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川 ゚ -゚)奴隷と海賊のようです(゚Д゚,,)  2スレ目

1スレ目はこちら

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:35:47.67 ID:/KAX4JeKO


あらすじ

娘のしぃと一緒に街へ遊びに行ったギコは、偶然誰かが襲われているのを目撃。
しぃに頼まれ仕方なく助けると、クーと名乗る人物は言った。

川 ゚ -゚)「私は男だ」



川 'A`)「実はアタシも男なんだ☆」

(,,゚Д゚)「死ね」

川 ゚ -゚)「死ね」

(,,゚Д゚)「お前が言うな」

その1
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1219115427/

DAT落ち変換機ってPCでも使えるよね?


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:38:06.72 ID:/KAX4JeKO




点々と店が並ぶ石畳の通りを、三人はゆっくりと歩いていた。

(*゚ー゚)「見て見てクーちゃん、これ綺麗だよねー」

川 ゚ -゚)「これは見事だ。一体何をどうやったらこんな模様になるのだろうか」

(,,゚Д゚)「……」

ギコとしてはもう少し速く歩きたいのだが、次々と店に寄っていくしぃがそれを許さなかった。
つぶらな瞳をきらきらと輝かせるしぃ。そんな彼女に向かって、ギコは控え目に話しかける。

(,,゚Д゚)「しぃさんしぃさん、劇の上演時間が過ぎているのですが。日の傾き的に」

(*゚ー゚)「後もうちょっとー。あ、ほらほらクーちゃん今度はこのお店ー!」

(,,゚Д゚)「ダメだこりゃ」

左の手のひらに頭を乗せ、はぁーと息を吐いたギコは、そのままじろりとクーを見る。

(,,゚Д゚)「お前急いでるんじゃなかったのかよ……」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:40:45.00 ID:/KAX4JeKO


先程しぃが道案内を提案した後、クーは新しくできた劇場より更に奥の、
街を囲む塀側の方に行きたいと言い、同時に

川 ゚ -゚)「一刻も早く帰らないとマズい。大変なことになるんだ」

と、確かに言ったのだ。
だが、しぃが店に寄る度に

川 ゚ -゚)「ちょっとだけだぞしぃ、本当に急いでいるんだ」

川 ゚ -゚)「だから駄目だって。確かにそれ凄いけど急いでるんだって」

川 ゚ -゚)「しぃ、いい加減に……いや待て、それだけ貸して見せてくれ」

川 ゚ -゚)「何という精巧さ……このような技術が世に存在しているとは……だがこちらもなかなか」

川 ゚ -゚)「ところで見てくれ、こいつをどう思う?」

(*゚ー゚)「すごく……ぬこちゃんです……」

(;,゚Д゚)(うわあああぁぁぁAA略)

とんだ田舎者を捕まえてしまったと、ギコの頭がズキリと痛む。
店に並んだ品物のほとんどに一々感動されては、日が暮れても目的地に辿り着けない。

ギコはクーの肩をつついて、しぃに悟られぬよう小声で話しかけた。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:43:17.63 ID:/KAX4JeKO


(,,゚Д゚)「おい、大変なことになるんじゃなかったのかよ」

川 ゚ -゚)「なる。なるんだが……でもちょっとだけなら」

(,,゚Д゚)「自分に甘い奴め」

川 ゚ -゚)「……ならば君もしぃに言えばいいだろう。寄り道するなと」

(;,゚Д゚)「うぐぅ」

痛いところを突かれ、ギコは一歩後ずさる。そんなギコを放置して、クーは再びしぃの側へ。

川 ゚ -゚)「なぁ、しぃ。君はずっと見ているだけだが、欲しい物はないのか?」

するとしぃは首を傾げて

(*゚ー゚)「え、見ているだけがいいんだよ?」

と返す。

川 ゚ -゚)「……?」

しぃの言葉を上手く理解できなかったクーは、腕を組んで考える。その様子に、しぃは小さく笑った。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:46:16.91 ID:/KAX4JeKO


(*゚ー゚)「あのね、手に入れちゃったら飽きちゃうかも知れないでしょ?
     だから、たまにこうして見るだけでいいんだよ」

川 ゚ -゚)「……!」

(,,゚Д゚)「また懐かしい言葉を……お前それ騙されてんだぞ」

(*゚ー゚)「騙されてないよ! 私初めてワタちゃんから聞いたとき、本当にその通りだと思ったもん!」

(,,゚Д゚)「いや、俺は見た。昔それ言ってしばらくした後『子供ってちょろ~い』と吐いていたのを」

(;゚ー゚)「嘘だーっ!」

川 ゚ -゚)「……」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ親子をよそに、クーは一人俯く。

川 ゚ -゚)「たまに見るだけがいい……なるほどな」

(,,゚Д゚)「ん……?」

ぼそりとクーの口から発せられた呟きは、しぃには聞こえていなかった。
ギコだけが、か細い声に耳を澄ませている。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:52:54.48 ID:/KAX4JeKO


川 ゚ -゚)「激しく焦がれ求めた末に手に入れたとしても……裏切り犠牲を払ったとしても……
     その時本当に、それ程の価値を感じられているのだろうか」

(,,゚Д゚)「……」

無表情だというのに、その顔が余りにも暗く感じたギコは、クーのもとに向かうとその背を勢いよく叩く。

川 ゚ -゚)「む」

(,,゚Д゚)「何だお前、天下でも狙ってんのか? それとも女か、んー?」

川 ゚ -゚)「違う。君には関係ない」

(,,゚Д゚)「おう、俺だってどうでもいい」

川 ゚ -゚)「なら聞くな」

ふいと顔を背けたクーは、真っ直ぐ続く道を早足で歩く。
今度こそ脇に目もくれなくなったクーの姿に、
今までとは違う気配を感じたのか、しぃも早足でクーの後に付いていく。



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:55:12.48 ID:/KAX4JeKO


(*゚ー゚)「でも、でも、しぃね、ギコちゃんからのお土産は絶対飽きないんだよ!
     ギコちゃんのお土産いっつもすっごくってね、綺麗なのとか面白いのとか……
     お部屋の奥に大事にしまってるから、今度クーちゃんにも見せてあげるね」

川 ゚ -゚)「へぇ、そんなにすごいのか」

(*゚ー゚)「うん!」

川 ゚ -゚)(……土産、か。懐かしい響きだ)

クーはそっと、胸の辺りに手をやり、きゅっと握る。すると、ふと疑問が湧いてきた。



川 ゚ -゚)「……ん? 土産? 仕事帰りのか?」

(*゚ー゚)「そうだよ?」

川 ゚ -゚)「……そう言えば、ギコ。君こそ一体何をしているんだ?
     そこら辺にいる農民、という感じには見えないが?」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 23:58:21.05 ID:/KAX4JeKO


振り返ったクーが突然そんなことを言い出したので、頭を掻いたギコはあーと唸ると、

(,,゚Д゚)「……いや、俺は本当にただの農み

(*゚ー゚)「商人だよ!」

(,,゚Д゚)「……」

/(,,゚Д゚)\(あっちゃー)

川 ゚ -゚)「……商、人? 君がか?」

商人と聞いた瞬間、思いっきり疑わしそうな目を向けてきたクーから、思いっきり目を背けるギコ。
即座にクーは察知する。やはり嘘か、と。

川 ゚ -゚)「これは驚いた。むしろ商人から奪ってそうな顔なのにな」

(,,゚Д゚)(この野郎……)

胸を張って言えないような仕事をしているとわかってて言ったクーに、
ギコは半ば恨めしそうな目を向ける。

そのとき、しぃが一言。

(*゚ー゚)「クーちゃんそれ可哀想だから言っちゃダメ!」

∑(;,゚Д゚)「しぃぃぃっ」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:02:35.80 ID:rWhKZKvLO



(;メx><)「あうううぅぅぅううう」

( <●><●>)「……」

(;メx><)「うえええぇぇぇえええ」

( <●><●>)「ビロード……いい加減奇声を発するのをやめなさい」

(;メx><)「だ、だ、だってぇ」

もじもじと指をすり合わせるのは、従者の装いに身を包んだ青年ビロード。
ワカッテマスの顔を何度も見上げては、大小傷跡が目立つ顔に多量の汗を浮かべる。

(;メx><)「決して目を離すなって言われてたのに……僕、見つけられなかったんです……」

街中を駆けずり回って探した挙げ句、ついに発見することができなかったビロードが、
もしかしたらもう家に戻ってるんじゃないのかと、淡い期待を胸に抱いて帰ってみれば、
その途中では仕えている主人が、塀に背を預け腕組みをして待っていたのだ。

( <●><●>)「わかってます。それでも、見つかるまで探すしかないでしょう。早くしないと

「おやワカッテマス様。今お帰りかな」

(メx ><)「!」

( <●><●>)「……」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:04:30.18 ID:rWhKZKvLO


横合いから、ゆったりとした老人の声がしたかと思うと、ワカッテマスは重々しい動作で振り向いた。

( <●><●>)「スカルチノフさん。お身体の具合はもうよろしいのですか?」

/ ,' 3「ほっほっほ。ほーれこの通り、すっかりよくなったわ。優秀なマッサージ師のおかげで、な」

(メx ><)(……いい加減、日の明るいうちから若い女の子と遊ぶのやめて欲しいんです)

地に杖についた老人スカルチノフが現れた途端、
背筋を伸ばして直立したビロードが、こっそりと冷めた視線を送る。
そんなビロードには目もくれず、スカルチノフは上機嫌で口を開く。

/ ,' 3「それで? ロマネスク様のお屋敷に向かったのじゃろう? デレ様のご様子はどうだったかの」

( <●><●>)「いつもと変わらず、お元気でした」

/ ,' 3「それはそれは。あの方は、見てるこっちが恥ずかしくなるほど
    ワカッテマス様にお熱じゃからな、ほっほっほ」

( <●><●>)「……」

/ ,' 3「もうそろそろ婚姻するのじゃろう?
    家の者は皆待ちくたびれて、長く伸ばし過ぎた首が折れそうなんでのう」

( <●><●>)「とりあえず、競技が終わるまでは」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:06:11.93 ID:rWhKZKvLO


/ ,' 3「そうじゃのう、落ち着いてからの方がデレ様にとっても都合がよかろう。
    いやしかし、我がナヌス家があの旧家と繋がりを持てるとは、今でもまだ夢のように思えるわ」

( <●><●>)「……」

(;メx><)「……」

本人の意志が大事だからと、ロマネスクがいくらワカッテマスの明確な返答を待っていようが、
それが家の総意である以上、ワカッテマスはいずれ必ずデレと結婚しなければならなかった。
拒み、先延ばしにするのは、本当に無意味なことなのである。

/ ,' 3「ま、それはともかく」

スカルチノフは、突然話を変えると、盛大なため息を惜しみもなく吐き出した。

/ ,' 3「あの新しい奴隷……またやらかしたんじゃが」

( <●><●>)「……やらかした?」

ぴく、と眉を動かして反応したワカッテマスは、じっとスカルチノフの細い目を見つめる。

( <●><●>)「……ブーンが、一体何をやらかしたと?」

/ ,' 3「……聞かずとも、わかっとるじゃろう?」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:07:45.93 ID:rWhKZKvLO


( <●><●>)「まぁ……予想はつきます」

/ ,' 3「大変じゃったよ、見境なく噛みついたらしくて。その場にいなくてよかったのうビロード」

(メx ><)「は、はいなんです……」

戸惑った声色で返事をするビロードをちらりと見て、
やはりビロードは置いてくるべきであったかとワカッテマスは思う。
無論、噛みつかせる為ではないし、ビロードには噛みつかないという確信を持った上で。

だがそうなると、連れ出すことができなかった。

/ ,' 3「どうしたのじゃワカッテマス様?」

( <●><●>)「いえ何も」

/ ,' 3「ふむ……とにかくブーンは鎖に繋いでおいたが、また厄介事を起こすに違いない」

( <●><●>)「しかし、力は確かです」

/ ,' 3「わかっとる。奴は今期の目玉じゃ。あのような逸材を探し当てたワカッテマス様は素晴らしい。
    しかし、きちんと手懐けられなければ意味がない。じゃから、な?」

( <●><●>)「……更に、厳しくしろと?」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:09:59.83 ID:rWhKZKvLO


/ ,' 3「そうじゃ。いや、それどころか、全てのやり方を先代の頃に戻すべきじゃ。
    やはり、ワカッテマス様は甘過ぎたのじゃよ。綺麗事だけでは上手くいかん。
    奴らは人ではないのじゃから、肉から骨まで余すところなく締め付けておかねばならん」

( <●><●>)「しかし、

/ ,' 3「それに、ほれ。一番従順なのは、先代がいた頃から厳しく躾られた奴じゃろう?」

(メx ><)「……!」

/ ,' 3「いいかのう、ワカッテマス様。儂だけじゃない。
    ワカッテマス様の新しいやり方に、少なからず不満を抱いておるのは。あぁいやいや、不満はあっても、
    儂はワカッテマス様の決めたことなら何でも従うつもりじゃ。当主様、じゃからのう」

/ ,' 3「じゃがな、年寄りの意見は、時に何よりも大事なこととなる……わかっているな、青二才」

( <●><●>)「……わかって、ます」

無表情で答えるワカッテマス、その背を見つめて泣きそうな顔を浮かべるビロード。

(メx ><)「……」



(メx ><)(いつも……ごめんなさいなんです……)



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:12:38.73 ID:rWhKZKvLO


当主として最高の権限を持っているとはいえ、所詮は傀儡。
ワカッテマスの知るところ知らないところで、事は家にとって都合のいいように変えられていく。

重苦しい空気が辺りに漂う。すると突然、スカルチノフの高笑いが響いた。

/ ,' 3「ほっほっほ、いやいやスマン! 今のは軽いジョークじゃ!
    全く年は取りたくないのう、こうして若い者をいじめるのが老人の生きがいなんじゃから」

( <●><●>)「ええ、もう少しお手柔らかにお願いしたいものです」

(メx ><)「……」

笑いあう二人の姿が、ビロードの瞳には薄ら寒いものとして映った。

(メx ><)(もう……スカルチノフさん早くいなくなって欲しいんです……)

どこかに救いの神――スカルチノフの興味を惹きそうな若い娘――はいないものかと、
冗談混じりにビロードは辺りを見回す。

(メx ><)「……」



(メx ><)「!」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:14:23.59 ID:rWhKZKvLO


(;メx ><)(きゃあああぁぁぁあああ!?)

甲高い叫びを、よく口から出さなかったな、と、自分でも驚いたビロードは、
一度落ち着き、見つからぬようそろりそろりと場を抜け出す。

/ ,' 3「……ん?」

だが、スカルチノフは見逃さなかった。

/ ,' 3「何じゃビロードの奴……」

( <●><●>)「……?」





25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:15:59.05 ID:rWhKZKvLO




劇場を少し過ぎ、角を曲がる手間のところで、クーは突如振り返り頭を下げた。

川 ゚ -゚)「ここまで来れば大丈夫だ。本当にありがとう、二人とも」

それを聞いたしぃが

(*゚ー゚)「えー、もうお別れ? 寂しいなぁ」

と、唇を尖らせむーと唸る。その頭を、クーが優しく撫でた。

川 ゚ -゚)「楽しかったぞ、しぃ。こんなに楽しい日は実に久しぶりだった。」

(*゚ー゚)「本当? 私もスッゴく楽しかったよ! また遊ぼうね!」

すぐに口角を上げて、にこりと笑ったしぃは、小さな手を差し出す。
その手を握って別れの挨拶としたクーは、今度はギコの方を見て、

川 ゚ -゚)「君も実に面白かったよ。こんなに小さなしぃに頭が上がらないんだからな」

(,,゚Д゚)「ほっとけ」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:17:39.61 ID:rWhKZKvLO


けっ、と明後日の方向を向いたギコは、早く行けとばかりにしっ、しっ、と手で払う。

(*゚ー゚)「もう、ギコちゃんたら」

川 ゚ -゚)「いいんだ、しぃ。じゃあな」

手を挙げたクーは、一人道を進んで行った。その背中に向かってしぃは、

(*゚ー゚)「バイバーイ!」

と手を振り続ける。



(,,゚Д゚)「……それにしても、変な奴だった」

(*゚ー゚)「変じゃないよ!」

(,,゚Д゚)「へいへい……で、どうする? 劇も見れなくなっちまったし、今日はもう帰るか?」

(*゚ー゚)「そうだねぇ……お店もいっぱい見ちゃったしなぁ」

元来た道を二人は辿る。するとしぃが、唐突に

(*゚ー゚)「あ」

と漏らし、ふるりと震えた。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:19:53.93 ID:rWhKZKvLO


(*゚ー゚)「……ギコちゃん」

(,,゚Д゚)「ん?」

(*゚ー゚)「お花を摘みに行ってきます」

(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)「……あぁ、うん」

しかし、入るところを見られては、その文句はあまり意味をなさない。
ギコは、ワタナベの顔を思い浮かべ、また変なことを吹き込みやがってと吐き、公衆トイレに入るしぃを見送った。

(,,゚Д゚)「何だかんだで長かったからな、歩いてるの」

ふぅと息をつき、近くの壁に背を預ける。
結局今日の半分は、あいつに付き合っただけで終わっちまったなと苦笑するが、
しぃが楽しんでいたのでまあ問題はないとも考える。

(,,゚Д゚)「しっかしま、結局あいつ、何だったんだ」

そう言って、もう見えなくなったであろうクーと別れた場所を何となしに見やってみる。

(,,゚Д゚)「……」



(,,゚Д゚)「何だぁ……?」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:22:53.08 ID:rWhKZKvLO




(;メx><)「クーさん! 探したんです!」

川 ゚ -゚)「む、ビロード」

ギコたちと別れてすぐ、クーの目の前にビロードが現れた。
何てタイミングなんだろうと思いながら、謝ろうとクーは口を開く。

川 ゚ -゚)「勝手にいなくなってすまなかった。そして道に迷っていた」

(メx ><)「まぁ、見つかったからいいんですけど……」

(;メx><)「あ、いや、全然よくないんです! 大変なんです、今この奥にスカルチノフ様がいるんです!」

川 ゚ -゚)「何……?」

スカルチノフ。その名を聞き、クーの血の気がさっと失せる。

(;メx><)「ワカッテマス様も一緒だから、見つかったら余計にマズいんです!
       早く逃げるんです、迂回して屋敷の方へ

/ ,' 3「何をしている、ビロード?」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:25:07.20 ID:rWhKZKvLO


∑(;メx><)「ひゃあ!」

川 ゚ -゚)「……!」

慌てたビロードが振り返れば、少し離れた先にスカルチノフの姿が小さくとも確かに存在していた。
スカルチノフの背後に追いついたワカッテマスが、大きな目を更に見開いている。
クーはさっと身を縮めたが、余り意味がないことはわかっていた。

/ ,' 3「何じゃね、急にいなくなったと思ったら街娘とランデブーか。羨ましいのう」

湛えた笑みは柔和なのにどこか嫌らしく、ゆっくりと、杖をつきながら歩を進めてくる。
ビロードの汗が、ぽたりと一滴地面に落ちた。

/ ,' 3「じゃがのう。その者背は低いが、儂の記憶が確かならばとても娘っ子には見えないんじゃが」

スカルチノフはもう、ビロードの目と鼻の先にいる。

/ ,' 3「……マントを被っていても、よくわかるぞ。貴様が幼い頃から見てきたのじゃから」

(;メx><)「あう……」

( <●><●>)「……」

川 ゚ -゚)「……」



/ ,' 3「クー。奴隷が、こんなところで何をしておる?」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:27:28.05 ID:rWhKZKvLO




(,,゚Д゚)「奴隷……?」

別れた筈の場所に、クーの姿がまだ見えた上に、知り合いらしき青年が突如現れて、
それから二人揃って角の先を凝視するという何とも奇妙な光景を見たギコが、何となしに近付いてみると、
はっきりとした老人の声で確かにそう聞こえた。死角になっている為に姿は見えない。

(;メx><)「スカルチノフ様、これは、その、あの……」

/ ,' 3「どうしたんじゃ、ビロード。何か言いたそうじゃが、まさかおまえがこいつを外に出したのか?」

(;メx><)「そ、それは……」

ビロードが言い淀み、しどろもどろになっていると、ワカッテマスは、歩きながらはっきりと声を発する。
ギコからすれば、姿の見えない声がもう一つ増えていた。

( <●><●>)「お待ち下さい、スカルチノフさん。ビロードが、勝手に抜け出したクーを捕まえたのはわかってます」

(;メx><)「うぅ……」

/ ,' 3「ほう……こいつが勝手に抜け出した、とな。ワカッテマス様」

(,,゚Д゚)(ワカッテマス様……? こいつら、ナヌス家の……)



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:29:57.58 ID:rWhKZKvLO


( <●><●>)「恐らく……新しい劇場の様子でも見に抜け出したのでは? 色々と、勝手も違いますからね」

/ ,' 3「……それでも、抜け出すかね? 従順なこいつが」

川 ゚ -゚)「……」

クーはいつの間にか跪いていて、黙ったまま頭を垂れている。

/ ,' 3「気に入らぬ。奴隷とは、所有物。自らの意志で抜け出すなど、あってはならん。そうじゃろう?」

( <●><●>)「その通りです」

(;メx><)「……」

ワカッテマスの返答に、満足げに頷いたスカルチノフは、クーの正面に立つと、その姿を忌々しげに見下ろす。

/ ,' 3「ワカッテマス様。先ほどの話の続きじゃ。貴方のやり方は、甘い。
    だからこうやって、つけあがった奴隷が勝手な行動を起こす。
    このクーですら、じゃ。儂の言いたいことが、ワカッテマス様にはわかってるじゃろう?」

そう言うと、杖を地面から離したスカルチノフは、両手を高く振りかざし、垂れていたクーの頭に叩きつけた。

川 ゚ -゚))「ぐっ」

(,,゚Д゚)「!」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:31:18.51 ID:rWhKZKvLO


杖で叩かれたクーは小さく呻き、それでも姿勢を崩さない。
その様子を間近で見たビロードは、冷えた額の表面に、じとりと冷や汗を浮かべるしかない自分に嘆く。
ワカッテマスは、クーと同じくただ黙っている。

/ ,' 3「こうして仕置きを受けるのも、久々じゃろう?
    何、か弱い老人の一撃など、蚊ほどの痛みもないのは十分に承知しておるからの。
    本当のお楽しみは、帰ってからじゃ」

川 ゚ -゚)「……」

/ ,' 3「じゃが」

振り向いたスカルチノフは、不敵に笑むとワカッテマスに向かって杖を差し出す。

/ ,' 3「その前に、当主様直々の制裁も、悪くはないんじゃないかね?」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:32:27.26 ID:rWhKZKvLO


(;メx><)「!」

( <●><●>)「……」

ビロードが動揺を見せる。ワカッテマスは、躊躇うことなく杖を受け取った。

( <●><●>)「私の責任、ですからね」

/ ,' 3「……よもや、手を抜いたりはしませんな?」

( <●><●>)「誓いましょう」

スカルチノフの脇を過ぎ、杖を持ったワカッテマスはクーの背後に立ち、見下ろす。
ギコの視界に、初めてワカッテマスの姿が入った。

( <●><●>)「……」

川 ゚ -゚)「……」

しばらくして、クーの背から大きな音が鳴った。





36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:33:36.09 ID:rWhKZKvLO




四人が去った後も、ギコは未だその場に立ち尽くしていた。

(,,゚Д゚)「……奴隷、ねぇ」

先程の、何とも惨めなクーの姿が、別れるまでの何となく偉そうな態度をとっていた姿と重ならなくて、
奴隷は予想外だったとギコは頭を振った。

それ以前に、しぃを助けたときに見せた腕。
あの強さなら、奴隷などという物の立場に甘んずとも、もっと自由に生きられるのではないか。

(,,゚Д゚)「……あ」

そのとき、何となくわかったような気がした。クーが望み、欲していたもの。

(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)「海賊にでも、なりゃあいいのによ」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:34:43.00 ID:rWhKZKvLO


ははっ、と乾いた笑いをあげたギコは、もう関係のないことだと、角に背を向けて歩き出した。

しぃがいなくてよかったと思いながら、公衆トイレの付近に戻ると、
しぃより少し年上かと思われる少年が一人、しぃに声をかけていたので、

(#,゚Д゚)「ゴルァ!」

と脅したらしぃに蹴られた。金的は勘弁して貰えた。





39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:37:03.88 ID:rWhKZKvLO




せせらぎの音が耳をつく。風が草を揺らす音も聞こえてくる。
見上げた空は青く、浮かぶ白雲は何かの形に見える。
考えて、すぐに思いついた。

( ^ω^)「ツンの頭だお!」

「何でじゃ」ξ#゚⊿゚)ξ三○)゜)・:゜。「へぶぅ!」

隣から振り降ろされた拳に顔面を潰され、ブーンは寝転んでいた草の上でのたうち回る。

( ■■■)「ぴぎゃあああ! 鼻血で前が見えないおおお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「うわぁグロい。こっちに顔向けないでよ」

そう言いながらも、布切れでブーンの顔を拭いてあげるのは、ブーンの隣に座る女性、ツン。

( ;■;)「何でだお……何でそんなに怒るんだお」

ξ#゚⊿゚)ξ「何でって……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」←雲がう(ryに見えた

ξ#゚⊿゚)ξ「知らん!」

( ;ω;)「うぅぅ……」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:38:36.57 ID:rWhKZKvLO


ツンに背を向け泣きじゃくるブーン。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

その背にそっと触れながら、ツンは呟く。

ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇ、ブーン」

( ;ω;)「……お?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私、私ね……」

( ^ω^)「……」

大きな背中にしがみつく。ぎゅっと顔を埋める。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「ツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「なぁに……?」

( ^ω^)「僕は、何処にも行かないお」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:39:55.40 ID:rWhKZKvLO


ξ ゚⊿゚)ξ「……? 何で、そんなこと言うの?」

∑(;^ω^)「え! いや、何となく……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

クス、とツンは笑う。

ξ*-⊿-)ξ「私、ブーンのこと――



ガチャリと、錠前を開く音がした。

( ^ω^)「……お」

ゆっくりと、瞼を開いた。川も、草も、風も、空も、どこにもなかった。



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:41:42.07 ID:rWhKZKvLO


( ^ω^)「……」

現実を思い出す。鎖で繋がれ石の壁に腹を向けて磔にされた。剥き出しの背中に走るのは赤黒い線。

( ^ω^)「……何だお、もう出してくれるのかお?」

開いていく扉に嫌みたらしく話しかける。すると、嘲笑が返る。

「お友達を連れてきてやったんだよ」

そう言って入ってきたのは二人。一人は勿論声の主である男で、もう一人は。

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……クー?」

何故、クーがここに来たのだろうとブーンは考えるが、思いつかない。
ブーンがこの家に買われてから、クーが懲罰を受けたことや、
受けるようなことをしたのを一度だって見たことはないのだから。

男は、クーをブーンと同じように鎖に繋げると、

「じゃ、仲良くな」

と言い残して、扉を閉めて鍵をかけた。

しばしの静寂、最初に沈黙を破ったのはクー。



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:44:20.01 ID:rWhKZKvLO


川 ゚ -゚)「久々に絞られた。なかなか懐かしい痛みだったよ」

( ^ω^)「……一体何をやったんだお? 君と一緒にこの部屋に入るなんて、夢にも思わなかったお」

川 ゚ -゚)「何、束の間の自由を堪能してみた」

( ^ω^)「自由……」

即座に疑問が湧く。

( ^ω^)「そのまま逃げればよかったんだお」

川 ゚ -゚)「そうだな」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「そんなにこの家がいいのかお? 僕には、肥だめにしか見えないお」

川 ゚ -゚)「そんな肥だめを想い、苦心している奴もいるのさ」

( ^ω^)「……」

外を知らないからなのだろうと、ブーンは思う。
聞けばクーは、物心付いたときからこの家にいるというのだから。



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:46:51.29 ID:rWhKZKvLO


川 ゚ -゚)「それに、逃げ出しても行くところがない」

( ^ω^)「何言ってるんだお。何処だって、いいんだお」

川 ゚ -゚)「……そうか」

( ^ω^)「そうだお」

言って、思い出す。先程の夢を、懐かしの故郷を。

( ^ω^)「僕の故郷、オススメだお。上手く逃げ出したときの為に教えておくお」

川 ゚ -゚)「ほう? それは有り難いな」

( ^ω^)「高い山を越えるんだお。冬は辛いけど、それ以外の季節なら結構大丈夫らしいお。
       僕が連れてかれたときは、秋の始まりだったけど、山越え自体はそんなに辛くなかったお。

       ただ、たまに落石で道が塞がるから、迂回すれば別の道もあるお。
       かなり遠回りになるし、山から大分離れるけど」

川 ゚ -゚)「高い山か。晴れた日によく見えているな」

( ^ω^)「いつかその山を越えて、僕はまたツンに会いに行くんだお」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:48:16.98 ID:rWhKZKvLO


川 ゚ -゚)「……」

ツン。ブーンの彼女。と、前にクーが聞いたら、ブーンは顔を赤くして必死に否定していた。

( ^ω^)「クーもツンを探すといいお。優しいから、色々助けてくれるお」

川 ゚ -゚)「君がそう言うのなら、本当に優しいんだろうな」

(* ^ω^)「照れるお」

川 ゚ -゚)「……だが、本気で逃げ出すつもりならば、目立つ行動は謹むんだな。大人しく期を待て」

( ^ω^)「……そんなこと言うなんて、珍しいお」

川 ゚ -゚)「今逃げられると困るが、後ならいい」

( ^ω^)「そりゃ初耳だお」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:49:45.61 ID:rWhKZKvLO


( ^ω^)「……でも僕、我慢できそうにないお」

川 ゚ -゚)「それでも耐えろ。私も、君にはいつか逃げて欲しい」

( ^ω^)「……」

違和感。クーは、いつもと何かが違う。

( ^ω^)「よっぽど、キツかったらしいお」

川 ゚ -゚)「あぁ、キツかった」

川 - )「何せ、当主様直々にやられたからな。初めてだったが、あれは効いたね」

クーの声が徐々に小さくなり、二人の会話はそこで終わった。





50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:52:17.16 ID:rWhKZKvLO




劇場と共に新しく建てられた屋敷の、一等広い部屋は、ワカッテマスの私室だった。
部屋には沢山の書物が並んだ本棚、剣と鎧、書類の積み重なった机と椅子。
ワカッテマスはその椅子に腰掛け、一冊の古びた本を開いていた。

( <●><●>)「……」

頁に書かれた文字の周りには、更に上からインクで色々と書き足されてあり、読み方や意味などが補足されていた。
結局、何の役にも立たなかったが。

頁を開くと、黄ばんだ紙片が挟まっていた。
書かれたのは絵か文字なのか、一見しただけではわからないが、
ワカッテマスにはその一つ一つが何なのかがわかっていた。

( <●><●>)「……ふ」

紙片を手に取り、小さく笑う。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:53:21.44 ID:rWhKZKvLO


( <●><●>)「わかんないんです。本当は、何も」

( <●><●>)「全て、守りたいのに。守ろうとすればするほど、何も守れない」

( <●><●>)「わかんないんです……ワカンナイデス……」

( <●><●>)「……もしも、君が」

ワカッテマスは本を閉じた。

( <●><●>)「くだらない。決めたのは、私なのですから」

立ち上がったワカッテマスは、本を棚に戻して部屋を出る。
机に置かれたままの黄ばんだ紙片の端には、汚い字で、クーと書かれていた。





53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:55:53.96 ID:rWhKZKvLO




クーと会った日から、数日。ギコはワタナベの家でだらけてた。

从'ー'从「仕事しろ~」

(;,゚Д゚)「うおわっ!」

腹部に落ちてきた肘鉄を寸前で避け、勢いよく起き上がって文句を言う。

(#,゚Д゚)「てめぇさっきまで散々働かせといて更に仕事しろとはどういうこった!」

从'ー'从「働かざる者食うべからず~」

(#,゚Д゚)「だから働いたろ!」

从'ー'从「ふえ~ん、足りないよぉ」

(#,゚Д゚)「何でだよ! 大体何で今日いきなり仕事がバカみたいに増えるんだよ! バカ!」

从'ー'从「バカって言った方がバカなんです~」

べーと舌を出したワタナベは、一転、手を胸の前で組んで

从*'ー'从「今日はね~、例のハワハワした可愛い子が遊びに来るの~」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:57:19.54 ID:rWhKZKvLO


(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)「はぁ?」

一度怪訝な顔をしたギコは、またすぐに寝転がる。

(,,゚Д゚)「くっだらねぇ。何で俺がそいつもてなす為に働かなきゃならねぇんだよ」

从'ー'从「くだらなくないよぅ、しぃちゃんだって楽しみにしてるんだから」

(,,゚Д゚)「ああん? 結局誰なんだよそいつは、俺の知ってる奴か?」

从'ー'从「多分知らないよぉ、最近街に来たばっかりだから」

(,,゚Д゚)「はん……とにかく俺は、もう何もしないからな」

从'ー'从「え?」

(,,゚Д゚)「だーから、何もしな

从'ー'从「え?」

(,,゚Д゚)「何も

从'ー'从「え?」

(,,゚Д゚)「……何をすればいいのでしょうかお姉様」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:58:23.81 ID:rWhKZKvLO


从'ー'从「あ、やっぱりやってくれるんだ~、ギコちゃん優し~」

(,,゚Д゚)「……」

ギコは黙って立ち上がると、腰に手を当てポキリと首を鳴らした。

(,,゚Д゚)「で?」

从'ー'从「この部屋の掃除よろしく~。勿論棚の上からだよぅ、ギコちゃんでっかいから楽勝でしょ~?」

(,,゚Д゚)「あいあい了解しやしたー」

从'ー'从「私としぃちゃんは料理の下拵えがあるから~。頑張ってピカピカにしてね~」

そう言って、ワタナベは台所に消えた。

(,,゚Д゚)「……」

(,,゚Д゚)コ(ま、勿論サボるけどな)

この時のギコには、数十分後、ワタナベに渾身のアッパーを食らわせられることになるとは、想像もつかなかった。





56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:00:13.47 ID:rWhKZKvLO




(* メx><)「ご・は・ん・でっすよー」

歌いながら、次々と渡される椀に粥を入れるビロード。
渡した椀を返されたブーンは、呆れた顔をして隣のクーに耳打ちをする。

( ^ω^)「随分ご機嫌だお……変なものでも食ったのかお?」

聞かれたクーは、あぁ、と答えて

川 ゚ -゚)「休みを貰ったから、新しい友達の家に遊びに行くんだと」

( ^ω^)「そりゃあ……おめでたい話だお」

ブーンが席に向かい、今度はクーがビロードに椀を渡す。

川 ゚ -゚)「しかしまぁ、ブーンじゃないが随分と嬉しそうだな」

(メx ><)「はいなんです! ワタちゃんは、優しくて面白いんです!」

川 ゚ -゚)「へぇ、ワタちゃんというのか」

(メx ><)「あ、そう言えば名前教えてなかったんです。そうなんですワタちゃんなんです!」

川 ゚ -゚)「ワタちゃん……」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:02:15.90 ID:rWhKZKvLO


最近何処かで聞いたような気がする、と、クーは頭を悩ませてみたが、どうにも思い出せない。

川 ゚ -゚)「だが、ビロードに女の子の友達か。いや世の中何があるかわからんな」

(メx ><)「いや……何か若いけど……女の子ではないです……」

川 ゚ -゚)「……」

(メx ><)「……」

川 ゚ -゚)「粥を貰おうか」

(メx ><)「はいなんです」



( ^ω^)「来るの遅いお」

川 ゚ -゚)「お前は相変わらず食べるのが早いな」

ブーンの前に置かれた空の食器、その隣にクーの食器が置かれる。

( ^ω^)「……そう言えば、聞いたかお?」

川 ゚ -゚)「何をだ?」

重い粥を口に含みながら、クーは聞き返す。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:03:46.21 ID:rWhKZKvLO


( ^ω^)「鍛錬の時間、増やすんだってお。休み、かなり減っちゃうお」

川 ゚ -゚)「……そうか」

( ^ω^)「……驚かないのかお?」

川 ゚ -゚)「ん……昔はもっとキツかったからな」

( ^ω^)「そうかお。僕は正直泣きそうってか、聞いた瞬間マジ泣きしたお」

川 ゚ -゚)「ふ、体力なら誰よりも有り余っている君が何を言う」

( ^ω^)「でも辛いものは辛いんだお」

川 ゚ -゚)「そうだな」

粥を食べ終えたクーは、パンに手をつける。味はお世辞にも美味いとは言えず、むしろ不味い。

( ^ω^)「大体」

川 ゚ -゚)「ん?」

( ^ω^)「鍛錬って言っても、ほとんどイジメだお。僕たちが苦しんでるのを見て、楽しんでるんだお」

川 ゚ -゚)「……そんなことは

「ご名答」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:05:56.61 ID:rWhKZKvLO


川 ゚ -゚)「……」

低く、嫌みったらしい声が耳を撫でる。
顔を上げれば、教官――とは名ばかり――の男が下毘た笑みを張り付けて立っていた。

( ^Д^)「当然だろ? お前らみたいな虫けらは、俺たちのストレス解消用に生きてるんだからよ」

教官、プギャーは、ブーンの目の前で包帯の巻いた腕をぷらぷらと振る。

( ^Д^)「ようやく今日から戻ってこれたぜ。ながーいお休みをありがとな、キンタマフェイス」

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「……」

ブーンはプギャーを見向きもせず、クーもまた、顔を戻して大人しくパンを咀嚼していた。
だが、プギャーは食い下がり

( ^Д^)「あぁん? 反論もできないってか?
       しょうがないよな虫けらだから脳みそミニマムミクロなんだもんなwww」

( ^Д^)「ねぇわかる? 1+1はいくつかわかる? 知らないの? できないの?www」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:10:03.70 ID:rWhKZKvLO


( ^Д^)「ブーンちゃんブーンちゃん、こないだお仕置きされたんだよね?
       ま、俺の大事な腕を噛み千切ったんだから、当然だよな。
       そん時ゃちんこまでビシビシされたんでしょ? ねぇ痛かった、痛かったぁ?www」

( ^ω^)「……」

( ^Д^)「クーちゃんもさー、女みたいな顔しちゃってさー、キモッw
       でもしょうがないよねー、去勢されちゃったんだもんねー。クーちゃんにはビシビシされるちんこも……
       あぁ、あったあった、赤ちゃんみたいに可愛いのが微妙に残ってんだっけwww
       つーか潔く切り落とせよwwwwww」

( ^Д^ )9m「プギャーwwwwww」

川 ゚ -゚)「……」

( ^Д^)「全く、俺がお前だったら自殺してるわー、そんな男として無価値な

(  ω )「黙るお」

( ^Д^)「あ?」

机に両の拳を叩きつけたブーンが、勢いよく立ち上がる。拍子に食器が地面に落ちた。

(  ω )「黙れって、言ってるんだお」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:12:24.40 ID:rWhKZKvLO


( ^Д^)「……お、おいおい、俺にそんな口聞いちゃっていいのか?
       いくら剣闘士つっても、数には敵わないの、よーくわかってるだろ?」

(  ω )「お前だけでも殺せればいいお。ちんこちんこ連呼してんだから、好きなんだお?
       お望み通り、噛み千切ってやるお」

(;^Д^)「ぐっ……」

先程までの勢いはどうしたのか、たじろぐプギャー。
そのプギャーに、今にも飛びかかりそうなブーンの服を、クーは強く引っ張る。

川 ゚ -゚)「ブーン、よせ。言っただろ、耐えるんだ」

(  ω )「でも……!」

川 ゚ -゚)「……ツンに、会うんだろ?」

(; ω )「……」

ブーンの肩がゆっくりと下がる。それを見たプギャーは再び元気を取り戻し、

(#^Д^)「てめぇ、ビビらせやがって……わかってんだろうな! 今日もお仕置

(メx ><)「そこまでです、プギャーさん」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:15:19.45 ID:rWhKZKvLO


( ^Д^)「!」

響きわたったのは、熱くなったプギャーの声とは対照的な、氷のように冷めたビロードの声。
プギャーが慌てて振り向くと、いつの間に呼んだのか、
背後に別の教官を連れたビロードが、縄を持って立っていた。

(メx ><)「僕、この前ワカッテマス様から直々に教官拘束の権限を頂いたんです。
      これは会議でも許可されたことですから。奴隷の扱いを厳しくする代わり、なんです。
      だって、先日ブーンさんが暴れたのは、貴方のせいなんですよね?」

(;^Д^)「ち、違っ……」

(メx ><)「言い訳はいらないんです。さようなら、なんです」

二人の教官がプギャーを押さえ、動けなくなったところをビロードが縄で縛る。
そうしてそのまま連れて行かれたプギャーを見た後、クーとブーンは隣で

(;メx><)「あうあうあー、緊張したんですー!」

とへたり込んだビロードを、開いた口が塞がらないまま見つめた。

(;メx><)「な、何ですか、何か恥ずかしいんです!」

( ^ω^)「いやだって……」

川 ゚ -゚)「……なぁ?」



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:17:53.80 ID:rWhKZKvLO


そのとき、周囲の奴隷たちが小さく拍手をしたので、ビロードは驚き立ち上がると

(;メx><)「ぼ、僕、大したことしてないんです……」

拍手は教官にやめさせられすぐにやんだが、その様子が何だかおかしく、ブーンは声を上げて笑った。

(* ^ω^)「おっおっおw ビロード、本当にありがとうだお!」

川 ゚ -゚)「あぁ、私からも礼を言う。ありがとう」

(;メx><)「ク、クーさんまで笑わないで下さいなんですー!」

∑(;^ω^)「え、クー笑ってんのかお!?」

川 ゚ -゚)「……」

クーは残りのパンを口に入れると、そっぽを向いた。その姿を見て、ビロードは思う。

( ><)「……」



( ><)(だって、許せなかったんです)

( ><)(ブーンさんのこともですけど……)



( ><)(クーちゃんのこと、何も知らないくせに)






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