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( ^ω^)せんとうのスヽメのようです  はしがき

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/29(水) 16:45:08.73 ID:2Pwuwo4u0


 熟(つらつら)鑑るに、銭湯ほどちかみちの教諭なるはなし。

 其故如何となれば、賢愚邪正貧福貴賤、湯を浴んとて裸形になるは、
 天地自然の道理、釈迦も孔子も於三も権助も、産まれたまゝの容にて、惜い欲いも西の海、さらりと無欲の形なり。

 欲垢と梵悩と洗清めて浮湯を浴れば、旦那さまも折助も、どれがどれやら一般裸体(おなじはだかみ)。

 是乃ち生れた時の産湯から死だ時の葬灌にて、暮に紅顔の酔客(なまえい)も、朝湯に醒的(しらふ)となるが如く、生死一重が嗚呼まゝまならぬ哉。

 されば仏嫌の老人も風呂へ入れば吾しらず念仏をまうし、
 色好の壮夫も裸になれば前をおさえて己から恥を知り、
 猛き武士(もののふ)の頸(あたま)から湯をかけられても、人込じやと堪忍をまもり、
 目に見えぬ鬼神を隻腕にえりたる侠客(ちゅうっぱら)も、御免なさいと石榴口に屈むは銭湯の徳ならずや。

 心ある人に私(わたくし)あれども、心なき湯に私なし。

 たとへば、人密に湯の中にて撒屁(おなら)をすれば、湯はぶく/\と鳴て、忽ち泡を浮(う)み出(いだ)す。


『浮世風呂』式亭三馬



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/29(水) 16:47:18.44 ID:2Pwuwo4u0



はしがき ~春麗~





 僕は、銭湯が好きだ。

 祖父が無類の風呂好きで、幼少、其れに連れられて近所の銭湯に幾度と無く通ったのが高じたのか知らないが、僕はとても銭湯が好きだ。
 下宿先の直ぐ近くに銭湯があると知ってから、アパートの小さな風呂場は洗濯室になったくらいで。


( ^ω^)「こんばんわー」

从'ー'从「はい、こんばんわぁ」


 美夫湯は、小さくて汚いけれど、暖かみのあるお湯屋さんだ。

 正しく年齢を重ねていった女性の笑みで番台のおばあさんは笑う。此処一年、ほとんど毎日通っているだけあって、顔なじみとして認識されているらしい。
 その日も何時もと同じように、服を脱いで籠にしまい、湯船に向かう。
 古めかしい「がらがら」という音が何とも心地よい。



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/29(水) 16:49:42.46 ID:2Pwuwo4u0



( ^ω^)「こんばんわ」


 先客が何名か居るのを見て、軽く頭を下げながらいう。
 こんばんわ、と小さく口の中で呟く声が聞こえるだけで良い。
 誰からの返事も無い日だってよくあるのだ。

 かけ湯をし、盥に入れた石鹸やらタオルやらを洗い場に置き、湯に浸かる。
 ジェット噴射のある大きなそこには、一人の先客がいた。
 軽く目釈をしてから、そろりと足を入れる。少々低温気味だが、体が冷えているので不満は無い。


(* ^ω^)「……ぁ゛ー」


 思わず漏れた感嘆の声が、水音に混じって水蒸気に溶ける。






 おやすみなさい、と軽く礼をしてから引き戸を引く。
 体中が茹だっているように熱く、心地よい脱力感があった。
 手洗い場でタオルを洗い、捻り絞って体を拭く。ひやりと冷たい水分が体表を撫でていった。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/29(水) 16:52:08.75 ID:2Pwuwo4u0
(* ^ω^)「あ゛ー」


 大きく伸びをしながら脱衣場に出て、ふと壁に貼られた張り紙が目に入る。


(* ^ω^)「……『従業員募集中』?」


 新聞チラシの裏側に、油性ペンの乱雑な字が詳しくは番台まで、と踊っていた。
 三秒程固まって其れを眺めてから、湯冷めするぞ、と言う他の客のおっちゃんに呟かれる。


( ^ω^)「お、ありがとう御座いますお」

<ヽ`∀´>「まだまだ春先っつっても寒いからな。気をつけろ」

( ^ω^)「ですおー」


 腕から背中にかけて花びらを散らせているおっちゃんに内心びびりつつ、慌てて体を拭き、着替える。
 行きに着てきた服ではない、高校の時のジャージ。

 おっちゃんに挨拶をした。玄関口で靴を履きかえる。


从'ー'从「それじゃあ、おやすみなさい」

( ^ω^)「おやすみですおー、と、おばさん、従業員募集ってさっきそこで見たんですけどお」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/29(水) 16:55:23.97 ID:2Pwuwo4u0






 週五日。日付に五と零のつく日は定休日。日給五百三十円。但し入浴料込み。
 一日の終わり、午後十時半に出勤して、十一時半に終了。正し日によって誤差はある。
 仕事内容は主に掃除。度々番台。月に一度の日曜日は午前から集まり、大掃除をする。これは別給与。
 等々、諸々。

 そういう職場で、僕は働く事になった。


 すっかり暗い空を見上げる。

 春だ。


 美夫湯の直ぐ近くには、桜の名所と言われる河川がある。
 宴の時間は提灯が吊され、屋台が並んでいるが、この時間帯ともなるともう酔っぱらいの姿も無い。
 行きは虹虹と灯りの灯っていた提灯が白く浮き、街灯に照らされていた。


( ^ω^)「……いっい湯だっな、アハハン♪」





9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/29(水) 16:58:04.30 ID:2Pwuwo4u0







( ^ω^)せんとうのスヽメのようです












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