほら、この間人質にした貴族のボンボン。君にもまとわりついてたじゃないか」

(,,゚Д゚)「あぁ……あいつはウザかったな。俺のもんも勝手に触ろうとするし。
    誰だー、あいつが頭良さそうとか言った奴ぁ」

d(´・ω・`)b「僕です」

(´・ω・`)「ま、それはともかく」

(´・ω・`)「彼と文通することにしたんだ」

(,,゚Д゚)「おぉ、やったじゃねぇか。お前よっぽど好かれてたんだな」

(´・ω・`)「そうみたい。船長って肩書きがカッコ良く見えたのかなぁ」

(´・ω・`)「まぁでも、これで色々情報ゲットできるし、彼を使って何かできるかも知れないし。
     いや本当、僕の獲物を見る目っていいよねぇ」

(,,-Д゚)「……まだ引っ張るか。安心しろよ、もう言わねぇから」

(´・ω・`)「へぇ、そりゃ何でまた」

(,,゚Д゚)「いいのがな、いたんだよ。陸に。決着はつけてねぇけど」

(´・ω・`)「なるほど、負けそうだったからトンズラこいたんだね」

(;,゚Д゚)「ちげぇよ!」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:23:34.79 ID:oERaeVSqO


(´・ω・`)「はいはい……けど、しぃちゃんの目を盗んでどうやって見つけたんだい? 君が満足するような相手なんて」

(,,゚Д゚)「おう、それがよ。そいつ剣闘士奴隷でさ。色々あって喧嘩売ってきた」

(´・ω・`)「答えになってないじゃん……別にいいけどさ。とりあえずおめでとう」

(,,゚Д゚)「……しっかし、惜しかったなぁ。折角だから海賊誘ってみたんだが、キッパリと断られちまったよ」

(´・ω・`)「あっはっは、君よっぽど嫌われてたんだね」

(,,゚Д゚)「うっせぇ!」

(´・ω・`)「しかし、剣闘士奴隷を海賊にね……君にしてはいい考え」

(,,゚Д゚)「おい、君にしてはって何だよ」

(´・ω・`)「そのままの意味さ。というか、他に持たせようもないだろ」

(,,゚Д゚)「……」

(´・ω・`)「さて、そろそろ出ようか。船の準備も終わった頃だろうしね。行くよー、野郎共」





10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:24:53.11 ID:oERaeVSqO




从'ー'从「あったかいね~」

(*゚ー゚)「ねー」

陽光を存分に浴びているしぃとワタナベは、僅かに茶色を帯び始めた畑の側で寝そべっていた。

从'ー'从「お日様眩し~」

(*゚ー゚)「しー」

从'ー'从「や~、もうすぐ夏も本番だね~」

(*゚ー゚)「夏って暑いしカラカラだけど、でも外出たくなっちゃうんだよね~」

从'ー'从「ね~」

(*゚ー゚)「でもでも、やっぱり収穫のとき辛いかなー」

从'ー'从「うんうん、畑小さくてもダルくなるよね~、暑いと」

从'ー'从「なのに、いっつも収穫の時期外して帰ってくるんだから~」

(*゚ー゚)「あはは、そうだねー、ギコちゃんいたら楽だねー」

从'ー'从「でもそのギコちゃんは今頃海でバカンスだよぅ」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:26:11.01 ID:oERaeVSqO


(*゚ー゚)「海いいなー海。一緒に行きたいねー、ワタちゃん」

从'ー'从「え~、ワタちゃんはいいよ~。昔散々行ったもん」

(*゚ー゚)「久しぶりに行くのもいいと思うけどなー」

从'ー'从「ダメダメ~。海に行くと~、振られたこと思い出しちゃう」

(*゚ー゚)「え、ワタちゃん海で振られたの?」

从'ー'从「振られたの。君みたいな海z……可愛い子はダメだって」

(*゚ー゚)「よしよし」

从'ー'从「ふぇぇ、頭撫でられると余計に悲しいよぅ」

両手で顔を覆い、しくしくと泣くふりをするワタナベ。

从'ー'从「いいもん、いいもん。ワタちゃんにはしぃちゃんがいるもん」

(*゚ー゚)「よしよし」

从'ー'从「しぃちゃん~愛してる~」

(*゚ー゚)「きゃあ」

しぃに抱きつきゴロリゴロリ。転がる二人は草にまみれる。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:27:42.71 ID:oERaeVSqO


从*-ー-从「若いっていいな~……お肌すべすべ」

(;゚ー゚)「く、苦しいよぅワタちゃん……」

从'ー'从「あ、ごめんごめん」

謝り、力を緩めるも、離れない。早々に観念したのかしぃも大人しくしている。

从'ー'从「とにかくワタちゃんはもう海には行きません。ギコちゃんのお土産話で十分~」

(*゚ー゚)「むぅ、残念だけど仕方ないかー」

从'ー'从「えへへ~」

从'ー'从「お土産といえばですよぅ、ギコちゃんの次のお土産は何だと思う~?」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:28:49.31 ID:oERaeVSqO


(;゚ー゚)「え、えぇ? もう次のお土産の話? こないだ貰ったばかりだよ?」

从'ー'从「でもぅ、しぃちゃんだって楽しみでしょ~?」

(*゚ー゚)「えー、でも私は……」

从'ー'从「何々~?」

(*^ー^)「ギコちゃんが無事に帰ってきてくれたら、それが一番のお土産だもん」

从'ー'从「可愛いやつめ~、たっぷり可愛がっちゃうぞぅ」

∑(;> -<)「やぁ、どこ触ってるのワタちゃん!?」

そうしてしばらく、しぃのお腹が鳴るまでは、二人はじゃれあって遊んでいた。





14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:30:11.68 ID:oERaeVSqO




( <●><●>)「は?」

怪訝な声色で聞き返したワカッテマスの視線を受け止めたビロードは、もう一度報告する。

(メx ><)「ですから……モララー様が遊びに来たんです」

( <●><●>)「遊びにって……そんなこと初めてじゃないですか」

(メx ><)「そうなんです……だってモララー様、ワカッテマス様のことあんまり」

( <●><●>)「わかってます。だから不思議なんです。何か企んでるのでしょうか」

(メx ><)「最近、街中の屋敷を訪ね回っているとは聞いてましたけど、まさか家にまで来るなんて……」

はて、と首を傾げるビロード。椅子に座るワカッテマスも、書類に手をつけるのをやめて考え込む。
沈黙による静けさに満たされるワカッテマスの私室。
だがいつまでも待たせているわけには行かないと、ワカッテマスは立ち上がる。

( <●><●>)「来たからにはもてなさないと。行きましょう」

(メx ><)「あ、は、はいなんです」





15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:33:23.56 ID:oERaeVSqO




( ・∀・)「やあやあワカッテマス。元気そうで何よりだ」

応接間に出たワカッテマスとビロードを出迎えたのは、実に晴れやかな笑顔をしたモララー。
先日ワカッテマスが会ったときや、それ以前のときに表していた不快さは微塵も感じられない。

( <●><●>)「驚きました。モララー様が我が屋敷を訪ねて下さるなんて」

( ・∀・)「あれから俺、反省したんだよ。親父に本気で殴られて目が覚めたんだ。
       そんで、お前はワカッテマスの爪の垢でも煎じて飲んでこいって言われたから、来ちゃったw」

( <●><●>)(きめぇ)

(メx ><)(うわぁ、ワカッテマスくんいつにも増して目が冷めてるんです)

( ・∀・)「後な、お前んとこの剣闘士競技ももうすぐだろ? ちょっと訓練してるとこ見たいなーなんて」

( <●><●>)「なるほど。そちらが目的だったのはわかってます」

( ・∀・)「ほら行こうぜとっとと行こうぜちゃっちゃと行こうぜ」

( <●><●>)(うぜぇ)

(メx ><)(うわぁ、ワカッテマスくんの目が益々(ry

ワカッテマスが、後ろで控えていたビロードに目線を送ると、ビロードは即座に動いて、玄関への扉を開ける。

( <●><●>)「ではご案内致しましょう」


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:35:15.36 ID:oERaeVSqO




川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「……」



川 ゚ -゚)=3「ぶふっ」

(;^ω^)「無表情のまま吹き出すなお!」

川 ゚ -゚)「いやいや……よく似合ってるなぁと」

  _л_
 ∑∈ヽ゜< <ギョッギョッギョ
(;^ω^)

(;^ω^)「何だおこれ! 何で僕こんなん被って戦わなきゃいけないんだお!? さかなくんかお!?」

川 ゚ -゚)「誰ださかなくんとは。いやしかし、本当よく似合ぶふっ」

(;^ω^)「わーらーうーなーおー!」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:36:54.23 ID:oERaeVSqO


地団太を踏むブーンは今、競技の際に使用する特注の兜を被っていた。
対して腹を抱えるクーは、右手に三つ叉の槍を、左手に網を持っている。

川 ゚ -゚)「しかし、君が魚で私が漁師か。面白いことを考えたもんだよな」

( ^ω^)「僕が負けること前提の組み合わせじゃないかお……」

川 ゚ -゚)「そんなことはないだろう。代わりに私にはハンデがあるじゃないか。槍も網も扱うのは初めてだ」

( ^ω^)「本当かお……」

川 ゚ -゚)「本当だ。昔から二刀流をやらされていたからなぁ」

( ^ω^)「だったら僕頑張るお。折角なら君に勝って一番になるお!」

川 ゚ -゚)「あぁ、頑張れよ……うん?」

ふと、聞き慣れない声に気づいたクーが囲まれた柵の向こう側を見やると、
そこではワカッテマスとビロード、もう一人見知らぬ男が歩いていた。

川 ゚ -゚)「……当主様直々に様子を見に来るとは。珍しいな」

(;^ω^)「えー、僕こんな姿見られんのかお?」

川 ゚ -゚)「どうせ後でたっぷりと見られるのだからいいだろ。さ、早く始めるぞ」

(;^ω^)「おーん……」



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:38:13.42 ID:oERaeVSqO


ブーンの正面で、クーは手にした槍を構えて向ける。

( ^ω^)「……何か様になってるお」

川 ゚ -゚)「見よう見まねだ」

ブーンの方は、右に両刃の刀剣、左に小さな丸い盾。

川 ゚ -゚)「私からいくぞ」

言って、クーは槍を突き出した。ブーンはそれを、足を下げ体を捻ることで避ける。
突き出し、避ける。突き出し、避ける。
ある回数に達したところで攻守の役割を交代し、再び突き出し避ける。

その様子に、既に柵の間近に迫っていたモララーが感嘆の息を漏らす。

( ・∀・)「へぇ、これがナヌス家一、二を争う剣闘士。いやしかし凄いねぇ」

( ・∀・)「あの魚」

   _л_
  ∑∈ヽ゜< 
((( ^ω^)ハッ、ホッ

( <●><●>)「……」

(メx ><)「……」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:39:29.33 ID:oERaeVSqO


(;メx><)(何でもう被ってるんですか……気に入っちゃったんですか……)

( <●><●>)「……魚はともかく」

( ・∀・)「んー?」

( <●><●>)「なかなか、よい試合ができそうでしょう? モララー様も、今期は是非ご観賞下さい」

( ・∀・)「……そうだねー。俺見たことないからねー」

( ・∀・)「考えとくよ。ところでこいつらさ、やっぱり言うことはちゃんと聞くのかい?
       下手に強いと、うっかり変な気とか起こされたりしない?」

( <●><●>)「有り得ません。そこの長髪の方、クーは幼い頃よりこの家の奴隷ですから、誰よりも従順です。
        魚……ブーンは、比較的新しく入りましたが、特に際立った行動は見せませんし」

(メx ><)(最近は、ですけど)

( ・∀・)「へー……」

顎に手を当て、考え込む素振りを見せるモララー。その内に、あ、と声を上げると

( ・∀・)「そういえばさ、デレがもうすぐ来る筈なんだけど」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:40:47.86 ID:oERaeVSqO


( <●><●>)「……え?」

( ・∀・)「いやさ、俺が行くっつったらあいつも行きたいっつって?
       支度があるから後からって。もう来てるかなー」

( <●><●>)「……わかりました、迎えてきましょう」

( ・∀・)「あ、俺もーちょっと見てるから」

( <●><●>)「ごゆっくりと。行きますよビロード」

(メx ><)「あ、はいなんです」

( ・∀・)「……」



( ・∀・)「ぷっw」

小さく吹き出したモララーは、一人鍛錬を眺める。
その内に、規定の回数を終えたのか、クーとブーンは動きを止めて構えを解く。

川 ゚ -゚)「なかなか面白いな、さか……槍というのも」

( ^ω^)「今何を言おうとしたんだお? お?」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:42:04.86 ID:oERaeVSqO


川 ゚ -゚)「気のせいだ。どれ、頭のそれも一緒に片付けてきてやるよ」

( ^ω^)「お……次は短剣だったかお。じゃ、お言葉に甘えてお願いするお」

兜を脱いだブーンがクーに手渡すと、クーは隅の小屋に向かって歩き出す。

( ^ω^)「ぶひー」

その間、ブーンが柵に背中を預けて体を休めていると、

( ・∀・)「やあ」

と突然、耳元で囁かれた。

( ^ω^)「……? 誰……ですかお?」

( ・∀・)「俺モララー。しがない貴族」

( ^ω^)「……貴族がしがないって、どんな冗談なんですかお? 高尚すぎてわかりませんお」

( ・∀・)「あ、ウケなかった? ははは」

( ^ω^)「……」

( ・∀・)「笑えよー。ははははは」

( ^ω^)「……おっおっお」



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:43:29.10 ID:oERaeVSqO


( ・∀・)「ところでさ、ブーンだっけ? 剣闘士奴隷って楽しい?」

( ^ω^)「お……」

( ^ω^)「……とっても、楽しいですお」

( ・∀・)「へー、羨ましい。代わってやりたいぐらいだ」

( ^ω^)「……」

(^ω^ )フイッ

ブーンは顔を背け、柵から背を離そうとする。それでも、モララーは続ける。

( ・∀・)「でもさ」

一歩、足を踏み出す。

( ・∀・)「もしもお前が望むのなら」

二歩、足を踏み締める。

( ・∀・)「俺はお前に」

三歩、足を止める。

( ・∀・)「自由を与えようか」




24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:44:26.02 ID:oERaeVSqO




川 ゚ -゚)「遅くなった。いや、魚を仕舞う場所がよくわからなくてな」

( ^ω^)「お……おかえりだお」

クーが短剣一本を携えて戻ってきたとき、ブーンは呆然とした顔で立ち尽くしていた。

川 ゚ -゚)「……? 何かあったのか?」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「なぁんも」

川 ゚ -゚)「そう、か……? まあ、君がそう言うのなら」

気付けば、いつもと同じ笑顔を浮かべていたブーンを見て、クーはどこか納得のいかない気分になるが、
本当に、大したことは何もなかったのだろうと自分に言い聞かせる。

川 ゚ -゚)「じゃ、私は行くからな。君も早く動かないと、また怒られるぞ」

( ^ω^)「わかってるお、今行くお」

背を向け合った二人は、別の場所へと歩き出した。





25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:45:38.84 ID:oERaeVSqO




( ・∀・)「いやー。デレは多分、親父に見つかっちゃったんだろうねー。めんごめんご」

( <●><●>)「ですが……万が一ということも」

( ・∀・)「ないない。なんなら一緒に家に行くか? 間違いなくいるから」

( <●><●>)「……モララー様がそう仰るなら」

結局、いつまで経っても来ないデレを待ち続けたワカッテマスとビロードのもとには、
再びモララーが現れただけであった。

(メx ><)(本当にデレ様が……家に向かってたんでしょうか……)

心中で何となく怪しんだビロードは、こっそりとモララーを見てみるが、その視線に微塵も気付かず、

( ・∀・)「ま、色々見れて面白かったよ。剣闘士競技、実に楽しみだ」

( <●><●>)「おや……ということは、来て頂けるのですか?」

( ・∀・)「今までは、親父が好きなもんを親父と一緒に観るなんて反吐が出そうだったけど、
       そろそろ大人になんなくちゃねー。やっぱり親父とは一緒に観ないけど」

( <●><●>)「そうですか。では、心よりお待ちしております」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:46:24.37 ID:oERaeVSqO


( ・∀・)「じゃ、ばいばーい」

( ・∀・)「……と言いたいところだが。その前にトイレ貸してくれ」

( <●><●>)「ええどうぞ。ビロード

( ・∀・)「あ、いいよいいよ。トイレの場所なんて何処も同じだろ」

( <●><●>)「まぁ……それはそうですけど」

∀・ )))「んじゃ、ちょっと長くなるから」

(メx ><)(一々言わなくてもいいんです)



(・∀・ )))

(・∀・ )ピタ

(・∀・ )「さーて」

(・∀・ )「給料に不満を持ってそうな奴ぁどいつかなぁ」





27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:47:55.50 ID:oERaeVSqO




(;,゚Д゚)「おーらえーんやこーらっと」

(;'A`)「ギ、コさん、元気、だねー」

(;,゚Д゚)「おうよ」

海賊船の船内下部。乗組員の過半数はそこに集まり汗水垂らしてオールを漕ぐ。
ギコとドクオもまた、オールの柄を手にしていた。

(;'A`)「最近、さぁ」

(;,゚Д゚)「おう」

(;'A`)「船長、よく、手紙、書いてる、よね」

(;,゚Д゚)「何だ、知らねぇのか。あいつ今、貴族と、文通、してるんだよ」

(;'A`)「えぇ、何、その、禁断の恋」

(;,゚Д゚)「残、念、相手は男、だ」

(;'A`)「えぇ、何その、禁断の、恋」

(;,゚Д゚)「やめろよ、気持ち悪ぃ、な」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:49:31.08 ID:oERaeVSqO


(;'A`)「いやいや、案外、あったり、して」

(;,゚Д゚)「ないない」

(;,゚Д゚)「しっかし、今んとこあんま、恩恵も感じない、けどな」

(;'A`)「ま、その内、何かやる、でしょ。船長の、ことだし」

(;,゚Д゚)「だと、いいけどよー」

そうしてオールを漕いでいる内に、やがて交代の時間が訪れ、
ギコはドクオに別れを告げると、船内を上にあがる。
扉を開けた先の甲板では、船員が肌を突き刺す強烈な日差しを浴びていた。

(;,゚Д゚)「っきしょー、夏はやってらんねぇな」

額を濡らす汗を手の甲で拭い、船首の方を向くと、横合いの方に一人の船員、
その隣にはショボンがいたので、ギコは大股で歩き近付く。

(,,゚Д゚)「何やってんだ、船長さんよ」

(´・ω・`)「あぁ、ギコ。何、ちょっとしたチェック」

(,,゚Д゚)「うん? 日没前にゃ船着けんだろ、何のチェックだ」

(´・ω・`)「大したことじゃないよ」

(,,゚Д゚)「……いいけどよ」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:50:57.12 ID:oERaeVSqO


息を吐いたギコは、肩を押さえて回す。

(,,゚Д゚)「ドクオも言ってたんだが、最近よく手紙書いてんな。そんなに話盛り上がってんのか」

(´・ω・`)「盛り上がってるよ」

(,,゚Д゚)「禁断の恋とか言われてたぞ」

(´・ω・`)「ドクオにかい?」

(,,゚Д゚)「おう」

(´・ω・`)「あっはっは。禁断の恋なんて、絶対にしないね。昔身近で見たもの」

(,,゚Д゚)「あ? 何の話だ」

(´・ω・`)「秘密」

(,,゚Д゚)「……」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「大きな仕事がね、できたんだよ」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:52:50.09 ID:oERaeVSqO


(,,゚Д゚)「ん?」

(´・ω・`)「もう少し、時が来たら皆にも話す。
     金銭的な利益はないけど、色々とプラスになるんじゃないかな。君にとってもね」

(,,゚Д゚)「……?」

(´・ω・`)「それに何より、面白そうだ。まず間違いなく混乱に陥る」

(,,゚Д゚)「ふーん……お前が面白そうだってんのなら、期待するぜ。俺は」

(´・ω・`)「そう? じゃあ期待しててよ」

(,,゚Д゚)「でもよ、それって剣闘士競技の日までには終わる仕事だよな? 俺あれ見に行くつもりなんだけど」

(´・ω・`)「え……初耳なんだけど」

(,,゚Д゚)「言ってねぇもん」

(´・ω・`)「……」

(,,゚Д゚)「……何だよ」

(´・ω・`)「無理だよギコ。その日は君に、して貰いたいことがある」

小さな波が幾度も船板を打つ。船より見える沿岸の、立ち並ぶ木々が風に揺れた。





32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:54:58.88 ID:oERaeVSqO




大地を鮮烈な光で染めていた太陽が勢いを弱め、夏の収穫が終わりを迎えた頃。
街の一角、数ヶ月前に建てられた広い円形劇場では、多くの観衆によってすり鉢場に広がる客席が埋まっていた。
客席の中でも、貴族用に設けられた空間は、まるで小部屋のようになっており、椅子には何人かが腰を下ろしていた。

中央には主催者のワカッテマス、両隣にはロマネスクとデレ。ビロードは、ワカッテマスの近くで佇んでいる。

ロマネスクは上機嫌で果実を手に取ると、口に含んで舞台を見下ろした。

(* ФωФ)「にゃっはっは、あいつこけてやんのざまぁwww」

ζ(゚ー゚;ζ「お、お父様、羽目を外し過ぎです!」

客席の反対側にはもう一つ、貴族用の席があり、椅子の一つにモララーが座っている。

( ・∀・)「……」

( <●><●>)「……」

ロマネスクは毎度のことなのでともかく、感慨もなく終始無言で下を見つめているモララーを、
何故だか不気味に感じたワカッテマスは、気に召さなかったのだろうかと自らも見下ろす。
舞台では、重装備の剣闘士が上下に重なって剣を交えているところだった。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:57:33.36 ID:oERaeVSqO


(* ФωФ)「いやはや、やはり今期も質が高いなワカッテマス。次の試合で終わりなのが残念だ」

突然、ロマネスクが肩を叩いてきたので、すぐに振り向いたワカッテマスは頭を下げる。

( <●><●>)「ありがとうございます」

(* ФωФ)「デレも楽しんでおるだろう、ん?」

ζ(゚ー゚*ζ「は、はい……私も、とても楽しく思います」

(* ФωФ)「でも我が輩知ってるもんね、デレが横ばっか見てたの知ってるもんね」

ζ(/-//*ζ「お、お父様……!」

( <●><●>)「……」

(メx ><)(うぜぇ)

そうしてロマネスクがはしゃいでいる内に、片方の剣闘士が相手の重装備の隙間を突いて戦闘不能にさせ、勝負はつく。
盛大な歓声が沸き上がり、舞台の戦士は退場すると、僅かな休憩がとられる。

(* ФωФ)「いよいよ長髪の剣士のお出ましか。やはり我が輩、これが一番の楽しみ」

( <●><●>)「いえ、今期は少し趣向を変えまして。彼は三つ叉の槍を操ります」

( ФωФ)「ほう、槍とな。魚でも捕らえるのかな?」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:58:43.15 ID:oERaeVSqO


( <●><●>)「その通りです」

( ФωФ)「ふむふむ、それはさぞ愉快な光景になるだろうな」

夢想し、噛みしめるように何度も頷くロマネスク。

( ФωФ)「……それに、この試合が終わったならば。君は、決断してくれるのだろう?」

( <●><●>)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

( ФωФ)「何、急かしているわけではないぞ? 楽しみは後にとっておくものだからな」

( ФωФ)「さあ、もう時間ではないかね? 君の言葉を皆が待ち望んでいる」

( <●><●>)「……はい」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 01:59:45.37 ID:oERaeVSqO


言われたワカッテマスはビロードに合図を送る。するとビロードは、即座に場を立ち去った。

伝令は瞬く間に伝わり、各所に配置された従者は丸めていた紙を広げて読み上げる。

( <●><●>)「……本日」

( <●><●>)「本日最後の試合となりました」

( <●><●>)「これより、女神の祝福を最も多く受けし戦士二人が勇敢に戦います」

( <●><●>)「女神とは、我がナヌス家属するチポリス氏族が祖、跳躍の女神チンポッポ」

( <●><●>)「彼女は金色の果実を愛し……





38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 02:00:59.66 ID:oERaeVSqO




舞台に続く石の通路。佇むブーンの顔が、いつにも増して余りに愉快そうだったので、クーは思わず聞いてみた。

川 ゚ -゚)「よっぽど私を倒す自信があるようだな」

だがブーンは、何でもない風に返す。

( ^ω^)「お、自信? 全くないお」

川 ゚ -゚)「……おいおい。君、折角だから私を倒して一番になるとか言ってなかったか」

呆れたように腰に手を当てるクー。

川 ゚ -゚)「まぁいいさ。わかってはいると思うが、私は本気で君を狩らせて貰うよ」

( ^ω^)「……」

ブーンは黙ったまま、魚の兜を被る。

( ^ω^)「けど、君の格好も予想外だったお」

川 ゚ -゚)「む、知らなかったのか? だって漁師だぞ? 余計な演出が入ってはいるが」

(* ^ω^)「……ちょっとドキドキするお」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 02:01:55.94 ID:oERaeVSqO


川 ゚ -゚)「馬鹿なことを言うな……ほら、迎えが来た」

( ^ω^)「お、もう始まるのかお」

川 ゚ -゚)「ああ、行こうか」

呼びに来た兵士の後ろにつき、通路を進む二人。その途中で、クーは自らの長髪を結う。

不意に、ブーンが呟いた。

( ^ω^)「……僕、今日。君に酷いことするお」

川 ゚ -゚)「……何だ、やはり勝つつもりがあるんじゃないか」

同じように小さく呟いたクーは、ブーンの方を見なかった。にやけていない彼の顔を、見なかった。





40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 02:05:28.28 ID:oERaeVSqO




(* ФωФ)「にゃっはっは! 本当に魚が来おった!」

腹を抱えて大笑いするロマネスクのが見ているのは勿論。

  _л_
 ∑∈ヽ゜< <ギョッギョッギョ
( ^ω^)

( <●><●>)「あれが初出場ながらも、我が家の所有する剣闘士で二位の力を持つ者です」

(* ФωФ)「魚! 魚!」ジュルリ

ζ(゚ー゚;ζ「お父様! 涎をお拭きになって!」

( ФωФ)「おぅふ……いやすまんすまん」

布で涎を拭ったロマネスクは、次にクーの方を見る。

( ФωФ)「ふむ、漁師か。いやなかなかよいではないか」

∫ノ ゚ -゚)

長髪を一つに結ったクーの出で立ちは、裸足に短い腰巻きで、右に槍を左に網を手にしている。

( ФωФ)「だが……何か違うな」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 02:08:17.11 ID:oERaeVSqO


( <●><●>)「……」

ロマネスクが言っているのは、クーの胸部。腰巻きと同じような細い布が巻かれている。
だが本来ならば、あのような布は纏わない。

( <●><●>)「……あれは、その」

( <●><●>)「彼の中性的な容姿を生かしまして、あの格好をさせることで、その」

( <●><●>)「女のようにも見えるかと」

( ФωФ)「おぉ、なるほどなるほど」

納得したロマネスクは、額に手を当て他の客席をぐるりと見渡す。
確かに、食い入るようにクーを見つめる男がロマネスクの目に多く入った。

( ФωФ)「ふむふむ、女のみならず男までも魅了するとは。
       あの剣士、女に生まれてもよかったのではないのかね? なぁワカッテマス」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/27(水) 02:09:24.55 ID:oERaeVSqO


( <●><●>)「……」





   _, _
( <●><●>)



ζ(゚ー゚*ζ「!」

ζ(゚ー゚*ζ(ワカッテマス……様?)



――そのとき、試合の開始を告げる角笛の音が、劇場中に響き渡った。










最終スレはこちら


一部のAAを修正させていただきました(ブログの中の人)

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