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川 ゚ -゚)奴隷と海賊のようです(゚Д゚,,) 3スレ目

2スレ目はこちら

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 01:50:14.06 ID:IkFaJfw5O


あらすじ

ビロード、ワタナベの家に遊びに行くことに。



(*'A`)「ご主人様ぁぁぁこのドクオめにもお仕置きをぉぉぉはぁぁぁん」

川 ゚ -゚)「何故私を見て言う」

( <●><●>)「死ぬべきなのはわかってます」

( ><)「むしろ何で生きてるのかわかんないんです」

7xさん
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/quu_dorei_kaizoku.html

蛇屋さん
http://hebiya.blog40.fc2.com/blog-entry-7326.html(その1)

ありがとうございます


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 01:52:37.08 ID:IkFaJfw5O




鍛錬も終わり、狭い自室に戻ったクーは寝台に腰をかけると、数時間前の出来事を思い出す。

川 ゚ -゚)「長年一緒に過ごしてきたが、あんな姿は初めて見たな」

昔から、落ち着きのない幼子のような男であったのに。
クーは、頭の中の記憶を一部呼び起こして、今のように変わってしまう前の顔を思い浮かべた。
その隣には、もう一人並んでいる。

川 ゚ -゚)「でも、君は知ってるのかな、もしや」

首から下げた、古くて質素な、けれど可愛らしい首飾りを、服の内側から取り出して片手で弄ぶ。
クーが貰った、初めての土産。それを眺めていると、先日のことが朧気に浮かんでくる。

川 ゚ -゚)「……あの親子は、元気かな」

娘にうだつの上がらない、大人気ない父親と、その娘とは到底思えない素直で優しい少女。
あの日のことは余り考えないようにしてきたが、口に出してみれば、光景や言葉が激流のように溢れてくる。

物珍しさについビロードのもとを離れてしまい、気付けば迷い不審な輩に関わってしまったこと。
一人でも何とかなったが、それでも助けてくれた男のこと。
様々なものに目を輝かせる少女と、一緒に店を見てまわって、土産の話をしたこと。



(*゚ー゚)『――私初めてワタちゃんから聞いたとき――』



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 01:53:54.36 ID:IkFaJfw5O




川 ゚ -゚)「……ん?」



川 ゚ -゚)『――そのワタちゃんとやらは君の師か何かかな?』

(*゚ー゚)『うん!』



川 ゚ -゚)「!」

弾けるように立ち上がる。

ワタちゃん。数時間前、ビロードの口から出た名前。

川 ゚ -゚)「もしか、したら……」

慌てて扉に向かおうとしたクーは、だがすぐに立ち止まり、がっくりと肩を落とす。

川 ゚ -゚)「しまったな……私は先程、ビロードを見送ったばかりだった」





7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 01:56:07.21 ID:IkFaJfw5O




从'ー'从「も~。どうして掃除、サボるかな~」

(,, Д )「すいませんでした、本当すいませんでした」

(*゚ -゚)「ギコちゃん最低」

(;, Д )「ぐっはぁ……」

二人に詰られるギコは、虚ろな表情で床を磨く。アッパーされた顎はまだ痛んでいた。

(,, Д )「覚えてろよチキショー」

悪態をつきながらも、必死に磨くギコ。背後でワタナベが、ほわんと睨みをきかせている。
その内に、椅子に座っていたしぃが、パタパタと足を揺らしながら

(*゚ー゚)「ね、ね、ワタちゃん、もうすぐ来るんでしょ?」

と、ワタナベを見る。

从'ー'从「そうだね~、日も大分暮れてきたしね~」

窓を見やると、外は黄昏の色に染まっている。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 01:57:26.68 ID:IkFaJfw5O


(,,゚Д゚)「いい加減、どんなやつか言えよ。ガキってことしかわかんねぇぞ」

从'ー'从「内緒~」

(*゚ー゚)「むー、ワタちゃんのいじわるぅ!」

从'ー'从「ふぇぇ、いじわるじゃないよぅ」

∑(;゚ー゚)「きゃっ! や、やめてー」

ぷぅと膨らましたしぃの頬を、両の手のひらでグリグリとするワタナベ。

そのとき、扉からノックの音が聞こえてきた。

「ごめんくださーいなんですー」

从'ー'从「あ、開けていいよぅ」

「はーい」

高い声が外から響けば、扉はゆっくりと、軋みながら開く。

从'ー'从「ほらギコちゃん、いつまで床に這いつくばってるの~? みっともな~」

(#,゚Д゚)「うっせぇ!」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 01:59:17.93 ID:IkFaJfw5O


丁度扉の前の床を拭いていたギコは、片膝を立てて立ち上がろうとする。

(メx ><)「こんばんはなんですー」

そして、半開きの扉から顔を出したビロードが、二歩前に進んでみると

(メx ><)「あ」

布切れを踏みつけて足を滑らして

(,,゚Д゚)「あ?」

ギコを下敷きに倒れ込んだ。



∑(;メx><)「きゃあああっ!」

∑(;, Д )「ぐえっ」

潰れた蛙の声をあげるギコ。ビロードに横合いから倒されたギコは、運悪く腹に膝蹴りを入れられていた。

(メx ××)「きゅー」

(;, Д )「……! ……!」

目を回すビロードと、その下で震えるギコ。二人のもとにしぃとワタナベが来る。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:01:21.86 ID:IkFaJfw5O


(;゚ー゚)「だ、大丈夫? 二人とも」

从'ー'从「ギコちゃんはどうでもいいけどビロちゃん大丈夫~?」

(メx ××)「だ、大丈夫なんですー」

(#,゚Д゚)「お……俺は大丈夫じゃねぇ!」

∑(;メx><)「ひゃあ!」

ビロードをはねのけ勢いよく立ち上がったギコは、ビロードの服を掴んで持ち上げると

(#,゚Д゚)「てめいきなり何しやがるゴルァ!」

(;メx><)「いやぁぁぁあああごめんなさいごめんなさいごめんなさいなんですーっ!」

ビクリと肩を震わせたビロードは涙目で許しを乞う。その顔に向かってギコは更に凄みをきかせる。

(#,゚Д゚)「ざけんじゃねぇぞこの野



(,,゚Д゚)「……?」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:02:57.93 ID:IkFaJfw5O


不意に、ギコはビロードの顔をじっと見つめた。
顔中を走る傷跡は痛々しく、頬や額など目立つ箇所に幾重にも刻まれている。

(,,゚Д゚)「……あ」

∑(;メx><)「ひっ……ななな何ですか?」

数日前、ギコはこの顔を見た。別れた後、クーの側にいた青年。

(,,゚Д゚)「お前、ナヌス家の……」

(メx ><)「……え」

だが、ギコの言葉とビロードの驚きは、

从'ー'从「こら~」

という間の抜けた声と

(;, Д )「ほぎゃあああっ!」

再び腹に入ったミドルキックによって中断され、哀れギコは寝室行きとなった。

(;メx。><)(ちちちちびるかと思ったんです……僕、とんでもない家に来ちゃったんです……)

(;゚ー゚)「ご、ごめんね! ごめんね!」





12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:04:41.69 ID:IkFaJfw5O




(,, Д )「何故……何故俺がこんな目に……ゴルァ……」

(;゚ー゚)「ギコちゃんしっかり!」

寝台に横たわり、腹を押さえて呻き続けるギコの脇腹をしぃが懸命にさする。

(,, Д )「うぅ……ありがとな、しぃ……」

(*゚ー゚)「ギコちゃんも、あんな風に怖がらせちゃダメだよ? ワザとじゃなかったんだから」

(,, Д )「おう……」

そうしてようやく痛みが落ち着いてきた頃、

(,, Д )「ちょっとトイレ……」

としぃに言って、ギコは寝室を後にした。

居間を通り過ぎるとき、ワタナベは台所にいたが、ビロードの姿は見えなかったので、
あいつも便所かと思いながら外に出る。

扉を開けるとすぐ、満天の星空の下にその姿があったので、

(,,゚Д゚)「よう」

と手を挙げて話しかけた。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:07:36.94 ID:IkFaJfw5O


∑(;メx><)「ひゃあ!」

怯えたビロードは、後ずさりして尻餅をつく。

(;メx><)「ひゃう!」

(,,゚Д゚)チッ「……一々うるせぇ奴だな」

軽く舌打ちし更に近づくと、ビロードに向かって手を伸ばす。

(,,゚Д゚)「さっきは悪かったな。おらとっとと立て」

(;メx><)「うぇぇ……」

((,,゚Д゚)ズイッ「おら」

∑(;メx><)「は、はいなんですぅ!」

慌ててギコの手を借りたビロードは、敏速に立ち上がると砂埃を払う。

(メx ><)「あ、ありがとうなんです……」

(,,゚Д゚)「……」

(;メx><)「……」

(;メx><)「……さっきは本当にごめんなさいなんです」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:10:31.06 ID:IkFaJfw5O


(,,゚Д゚)「おう、痛かった」

(;メx><)「あう……」

(,,゚Д゚)「……ま、その後のが強烈だったから、お前のはもう気にしてねぇよ」

(メx ><)「……」

(((;メx><)))←思い出してガクブル

(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)「しっかし、ま。気の毒だなお前も。暴力ババアに好かれちまってよ」

(;メx><)「バ、ババアはヒドいんです……」

(,,゚Д゚)「あんなんババアで十分だ」

(メx ><)「で、でも、ワタちゃんはいい人なんです。
       あんなに怖……強いのは知らなかったけど、道に迷ってた僕を助けてくれたんです」

(,,゚Д゚)「ギコハハハ、お前ん家は迷子ばっかだな」

(メx ><)「……え?」

(,,゚Д゚)「ん?」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:13:06.89 ID:IkFaJfw5O


(メx ><)「……そういえば、何で僕のこと知ってるんですか? 僕、ワタちゃんにも言ってないんですよ?」

(,,゚Д゚)「隠すようなことか?」

σ(;メx><)「いえ……言いそびれちゃっただけなんですけど」

頬を掻いたビロードは、姿勢を正すと小さく頭を下げる。

(メx ><)「初めまして、僕はビロードというんです。あなたの言う通り、ナヌス家に仕えているんです。
       えぇと……ギコチャンさん」

(,,゚Д゚)「……ギコ、な。チャンはいらん」

(* メx><)「あ、やっぱりですか? いやー、僕もそう思ってたんですけど、
       実際見てみたら、ちゃんって呼ぶような外見じゃ

(,,゚Д゚)「……」

(;メx><)「はっ、い、いえ、ち、違うんです! あの、その、
       ワタちゃんからはぬこのように可愛い弟だって聞いててだから僕こんなに怖いとは思ってなかっ

(,,゚Д゚)「もういいよ。俺もお前のことおちんちんビローンのビロちゃんだと思ってたからいいよ」

∑(;メx><)「きゃあっ、いくら何でも卑猥なんです!」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:14:43.26 ID:IkFaJfw5O


心外なんですとでも言いたげな顔をしたビロードは、やがておずおずとギコに尋ねる。

(メx ><)「ところで、迷子ばっかってどういう意味なんですか?
       お恥ずかしい話、迷子になるのなんて僕くらいしか

(,,゚Д゚)「奴隷」

(メx ><)「……」

(メx ><)「は?」

(,,゚Д゚)「お前んとこの、奴隷」

(メx ><)「……!」



川 ゚ -゚)『勝手にいなくなってすまなかった。そして道に迷っていた』



ビロードの脳裏に、先日の台詞が蘇る。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:16:30.63 ID:IkFaJfw5O


(メx ><)「えぇと……」

(メx ><)「……道案内、して下さったんですか?」

(,,゚Д゚)「しぃが、な」

(メx ><)「……」

(メx ><)「クーさんは……」

(メx ><)「自分から、奴隷と?」

(,,-Д-)「いんや」

(,,゚Д゚)「悪いけど、聞こえてたんだよなぁ。お説教」

(メx ><)「!」

(,,゚Д゚)「しぃは見てねぇけどな。花摘みに行ってたから」

(メx ><)「それは……何とも可愛らしいんです」

(,,゚Д゚)「で、まぁ、その道案内のときに色々あってよ。あいつ、随分と腕の立つ奴隷なんだな」

(メx ><)「……」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:18:48.44 ID:IkFaJfw5O


一瞬目を伏せたビロードは、まっすぐとギコの顔を見て言う。

(メx ><)「クーさんは、剣闘士奴隷なんです」

剣闘士。見せ物としての戦いを行う者。

(,,゚Д゚)「へぇ? ナヌス家の剣闘士も奴隷だったとは、意外だな」

(メx ><)「昔から、奴隷なんです。それでも、今の当主様……ワカッテマス様が、
       いくら奴隷でも敗者の命を奪うのはやめにしたんです。そのせいで、そう見えたんでしょうけど」

(メx ><)「他にも色々と趣向を凝らしたりして、今までとやり方を変えたんです。
       そうしたら、物珍しさもあってか、国中で有名になったんです」

(,,゚Д゚)「ふーん。ワカッテマス様とやらは、奴隷にもお優しいってわけか」

(;メx><)「あ、あれは、スカルチノフ様の手前仕方なく……」

(,,゚Д゚)「そういう意味じゃねぇよ。奴隷が物なのは当然だしな」

(メx ><)「……」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:21:24.97 ID:IkFaJfw5O


(メx ><)「けど、ワカッテマス様は本当に……
       あんなこと、絶対にしたくなかった筈なんです。クーさんには、尚更……」

(メx ><)「……躊躇は、ありませんでしたけど……でもそれは、当主様になったからで」

(メx ><)「……」

(メx ><)「何でもないんです。僕、喋り過ぎちゃいました」

(,,゚Д゚)「……」

寂しそうに笑ったビロードの傷跡が、僅かに歪む。その内に、何かを思いついたのか、あ、と声をあげると

(メx ><)「ところで、ギコさんとしぃちゃんは、クーさんとお話してどうでした? 仲良くできました?」

言われて、あの店巡りを思い出したギコは、げんなりとしながら答える。

(,,゚Д゚)「……あー、うん。俺はともかく、しぃとはかなりはしゃいでた」

(メx ><)「!」

(* メx><)「はしゃいでたんですか! それはびっくりなんです!」

(,,゚Д゚)「あーもう、お前はいちいちうっせんだって」

∑(;メx><))「あいたっ」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:23:25.51 ID:IkFaJfw5O


叩かれたビロードが涙目で頭をさする。

(;メx。><)「ぼ、暴力反対なんです……」

(,,゚Д゚)、ペッ「知るか」

(,,゚Д゚)「……ま、話はこんなとこだな。あいつが剣闘士なら、あの強さも納得だ」

うんうんと頷くギコ。それを聞いて、ビロードは言う。

(メx ><)「そりゃあクーさんは強いんです。何たって、一番なんです」

(,,-Д-)「そうかそうか、一番か」

(,,-Д-)「……」



(,,゚Д゚)「……一番?」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:25:08.17 ID:IkFaJfw5O


(メx ><)「はい。うちじゃ、強さも人気も一番なんです」

(,,゚Д゚)「……へぇ」

一番、という言葉が琴線に触れたのか。

つ,゚Д゚)つガシッ

∑(;メx><)「ひっ!?」

ギコはビロードの両肩を掴むと、笑顔を浮かべ。

(,,^Д^)「ちょっと頼みたいことできた」

(;メx><)(ぎゃああああああ世にも邪悪な顔ってか何か洗脳されてるみたいなんですぅ!)





25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:26:52.32 ID:IkFaJfw5O




星灯りに照らされた石造りの街は実に静かで、夜も大分深まっていることを思わせる。
たまに浮かび上がる松明の火の側には、治安の為の兵士が立っていて、歩くギコをじろりと睨むが、
その隣にいるビロードを見ると、また何事もなかったかのように視線を戻す。

(;メx><)「でも本当、びっくりしたんです……いきなり送らせろだなんて……」

松明の前を通り過ぎると、ビロードは困惑した顔でギコを見る。
ギコの方は、護身用と言って持ってきたメイスの感触を確かめながら

(,,゚Д゚)「何、深い理由は全くねぇからな。いや本当」

(;メx><)(絶対何か企んでるんです……でも怖くて言えないんです)

うーんと腕を組んで悩むビロード。予想もつかなくて益々不安になる。



あの後、ビロードは

(;メx><)「お、お気持ちは嬉しいんですけど、遠慮しとくんですぅ!」

と言ってギコの申し入れを断ると、走って家の中に逃げ込んだ。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:28:39.32 ID:IkFaJfw5O


だがギコは、用を足して家に戻ると、サイコロを使って遊んでいるしぃとビロードの隣で、
グビグビと酒を飲んでいたワタナベに

(,,゚Д゚)「なぁ、俺あいつ帰るとき送ってった方がいいよな?」

と尋ね、

从'ー'从「珍しい~、どういう風の吹き回し~? でもよかったねビロちゃん」

ビロードを送る流れに持っていった。

(*゚ー゚)「よかったねビロちゃん!」

(;メx><)(よ、よくないんですぅ)

無邪気に微笑むしぃの横で、ビロードは泣きそうな顔をして頭を抱えていた。



(メx ><)「もう……ギコさんズルいんです」

未だ納得のいかない顔をするビロード。対してギコは、聞いていなかったような口振りで

(,,゚Д゚)「劇場過ぎたから、あのでかい屋敷か? お前ん家は。
    こっちの方はあんま来ねぇから、こんなん建ってたのなんか知らなかったわ」

(メx ><)「あ、劇場と一緒に作ったんです。滞在も長くなりますから」

(,,゚Д゚)「いいねぇ金持ちは」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:30:11.16 ID:IkFaJfw5O


話す内に、屋敷は目前へと迫り、その大きさにギコは改めて思う。

(,,゚Д゚)「……こんなでかい必要、あるのか? 別宅なんだろ?」

(メx ><)「剣闘士の鍛錬の場も含んでますから。本宅にある養成所の縮小版ですけど」

(,,゚Д゚)「鍛錬の場、ねぇ……」

(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)「勿論、今は誰も使ってねぇよな?」

(メx ><)「当たり前なんです、いくら何でも夜遅くまでは……」

(メx ><)「……」

(,,゚Д゚)「……」

(メx ><)「も、もしや家に入るつもり……なんですか?」

(゚Д゚,,)「ギコハハハ、いやいやまさか」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:31:58.05 ID:IkFaJfw5O


(;メx><)「な、何で目を背けるんですか!? 無理なんです! 変なことは考えないで欲しいんです!」

(,,゚Д゚)「だがちょっと待って欲しい」

(;メx><)「はいぃ?」

ギコはビロードの肩に軽く手を置くと、

(,,゚Д゚)「しぃの為だとしたらどうする?」

(メx ><)「え……」

(,,゚Д゚)「しぃがな、言うんだよ。クーちゃんどうしてるかなーまた会いたいなーって。というわけで俺が様子見に」

(メx ><)「し、しぃちゃん……そんなにまでクーさんのことを……」

(,,゚Д゚)(嘘は言ってない)

(メx ><)「……で、でも、駄目なんです。クーさんなら元気ですから、しぃちゃんにはそう

(,,-Д゚)ハッ「わかってねぇなぁ」

(メx ><)「……は?」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:33:19.44 ID:IkFaJfw5O


(,,゚Д゚)「いいか、しぃへは俺が伝えるんだぞ? その俺が、更に人伝で聞いてちゃ、リアル感でねぇだろ?」

(;メx><)「いや何言ってるんですかあなたは」

(,,゚Д゚)「だから、百聞は一見に如かず」

(;メx><)「う……」

(,,゚Д゚)「……」

(;メx><)「……」



(;メx><)「ちょ、ちょっとだけですよ……」

(,,゚Д゚)(こいつもアホだな)





32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:35:55.77 ID:IkFaJfw5O




こんこん、こんこん、と、控えめに扉を叩く音がクーの目を覚まさせた。

川 ゚ -゚)(何だ、こんな時間に……珍しい)

叩き方から外の人物の正体を理解したクーは、寝台から起きあがると小さく扉を開ける。

(メx ><)「えーと……起こしちゃいましたよね?」

案の定視界に入ったビロードの顔に向かい、クーは寝ぼけ眼を瞬かせて言う。

川 う -゚)「おかえりビロード。楽しかったか?」

(* メx><)「はい、楽しかったんです! 更にお友達が増えたんです!」

(メx ><)「……」

(メx ><)「クーさんも、知ってる子なんです」

川 う -゚)「!」

瞬間、眠気の消え失せたクーは、目を見開いてビロードに聞く。

川 ゚ -゚)「……元気だったか?」

(* メx><)「元気でした! 僕いっぱい遊びました!」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:37:24.70 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「そうか……元気ならいいんだ」

(メx ><)「……ただ」

川 ゚ -゚)「うん?」

ビロードは一瞬言い淀み。

(メx ><)「元気過ぎて、一人……ここまで来ちゃいました」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「は?」

(メx ><)「そのぅ、クーさんの様子をしぃちゃんに聞かせたいって。リアル感たっぷりに」

川 ゚ -゚)「……ギコか。意味がわからんな、バカかあいつは」

(メx ><)「ですよねー」

川 ゚ -゚)「しかし……こんな夜更けに私が外に出れるわけがないのは、君もよくわかっているだろう?」

(メx ><)「うーん……見つからなければ大丈夫だと思うんです」

川 ゚ -゚)「おいおい……私が逃げ出したらどうするんだ?」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:38:52.90 ID:IkFaJfw5O


(メx ><)「逃げ出すんですか?」

川 ゚ -゚)「そうだな、今夜は星が綺麗だからやめておくが」

(メx ><)「そうですか……」

ふぅと息を吐いたビロードは扉を更に開ける。

(メx ><)「パッと行ってパッと戻るんです」

川 ゚ -゚)「……まぁ、しぃの為だというなら」

部屋を出たクーは後ろ手に扉を閉める。と、ビロードは急に怪訝な顔をして。

(メx ><)「そういえばギコさん、変なこと言ってたんですよ」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:40:19.28 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「何だ?」

(メx ><)「クーさんが試合で使ってる武器、教えろって言うんです」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「……教えたのか」

(メx ><)「あ、はい」

川 ゚ -゚)「……いや、武器のことじゃないぞ」

(メx ><)「え? あ」

(;メx><)「……ごめんなさいなんです」

川 ゚ -゚)「謝る必要はないが……まぁ、別に構わんか」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:41:56.66 ID:IkFaJfw5O




(,,゚Д゚)「はん、ちょろいちょろい」

敷地の端にある鍛錬用の場所に、ビロードとクーが着けば。
柵に囲まれている固められた砂地の側で、ひっそりと建っている小屋から、
ギコが何かを手に持って出てきているところだった。

∑(;メx><)「きゃあっ、何やってるんですかちょっとぉ! そ、そこには鍵が

(,,゚Д゚)「おう、破った」

(;メx><)「ババババカァッ! 大人しく待ってて下さいって言ったじゃないですか!」

(#,゚Д゚)「ああ?」

川 ゚ -゚)「……」

こいつは泥棒を働きに来たのかと、片手で両目を覆って俯いたクーは、呆れたように言う。

川 ゚ -゚)「やはり面は職を表していたか」

その声を聞き、ギコはビロードの後ろにいたクーに目を向ける。

(,,゚Д゚)「よう久しぶり」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:44:04.08 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「久しぶり、ではない。まさか君が、しぃを出しに盗みを働きにくるとはな」

眉をひそめてギコを睨むクー。するとギコは、だってよー、と始め。

(,,゚Д゚)「一番って聞いたら、やりたくなるだろ」



川 ゚ -゚)「……」

(メx ><)「……」

(メx ><)「……は?」

川 ゚ -゚)「……君は一体、何を言っている?」

全く理解できないという表情で、クーとビロードは聞き返すが、ギコは気にも留めず独り言のように続ける。

(,,゚Д゚)「しょぼくれキンタマのせいで強いのとはやれねぇし、ババァ相手に武器は使えねぇし。
    そもそもしぃがいるから、この間みたいなのはともかく、陸じゃああんまり目立ったことはできねぇ。
    けど……」

(,,゚Д゚)「俺、一番って言葉に弱くてよ。
    これでも立場は二番でなんでな、一番って聞くと俺より強そうなイメージがするんだわ。
    それにもうすぐ、陸とは暫しのおさらばだからな。折角会えるなら、と」

川∩゚ -゚)∩「待て待て、ちょっと待て。ストップ」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:45:39.69 ID:IkFaJfw5O


そこまで聞いたクーは、両手をあげるとギコの話を中断する。

川 ゚ -゚)「話が、全く見えないんだが」

(;メx><)「同感なんです……」

するとギコは頭を掻いて、

(,,゚Д゚)「あー、いや、いいよ、わかんなくて。まぁ、何だ。とりあえず俺が言いたいのは」

ギコが、手に持っていた物をクーに向かって投げつける。

∑(;メx><)「うわぁっ」

川 ゚ -゚)「……!」

地面に放られたのは、両刃を持った幅広の刀剣が二本。

(,,゚Д゚)「お前と、戦ってみたい。互いに得物を持って、な」



川 ゚ -゚)「……」

(;メx><)「……」

地に落ちた剣を見つめたまま、二人は黙り込む。



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:46:58.19 ID:IkFaJfw5O


(,,゚Д゚)「……何だよ、何か言えよ」

その要求に、ゆっくりと顔をあげたビロードが応じた。

(メx ><)「……何を、考えてるんですか」

(,,゚Д゚)「あ? 何も考えてねぇよ? 俺頭悪ぃもん」

(メx ><)(自覚あったんですか……)

川 ゚ -゚)「……」

クーは黙って二本の刀剣を拾い上げると、そのまま小屋に向かって歩き出す。

川 ゚ -゚)「悪いが断る。私に君と戦う理由はない」

それを聞いて、ビロードも強気になる。

(;メx><)「そ……そうですよ! 勝手なことやられたら困るんです! 拘束されたいんですか!?」

だがギコは、ビロードの言葉には耳を向けず。

(,,゚Д゚)「理由? 理由があればやってくれんのか?」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:48:33.79 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「あったらな」

小屋の入り口付近まで来たクーは、付近に立つギコの脇を抜けようとする。

(,,゚Д゚)「だったら」

ギコは続ける。

(,,゚Д゚)「お前の欲しいもの。手に入れるの、手伝ってやろうか?」

言い終わる前に、クーの足が止まった。

川 ゚ -゚)「……何?」

(,,゚Д゚)「あの時教えちゃくれなかったが、大体見当はついてる。
    ……ま、これで間違ってたら恥ずかし過ぎて死ぬしかねぇんだけど」

破顔したギコとは対照的に、クーは決して表情を崩さない。

川 ゚ -゚)「……なら、勝手に死ぬがいい。きっと、間違っている」

(,,゚Д゚)「そうか。じゃ、遠慮なく答えさせて貰うぜ。勿論、聞かれるまでもなくFAだ」



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:49:47.73 ID:IkFaJfw5O


呟く。低く、小さな声で、ぼそりと。



(,,゚Д゚)「自由」



刹那、金属と金属が交差した。

(メx ><)「え……」

川 ゚ -゚)「……」

(,,゚Д゚)「……」

(;メx><)「な……ど、どうしたんですかクーさん!」

ギコの呟きが聞こえなかったビロードには、唐突に、クーが理由もなく心変わりしたように見えた。
瞬時に片足を下げたクーが、右手の剣を上げて振り下ろすと、
いつの間に手にしたのか、ギコはメイスの柄で刃を止めていたのだ。

左の剣はそのままに、クーは言う。

川 ゚ -゚)「正解の、褒美だ」

(,,゚Д゚)「そりゃありがとよ」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:51:25.82 ID:IkFaJfw5O


剣を戻し、数歩退いたクーは、構え直すと冷めた声色で告げる。

川 ゚ -゚)「だが二度と口にするなよ。私は、手に入れないことを選んでいるのだから。
     君如きの手伝いなど、犬に食わせる価値もないんだ」

(,,゚Д゚)「ほう? 聞かれちゃマズいってか?」

川 ゚ -゚)「……」

その言葉に、ビロードが反応する。

(;メx><)「ど……どういうことですか。一体、何を言われたんですか!?」

川 ゚ -゚)「気にするな。くだらなさすぎて聞かせたくないだけだ」

(;メx><)「そんな……」

戸惑うビロード、その様子にギコは思いつく。

(,,゚Д゚)「ならよ、お前は力ずくで俺の口を塞げ。そうすれば、聞かれることもない」

川 ゚ -゚)「……君という奴は」

横目で、ビロードをちらりと見る。知られてはいけない。知られたくない。伝わって欲しくない。

川 ゚ -゚)「……いいだろう。死なない程度に相手をしてあげようじゃないか」

(,,゚Д゚)「嬉しいね。そら、こいつも悲鳴をあげてやがる。やっと、強い奴の肉が砕けるってな」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:53:18.08 ID:IkFaJfw5O


睨み合う二人。離れたところでは、ビロードがただ立ち尽くしている。

(;メx><)「は……早まっちゃ駄目なんです……今、人を呼びますから」

川 ゚ -゚)「よせ、騒ぎにしたくない。むしろ、人が来ないよう見張っていて欲しい」

(;メx><)「う……」

一歩、二歩と後ずさったビロードは、それでも言われた通りに見張りに徹し始める。

川 ゚ -゚)「ありがとう、ビロード」

目前の相手から目を離すことなく言ったクーに、ギコは笑いかけた。

(,,゚Д゚)「優しいのな、そいつ」

川 ゚ -゚)「あぁ、だから一番好かれてるよ」

(,,゚Д゚)「はっ、一番好かれるのはウザそうなだけだな」

川 ゚ -゚)「素直な好意をぶつけられる。素晴らしいことじゃないか」

ふっ、と笑うと、身を低くしたクーは呟く。

川 ゚ -゚)「こんな風に、な」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:54:34.54 ID:IkFaJfw5O


疾走。両の手に剣を携えたクーは、数回地面を蹴ってすぐさまギコの元に辿り着く。

(,,゚Д゚)「おっと」

踏み込み止まると、勢いをそのままに振りかぶった対の刃を落としたが、
両手で構えられたメイスの柄によって再び防がれる。

川 ゚ -゚)「……硬いな」

(,,゚Д゚)「異国のもんだ。羨ましいか?」

川 ゚ -゚)「ちっとも」

右は留めたまま左の剣を離すと、後ろに下げ突き刺す。
そのとき均衡を崩されたメイスは、だが右の剣を支点に傾けられ、迫る左の剣を叩くとその軌道を逸らす。

川 ゚ -゚)「ちっ」

メイスから離れた右の剣を振るう。衣服を掠っただけだった。

(,,゚Д゚)「あっぶね」

そうして後方に跳んだギコの、ブンブンと振られたメイスに対し、クーは心底不思議そうに尋ねる。

川 ゚ -゚)「しかし、君は何故それを使うんだ? 蛮族の象徴とまで言われ、この国では全く使われないその武器を」

(,,゚Д゚)「だからこそ、だ」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:56:44.90 ID:IkFaJfw5O


答えたギコは、最後に大きくメイスを振るうと、クーに向かって突きつける。

(,,゚Д゚)「蛮族。いいねぇ。こちとら海の荒くれ者って呼ばれてんだ、まさにうってつけじゃねぇか」

川 ゚ -゚)「!」

川 ゚ -゚)「なるほど、話には聞いたことがあるぞ。海賊というやつだな。
     ……奪ってそうだという私のカンは見事当たっていたわけなんだが、褒美は貰えるのかな?」

(,,゚Д゚)「すぐにくれてやるよ。けど、俺たちゃ何も船襲って奪うだけじゃねぇ。たまーに交易もするし」

(,,゚Д゚)「海の女神はどんな男にも優しく微笑みかけ、自由を与える。
    ま、その甘い面のせいで狂気にも走らされるがな」

(,,゚Д゚)「ついでに煩い船長もいれば面倒な決まりもある。それでも、力さえあれば好きなように生きられる」

(,,゚Д゚)「……どうだ、なりたくなってきたか?」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「は?」

予想外の言葉に、クーは呆然とする。

(,,゚Д゚)「いや、何となく思ったことなんだけどよ。海賊なりゃいいのにってか、お前がいたら便利そうだな、と」

川 ゚ -゚)「……誘ってるのか? 私を?」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 02:58:18.59 ID:IkFaJfw5O


(,,゚Д゚)「おう。何なら、お前のお友達でもいいけどな。腕があるなら」

川 ゚ -゚)「……」



川 ゚ -゚)「ふっ」

小さく漏らす。

川 ゚ -゚)「残念だが、海の女神は私を祝福しない」

走り、踏み込み、再度の刺突。
鋭い先端が同じ動きで二点を狙うが、すんでにかわしたギコが、横合いからメイスの頭部で刀身を弾くと、
体勢を僅かに崩され、その背を上にあがったメイスに狙われる。

察知したクーは強引に腕を振るい、メイスの前で対の剣を交差させると打撃を防ぐ。
だがその衝撃で後方にぐらついてしまい、踏ん張ったものの姿勢は不安定になった。

両者、力で押し合う。

(,,゚Д゚)「……おいおい。断言するってこたぁ、何か嫌われるようなことでもしたのか?」

クーの返答はない。答えなきもまた答えとしたギコは、突然力を緩める。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:01:03.45 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「!」

交差させた剣で押し上げられたメイスは、途端小さく半円を描き、クーの脇腹に叩き込まれた。

川 ゚ -゚))「ぐっ」

すぐに両腕を広げたクーは、ギコの斜め前から上下にずらした剣を再び交差させる。

(;,゚Д゚))「いっ」

鋭い切っ先が頬を、そこそこ切れ味のある刃が腕から胸にかけてを抉り、ギコは飛び退く。
完全に体勢を崩されたクーは腕を下敷きにして地面に倒れ込むが、
剣を支えにすぐさま起き上がると脇腹を押さえ、口内に湧いたものを吐き出した。

川 ゚┌゚)「傷が二箇所……私の方が優勢かな?」

(メ,,゚Д゚)「涎垂らして言う台詞か」

言われてクーは口を拭い、ギコもまた頬を拭う。

(メ,,゚Д゚)「へっ……しかし楽しいな」

川 ゚ -゚)「私は楽しくない」

(メ,,゚Д゚)「俺が楽しけりゃいいんだ」

川 ゚ -゚)「我が儘な男だ……さぞかしモテないんだろうな」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:03:47.13 ID:IkFaJfw5O


(メ,,゚Д゚)「ほっとけ。大体女なんて皆……あぁもう、何でもねぇ!」

今頃家で呑気に酒でも飲んでるであろうトラウマ要因をうっかり思い浮かべてしまい、
高揚していたギコの気分が少し悪くなる。

(メ;,゚Д゚)「と、とにかく、次行くぞ次ぃ∑(;メx><)「ほあああっ!?」



∑(メ;,゚Д゚)「!?」

∑川 ゚ -゚)「!?」

気を取り直したギコが再開の合図を出しかけたところで、突然ビロードが間の抜けた奇声を発した。

(メ;,゚Д゚)「な、何だよ! 今いい所だったのに!」

川 ゚ -゚)「どうしたビロード……幽霊でも見たか?」

(;メx><)「幽霊よりマズいんですぅ!」

振り返り、泡を食っているビロードの後方で、一瞬炎が揺らめく。

(メ,,゚Д゚)「ありゃ……バレたかもしや」

川 ゚ -゚)「……君が調子に乗るからだぞ」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:05:18.12 ID:IkFaJfw5O


じとりと睨んでギコを非難したのも束の間。

(;メx><)「二人とも隠れるんです!」

と言って走って来たビロードに、グイグイと小屋の方へ押されるギコとクー。

(メ;,゚Д゚)「ちょ、おま、バカ押すなゴルァ!」

川 ゚ -゚)「ビ、ビロード、わかったから……」

やがて二人は、小屋の中に仲良く押し込められた。



「……ん? ビロードか?」

∑(;メx><)「ふ、ふあいっ!」

話しかけられたビロードは慌てて小屋を背にする。
目の前には、松明の灯りと二人の見張り。

「こんなところで何してたんだ? 何か騒がしい気がしたから来てみたんだが……」

「で、でもよかった……幽霊じゃなかった……」

(;メx><)「あの、その、僕、その……」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:06:39.72 ID:IkFaJfw5O


(メx ><)「……」

(メx ><)「ゆ、夢の中で散歩してたら、いつの間にかここに……」

「……」

「……」

(メx ><)「……」

「……あ、そう」

(;メx><)(な、納得されるのもある意味困るんです)

それでも助かったと、ほっと息をつくビロード。



「……いや、嘘だな」

∑(;メx><)「えぇっ!?」

これは予想外と勢いよく顔を上げる。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:08:51.59 ID:IkFaJfw5O


(;メx><)「う、嘘じゃないんです!」

「俺にはわかるぞビロード……後ろの小屋だな」

(;メx><)(ひぎぃっ! らめぇっ!)

「ふふ……いい子だ……」



[*'A`]「……まぁ、今日はもう眠いしシコる元気ないからいいけど、明日絶対見せろよ。
    見せられないようなもん、なんだろ? フヒヒ……」

「……」

(メx ><)「……」

(メx ><)(誰これ何このパチモン)

∑(;メx><)「はっ、何ですか今の気持ちは!?」

こうして、危機は去った。

(メx ><)(……いいのかなぁ)



川 ゚ -゚)「よくない。全然よくない」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:10:36.36 ID:IkFaJfw5O


(メ;,゚Д゚)「何だよ突然……」

狭く真っ暗な小屋の中であぐらをかき、脱いだ衣服を使って止血をしていたギコは、大口を開けて欠伸をする。

(メ,,゚Д゚)「あーあ、すっかり萎えちまった。こうなるともう一刻も早く帰って寝たい」

川 ゚ -゚)「君という奴は勝手に来て喧嘩を売っといて……安心しろ、すぐにその尻叩いて追い出してやる」

(メ,,゚Д゚)「そりゃ有り難い……あー、傷がズキズキする」

川 ゚ -゚)「全く情けないな……」

(メ,,゚Д゚)「何だよ……お前はもう腹痛まねぇのかよ」

川 ゚ -゚)「腹痛には慣れてるからな。痛んでも一々反応はしない」

(メ,,゚Д゚)「あ、そう……」

川 ゚ -゚)「……」

(メ,,゚Д゚)「……」

川 ゚ -゚)「そういえば、君。陸とは暫しの別れとか言ってたな」

(メ,,゚Д゚)「おう、もうすぐ船に戻るんでな」



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:12:32.52 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「乗ったら長いのか?」

(メ,,゚Д゚)「そうだな……できれば、お前んとこの剣闘士競技が開催されるまでに戻りたいが。見たことねぇからな」

川 ゚ -゚)「そんなに面白いもんじゃないと思うんだが」

(メ,,゚Д゚)「んなの見てから俺が判断するから」

川 ゚ -゚)「そうか」

(メ,,゚Д゚)「……」

川 ゚ -゚)「……」

(メ,,゚Д゚)「……決着」

川 ゚ -゚)「ん?」

(メ,,゚Д゚)「いつ、つけようかね?」

川 ゚ -゚)「私は別につけなくていい」

(メ#,゚Д゚)「ああ? まだちょっとしかやってねぇじゃねぇか!」

川 ゚ -゚)「あれで十分だろ……」

(メ;,゚Д゚)「くっ……ケチな男はモテねぇぞ」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:15:25.22 ID:IkFaJfw5O


川 ゚ -゚)「そうか」

(メ;,゚Д゚)「……と、とにかく俺はつけるからな、絶対お前と決着つけるからな!」

川 ゚ -゚)「はいはい、いつかな」

この駄目人間に対し呆れたのは本日何回目だろうかと思っていると、ようやく眼前の扉が開かれる。

(メx ><)「お待たせなんです。さ、ギコさんはとっとと帰るんです。
       もう来ちゃ駄目ですよ、今度家の近くで見かけたら容赦なく捕まえるんです」

(,,-Д-)「……わーったわーった。じゃ、迷惑かけたな」

立ち上がり後頭部で両手を組んだギコは、先に歩き出したビロードに付いていき、だが不意に足を止めると

(Д゚,, )「……悪かったな。お前の触れちゃいけねぇもん、触れちゃってよ」

川 ゚ -゚)「……」

(Д゚,, )「ま、結局付き合って貰ったし、万が一必要になったらマジで手伝ってやるよ。
    犬に食わせる価値もねぇらしいけどな、ギコハハハ」

冗談っぽく笑ったギコは、再び歩くと今度こそクーの前から姿を消した。残されたクーは、

川 ゚ -゚)「全く、傍迷惑な奴だった」

とため息を吐いてから、自室へと帰っていった。




60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:16:51.50 ID:IkFaJfw5O




小雨の降る昼過ぎ。ワカッテマスがロマネスクの屋敷を訪れると、彼は暗い顔をして出迎えてくれた。

( ФωФ)「……やぁ、ワカッテマス」

( <●><●>)「ロマネスク様。何かあったのですか?」

( ФωФ)「いや、何。大したことではないのだが……」

そう言ってため息を吐いたロマネスクは、天井を見上げて話し始める。

( ФωФ)「我が輩の、北東に送っていた軍が、山越えの際落石で足止めさせられた。
       大規模な落石だったらしく、結構な人数がやられたそうだ」

( <●><●>)「それは……お気の毒です」

( ФωФ)「とりあえず、軍を二分して、一つは落石の除去、もう一つは別ルートで帰還させることにしたが……
       全くついとらん。兵の補充も安くはないというのに」

( ФωФ)「だが……本当に憂鬱なのは……」

( <●><●>)「……?」

言い淀んだロマネスクを不思議に思ってると、突然、聞いたことのある大声がワカッテマスの耳を擘いた。

( ・∀・)「うっさいなー、お前には関係ないだろー」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:19:02.50 ID:IkFaJfw5O


ζ(゚ー゚;ζ「関係あります! どうしてお兄様はいつも……」

∑ζ(゚ー゚;ζ「……! ワ、ワカッテマス様……いらしてたのですね」

( ・∀・)「……む」

( <●><●>)「お邪魔しております。モララー様、デレ様」

奥から現れたのは、ロマネスクの子で、兄妹のモララーとデレ。
一方は頬を赤く染めながら照れており、もう一方は不機嫌そうに眉をひそめている。

( ・∀・)「やぁワカッテマス、久しぶり。俺がいない間元気してた?」

( <●><●>)「お陰様で」

( ・∀・)チッ「そりゃ残念」

ζ(゚ー゚;ζ「お兄様!」

(#ФωФ)「全く……この馬鹿息子は……」

ずかずかと大股で歩いたロマネスクは、モララーの頭を思い切り叩く。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:21:50.83 ID:IkFaJfw5O


∑(;・∀・))「あたっ! 何すんだよ親父!」

(#ФωФ)「貴様はワカッテマスに失礼な態度を取れる立場ではないであろう!
       散々迷惑をかけておいて、未だに反省しとらんのか!」

( ・∀・)「ふん、スミマセンデシタワカッテマスサマーァ」

ζ(゚ー゚;ζ「ご、ごめんなさいごめんなさい、ワカッテマス様」

( <●><●>)「いいんです、気にしてません」

( ・∀・)「ちったぁ気にしろ鉄仮面」

(#ФωФ)「貴様はまた!」

∑(#・∀・))「いでっ! だからやめろよクソ親父! バカッ!」

(#ФωФ)「……! 出てけ! 我が輩の視界から消え失せろ!」

(#・∀・)「言われなくとも出ていくさ! 丁度外出するところだったんでね!」

最後に大きな舌打ちを残し、近くにいたワカッテマスに肩をぶつけたモララーは、荒々しい音を立てながら出て行った。

( ФωФ)「全く……本当困った奴だ……帰ってきてから、余計に馬鹿さ加減が増しておる」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:23:01.96 ID:IkFaJfw5O


ζ(゚ー゚*ζ「……お兄様が、雨の日に外に出るなんて」

( ФωФ)「ふん、外出する気なんぞ最初からなかったのはバレバレだ」

鼻を鳴らし、忌々しげな目でモララーを見送ったロマネスクはワカッテマスに向き直り、頭を下げる。

( ФωФ)「いつもすまんな、ワカッテマス……」

( <●><●>)「頭をお上げ下さいロマネスク様。あなたの責任でないのはわかってます」

( ФωФ)「いや、我が輩のせいである。我が輩の躾が足りんかったから、あのような愚か者に……」

ζ(゚ー゚*ζ「お父様……お兄様を、そんなに悪く言わないで。本当は、お優しいお兄様なんですから」

( ФωФ)「デレ……お前は本当に、母さんに似て優しいな……」

( ФωФ)「嗚呼、ワカッテマス……君が我が輩の息子だったら……」

( <●><●>)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」





64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:24:44.37 ID:IkFaJfw5O




( ・∀・)「ふん……親父もデレも、ワカッテマスワカッテマス……」

勢いで外に飛び出したモララーは、小雨に濡れながら屋敷の裏で壁にもたれていた。
濡れた衣服の感触も、今は全く気にならない。

( ・∀・)「あんな奴のどこがいいんだ。目がデカすぎて気持ち悪いじゃんか」

( ・∀・)「頭だって……剣だって……」

( ・∀・)「俺が本気出したら、楽勝なんだかんな!」

( ・∀・)「……」

( ・∀・)「くっそー」

やり場のない怒りを抱え込んだモララーは、しゃがみ込むと瞼を閉じて天を仰いだ。
ぽつぽつと、雨が顔に当たって流れる。



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/24(日) 03:25:31.05 ID:IkFaJfw5O


( -∀-)「……」

( -∀-)「見てろよ親父……ワカッテマス……」

( -∀-)「お前らなんか、海賊の力を借りれば……」

( -∀-)「……」

( -∀-)「でも、俺は一体何をすればいいんだよ……ショボンさん……」






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