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( ゚∀゚)はiPodが壊れたのでおっぱいが揉みたいようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 20:53:43.42 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「あれ」


日は日曜日の午後、ポカポカと暖かい河川敷を散歩していた時だった。
耳にMr.Childrenの「未来」を奏でていたiPodの電源が急に切れた。


( ゚∀゚)「なんでだろ」


ポケットから取り出して液晶を確認する。
画面には意味のわからない言語の羅列があった。
恐らく、故障だろう。面倒くさいことになった。


( ゚∀゚)「どーすっかな」


川にかかった橋の上で立ち止まる。
人通りは、あまりない。


( ゚∀゚)「……」


右手に握ったiPodを見つめる。
大分型が古いiPodだ。
思えば、自分の人生の岐路はいつもこのiPodと共にあった。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 20:58:09.74 ID:GUoSRARyO
高校に入学し、野球部のセレクションを受ける前夜。
JUDY AND MARYの「くじら12号」を聞いた。
合格した。

初めて女の子に告白する前夜。
ブルーハーツの「人にやさしく」を聞いた。
OKされた。

初めて女の子に振られた夜。
Mr.Childrenの「OVER」を聞いた。
さめざめと泣いた。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:04:59.74 ID:GUoSRARyO
甲子園に出場した夏。
はっぱ隊の「YATTA!」を聞いた。
なんだかテンションが上がって眠れなかった。

プロ野球のドラフト指名を受けた日。
耳にイヤホンをはめて音楽を聞くふりをしながら周りの動向をうかがった。


( ゚∀゚)「……」


ざっと思い出すだけでこれだけの思い出がある。
普通なら修理してでもこのiPodを使い続けるだろう。


( ゚∀゚)「……」


右手に持ったiPodをポンポンと弄ぶ。
そして一気にふりかぶってiPodを川に投げた。
プロの世界で強肩として鳴らした自分から放たれたiPodはきれいな弾道を描いて川に落ちた。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:08:18.24 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「……」


遠くに投げたiPodに目を凝らす。
上流に投げたiPodは川の流れに沿って笹舟のように流れていった。


( ゚∀゚)「……」


思い出を流した。
それでいい。プロも辞めてしまった、初めての彼女も今はどこにいるかすらわからない。
自分に、思い出は必要ない。


( ゚∀゚)「……」


くるり、ときびすを返して再び散歩を始める。
これでいい。これでいいんだ。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:14:44.52 ID:GUoSRARyO
どうせ、世界は滅ぶのだから。











――人生は素晴らしい。だが、人生の終局は死だ。
(スウィンバーン 英・詩人)








( ゚∀゚)はiPodが壊れたのでおっぱいを揉みたいようです


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:21:06.42 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「あ」


しばらく河川敷を歩いていると前方に見知った顔が現れた。
なんだって思い出を捨てた瞬間に思い出の人物が現れたのだから。


('、`*川「ん? あら、長岡くん。おひさ」

( ゚∀゚)「……ああ。久しぶり」


高校の時に告白して、振られた女の子がそこにいた。
彼女は高校時代よりもさらに成長していた。
身長も、おっぱいも。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:27:28.47 ID:GUoSRARyO
('、`*川「……」


彼女はきらきらとした水面を見ながら煙草をふかしていた。
その目はどこか虚ろで、そして美しかった。


( ゚∀゚)「疲れてる?」


そう聞きながら彼女の隣に座る。
高校時代のわだかまりはなかった。
自分はそんなに根に持つタイプではないのだ。


('、`*川「んー、ちょっとね。人生相談された」

( ゚∀゚)「こんなご時世に?」


思わず言った。
この星には、あと四年後に隕石が衝突する。
衝突すれば何もかも無に帰る、らしい。
信じたくはないが、日々テレビから流れる証拠はそれを許さなかった。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:34:07.71 ID:GUoSRARyO
そんな状況で人生相談も何もない。
どんなに苦しもうが悩もうが四年後にはみんな死ぬのだ。
だから殺人事件も増えたし、平和な日本もかなり危険な国に一時期なった。
今はもはやみんな疲れたのかはたまた人の絶対数が減ったのか平和に戻ったが。


('、`*川「なんかね、部下の話なんだけど赤ちゃんが出来た。って」

( ゚∀゚)「え」


予想外の発言だった。
まさかこんな時に御懐妊なさるカップルがいるとは。
能天気なのか危機感が無いのか。
よくわからない話だ。


( ゚∀゚)「それでどう言ったの」

('、`*川「子供を生むなんておかしい、って」

( ゚∀゚)「……へえ」


至極当然の返答だろう。
この時期に子供を生むとは正気の沙汰ではない。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:39:58.52 ID:GUoSRARyO
('、`*川「……長岡くんは?」

( ゚∀゚)「え? ああ、君と同じ意見だよ。子供なんて」

('、`*川「違うわよ。あなたプロ野球選手になったじゃない」

( ゚∀゚)「……うん」


その話は極力してほしくなかった。
なぜか。その肩書きを自ら捨てたからだ。
だから、次にされる質問は人が変わってもだいたい一緒だ。


('、`*川「通算安打は何本?」


ほら、なんで辞めたか……て、あれ?
やはり、この娘は少し人とは違うらしい。


( ゚∀゚)「え」

('、`*川「通算安打よ。えーと、イチローが4251本だったでしょ?」

( ゚∀゚)「あ、ああ……俺は402本だよ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:46:33.04 ID:GUoSRARyO
('、`*川「かー。なんだ。イチローの十分の一以下じゃない。しけてるわねえ」

( ゚∀゚)「イチローと比べられちゃかなわないさ」


ただ実際そんなに悪い数字というわけでもない。
高卒5年で安打402本ならば十分な成績だ。
彼女のように偉大な大選手を出されると困ってしまうが。


('、`*川「あ、あとあれよ。ホームラン。王貞治が868本でしょ?」

( ゚∀゚)「……なんで辞めたか、とは聞かないんだ」


率直に聞いてみた。
自分は、自分でいうのもなんだが期待の若手だった。
そんな自分が辞めるとあらば監督を始めとする周りの人間が止めようとした。
自分はその全てを振り切って辞めたのだ。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:53:40.79 ID:GUoSRARyO
('、`*川「え」


彼女の煙草を吸う手がぱた、と止まる。
そしてそのぱちくりとした目で僕を見つめる。
その視線に僕は初めて手を繋いだ中学生のように汗をかいた。


('、`*川「野球選手、辞めたんだ」

( ゚∀゚)「あ、知らなかったんだ」

('、`*川「ごめんねー。あたし野球詳しくないし」

( ゚∀゚)「はは、気にしてないよ」


嘘だった。
ちょっとぐらいは自分のことを気にかけてくれていると思っていた。
まあ、そんなサバサバしたところが彼女のいいところなのだが。


('、`*川「それに、あの時いっぱいスポーツ選手が辞めたじゃない」


俺はああ、と呟いた。
それならしょうがないな。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 21:59:50.09 ID:GUoSRARyO
あの時、とは隕石の話が発表された時ぐらいだ。
その発表を皮切りに、多くの名だたるスポーツ選手が分野を問わず引退した。
余生をのんびり過ごすもの、違うスポーツに挑戦するもの、単に生きる気力が無くなったもの……
あらゆる人間がスポーツをするのを辞めた。


('、`*川「で、君は何で辞めたの?

     聞いておくわ、今までたくさんされた質問でしょうけど」

( ゚∀゚)「構わないよ。……なんとなく、かな」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 22:07:47.14 ID:GUoSRARyO
('、`*川「……ふうん」


彼女は興味が無くなったと言わんばかりに煙草の灰を落とした。
しかし俺はそんなことは関係なく言葉を紡ぐ。


( ゚∀゚)「なんとなくだよ。トイレに連れ立って行く女性と同じだ。

     みんなが辞めたから、辞めた。そんなもんさ。ポリシーも信念もない」

('、`*川「……ふうん」

( ゚∀゚)「落胆した?」

('、`*川「いえ、別に。私も会社辞めちゃったし」

( ゚∀゚)「え」


この発言に驚いたのは僕だった。
彼女は高校時代、憧れの遺伝子工学の会社に入るために必死に勉強していたはずだ。
俺も何度か彼女の使っている教科書を覗いたが、みる度に頭が痛くなった。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 22:30:30.02 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「なんで」


だから、信じられなかった。
だいたい「勉強に集中したい」から僕は振られたのに。
まあ僕にも責任はあるのだが。


('、`*川「……君と一緒よ。なんとなく。

     ……確かにがんばりはしたけど、一生を費やす所じゃないわ、あそこは」


高3の夏、僕は甲子園に出場した。
そこでプロのスカウトに見定められ、ドラフト候補に挙がった。
もしプロになれなくても大学の推薦入学の道があった。
だから僕は受験戦争との関係は皆無の高3時代を送った。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 22:37:19.02 ID:GUoSRARyO
当然、ヒマだった。
主たる友達は受験に向かって血眼になって勉強していたからだ。
そこで僕が選んだいじり相手は当時付き合っていた、今目の前にいる伊藤その人だった。


('、`*川「そういうこと」

( ゚∀゚)「……」


当然、疎まれた。
だから、別れを告げられた。
そして僕はドラフト指名され、彼女は志望校に進んだ。
そして疎遠になった。
そしてさらに隕石が降って来ることがわかった。
そして彼女と再会した。
世界はうまくできている。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 22:45:22.37 ID:GUoSRARyO
('、`*川「ねえ」


気まずい(僕がそう感じているだけだが)空気をきりさくように彼女が話しかけてきた。
僕はなに? と返す。


('、`*川「世界が終わるとしたら、何をする?」


僕は、プッと吹き出した。
そしてニヤリと笑った。


( ゚∀゚)「不謹慎だ」

('、`*川「あら、そうかしら。なかなか建設的な話題かと思うけど」


彼女もにこりと笑いながら話す。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 22:52:00.29 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「そうだな……」


僕は大して使ったことのない脳みそをフル回転させる。
あれこれ考えても答えは出そうにない。
だから頭にふっ、と浮かんだフレーズをそのまま口にした。


( ゚∀゚)「おっぱいが揉みたい」

('、`*川「もへぇっ」


彼女は僕の突然の言葉に驚いたのだろうか。
煙草の煙で盛大に蒸せた。
げほごほと咳をする彼女の背中をさする。


('、`*川「ふふ……あはは! おかしいわよそれ!」


ひとしきり蒸せたあと今度は盛大に笑い出した。
こんなに笑った彼女を見るのは初めてだ。


( ゚∀゚)「そうかな。人間の三大欲求は睡眠欲、食欲、性欲だ。それを考えると当然だよ」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 22:57:26.46 ID:GUoSRARyO
そんな僕の言葉にも彼女はあーおかしい、と笑い続ける。
どうやら彼女のツボに入ったらしい。


('、`*川「なに? 長岡くんもしかしておっぱい揉んだことないの?」


彼女が笑った勢いで出た涙を拭いながら聞く。
これは失礼な質問だな、と思いながら答えた。


( ゚∀゚)「まさか。プロ野球選手は君が思ってる以上にモテるんだぜ」

('、`*川「すごくモテる?」

( ゚∀゚)「すごくすごくモテる」


実際そうだった。
プロ野球選手という肩書きは矮小な僕の存在を10倍ぐらいに引き上げた。
その肩書きを捨てた今は関係ないが。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:02:38.57 ID:GUoSRARyO
('、`*川「じゃあなんで? なんでおっぱい揉みたいの?」

( ゚∀゚)「……」


彼女は興味津々と言った感じで食いついてくる。
正直あまり考えて発言したのではなかったのだが。
だいたい一生懸命考えておっぱいなんて言うのは変態だけだろう。


( ゚∀゚)「あー……付け足す言葉を忘れた」

('、`*川「?」

( ゚∀゚)「『君の』おっぱいが揉みたい」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:04:34.31 ID:GUoSRARyO
('、`*川「……」

( ゚∀゚)「……」

('、`*川「……」

( ゚∀゚)「……」


……あれ。
なんだか、急に会話が止まる。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:08:03.89 ID:GUoSRARyO
('、`*川「……」

( ゚∀゚)「……」

('、`*川「……」

( ゚∀゚)「……」


気まずい。
こんなに気まずいのはノーアウト満塁でトリプルプレーを打ってしまった時以来だ。


( ゚∀゚)「……ごめんなさい」

('、`*川「……いいよ、別に」

( ゚∀゚)「え」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:12:07.28 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「え、それは揉んでいいと」

('、`*川「違うわよバカ。『ごめん』に対しての『いいよ』よ」

( ゚∀゚)「あ、ああ……」


恥ずかしい。
これでは思春期真っ盛りの少年となんら変わりはない。
自分も20代を半分過ぎた年である。
このまま彼女に『思春期男』の烙印を押されてはたまらない。


( ゚∀゚)「違うんだよ、本気じゃないよ、盛り上がると思ってね」

('、`*川「……ふふ」

( ゚∀゚)「?」

('、`*川「変わんないね。長岡くんは」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:18:10.47 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「は、はあ」


『変わんないね。』どういう意味だろうか。
『(思春期の男子と)変わんないね。』という意味だろうか。
それはダメだ。断固否定しなければ。


( ゚∀゚)「いや、あの」

('、`*川「わかってるよ。ちょっとイジワルしただけ。気にしてないよ」

( ゚∀゚)「……あ、そう」


疲れがドッと出る。
そういえばつき合っていた時もこうしてイジワルされていたような気がする。


('、`*川「さて、そろそろ帰るね」


うーんと伸びをしながら彼女は言った。
空を見れば高く昇っていた日も大分傾いている。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:25:47.67 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「送るよ」

('、`*川「そう? ありがとう」


以外にも彼女はあっさりと送ることを了承してくれた。
てっきり断られると思ったのだが。


('、`*川「ねえ」

( ゚∀゚)「ん?」


彼女の家に歩く途中、彼女が話しかけてきた。


('、`*川「通算安打402ってさ、中途半端じゃない?」

( ゚∀゚)「……」


しばらく何の話をしているかわからなかったが、さっきした自分の記録の話だとわかった。
概要が掴めただけで理解はまだ出来ないが。


( ゚∀゚)「中途半端、とは」

('、`*川「だって、402ってさ、400からは2本多いし、500からは離れすぎじゃない」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:31:49.87 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「んー……」


しばらく考えた。
5年間の成績とはいえ通算安打402本は決して良い数字ではない。
でもだからなんだというのか。
もう辞めたからどうでもいいではないか。


('、`*川「それにさ、私長岡くんが野球してるとこ見たことないんだ」

( ゚∀゚)「え、甲子園の時は?」

('、`*川「私予備校に通ってたから。結果は確認したけど見たことはないの」


へえ、と思った。
甲子園は全国中継されるし、プロでも中継されるときはある。
それなのに彼女が僕の野球姿を見たことが無いというのは意外だった。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:37:38.88 ID:GUoSRARyO
('、`*川「見せてよ。長岡くんが野球してるとこ」

( ゚∀゚)「いや、俺は……」

('、`*川「辞めたから、なんて言い訳ダメだよ。乙女へのセクハラ行為の代償よ」

( ゚∀゚)「むう」


痛いところを突かれてしまった。
だいたい気にしてないのではなかったのか。
彼女は相当に根に持つタイプなのかもしれない。
やがてまあまあ立派なマンションの前で彼女は立ち止まった。


('、`*川「はい、到着。野球のこと考えといてね」

( ゚∀゚)「……うん」

('、`*川「……もう、なんだか元気無いなあ……そうだ」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:44:52.70 ID:GUoSRARyO
('、`*川「野球してるとこ見せてくれたらおっぱい見せてあげるよ」

( ゚∀゚)「もへぇっ」


今度は僕が蒸せてしまった。
一応は元彼の僕にそんなことを言うとは彼女の羞恥心は無いに等しいかもしれない。


('、`*川「はい」


そんなことを考えていると彼女が携帯を差し出してきた。
よくわからない行動に首を傾げる。


('、`*川「なにしてんのよ、赤外線よ赤外線」

( ゚∀゚)「ああ……そういうこと」


僕もならって携帯を差し出す。
その時、彼女のシャツから胸の谷間がチラリと見えた。
その時僕はなぜか劣情を催した。
本当になぜかはわからない。まるで思春期真っ盛りの男子のように。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:50:38.70 ID:GUoSRARyO
('、`*川「……」


その時僕と彼女の目があった。
気まずくなった僕はとっさに目をそらす。


('、`*川「……ふふ」


ニヤニヤと彼女が笑う。
これはまた彼女にイジワルの種を与えてしまったかもしれない。


('、`*川「じゃあ。野球するときは連絡してね」

そうして彼女は気まずい僕を置いてけぼりにしてオートロックの中に消えていった。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/19(日) 23:56:48.33 ID:GUoSRARyO
( ゚∀゚)「……つーわけなんだよ」

(´・ω・`)「ふうん」

( ゚∀゚)「ちゃんと聞いてた?」

(´・ω・`)「iPodの辺りまで」

( ゚∀゚)「全然聞いて無いじゃん」


居酒屋。この街で営業している唯一と言っていい居酒屋だ。
そこに僕はプロ野球時代の同僚を呼んだ。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:04:36.35 ID:Hvlt6edxO
(´・ω・`)「やればいいじゃないか」

( ゚∀゚)「今更帰れるかよ」


本心からの言葉だった。
辞めた人間が軽々しく戻ってはいけないのだ。


(´・ω・`)「いや、戻ってる人結構いるよ」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:11:13.15 ID:Hvlt6edxO
( ゚∀゚)「え」

(´・ω・`)「暇なんだろうね、結局。もう入場料も取ってないから仕事にはならないけどさ」


入場料を取らないとは聞いていた。
そもそも世界の終わりが近づいている今では貨幣など正に紙屑に過ぎない。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:16:59.35 ID:Hvlt6edxO
(´・ω・`)「楽しいよ。今は本当の野球好きしかいないからね」

( ゚∀゚)「……なあ」

(´・ω・`)「ん?」

( ゚∀゚)「お前、通算安打何本?」

(´・ω・`)「なんだよ急に。……562本だよ」


驚いた。現役時代はこいつは自分より大分下にいたのに。
やはり辞めてからの月日は大きいということだろうか。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:24:48.28 ID:Hvlt6edxO
( ゚∀゚)「……そっか。考えとくよ」

(´・ω・`)「ああ。でも戻ってこなくていいよ。お前とはポジションが被ってるからな」


胸がジンと来た。
これはこいつなりの歓迎の言葉なんだろう。
ともすれば涙が出そうになる。
しかし強がる。こいつは彼女と同じタイプだ。涙など見せればからかわれるに決まっている。


( ゚∀゚)「なんだよ、ブランクある奴に負ける気か」

(´・ω・`)「うるせえよ。……そうだ、質問していいか」

( ゚∀゚)「なんだ」


やけに神妙な面もちでこちらを見る目の前の男。
思わずたたずまいを直してしまう。


(´・ω・`)「お前に取って、野球とはなんだ?」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:34:19.67 ID:Hvlt6edxO
( ゚∀゚)「んー……」

たたずまいを直した割にはなんてことない質問だ。
しかし答えづらい質問ではある。


( ゚∀゚)「人生……とかじゃねえの。ありきたりだけどな」

(´・ω・`)「ふうん」

( ゚∀゚)「なんだよ」

(´・ω・`)「本当にありきたりだな、と思って」


出かけた涙は涸れた。
やっぱりこいつはただの嫌な奴かもしれない。


( ゚∀゚)「そういうお前はどうなんだよ」

(´・ω・`)「うーん」


ありきたりな答えならフルボッコにしてやろう。

(´・ω・`)「一番長く続いた習い事かな」

残念ながらフルボッコには出来なかった。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:41:15.29 ID:Hvlt6edxO
( ゚∀゚)「……」


河川敷に設置された野球場。
そこでは子どもたちが野球をしている。
……いや、正確には子どもだけではないのだが。


( ・∀・)「おらあ!!」

カキーン!!


( ・∀・)「うわあああああああ」


ひとりだけおっさんがいる。
おっさんがピッチャーをしている。
ピッチャーが滅多打ちされている。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:50:36.32 ID:Hvlt6edxO
「ボール取ってくださーい!」


子どもの声にそっちを見ると、なるほどボールが転がってきている。
ランナーがホームに突入しようとしている。


( ゚∀゚)「オッケー」


左手で転がってきたボールを取り、勢いをつけてボールを右手で投げる。放たれたボールは低い弾道を保ってホームベースへと向かっていく。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 00:58:13.85 ID:Hvlt6edxO
ボールは青空にグングンと溶けるように伸びていく。
糸を引くように伸びるボールはキャッチャーのミットに収まった。
そしてランナーはベースにタッチする前にキャッチャーにタッチされた。

「すげー!」
「ピッチャーのおっさんよりすげー!」
「なんだとコラー!」
「うわあああ! 追いかけてきたー!」


子どもたちの歓声が耳に心地いい。
このとき自分は気づいた。


( ゚∀゚)「俺やっぱり、野球好きだわ」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 01:06:26.21 ID:Hvlt6edxO
「あの! 野球やって行きませんか?」

( ゚∀゚)「んー」


考えた。
別にやっていってもいいが、先にプロ野球に帰る連絡をしてもいいかもしれない。


( ゚∀゚)「ごめん、行くとこあるから」

「そうですか……俺らだいたいここにいるから! 暇なとき来てね!」

( ゚∀゚)「うん、ごめんな」


河川敷の坂を登る。
登った先に見知った顔があった。


('、`*川「ふふふ」


彼女の顔があった。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 01:13:52.74 ID:Hvlt6edxO
('、`*川「なんだよ、野球やってるんじゃないか」


彼女がニヤニヤしながら聞いてくる。


( ゚∀゚)「まあね」

('、`*川「でもプロじゃないからおっぱいはまだだね」

( ゚∀゚)「残念だよ」


あの時、僕は勃起した。
だったら僕は勃起したものを鎮めなければならない。
だったらプロになるしかない。仕方ない。


('、`*川「ん」


彼女が僕にひっついてきて上目遣いで僕をみる。
彼女は目を閉じている。
僕はすべてを理解した。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 01:16:14.71 ID:Hvlt6edxO
('、`*川「プロじゃないけど、野球見せてくれたから」

( ゚∀゚)「わかった」

('、`*川「もう私は勉強もしなくていいし」

( ゚∀゚)「わかった」


僕は、彼女とキスをした。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 01:29:32.91 ID:Hvlt6edxO
『先攻、ニュー速ヴィッパーズの攻撃は、1番、ライト、長岡』


心地いいアナウンスを耳に入れる。
懐かしい入場曲が流れる。
Mr.Childrenの「未来」だ。
世界が終わるというのに不謹慎だろうか。


( ゚∀゚)(知らねーっつの)


始球式が終わる。
守備に選手がつく。
無料とあって観客席は満員だ。
この中に彼女もいるだろう。


( ゚∀゚)「さーて初打席だ」


歓声が耳にしみる。
マウンドには21勝投手の畑山が登る。
バッターボックスに入る。心臓がドキドキする――。

空には、輝きすぎている星が一つ、輝いている。







90 名前: ◆5Ws6J0OZQE :2009/04/20(月) 01:30:49.88 ID:Hvlt6edxO
終わりです。
深夜です。月曜です。
寝ましょう。


投下中の注意書きより
9 名前: ◆5Ws6J0OZQE :2009/04/19(日) 21:16:46.89 ID:GUoSRARyO
※この文章は伊坂幸太郎氏の作品「終末のフール」を一部設定を参考にしています。

また、文章中に実在の野球選手の言葉が引用されている箇所があります。

あらかじめ、ご了承ください。



元スレ:( ゚∀゚)はiPodが壊れたのでおっぱいが揉みたいようです(リンク先( ^ω^)ブーン系小説とか読み物とかの倉庫様)

関連作:('A`)ハッピーバースデイ川 ゚ -゚)マイベイビーのようです


元ネタ:伊坂幸太郎/著 『終末のフール』 集英社 2006
[ 2014/07/07 14:25 ] シリーズもの | TB(0) | CM(0)

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