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『The Three Robbersのようです』

2 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:11:40 ID:p8J1fFIE0
―あるところに、三人の泥棒がおったと―


絵本『すてきな三にんぐみ』より




『The Three Robbersのようです』



.

3 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:13:34 ID:p8J1fFIE0
夜の荒野に、一際賑やかな場所があった
下品な笑い声と、酒の臭い
じゃらりじゃらりと響く金品の音


(,*゚Д゚)「ギコハハハハ!!久しぶりの大もうけだぜ!!」


袋の中の金貨を掬っては落とす
こういう乱雑な金の扱い方をするような連中は大抵
『大富豪』か『盗賊』と、相場が決まっている


(*´・_ゝ・`)「しっかしちょろいキャラバンでしたね。二人ほど殺しただけで蜘蛛の子散らすように逃げちまうんですから」

£°ゞ°)「これで女の一人や二人いりゃあ、文句は無かったんだけどよ!!」

(*^^)「ちげえねえや!!ギャハハハハ!!!」


今日の収穫の話をしながら、浴びるように酒を飲む盗賊たち。その数はおよそ三十ほど
焚き火が照らすその姿は、誰も彼もが小汚い無精ひげを生やし、ろくに風呂も入ってそうにない如何にもな連中ばかりだ


£°ゞ°)「しっかし、お頭たちはいいよなあ!!今晩は娼館に泊り込んでのお楽しみなんてよ!!」

(,*゚Д゚)「そう文句を垂れるなよロミス!!こうやって良い酒を飲めるのは全てお頭のお陰なんだからよ!!」

(・∀ ・*)「それに俺達も明日になりゃあ街に行ってしっぽり楽しめるんだからな!!今晩は金を肴に飲み明かそうじゃねえか!!」


どうやら、この盗賊団は二手に分かれているらしい
お頭とやらと先に街で楽しんでいる精鋭隊と、膨大な収穫を街へ運ぶ下っ端部隊
物量の差から生じる馬速の違いで、下っ端たちが街に到着するのは明日となった


(,,*゚Д゚)「乾杯だァ!!偉大なる頭首、『禿鷹のクックル』様になぁ!!」


酒盛りは夜通し続くかに見えたが
焚き火が小さくなるにつれて、盗賊たちは次々と眠りに着き
下品な笑い声や歌声は、いつの間にか全ていびきに変わっていた

5 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:15:31 ID:p8J1fFIE0










「…寝たか?」

「寝たお。いくら人数が多いからって気ィ抜きすぎだお。見張りすらへべれけになっちまってる」

「ボクは別のモノを抜きまくってますけどねーーーーーーーーーーーーー」

「そうか、死ね」

「死ねお」

「お前らが死ね」


暗闇から、三人の男の声
その姿は闇に紛れて見えないが、手にする得物は雲の隙間から差した月明かりが辛うじて照らしていた


一人目は、クロスボウ
二人目は、胡椒吹き
三人目は、赤い大きな斧


真っ黒な三人組は、盗賊を起さないよう、そろり、そろりと近づいていった


「いいか?いつもの手筈で行くぞ」

「おk」

「ばっちこいや」

6 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:16:56 ID:p8J1fFIE0
クロスボウの男は、盗賊が奪った荷馬車にそっと乗り込んだ
その中には、奴らが抱き枕にしている金貨の袋よりもっと多いお宝が積まれていた

胡椒吹きの男は荷台に乗り込み、筒に詰まった特性の『くしゃみ粉』を取り出し、装填
そして、蛇腹を大きく開いて空気を吸い込み、斧の男に合図を送った

斧の男は、馬達を繋ぎとめている木製の杭に向かって
赤い大きな斧を振り上げた

そのまま、タイミングを待つ
『シュッ、シュッ』と、空気を吐き出す音を数える
胡椒吹きから、くしゃみ粉が舞い飛ぶ

音の数が十に達すると、斧を振り下ろした
杭は容易く粉砕され、音に驚いた馬は嘶きを上げて四方八方に逃げ出した

7 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:18:26 ID:p8J1fFIE0
(,;゚Д-)そ「んごっ!!なんだ!?」


当然、盗賊たちも飛び起きる
斧の男は素早く馬車に乗り込むと、高らかに叫んだ


「敵襲だああああああああ!!!敵襲!!」


(・∀ ・;)「マジかっくしょおい!!へっくしょおい!!」

£;°ゞ°)「へぁっ…くしゃみとまブシュッ!!!」


そこら中に撒き散らされたくしゃみ粉で、盗賊たちは集中を乱される


(;^^)「馬が逃げてるへーちょ!!へーちょい!!」

(,;゚Д゚)「なっ…冗談じゃっくしょい!!」


混乱に乗じ、馬車馬の尻を手綱で叩いて走らせる


(;´・_ゝ・`)「見ろ!!奪った馬車も逃げてくっしょい!!」

(,;゚Д゚)「ばっかしょい!!はっくしょい追いかけろ!!ボスに殺されっしょい!!」

£;°ゞ°)「ちっくしょい!!早く馬を追いかけっしょい!!」

(・∀ ・;)「敵っしょうちくしょう!!どうすんだ殺さっしょう!!」


右往左往としている内に、馬車はグングンとスピードを上げ、遠ざかった


(,;゚Д゚)「く、クソがっしょい!!!!」


こうして、驚くほどあっさりと、盗賊から宝を盗み出すのに成功したのである

8 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:43:16 ID:p8J1fFIE0
―――――
―――



('A`)「今回の報酬は上々だな、金貨の風呂に入れらぁ」

(´^ω^`)「いやー、やっぱ盗みは賊に限るね!!たんまり持ってるし、何より心が痛まない!!」

( ^ω^)「悪銭身につかず!!悪者に盗まれた金を俺達がまた盗む!!これはもう正義と言っても過言では無いお!!」

(´^ω^`)「全くだ!!悪党はウンコでも食ってろーーーーーー!!」


黒い帽子、黒いマントの三人組は、『盗賊専門』の泥棒であった
普通に考えれば、一般人から盗むより難しいように見える
しかし、彼らはその認識を逆手に取った

大人数でいる事から生じる『油断』と、仕事を終えた後に訪れる『気の緩み』
そして、まさか自分達が盗みに遭いなどしないだろうという『思い込み』
盗賊を警戒し、警備を固めているキャラバンを狙うより、遥かにやり易いのだ

それに加え、盗賊相手なら良心も咎めない
金の持ち主が一般人だったとしても、盗む時は悪党が持っていたものだ
『悪党から物を盗んで何が悪い』と、猛々しい自論を持ち合わせていた

9 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:44:28 ID:p8J1fFIE0
しかし、やはり同業者からの盗みは高いリスクが伴う
足跡を追跡される場合が殆どだ。だから、三人の仕事はまだ終わっていない


( ^ω^)「それにしても、今回はチョロかったお」


馬車の運転を交代した『胡椒吹き』が笑う
彼の仕事はくしゃみ粉を撒き散らして、辺りを混乱させること
腰には剣がぶら下がっているが、使う機会は滅多に無い


(´^ω^`)「もうベロンベロンに酔ってたしな!!見張りが眠ってたのはある意味じゃ運がいいぜ!!なぁドクオ!!」


『赤い大きな斧』の持ち主は、金貨が入った木箱を陽気に叩いた
彼の仕事は主に破壊工作
今回は馬の留め杭を破壊して、盗賊の機動力を奪った


('A`)「まー、そうだな」


ドクオと呼ばれた『クロスボウ』の男は、金勘定をしながら応えた
彼の仕事は偵察と、見張りの処理
もし今回の盗みで見張りが『仕事をしていたら』、秘密裏に始末しなければならない所だった

10 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:46:44 ID:p8J1fFIE0
( ^ω^)「おっ、着いたお」


暫く走り続けた後、予め準備していた場所で止まった
ゴーストタウンと化した廃村に、『別の馬車』を用意していたのだ


('A`)「うっし、仕事はまだあるぞ。サッサと積み換えて帰ろうぜ」

(´・ω・`)「酒盛りはアジトでねっと…」

( ^ω^)「おっおwww今回の事件であいつらも…」


運転手が馬車から降り、馬留めに縄を掛ける
その時、『シュッ』と空気を切り裂く音が聞こえ
馬車の中にある木箱に突き刺さった


(;^ω^)そ「て、敵襲!!」

(;'A`)「見れば分かるよクソッタレ!!うおっ!!」


馬が驚いて飛び跳ね、宝が入った袋が地面に落ちて派手に音を立てる
馬車から飛び出た三人は、それぞれの武器を持って近くの民家に身を潜めた


(;´・ω・`)「先回りか…?」

(;'A`)「そんな筈ねえと思うがな…」

(;^ω^)「ど、どうするお?」

(;'A`)「落ち着け…恐らく、さっきのは威嚇射撃か、ただ単に外しただけだ。現に、追撃が来ない。俺達をぶっ殺したいならもっと撃ってくるはずだ」

(´・ω・`)「どうする?逃げる?ぶっ殺す?」

(;'A`)「両極端だな……奴さんはここを夜営にしてると思われるが、俺らだってここに用があるんだよな…」

(;^ω^)「話し合いが出来る相手なら…」

11 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:47:34 ID:p8J1fFIE0
などと相談を交わしていると


「おい!!そこの馬車!!」


矢を撃った張本人と思われる人物の怒鳴り声が響いた


「馬車を置いて消えな!!命だけは見逃してやるからよ!!」


この脅しで、三人の腹が決まった
こいつらは『同業者』で、敵意剥き出し
話し合いなど、到底無理だと


('A`)「…」

(´・ω・`)「…」


ドクオが民家の屋根を指差すと、斧の男は壁に背を向けしゃがんで両手を組む
そこに片足を掛け、下からの押し上げによって一気に跳びあがる
音を抑えて屋根に着地すると、うつぶせに寝そべりクロスボウを構えた


(´・ω・`)「…」

( ^ω^)「…」


斧の男は右へ向き、胡椒吹きは剣を抜いて左を向いた
そして、『音』を待った

12 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:52:01 ID:p8J1fFIE0
('A`)「…」


木箱に突き刺さった矢の角度から見るに、射手は平地にいる
屋根に昇った音は、恐らく気付かれていない
その気だとわかったのなら、追撃をしてくるはず

相手は『少人数』だと予想した
多数いるのなら、脅しなど吹っ掛けなくても全員で囲って殺ればいい
狩場にホイホイと迷い込んだ獲物に、情けをかける必要は無い


('A`)「…」


夜目が利いてくると、ドクオが立てた予想が的中
別の民家の陰からチラチラ馬車を伺う弓を持った男を発見した
トリガーに指を掛けたまま、仲間を探す
間も無くして、弓の男が誰かと静かに会話するのが聞こえ、その後ろに一人潜んでいることが分かった


('A`)「…わ、わかった!!俺達は逃げる!!頼むから殺さないでくれぇ!!」


下で吹き出す声が聞こえ、ドクオは静かに舌打ちした
『バレたらどうすんだ』という怒りを込めて


弓の男は、尚も警戒する素振りを見せたが
潜んでいた一人の気が緩んだのか、陰から姿を見せた


('A`)「マヌケが」


クロスボウの弦がビンと音を立て、矢が放たれる
一瞬の間を置いて、射線上の男の頭が弾けた

13 :あきつ丸出た:2013/12/25(水) 01:53:43 ID:p8J1fFIE0
('A`)「…」


すかさず弦を引き、二本目の矢を装填する


「や、野郎!!やりやがったな!!殺す!!殺してやる!!」

「おいどうした!!何があったハイター!?」

「マーティンがやられた!!チクショウあいつら、騙しやがった!!」


弓の男が狼狽する声を聞いて、下の二人が動き出す
ドクオはその足音を耳にすると、弓の男が隠れる民家へ威嚇射撃をした


「このド畜生が!!」


反撃で放たれた矢が、ドクオが昇る屋根の民家に突き刺さる
向こうもこちらの居場所を割り出したのだろう
次々と民家へと矢が突き刺さる中、ドクオは三発目の準備をした


('A`)(バカ野郎が…)


注意は、完全にこちらへ向いていた

14 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:55:19 ID:p8J1fFIE0
「ギャッ!!」


『ハイター』の声ではない、その名を呼んだ別の人物だろう
『断末魔』だけ聞こえたことから、『胡椒吹き』がやったと思われる


「どうしたヴィクター!?ヴィッ…」


ハイターの上半身が、民家の陰からゴロリと転がった
この派手な殺し方は、『斧の男』の仕業だろう


('A`)「……」


(´^ω^`)「僕でーーーーーーーーーーーーす!!!!!!!」


('A`)(うるせえよ…)


斧の男が、ドクオの視界へと現れる
彼を襲いに、残りの敵が現れるかどうか暫く警戒していたが


( ^ω^)「クリア!!クリアだお!!」


見回りを済ませた胡椒吹きの声を聞き、緊張で肺に溜め込んだ空気を一気に吐き出した


( ^ω^)「でも問題があるお!!お前ら早く来いお!!何してんだよ遅ぇんだよクソノロマ野郎共が!!早いのは夜だけか!?」


そして調子に乗ってる胡椒吹きをぶん殴る事に決めた

15 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:57:03 ID:p8J1fFIE0
( メ)ω^)「何もそこまでムキにならなくてもいいと思うの」

('A`)「お前は余計な一言が多いんだよ…で、何が問題なんだ?」


奴らが寝床にしていたであろう、ランプの灯りのついた民家の前に集まる
血を派手に浴びた斧の男は、井戸の水を汲んで汚れを落とす


(*´・ω・`)「やだ…あっち向いててよね!!」


服を脱いで恥らう斧の男をスルーし、二人は会話を続けた


( ^ω^)「どうやらあいつら、とんでもないもんで生計立ててるようだお」

('A`)「あー?貴族御用達の危ないハッパとかか?」

( ^ω^)「それならまだマシだお。火にくべて処理しちまえばいいんだからな」


ハァとため息を吐いて、民家のドアを開けた


('A`)「…」

(´・ω・`)「…なるほど、連中は『人買い』か」

('A`)「…こいつぁ、火にくべるワケにゃいかねえな」




ζ(゚ー゚*ζ「…」




縄で簀巻きにされた、金髪の髪とブルーの瞳がとても特徴的な十歳くらいの『女の子』
その顔はとても端整で、マエストロが造りだしたドールと言っても違和感が無いくらいだ
どう見てもあの連中の仲間とは思えなかった

16 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 01:58:42 ID:p8J1fFIE0
(;´・ω・`)「やっべ…嫁入り前の女の子に逞しい上半身見せちゃったよ…これアレかな?責任取らないといけない奴かな?」

('A`)「ああ、腹切って詫び入れた方がいいわ」

(;´・ω・`)「辛辣ゥ…」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、あの…」


おずおずと女の子が口を開く


ζ(゚ー゚*ζ「おじさん達、誰?」

(´^ω^`)「おじさんはねえ~変態おじさんなんだよ~?お嬢ちゃんの可愛い二つの突起ペロリンチョしちゃうぞ~」

( ^ω^)「お前大概にしとけお」

('A`)「嬢ちゃんよ、人に誰かを尋ねる前に、先ず自己紹介しろってかーちゃんに教わらなかったか?」

ζ(゚ー゚*ζ「おかーさん?いなかったよ?」

('A`)「じゃあとーちゃんでもいいわ。どうなんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさんは、私を売ってお金にした…」

(;'A`)「…お前んちどうしようもねえな」

( ^ω^)「お名前は?」

ζ(゚ー゚*ζ「私、デレ!!デレ・マクリーヌ!!」

( ^ω^)「おーう、元気なお嬢ちゃんだお」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方達は?」



( ^ω^)「俺はブーン、ブーン・ボーヒーズ」

(´・ω・`)「変態おじさんはショボン・マイヤーズってんだ」

('A`)「ドクオ・クルーガーだ」


真っ黒姿の三人組はそれぞれ自己紹介して、甲斐甲斐しく頭を下げた
その様子がどこか可笑しくて、デレはクスクスと笑った

17 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:01:30 ID:p8J1fFIE0
ζ(゚ー゚*ζ「それで、変態おじさん達は私をどうするつもりなのかしら?」

('A`)「おいこいつらと一緒にすんな」

( ^ω^)「なんで俺もこいつと同等なんだお」

(´・ω・`)「あ?俺がハイレベル過ぎてお前らがクソなだけだろうが」


あわや殴り合い寸前の状況でも、デレは構わず言葉を進める


ζ(゚ー゚*ζ「私を買った人達、殺したのよね?だったら、私はもう貴方達の『物』」

ζ(゚ー゚*ζ「本当は奴隷として貴族に売られる手筈だったけど、おじさん達はどうするの?」

ζ(゚ー゚*ζ「売る?それとも慰み者として飼う?それとも…」

('A`)「おいおいおいおい、随分擦れたガキだな」

(´・ω・`)「俺達は悪党のつもりだが、子供をどうこうするようなクズじゃあないぜ?」


心外だ、とショボンは頭を掻いて、腰に差してある短刀を引き抜いた
それを見てデレは、表情こそ変えなかったが、明らかに体がビクリと跳ねた


(´・ω・`)「縄を切るだけさ。心配いらねえよ」


デレの体を傷つけないように、慎重に縄にナイフを走らせる
ブツリと縄が切れると、ショボンはひょいとデレの体を抱き上げた

18 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:03:00 ID:p8J1fFIE0
(´・ω・`)「全く、レディに対する扱いじゃねえぜ…」

ζ(゚ー゚;ζ「ど、どうするつもりなの?」

('A`)「どうもこうもしねえよ…サッサとこの場所から離れねえとマズいんでな」

( ^ω^)「こんな湿気た場所にお嬢さん一人置いていくほど見下げた連中じゃないんだお。とりあえず、連れて行ってから処遇を考えるお」

ζ(゚ー゚;ζ「えっと…?」


自分の思っていた展開と違っていたからか、デレはそれ以上何も言わず、ただされるがままに連れて行かれた
三人が隠していた馬車に乗せられ、おんぼろの服の代わりに赤いマントと帽子を着せられ
ふかふかのクッションの上に座らされて、小さなちょうちん袋を手渡された
甘い香りが漂うそれを開いてみると、中には琥珀色のお菓子がぎっしりと詰まっていた
それを一つ口に入れると、滅多に口に出来ない蜂蜜の濃厚な味が口いっぱいに広がった


ζ(゚ー゚*ζ「ほわ…」


三人の男たちはと言うと


('A`)「なんて、カッコつけたものの…実際どうすりゃいいのかね…」


思わぬ拾い物をどうするか、荷物を入れ替えながら相談していた


(´・ω・`)「あの子の家に帰すわけにもいかないだろ。実の子を売るようなクソ野郎だ。反吐が出るぜ」

( ^ω^)「それに聞いたかよあの言葉。売るだの慰み者だの、あの歳で口にするようなもんじゃねえお」


普通の家庭の子供なら、まだまだ親に甘えたい盛りだ
それなのにデレは、全てを諦めたような顔をして、どんな境遇でも受け入れるような態度をしていた


('A`)「…女の子だもんなぁ、俺らみたいな不細工な野郎なら、口減らしに捨てられて終わりだが、あんだけ可愛いと、また別の辛さがあるんだろうな」


かく言う彼らも、親に捨てられた境遇の持ち主だ
それぞれ、別の場所と別の理由で捨てられた三人が偶然集まって
そして、生きるために『盗み』を覚えた


( ^ω^)「全く、この世は弱いもんに優しくねえ世界だお…」

19 :やばいあきつ丸クッソかわいい:2013/12/25(水) 02:04:44 ID:p8J1fFIE0
(´・ω・`)「な~にしんみりしてやがるんだこの不細工共」

('A`)「お前が言うな」

( ^ω^)「お前が言うな」

(´・ω・`)「過去にどんなことがあろうと、今が良ければそれで良しだろうが。俺はクソ親を今でも許せそうにねえが、少なくとも捨てられたお陰でお前らには会えたんだからよ」


二人の作業する手がピタリと止まる
その顔は、信じられないという驚愕の表情のまま固まっていた


(´^ω^`)「なっ?」ニコヤカ

(;'A`)「…おいブーン、やっぱあの人買い共、ヤバいハッパも持ってたんだろ?」

(;^ω^)「そ、そうかもしれねえお…じゃないと、ショボンがこんな気持ち悪いこと言うはずが無い…」

(;´・ω・`)「たまにいい事を言うとコレだよ…ほら、サッサと済ませようぜ。今回はもう一つ馬車があるんだから、楽に撒けそうだ」

20 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:05:57 ID:p8J1fFIE0
三人は、価値が高そうな宝物を馬車に詰めると
半分ほど宝が残る馬車の馬の尻を叩いて、独りでに走らせた


ζ(゚ー゚*ζ「ねえねえ」

(;'A`)そ「うおぃびっくりしたァ!!」


退屈したのか、いつの間にか馬車を降りて三人を観察していたデレは
近くに居たドクオの袖を引っ張って呼び止める


ζ(゚ー゚*ζ「どうして宝物を全部詰め替えないの?」

(;'A`)「あー…それはだな、俺ら三人じゃあんなに沢山あっても手に余るから、『とりあえずこれだけ戴いて』後は持ち主である盗賊にに返すんだ」

(´・ω・`)「それだけじゃねえぜ。盗賊ってのは単純な連中が多いから、元ある馬車の跡をただひたすら追いかける。そっちに目が行ってる内に、俺らは別の馬車でトンズラするってワケさ」

( ^ω^)「様はかく乱と、『宝物が残っててラッキー』と思わせるのが目的だお。全部無くなったと思ってた宝物が、半分でも残ってたら儲け物だし、どこかに消えた半分を追うより、新しい獲物を狙ったほうが早いからNE!!」

ζ(゚ー゚*ζ「ふ~ん…盗賊から宝物を盗んでるんだ…」

(´^ω^`)「かっこええやろ?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとね」

(*´^ω^`)「マジ天使や…おじさん本気になっちゃいそう…」

21 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:07:59 ID:p8J1fFIE0
(;'A`)「おいおい、お前そっちの気があったのかよ…」

(´・ω・`)「いや、俺ずっとゲイだけどな」

( ^ω^)「知りたくなかったそんなカミングアウト」

('A`)「バカ言ってねえでサッサとずらかろうぜ。朝には街に着いときたいしな」


ドクオはデレの手を引いて、馬車へと歩いた
ブーンは小走りで人買いの馬車へと向かい、馬の尻を叩いて走らせる
ショボンは、血の付いた斧に水をぶっ掛けて肩に担いだ


('A`)「さてと…お嬢ちゃん」

ζ(゚ー゚*ζ「デレだよ?」

('A`)「そうだったな、デレ。最後に一つ確認しとくが…」

('A`)「お前のとーちゃんの元に帰るか、貴族に買われるか、それとも俺らと一緒に来るか。お前が選べ」


デレは、少し躊躇いがちに顔を伏せた後
心から楽しそうな笑顔で


ζ(^ー^*ζ「おじさん達と一緒がいい!!なんだか楽しそうだもん!!」


はつらつと答えた


('A`)「ようし、いい返事だ」

(´^ω^`)「おっ、なんだなんだ?おじさんと楽しいことしたいって聞こえたけど?」

( ^ω^)「憲兵さんこっちです」


遅れて、二人が乗り込むと
ドクオは馬車の手綱を大きく鳴らして


('A`)「それでは、今しばらくむさ苦しい男たちと馬車の旅をお楽しみください」


廃墟の村から、勢い良く出発したのであった

22 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:09:46 ID:p8J1fFIE0
―――――
―――



( ゚∋゚)「それで?」


『馬車が盗まれた』とボスに報告した下っ端は震え上がった
元傭兵団の団長であっただけに、彼らのボスの迫力は凄まじいものだった
筋骨隆々の上半身には、矢傷や刀傷の痕がおびただしく刻まれており、より一層凄みを演出させていた


(’e’;)「ヘ、ヘイ。なんとか馬は回収いたしまして、後を追ってやす。夜明けまでにはなんとか…」

( ゚∋゚)「…」


『禿鷹のクックル』は、半分ほどにまで減った手元のビールを一息に呷り、ゲップを吐き出す
鼻が捻じ曲がるほどの酒気の臭いが、どれほど飲酒をしていたかを物語っていた


( ゚∋゚)「怪我…ねえか?」


樽のジョッキを置き、部下の身を気遣うかのように肩に手を掛ける


(’e’;)「へ…ヘイ!!どういうわけか、怪我人は一人もいやしやせん!!」

( ゚∋゚)「そうか…そりゃなによりだ」


クックルの口角が上がると、釣られて下っ端も笑顔を見せた


( ゚∋゚)「『誰一人怪我することなく』『盗人の姿を見ることもなく』『あっという間に宝を盗まれた』」

(’e’;)「へ…?」


肩に掛ける手の力が、徐々に強まっていく
下っ端は身の危険を感じたが、逃げ出すことも、笑いを解くことも出来ずにいた

23 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:10:58 ID:p8J1fFIE0
( ゚∋゚)「このっ…大マヌケ共が…俺の団にこんなマヌケがいただなんてな…悲しいぜ、なぁ…」

(’e’;)「お…お頭?」


言い忘れていたが、この禿鷹のクックルは

『基本的に全裸である』

肌寒い時と人が多い場所だけ、外套を羽織ることはあるものの
それ以外では、食うときも寝るときもずっと全裸である
今の状況も例外ではなく全裸だ


故に、下っ端は恐ろしいモノを見た


それは、不甲斐ない部下に激昂し、赤く染まる顔でも
筋肉の隆起が盛り上がっていく上半身でもなく


勃ちあがる『ちんこ』だった


( ゚∋゚)「そんなマヌケには、お仕置きしないとなぁ…」

(’e’;)「ちょっ…お頭待っ…」



\アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!/



下っ端の苦痛の叫び声が、『男娼館』の酒場から大きく響き渡った

24 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:12:33 ID:p8J1fFIE0
( ゚∋゚)「ふぅ、やっぱ初物はいいぜ…」

( ゚∀゚)「団長、もう済んだ…」


盗賊団の副長が男娼館に足を踏み入れる
その場の状況を見て、言葉を一瞬詰まらせた


:( e *):「ハァン…テクニシャン…?」

( ゚∀゚)「…ようですね」

( ゚∋゚)「ああ、ここいらの男はもう殆ど掘りつくした」


クックルは立て掛けてあった外套と剣を手に取り、手早く身に着けた
その間に副長が会計を済ませる


N| "゚'` {"゚`lリ「毎度」


スイングドアを勢い良く開け、馬屋に向かって足早に歩いた
その後を副長が続く


( ゚∀゚)「しかしマズイ事になりましたね。まさか盗賊から宝を盗む奴がいるなんて」

( ゚∋゚)「噂には聞いた事があるがな、『盗賊専門の盗賊』」

( ゚∋゚)「最も油断する『仕事を終えた夜』を狙って盗みに来る抜け目の無い奴らよ。見張りは矢で静かに殺され、馬を止める杭は叩き割られ、狙われた連中はくしゃみが止まらなくなる…報告とほぼ一致する」

( ゚∀゚)「十中八九、そいつらの仕業と言うわけですか」

( ゚∋゚)「驚くべきは、そいつらの数はたった『三人』だってことだ」

(;゚∀゚)「三ッ…!?確か、輸送班は三十人居ましたよね?それを、たった三人が?」

( ゚∋゚)「そいつらの更に抜け目ない所が、『大勢いる盗賊団』を狙うって所だ。人数が多ければ多いほど、油断に繋がるって事を知ってな」

26 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:14:35 ID:p8J1fFIE0
(;゚∀゚)「盗人猛々しいと言うか、大胆不敵と言うか…」

( ゚∋゚)「惚れ惚れする手腕だぜ…俺の股間が反応するくらいにな」


クックルの下半身が、体を覆う外套を持ち上げていた


( ゚∋゚)「是非とも生け捕りにして楽しみたいねぇ…」

(;゚∀゚)「当初の目的を忘れんでくださいよ。宝を取り返すのが最優先です」

( ゚∋゚)「全く、お前は傭兵時代からの堅物だな。硬いのはチンコだけでいいんだぜ?」

( ゚∀゚)「生憎、男を抱く趣味は無いもので」


などと、軽口を叩きながら二人は馬の背に跨った
鞍に尻を着けた瞬間、クックルが神妙な声を上げる


(;゚∋゚)「鞍が冷たい…タマが冷えちまうぜ」

(;゚∀゚)(ズボン穿けよ…)


ヤァ!!と馬に気合を入れて、二人は街から出発した
目指すは、宝を盗んだ三人組
禿鷹の追跡が始まった

27 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:15:53 ID:p8J1fFIE0
('A`)「…なんか、ケツに寒気が走った」

( ^ω^)「ズボンに穴開いてんじゃねえかお?」

(´・ω・`)「つまりそこからブチ込め♂ってワケですねわかります」

('A`)「先にてめえのドタマに矢をブチ込んでやるよ」

ζ(゚ー゚*ζ「…」


三人は尻を狙われているなど露知らず
目的地である『エルム街』を目指し馬を走らせていた
馬車の馬は、黒尽くしの男たちと同じ数で『三頭』
盗賊から奪った馬車よりも速く、グングンと夜の道を走る


( ^ω^)「少し時間食っちゃったけど、追っ手は来てるかお?」

('A`)「来てたとしても暫くは追いつけねえさ。それに、こっちの得体の知れない馬車より自分達の馬車を追うだろうよ」


と、言いつつも背後への警戒は怠らない
一瞬の油断が命取りだと言う事を、彼らは良く知っていた
だからこそ、盗賊相手に盗みを行えるのだ


ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、私、ほんとについて来て良かったの?」


馬車を走らせてから黙りこくっていたデレが口を開く


(´・ω・`)「正しくは『つれて来た』な。余計な心配してねえで寝とけ寝とけ」

ζ(゚ー゚*ζ「でも私、何も出来ないよ?鍬も握れないし、薪も割れない。だからおとーさんは私を売ったんだよ?」

28 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:19:02 ID:p8J1fFIE0
それがどうしたと言わんばかりに、ショボンは笑い飛ばす


(´・ω・`)「そりゃあお前、女の仕事じゃねえからさ。人には適材適所ってもんがある」

(´・ω・`)「例えばだ、そこの貧相なドクオが俺様の太くて逞しい斧を振り回して戦うなんて出来ると思うか?」

ζ(゚ー゚*ζ「無理」

(;'A`)「即答かよ…」

( ^ω^)「逆にだお。無駄にでかい図体してるショボンが俺の胡椒吹きを使ってたらどう思うお?」

ζ(゚ー゚*ζ「なんか…変」

(´・ω・`)「その通り。体がデカイ俺は斧で力仕事、目が良いドクオは見張りと射撃、器用貧乏なブーンが陽動と、自分が得意な分野だからこそ最大限に力を発揮できる」

( ^ω^)「おいバカにしてんだろ今の」

(´・ω・`)「何も出来ない人間なんて居ない。誰だって一つくらい取り柄を持っている。それを活かしていけばいいのさ」

ζ(゚ー゚*ζ「私にも、あるのかな?」

(´・ω・`)「何言ってんだ、もう既に持ってるじゃねえか。とびっきりの奴をよ」

ζ(゚ー゚*ζ「?」

(´・ω・`)「その可愛いお顔だよ。時代が時代なら世の皇帝様がこぞって求婚に来るくらいの別嬪だ」

('A`)「ショボンが本格的にキモイ」

( ^ω^)「やっぱこいつハッパ隠し持ってんじゃね?」

(´・ω・`)「お前らは時代が時代ならバケモノ狩りに遭ってる顔面だけどな」

('A`)「良かったいつものショボンだ」

( ^ω^)「ヒヤヒヤさせやがって…」

29 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:20:09 ID:p8J1fFIE0
ζ(゚ー゚*ζ「…」


自分の見た目を褒められたことは何度かあったが、その殆どが卑下た大人達の色欲に塗れたもので
『褒められているのに、全然嬉しくない』と感じていた
だが、ショボンの褒め言葉には、今までの大人には無い『温かさ』を感じた
それと同時に、『嬉しさ』も湧き上がり、デレはいつの間にか安心しきって
クッションを枕に毛布に包まってすやすやと寝息を立てていた

その姿を見て男たちは、こぞって口元で人差し指を立て
朝日が昇るまで口を開くことは無かった

30 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:21:19 ID:p8J1fFIE0
('A`)「ほら、起きな。飯だ」

ζ(- ⊂ζ「ん…」


デレが揺さぶられて目を覚ましたのは、日も高く昇った昼時
既に目的地である『エルム街』へ到着し、三人は一息入れていた
黒い帽子とマントから、普通の服に着替えている


( ^ω^)「ここまで来ればもう九分九厘逃げ切ったも当然だお」

(´・ω・`)「お前それ確立で言えば9.9パーだからな?全然大丈夫じゃないからな?」

( ^ω^)「10パーもあれば上等だろ常識的に考えて…」


馬に水と干草を与え、三人は市で買って来た食べ物っぽいものを口にしていた
デレには、胡桃と蜂蜜のパンと絞りたてのヤギの乳を与えた


( ^ω^)「いやーそれにしても食べ物っぽいものうまいわー…この歯ごたえっぽいものや塩味っぽいのがたまんねえわー」

ζ(゚ー゚;ζ「な、何を食べてるの…?」

( ^ω^)「食う?ちょっと勇気いるけど」

ζ(゚ー゚;ζ「い、いらない…」


デレは三人が食べてる食べ物っぽいものから目を背け、パンに齧り付いた


('A`)「やーっと気が抜けるな、眠てえぜ…それにしても食べ物っぽいものうめえな…この喉ごしっぽいものや腹持ちっぽいものがたまんねえぜ」

ζ(゚ー゚*ζ「なんで?」

(´・ω・`)「往来が多い場所にいけば、馬車の跡が紛れるからな。追跡がほぼ不可能になる…それにしてもこの食べものっぽいものやべえ…クセになりそうな香りっぽいものや舌触りっぽいものがたまらねえ…」

ζ(゚ー゚;ζ「恐いよ……なんなのその食べ物……」

31 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:23:01 ID:p8J1fFIE0
('A`)「さて、しばらくここに滞在するが…それ食ったらお買い物だな」

ζ(゚ー゚*ζ「お買い物?」

('A`)「いつまでもそのスーパー目立つマントと帽子で居るわけにもいかんだろ…服とかなんかいろいろ買いに行くぞ」

ζ(゚ー゚;ζ「あの…お金…」

('A`)「ガキがそんなこと気にしてんじゃねえよ。つーか金なら盗まれるほどあるっつーの」

( ^ω^)「おまwwwww縁起でもねえwwwwww」

ζ(゚ー゚;ζ「んん、でもぉ…」

(´・ω・`)「どうしても気になるというのなら…」

(´^ω^`)「体で払ってもらおうかぁ~ん?ああ~ん?」

ζ(゚ー゚;ζ「えっ…あ、う…」

( ^ω^)「ショボン死ね」

('A`)「ショボン死ね」

(;´・ω・`)「ち、違う!!俺は働いて返してもらおうと思って言っただけだ!!」

('A`)「言い方あるだろうが死ね」

( ^ω^)「ショボン死ね、ほらデレも言ってやれ」

ζ(゚ー゚;ζ「う…ショボンおじさんのばーか!!」

(;´^ω^`)「デレちゃんは可愛いなぁ!!おじさんもうんほほほぅ!!!」

32 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:24:25 ID:p8J1fFIE0
―――――
―――



( ゚∋゚)「…」


その頃、禿鷹のクックル一行は外套を脱ぎ全裸で馬に跨っていた
場所は廃村、日も高く昇り明るくなったそこには


( ゚∀゚)「ちょうど、三人死んでますね…こいつらが犯人でしょうか?」

( ゚∋゚)「違うな…」


クックルは馬を歩かせ、真っ二つになって死んでいる男に近づいた


( ゚∋゚)「先ずはこの男だ、剣でこれほど豪快に斬り飛ばすのは難しい」

( ゚∋゚)「そうだな…斧か何かで切り裂いたんじゃあないか?」

( ゚∀゚)「なるほど…」

( ゚∋゚)「それに、こっちの男」


頭に矢が刺さって死んでいる男に注目する


( ゚∋゚)「倒れた方向と矢の向きから見るに…そうだな、あの屋根から撃たれたんじゃないか?あの高さなら、複数で協力すれば上がれるしな」

( ゚∀゚)「仲間割れではなく、また別の隊による殺害…と」

( ゚∋゚)「…輸送部隊は馬車を追ったようだな」


大勢の馬の足跡と、盗んだ馬車の車輪痕
その他に、二つの車輪痕が残されていた
ちょうどその時


(,,゚Д゚)「お頭、お頭!!盗まれた馬車が見つかりましたぜ!!」


先に追っていた輸送部隊のメンバーが報告に訪れた

33 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:25:26 ID:p8J1fFIE0
(,,゚Д゚)「中身は減っていましたが、まだ残ってやした!!」

( ゚∀゚)「何?全て盗まれてなかったのか?」

(,,゚Д゚)「ええ、どういうわけか、馬車だけが泊まっていやして」

( ゚∋゚)「…こっちの二つの馬車痕を追った奴はいるか?」

(,;゚Д゚)「えっ…あ!!」


男は今気付いたのか、しまったと声を上げた


(,;゚Д゚)「す、すいやせん…暗くて見逃してやした…」

( ゚∋゚)「…」


クックルは無言で股間を大きく膨らませる
男は暑さとはまた別の種類の汗が吹き出た


( ゚∋゚)「まぁいい…おいジョルジュ、この先に大きな街はあるか?」

( ゚∀゚)「えーと…」


ジョルジュと呼ばれた副長は地図を広げ、現在地を確認する
そこから指で車輪が向かう西へと指をなぞった


( ゚∀゚)「ここから馬で半日ほどで『エルム街』に辿り着きますね」

( ゚∋゚)「…」


クックルは眉間を指で押さえた
既に奴らは街に到着し、車輪痕を曖昧にして逃げ出しているのではと
動くのが遅すぎたか、と頭を悩ませた


( ゚∀゚)「宝も見つかったことですし、これで良しとする他無いでしょう」


副長はそんなボスの意図を汲み取ったのか
これ以上の追跡は難しいと呼びかけた

34 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:26:42 ID:p8J1fFIE0
( ゚∋゚)「……それだよ」

(;゚∀゚)「えっ?」

( ゚∋゚)「『それが奴らの狙い』だ」


禿鷹のクックルは、一度狙った獲物はなんとしても捕らえることで有名な盗賊だった
その悪名は折り紙付きで、道中にその盗賊団に出くわしたら荷は諦めて逃げ出せと御触れが回るほどだった


( ゚∋゚)「『これ以上の追跡は困難、でもお宝は残ってたし良しとしよう』」

( ゚∋゚)「そう思わせることで、あいつらは盗賊からまんまと逃げおおせたんだ」

(;゚∀゚)「あっ…!!」


副長はまんまと相手の狙い通りに動いていた事に気付く
しかし、問題の解決までには至らない
実際、このまま別の獲物を狙ったほうが早いことに変わりは無いのだから


(;゚∀゚)「しかし、追跡が困難なことには変わりありません」

( ゚∋゚)「そこだ、そこを逆に考えてみろ…」

( ゚∋゚)「『追跡が困難だからこそ、もう追ってはこないだろう』と相手は油断しきっている」

(;゚∀゚)「ッ!!」

( ゚∋゚)「奴らの思惑を逆手に取れば…どうだ?」

(;゚∀゚)「取り返すのも、不可能ではない…!!」

( ゚∋゚)「奴らの馬だって体力くらいはあるだろう。恐らく、その街で一度足止めを喰らうはずだ」

(;゚∀゚)「馬の交換をしたとしても、街中の馬屋を片っ端から当たれば手がかりが掴める…」

( ゚∋゚)「冴えてきたなジョルジュ。それでこそ我が右腕」

35 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:28:24 ID:p8J1fFIE0
クックルは大声を上げ、全隊に指示を行き渡らせた


( ゚∋゚)「聞けェ!!盗まれた宝の一部は、例の三人組が所有している!!」

( ゚∋゚)「奴らをこのままのさばらせて良いと思う奴はいるかァ!!」


誰も応えようとはしない
数秒待ってから、クックルは再び口を開いた


( ゚∋゚)「奴らを八つ裂きにするべきだと思う奴はァ!?」


怒号が上がった
誰もが武器を掲げ、『殺せ殺せ』と叫ぶ


( ゚∋゚)「よぉし!!それでこそ禿鷹の盗賊共よ!!盗賊の掟はやられたらやり返す!!これに尽きる!!」

( ゚∋゚)「行くぞ野郎共!!目指すは『エルム街』!!必ず奴らを見つけ出して、ぶち犯せェ!!」


賛同の声を挙げる者はほとんど居なかったと言う

36 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:29:57 ID:p8J1fFIE0
( ^ω^)「…お前ら、アホなの?」


馬車で留守番をしていたブーンはため息をついた
デレの服装が、どう見ても馬車旅に見合わないものだったからである


( ^ω^)「パーティードレスで旅する女の子なんて聞いた事ないお?わかるでしょ普通?」

(;'A`)「いや…店員がやり手だったのと、テンション上がったショボンを抑え付けられなくて…」

(*´^ω^`)「ハァハァ!!かわいいよデレちゃん!!おじさんの娘にならない?」

ζ(゚ー゚*ζ「えへへ…」


当の本人はまんざらでも無さそうだが


(;'A`)「いやでも、ちゃんと普通の服も見繕ってきたから…」

(#^ω^)「量を考えろ量を!!なんで一人分の衣服がこんな山ほど必要なんだお!!」


大の男二人が背負っている袋には、デレの服がパンパンに詰まっていた
ちょっとした商売を始められるくらいの量である


(;'A`)「だって…ショボンがこれ全部くださいって言うからさぁ…」

(;^ω^)「やっぱ俺が行けばよかったお…まぁいい、別の場所で売ればいいだけの話なんだから…」

ζ(゚ー゚*ζ「おじさん達!!ありがとう!!」


それでも、彼女の嬉しそうな顔をみると満更でもないらしく
ブーンは顔を赤くさせてそっぽを向いた


ショボンは厠へと走った

37 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:31:47 ID:p8J1fFIE0
その日は結局、エルム街を発つことにした
日が落ちると夜営の準備をし、温かいご飯を食べた


('A`)「さて、久々に一曲やるか?」

(´・ω・`)「いいねえ、お宝と新しい出会いを祝ってパーッとやろうか」


夕食の後、三人はそれぞれ楽器を取り出した
ドクオは笛を、ショボンは手太鼓を、ブーンは胡椒吹きのパーツを取り替えたアコーディオンを
デレはこれから何が始まるのかと、目を輝かせてそれを見ていた


( ^ω^)「曲はいつもの?」

('A`)「それ以外に弾けるのか?」

( ^ω^)「オーライ、愚問だったお」

(´・ω・`)「始めるぞ。ワン、ツー…」


ショボンが太鼓でリズムを取り、アコーディオンが空気を大きく吸い込んで、吐き出す
鍵盤が奏でるメロディに合わせ、ドクオは笛に口を添えて、そっと息を吹き込んだ


ζ(゚ー゚*ζ「わぁ…」


不思議な音楽だった
オルゴールが奏でるどこか切ないメロディ
酒場で流れる陽気なピアノとバイオリンの連奏
吟遊詩人の旅を思わせるような素朴さが入り混じっていた


('A`)「♪~」

( ^ω^)「♪~」

(´・ω・`)「♪~」


そんな奇妙な演奏の中に、デレも入って見たくなって


ζ(゚ー゚*ζ「♪~」


詩の無い歌声を、演奏に乗せて口ずさんでいた

38 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:33:41 ID:p8J1fFIE0
演奏が終わると


ζ(゚ー゚*ζ「凄い凄い!!」


と、デレは両手を叩いた


( ^ω^)「デレの歌もたいしたもんだお。むさ苦しい曲に華やかさが増したお」

(´・ω・`)「かわいい上に歌も上手いってもう非の打ち所が無いじゃねーか何この天使もう俺デレちゃん教作る」

(;'A`)「もう恐いよお前……」

ζ(゚ー゚*ζ「それで、なんて曲なの?」


三人は顔を見合わせた
今まで散々奏でてきた曲だが、正式な名前なんて決めていなかったからだ


(;'A`)「あー…これはな、名もない曲なんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「どうして?こんな素敵な曲なのに、名前が無いなんて勿体無いわ!!」

( ^ω^)「素敵かお…まぁ、聴かせる女もいなかったしなぁ」

(´・ω・`)「俺らがなんとなく作ってなんとなく楽しむための音楽だし」

ζ(゚ー゚*ζ「それなら、私が名前を付けてあげる!!」


デレはそう言うと、うーんと頭を捻らせた
三人は少し照れくさい気持ちになりながらも、彼女が考える名前に少しだけ期待した


ζ(゚ー゚*ζ「あっ、そうだわ!!」


ポンと手を打ち、デレはビシッと立ち上がった


ζ(゚ー゚*ζ「『すてきな三人組』なんてどう?」


三人は再び顔を見合わせて、そして腹から大声を出して笑った

39 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:35:10 ID:p8J1fFIE0
(*'A`)「ハッハッハッ!!そりゃあいい!!変人奇人の三人組!!俺達にぴったりの曲名じゃねえか!!」

( ^ω^)「『すてき』だなんて大層な言葉、俺達にはもったいねえけどな!!」

ζ(゚ー゚*ζ「えー、そんなこと無いと思うけどなぁ」

(*´^ω^`)「まったくこりゃ参ったぜ!!どら、名前が付いた記念にもう一回やるか!!」


ショボンがポンと太鼓を叩く


( ^ω^)「よしきた!!」


アコーディオンの蛇腹を膨らませる


('A`)「すてきな三人組と、素敵なお嬢さんに!!」


笛を口元に添えた


ζ(^ー^*ζ「うん!!」


デレはクルリと回り、可愛らしい口から鈴のような歌声を響かせる
リズムに合わせ、ステップを踏んでダンスを踊りながら



その日の演奏は、満月が高く昇るまで続いたそうな

40 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:36:43 ID:p8J1fFIE0
ζ(- -*ζ「すぅ…」

(´^ω^`)「ハハハ…よく寝てらぁ」


踊りつかれたデレは、焚き火の傍で子犬のように丸まって眠ってしまった
ショボンは優しく毛布を掛ける


( ^ω^)「ハァー…楽しかったお」

('A`)「そうだな、何か…今まで無かったよなこういうの」


いままで三人、兄弟も同然に過ごしてきた中で
デレの存在は『妹』のようであった
それは、今まで彼らの中には無かった『癒し』と『愛おしさ』を与えていた


(´・ω・`)「なぁ…俺、昨日言ったこと覚えてるか?」

( ^ω^)「ゲイだってことかお?」

(´・ω・`)「ちげえよ。『過去に何があっても、今が良ければそれでいい』って話さ」

('A`)「ああ、危ねえハッパでも食ったのかと思ったアレな」

(´・ω・`)「俺さ、デレと会えたことは天命だと思うんだ。俺たちが親に捨てられたお陰で出会えたように、デレも親に売られたから、こうして出会うことが出来た」

(´・ω・`)「きっとよ、神様がクソッタレな俺らに与えたチャンスなんだと思う。『この子を幸せにしてみせろ』って言う、まともな人間に戻るチャンスを」

('A`)「まーだハッパが残ってんのか?」

(´・ω・`)「ヤってねえよ…真面目に話してんだぜ俺?」

( ^ω^)「つまり、盗みから足を洗うってことかお?」

(´・ω・`)「まぁ、そうだな」

41 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:38:24 ID:p8J1fFIE0
('A`)「…お前がそんなこと言い出すたぁな」

(;´・ω・`)「ああ、クソ…素面でこんな恥ずかしいこと言うんじゃなかった」


ショボンは勢い良く立ち上がり、夜空を仰いだ
それぞれ思うところがあるらしく、暫くは黙ったままでいた
聞こえるのは、焚き火が弾ける音とデレの寝息だけ


( ^ω^)「…」

( ^ω^)「俺は」


ブーンが口火を切る


( ^ω^)「もう少し考えたい」

('A`)「…」

(´・ω・`)「…」

( ^ω^)「まだ会って一日だお。たったの、一日。そんな短い時間、あの子といただけで、俺らの人生まで左右する決定を下すのは早すぎると思う…」

( ^ω^)「それに…それにだお?俺らみたいなろくでなしが、本当にこの子を幸せに出来ると思うかお?」

(´・ω・`)「お前…」

( ^ω^)「結局のところ、俺らも人買いと同じ穴の狢だお。悪事で食って生きてる、クソ野郎だお」

( ^ω^)「足を洗っても、罪は罪。そんな野郎の下で育っても、あの子がまともな人生を歩めるとは思えない。だったらいっそ、教会に預けるか、里親を探すほか無いんじゃないかお?」


反論は無かった
ブーンの意見は的を射ていたからだ
蛙の子は蛙に育つように、盗人が子を育てても、盗人になる
後ろ指をさされながら生きる道を歩ませたくがない故の、ブーンの本心だった

42 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:39:38 ID:p8J1fFIE0
(´・ω・`)「…お前はどうなんだ?」

('A`)「…」


一人、焚き火を見つめていたドクオは、顔を両手で覆った
そして、ジッと固まったかと思えば


('A`)「俺は」


('A`)「俺らが引き取るべきだ…と思う」


結論を出した


( ^ω^)「どうしてだお?」

('A`)「お前の言うことは痛いほどわかるよブーン。だけどな、考えてみろ?」

('A`)「俺たちは、『親に捨てられた痛み』を知っている。そしてあの子も、父親に売られるという最悪の体験をした」

('A`)「ここであの子を手放したら、また同じ痛みを与える事になるんだぞ?」


ブーンは息を飲んだ
いくらデレを思っての行為だとしても、彼女にとっては裏切りに等しいのではないか
念頭に置かねばならない事を、ブーンは見落としていた


('A`)「難しいけどよ、『幸せ』って色んな形があるじゃないか?」

('A`)「もし、もしデレが俺らみたいな悪人になったとしても、傍に信頼できる誰かがいるだけで幸せになれると思う。俺らが今、こうして、血縁よりも強い絆で繋がっているように」

('A`)「それに、彼女を育てる資格があるのは、『同じ痛み』を知る人間だけだ。そうじゃないと、彼女はまた裏切りに遭う可能性があるから」

('A`)「だから俺は、引き取るべきなんじゃないかって…結論を出す」

('A`)「お前の意見も、一つの正解なんだろう。でも俺は、手放される恐怖をもう一度与える勇気は無い…」


そう言ったきり、ドクオは横になって目を閉じた
残された二人も、それぞれの想いを胸中に渦巻かせていたが
焚き火が小さくなるにつれて、眠りに就き始めた

43 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:40:37 ID:p8J1fFIE0
―――――
―――



( ゚∋゚)「…」

( ゚∀゚)「お願いですから服着てくれませんか?」

( ゚∋゚)「断る」


その頃、エルム街に到着した禿鷹の一向は
案の定足取りを掴めずにいた


( ゚∀゚)「もう真夜中ですし、馬の体力も限界です。調査は一度打ち切るべきかと…」

( ゚∋゚)「……」

( ゚∋゚)「下っ端でまだ元気そうな奴は?」

( ゚∀゚)「は…そうですね、馬車に乗っていたメンバーは動けるかと」

( ゚∋゚)「何人だ?」

( ゚∀゚)「五人です」

( ゚∋゚)「そいつらに馬盗ませて北、北西、西、南西、南へ向けて夜明けまで全力で走らせろ。戻る時は夜が明けた時か何かを見つけた時に限ると付け加えてな」

(;゚∀゚)「…」


副長はクックルに向かって何かを言いかけたのを飲み込み、側にいた精鋭に指示を出した
伝令は直ぐに伝わり、五頭の馬がそれぞれの方角に向かい掛けて行った

44 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:42:15 ID:p8J1fFIE0
(;゚∀゚)「ボス、これは一体?」

( ゚∋゚)「この街に馬車が見つからないとなれば、奴らはここを既に発っている。恐らく今夜は野宿だろう」

( ゚∋゚)「つまり、よっぽどの事が無い限り奴らは足を止めている。見つけるチャンスはここにしかない」

(;゚∀゚)「しかし、既に夜は更けています。見つけるのは至難の技では?」

( ゚∋゚)「もし通り過ぎていても、夜が明けてから元来た道を戻る道中で見つける可能性もある。それに、火を焚いている筈だ。それを手がかりに近づけばいい」

:( ゚∋゚):「これで駄目なら、もう諦めるほか無いがな…おお寒…」ブルルッ


クックルは夜の寒さに身を震わせた
寒いならせめてパンツくらい穿けばいいのにと、ジョルジュは思った


( ゚∀゚)「この街は大きい。宿を取ると憲兵に通報される危険があります。我々も夜営に徹するべきかと」

( ゚∋゚)「うむ…そうしようか」


エルム街から少し離れた丘で、禿鷹の盗賊団は眠りに就いた
そして明け方、南西から帰ってきた下っ端の大声で目を覚ます事になる


£ °ゞ°)「報告!!馬三頭と馬車を発見!!人数は恐らく三人かと思われます!!」

( ゚∋゚)「そいつらの様子は?」

£°ゞ°)「遠目で確認したのでよくわかなかったですが、眠っていたかと」

( ゚∋゚)「よし!!連絡係二名を残して南西に向かうぞ!!当たれば奪い返し、ハズレば奪え!!」


禿鷹達は着実に、三人組へと迫っていた

45 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:43:16 ID:p8J1fFIE0
( ^ω^)「おい起きろ」

('A`)「なんだよ小便なら一人で、そしてどこか遠い所でやってくれ…」

( ^ω^)「寝ぼけてる場合か、着けられてるぞ」


ブーンのその報告に、二人は飛び起きた


(´・ω・`)「何故わかる?」

( ^ω^)「蹄の音が聞こえたんだが、俺らを通り過ぎずに元の道を帰っていった。偵察かもしれない」

('A`)「急いで発とう。『迷いの森』に先に到達すれば完全に撒けるはずだ」


慌しい仕度の音でデレも目を醒ます


ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの?」

(´^ω^`)「おじさん達のケツを狙いに来たどあほうが居るみたいなんだ。まだ処女は散らしたくないでござる!!」

(;'A`)「くだらねえこと言ってねえでサッサと乗り込め!!」


物の数分で準備を終え、馬を走らせた


ζ(゚ー゚*ζ「追われてるってこと?」

( ^ω^)「多分そうだお。まだ姿は見えないけど…」

(´・ω・`)「この前の連中かな?」

('A`)「かもな…完全に撒いたと思ってたが、奴さんどうも頭がキレる上にしつこい様だ」

( ^ω^)「あのマヌケ共にそんな賢い奴がいるとは思えないお」

('A`)「ボスはまた別の場所にいたってこったろ」

46 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:44:46 ID:p8J1fFIE0
三人の馬は、単騎なら無類の速さを誇る
しかし現状では、四人と荷を乗せた馬車を引いているのだ
どうしてもスピードは落ちてしまう

しかし、まだ逃げ切れるチャンスは残っていた
アジトへの道中にある『ドクロの渓谷』を抜けた先にある『迷いの森』
その森の、『あるルート』を行けばほぼ完全に逃げ切ることが出来る


('A`)「さて、間に合うかどうか…」


しかし、その場所に辿り着くまでには時間を要した
全力で駆けても半日は掛ってしまう


険しい顔つきの三人を、デレは不安そうに覗き込んだ


('A`)「悪いなデレ。こんな危険な目に付き合わせちまって」

ζ(゚ー゚*ζ「んーん、平気!!だっておじさん達が連れてってくれなかったら、何も出来ずに死んでたかもしれなかったもん!!」


健気なデレの表情に、三人の体に力が漲る


( ^ω^)「なんとしても逃げ切らないとな」

(´^ω^`)「手段は問わず、な…」


ブーンは剣を抜き、刀身をジッと眺め
ショボンは斧を膝上に乗せた



しかし、その願いも虚しく
遥か後方に立ち上る砂煙が、徐々に迫ってきていた

47 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:46:03 ID:p8J1fFIE0

( ^^)「頭ァ!!夜営の跡ですぜ!!まだ新しい!!」

( ゚∋゚)「うむ」


照りつける太陽光を、汗で濡れる体が反射する
マジで見苦しいから服を着てくれとジョルジュは思った


(;゚∀゚)「片付け方が雑ですね…これはアタリなんじゃないですか?」

( ゚∋゚)「ああ、如何にも『慌てて飛び出ました』って臭いがプンプンするぜ…」

( ゚∋゚)「野郎共!!全力で奴らを追うぞ!!」


逞しい尻を振りながら、クックルは先頭に立ち走り出した
ジョルジュはその直ぐ後ろに付いていたが、スピードを若干落とし後続を先に行かせた


クックルは尻を左右に激しく振りながら、馬に鞭を走らせ
そして自分の尻にも鞭を走らせた


:(* ゚∋゚):「アオン!!アオン!!」パァン!!パァン!!


(;゚∀゚)「…」


部下に『後ろからボスを撃ってくれないか』と懇願しそうになるのを、グッと抑え
禿鷹の団達は猛スピードでクックルに追随した

48 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:47:21 ID:p8J1fFIE0
―――――
―――



ドクロの渓谷が見え始めた頃


(;^ω^)「マズいお…」


追跡者は目視出来るまで近づいていた
それは豆粒ほどの大きさだったが、馬車より遥かに速いスピードで近づいてきていた


(;^ω^)「このままだと、迷いの森に入る頃には肉薄されてしまう!!後にピッタリ付かれたら撒くもクソも無いお!!」

(;'A`)「クソ…!!」


敵のスピードは彼らの予想を越えていた
行動が遅かったことや、『撒いた』と思った油断がこの結果に繋がった


(;´・ω・`)「どうする?荷を捨てて走るか?奴らの狙いは盗まれた宝だ。手放せば、あっさり帰っていくんじゃ…」

(;'A`)「…いや、ここまで追ってきたんだ。宝よりも、報復という目的の方が強い」


こうして話している間にも、盗賊団はどんどん近づいていた
三人は命さえ助かれば、『物』への執着をかなぐり捨てることが出来る
しかし奴らの目的は『物』では無く自分達の『命』
宝を捨てて逃げても、執拗に追いかけてくるのではという懸念があった


(;'A`)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…」


三人は顔を見合わせ


ζ(゚ー゚;ζ「…」


不安そうに見つめるデレに視線を合わせた

49 :名も無きAAのようです:2013/12/25(水) 02:48:35 ID:p8J1fFIE0
(;'∀`)「残念だなデレ。ここでお別れだ」


ζ(゚ー゚;ζ「えっ?」


( ^ω^)「『俺らの為』だと思って、諦めてくれお」


ζ(゚ー゚;ζ「えっ?」


(´・ω・`)「悪いな、こっちにも都合がある」


ζ(゚ー゚;ζ「え……」




デレは思い出した
父に売り払われ、一人になった時のことを

59 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:34:55 ID:R.63uyx60
―――――
―――



( ゚∋゚)(止まった?)


追っていた馬車が、渓谷を中ほどまで進んだ所で止まった
荷を捨て逃げる気か、もしくは罠か


( ゚∋゚)(どちらにせよ、見逃す気は毛頭無い!!)


クックルの目的は宝では無い
団の宝を盗んだ奴らに対する制裁だ
荷を返したからって、むざむざと逃がす気は無かった


( ゚∋゚)「さぁ奴らはすぐそこだ!!地獄をみせてやれ!!」


馬の蹄と咆哮が、地を轟かす中
馬車から『三頭の馬』が森に向かって走り去ったのを目撃した


( ゚∋゚)「荷に目もくれるな!!前の三頭を追うぞ!!」


クックルはスパートを掛けて、渓谷へと近づいていった

60 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:36:27 ID:R.63uyx60




「…結局、裏切るような目に合わしちまったな」


「しかたねえお。これは俺らの為なんだから」


「でも、俺は後悔してねえぜ」


「俺もだ」


「俺もだお」


「短い時間だったが、あの子がくれた物はどんな宝よりも価値がある」


「それを、追ってくる奴らにも、思い知ってもらおうじゃねえか」


.

61 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:37:39 ID:R.63uyx60
( ゚∋゚)「待て!!止まれ!!」


渓谷目前、クックルが右こぶしを掲げ、団員を制止する
逃げたと思っていたが、馬車から現れたのは


( A )


(  ω )


(´ ω `)


『黒い帽子、黒いマント』の三人組


一人目は、クロスボウ
二人目は、剣
三人目は、赤い大きな斧
そしてそれぞれの足下に、大きな麻袋


禿鷹の団を前に、立ちふさがるように登場した


( ゚∋゚)「…」

( ゚∀゚)「殺りますか?団長」


殺意を漲らせ前に出たジョルジュの肩を掴み、引き止めた


( ゚∋゚)「まぁ待て、ここは言い訳を聞いてからヤるのも一興だ」


団員を停止させたまま、クックルは単騎で真っ黒な三人組に近づいた

62 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:39:24 ID:R.63uyx60
( ゚∋゚)「俺の団を随分コケにしてくれたようだが…何か言いたいことはあるか?」


全裸の男が近づいても、三人組は眉一つ動かさず
三人揃って深々と頭を下げた


( A )「奪った宝物はお返しします。それ以外にも、衣服や食料なども持っていって構いません」

(  ω )「ですから、どうか見逃してもらえないでしょうか?」

(´ ω `)「我ら三人、命が惜しいのです」


落ち着いた物腰に、盗賊団員達がざわめく
今まで見た命乞いとはワケが違ったからだ
『涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにさせて、地に頭を擦りつけ懇願する』
そんな光景しか見てこなかった彼らにとって、彼らの態度は未知の領域だった


だが、傭兵として戦地を生き抜いたクックルは知っていた


彼らが放つ、『戦意の臭い』を


( ゚∋゚)「『断る』」


( ゚∋゚)「俺達は『禿鷹』だ。死体であろうと盗みつくし、喰い尽くし、犯し尽くし、骨の髄まで啜りとって破滅まで追い込む盗賊だ」


( ゚∋゚)「お前らの物はもちろん戴く、お前らの命も奪う、殺す前に犯して禿鷹をおちょくった事を後悔させてやる」

63 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:40:09 ID:R.63uyx60
( A )「…なら仕方ねえな」

(  ω )「交渉決裂となれば、やることは一つ」

(´ ω `)「『命』より大切なモノの為に…」


クロスボウが向けられると同時に
クックルは剣を抜いた


( ゚∋゚)「ッ!!」


矢と剣が衝突し、目の前で火花を散らす


(#'A`)「今ここで死んでもらおうか!!『禿鷹』の皆さんよおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

(#^ω^)「かかって来いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

(#´゚ω゚`)「てめえらのケツをファックするのは俺だああああああああああああああああああああ!!!!!」

64 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:41:00 ID:R.63uyx60
:( *゚∋゚): ブルルッ!!


熱い宣戦布告に、武者震いが起こる
忘れていた戦いへの熱が、股間から湧き上がった


(#゚∀゚)「殺せえええええええええええええ!!!!」


副長の合図とともに、禿鷹の団総勢五十名が雄たけびを上げる
前列に居た下っ端は馬の腹を蹴り、発進させた


(#^ω^)「オラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


三人は麻袋を持ち上げ、突進してくる馬の群に向かって投げつけた
先頭の下っ端の馬の鼻にぶち当たり、中身が派手に撒き上がる


(,;゚Д゚)「こ、これはっくしょん!!!」


下っ端達は『これ』を知っていた
馬車を盗まれた夜に撒かれた『くしゃみ粉』
団員含め、馬たちもその粉をまともに喰らい、脚を止めた


(#'A`)「死ねボケェ!!」

(#´゚ω゚`)「ルオオオオオオ!!!」


クロスボウの矢が、下っ端の一人の喉を射抜き
赤い斧は、前方にいた三人を馬の首ごとまとめて薙ぎ払った


( ゚∋゚)「馬はもう使い物にならん!!降りて戦え!!」


後方でそれをみていたクックルは手早く指示を出す
団員達は鼻を擽りながら、次々と馬を降り
三人に向かって駆け出した

65 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:42:24 ID:R.63uyx60
『ドクロの渓谷』の名の由来は、遥か昔に戦場となったことから来ている
兵の少ない『ホライゾン軍』が、この場所で『クリムゾン』の大軍を迎え撃った
両側を崖が挟むこの場所は、道幅が狭いため、包囲されることが無い
したがって、少数でも正面きって対等に戦えることが出来たのだ


それを知ってか知らずか


三人は誰一人として後ろに抜かれることなく
差が十六倍近くある敵数と戦っていた


(;゚∀゚)「何を手間取っている!!早く仕留めろ!!」


瞬殺で終わるだろうと勘繰っていたジョルジュは焦りの色を見せる
対してクックルは、口角を上げた


( ゚∋゚)「慌てるな…『チェスも先ずボーンから』。弱りきった所を精鋭隊で一気に攻めればいい」

(;゚∀゚)「しかし、これでは団員が減る一方です」

( ゚∋゚)「ここで死ぬようじゃ、それまでの奴だと言うことだ」

66 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:44:31 ID:R.63uyx60
(#^ω^)「だおッ!!」

£; ゞ )「ギアッ!!」

ブーンが剣で敵を斬ると

(#´゚ω゚`)「そいよぉ!!!」

( ;|| )「アバッ!!」

ショボンが斧で両断する

二人の死角から攻めようとした敵に対しては

(#'A`)「させるかボケェ!!」

(;´ _ゝ `)「ブッ…!!」

ドクオの矢の餌食となった


(,;゚Д゚)「な…なんだこいつら…」


たった三人と侮っていた団員達の足は、徐々に勢いを失う
戦いには慣れたつもりでいた。しかし目の前の三人はどうだ


まるで、『鬼神』ではないか


(,;゚Д゚)「あ…あっ!?」


いつの間にか、三十もいた人数が三分の一以下に減り
周りには、仲間が死体として地に伏せている事に気付いた


(#´゚ω゚`)「せぇやッ!!」


(,; Д )「あがッ…!!」


そして、もう一つ
首から上が斬り離された死体が増えた

89 :>>66と>>67の間です:2013/12/26(木) 22:27:56 ID:R.63uyx60
(;'A゚)「ハァー、ハァー…」

(;^ω゚ )「ゼェ…ゼェ…」


しかし、人は全力では半刻も戦えない
無傷で居られるワケも無く、所々受けた剣傷から血が流れる


(;´゚ω゚`)「どうしたァ!?禿鷹さん達よォ!!終わりか!?ヒヨコでももうちょっと根性見せるぜ!!」


( ゚∋゚)「…」

(;゚∀゚)「…」


( ゚∋゚)「惜しいな」


クックルが別の反応を示す
死んだ部下よりも、目の前の三人が欲しくなったのだ


( ゚∋゚)「提案がある。我ら『禿鷹』の一員になるのなら、その命を使ってやってもいい」


と言いつつも、内心では『無駄だろうな』と感じていた

命が惜しいのなら、どこまででも逃げればいい
戦う必要など全く無い
多勢に無勢の、不利な争いなら尚更だ

奴らには、そうしなければいけない理由があって、立ち向かってくる

かつて渡り歩いた戦場で、そんな志を持った戦士を何人も見てきたのだ

67 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:46:11 ID:R.63uyx60
三人の答えは当然


(#'A`)(#^ω^)(#´゚ω゚`)「「「断るッ!!」」」


であった


(;゚∀゚)「何故だ!?命が助かる上に、また盗賊として生を謳歌出来るんだぞ!?お前らは自分が惜しくないのか!?」


『ワケがわからない』とジョルジュはうろたえた


(#'A゚)「自分を失うより惜しいものがあるッ!!」

(#^ω^)「盗賊として生きながらえるより、示したい生き様があるッ!!」

(#´゚ω゚`)「誰よりも生を謳歌してもらいたい者がいるッ!!」



(#'A`)(#^ω^)(#´゚ω゚`)「「「戦う理由なんてそれだけで充分じゃボケエエエエエエエエエ!!!!!」」」



( ゚∋゚)「…」


( ゚∋゚)「なら、尚更打ち砕かねばならないな」


クックルは馬を降り、残りの部下を引き連れ歩き出した
今までの相手とは違う、練磨された戦士の気迫が三人を包む

それでも、三人は一歩も引かなかった




誰よりも幸せになって欲しい人の為に

68 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:47:44 ID:R.63uyx60
―――――
―――



迷いの森の入り口で、三頭の馬が泊まっていた

一頭はありったけの宝物を積み
一頭はありったけの衣服を積み

残りの一頭は


ζ( ー ;ζ「…」


身の丈に合わない大きさの、真っ黒な帽子とマントを羽織ったデレが乗っていた
その目は赤く腫れ、鼻からは啜り上げる音が断続的に鳴る



デレは戦いが始まる数分前の事を思い出した


『一人にされた時を、思い出した』

69 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:48:38 ID:R.63uyx60
ζ(;Д;*ζ「やだやだ!!離れたくない!!」


デレはショボンの腰に必死にしがみ付き、泣きじゃくった
三人が言うには、『先にアジトまで行ってくれ』とのこと

三人は『大丈夫だ』と言っているが、そうじゃないことくらい幼いデレにもわかった


ζ(;Д;*ζ「私もここにいる!!おじさん達といる!!」

('A`)「ダメだ。先に行くんだ」

(´^ω^`)「おじさん達はねぇ~、大人の話し合いをするんだよ~?」

ζ(;Д;*ζ「話し合いなら私がいたっていい筈じゃない!!なんで私だけ先に行かせようとするの!?」

( ^ω^)「…」


ブーンがデレの体を掴み、無理やり引き剥がす


ζ(;Д;*ζ「うわああああああああ!!!」


暴れるデレを降ろし、しゃがんで視線を合わせると
間も置かずデレが首に抱きついた


( ^ω^)「じゃあ、こうしようお」


ブーンはそんなデレの頭を優しく撫でながら、ある提案をした

70 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:49:56 ID:R.63uyx60
( ^ω^)「デレは森の前で待っててくれお。俺らが無事に話し合いを済ませたら、合図を送る」

( ^ω^)「その合図は…そうだお!!お前が名前を付けてくれた『すてきな三にんぐみ』!!あれの音が聞こえたら、安心して先に行ってくれお」

ζ(;ー;*ζ「グスッ…聞こえなかったら?」

( ^ω^)「もしその音が聞こえずに、あの追っかけてる連中が来た時には直ぐに森に駆け込んでアジトを目指すお。道は馬が覚えている。脚が速いから追いつかれっこ無いお」

ζ(;ー;*ζ「もし、もしそうだったら、おじさんたちはどうするの!?」

( ^ω^)「おじさん達は自分達でなんとか逃げ切るお。大丈夫。おじさん達はとっても逃げ足が速いから!!」

('A`)「そうだぞデレ。ブーンのくしゃみ粉があればあいつらの目を眩ませてドロンさ」

(´・ω・`)「だから、な?俺達を信じて向こうで待っててくれないか?」


デレはしばらく、ブーンの首に抱きつきながら涙を流していたが
観念したのか、ゆっくりとブーンから離れた


ζ(;ー⊂ζ「…絶対よ、絶対に、来て頂戴ね」


('A`)「ああ、約束だ」


ドクオがデレを軽く抱きしめる
体を離すと、デレに真っ黒な帽子とマントを着せた


(´^ω^`)「戻ったら、キスしてくれよな」


次に、ショボンがデレを抱いて、頭にキスをした


( ^ω^)「またあの素敵な歌声、聞かせてくれお」


最後にブーンがデレを抱き上げ、馬に乗せた

71 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:51:02 ID:R.63uyx60
('A`)「アジトについたら、そこに爺さんが居るはずだ。そいつに宝を渡して待っててくれ」

(´^ω^`)「俺らのアジトはすげえぞお、帽子を被った大きな塔なんだ」

( ^ω^)「また色々案内してやるお。さ、あの森の前で待っててくれお」


そう言ってブーンは、宝と服と、そしてデレを乗せた三頭の馬をゆっくりと走らせた
馬は徐々にスピードを上げて、馬車から遠ざかっていく


ζ(;ー;*ζ「待ってるから、ずっと待ってるからね!!!」


デレは、三人の姿が見えなくなるまでずっと後ろを向いて声を張り上げた



('∀`) ( ^ω^) (´^ω^`)



最後に見た三人は


『すてきな三にんくみ』を演奏した時のような笑顔をしていた

72 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:52:30 ID:R.63uyx60
ζ( ー *ζ「…」


ζ( ー *ζ「…」


『話し合い』じゃ終わらないことなんて、わかっていた
渓谷から聞こえる怒号や悲鳴が、デレに恐怖を与える
それでも、デレは三人を信じ、祈った


初めて優しくしてくれた三人が、無事に帰ってくるように


ζ( ー *ζ「…」


ζ( ー *ζ「…♪~♪~」


不安で押しつぶされそうになる最中、デレの口はあのメロディを歌っていた
それは、彼らとの短い時間の中で作った、『もっとも楽しい思い出』
今にもあの場に戻ってしまいそうな衝動を、必死に押さえ込む為の心の支えでもあった


ふと、渓谷から音が消えた


ζ( ー *ζ「♪~♪~」


風の音と、森のざわめき
そして、デレの歌


ζ( ー *ζ「♪~♪~」


デレは祈った
歌と共鳴し、あの不思議な演奏が聞こえてくることを

73 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:53:16 ID:R.63uyx60






笛の音が、聞こえた



ζ(゚ー゚*ζ「!!」



続いて、アコーディオンの音も



そして、太鼓のリズムも


ζ(゚ー゚*ζ「おじさん…!!」


彼らは『勝った』
そして、『生きている』
胸中に渦巻いていた不安が一気に晴れるのを感じた


ζ(゚ー゚*ζ「ヤッ!!」


アジトへと馬を走らせる
背中には彼らの無事を伝える音色が届く
一刻も早く会いたい気持ちを抑え、三人の言いつけを守った


暗い森を進む内に、あの曲は耳に届かなくなったが
頭の中では何度も何度も、『すてきな三にんくみ』が流れていた

74 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:54:07 ID:R.63uyx60





それが、デレが聞いた最後の演奏だった




.

75 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:55:41 ID:R.63uyx60
その後、デレは無事にアジトへと到着する
ショボンの言ったとおり、その場所は『帽子を被った塔』が三つ並んでいた


<ヽ`∀´>「…見ない顔ニダ。だが、馬は知っている」


真ん中の塔から出てきた老人に、事情を説明し
デレはアジトで三人の到着を待った


しかし、日が暮れても、夜が明けても
三人はアジトに現れなかった

三日が過ぎ、四日が過ぎた

それでも、デレは三人を信じて待ち続けた


<ヽ`∀´>「…食べないと死ぬニダよ」


無口な老人は、ニダーと言い
駆け込んできたデレに文句一つも言わず世話を焼いた
しかし、デレは出された食事に手を付けず
寝床にも行かずに、何日も三人の到着を待ち続けた


<ヽ;`∀´>「メシを食って寝てくれたら、様子を見に行ってやるニダ」


痺れを切らした彼は、渓谷へ向かう代わりにとデレに休息を取らせ
彼女が寝てる間に、馬車に乗って森を出た

76 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 01:56:53 ID:R.63uyx60
<ヽ;`∀´>「…」


渓谷は、その名の通り『ドクロ』に溢れていた
死体は野犬や『禿鷹』が食い荒らし、目を覆いたくなるような惨状と化していた


その中に、見覚えのある『黒い布』が目に入った


<ヽ;`∀´>「…」


飛び回る蝿を手で追い払いながら、その場所へと近づく


<ヽ;`∀´>「…」


<ヽ;`∀´>「この、大馬鹿共が…」


笛を持った死体
アコーディオンを持った死体
太鼓を持った死体


戦い抜き、力尽きた三人が、見る影も無い姿で見つかった

77 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 02:00:13 ID:R.63uyx60
<ヽ;`∀´>「あの子に、なんて説明すれば良い……」


ニダーは彼らの遺品をかき集め
渓谷に残されていた三人の馬車を調べた


<ヽ`∀´>「…」


わかりやすい場所に、それがあった
慌てて書いたのであろう、一通の手紙を


<ヽ`∀´>「…」



ニダーに宛てられた物だった

78 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 02:02:35 ID:R.63uyx60
ニダーへ

この手紙を読んでいると言うことは、恐らく俺達はその辺で腐りきった死体になってるんだろう
面倒を押し付けるようで済まないが、どうかあの子の、デレの面倒を見てやって欲しい
俺達の事は、なんとか誤魔化すか…まぁ、無理なら『嘘ついてゴメンな』って謝ってたっつっといてくれ

勝手なお願いだとは思うが、どうかあの子を幸せにしてやって欲しい
出来れば普通の人生を歩めるような…無理でも、俺達のような仲間が傍にいる、そんな幸せをあの子に持って欲しい
渡した宝物は、その為の費用だと思って受け取ってくれ

なぁニダー。あんたが昔言ってた、『可哀想な子供を救う三人組』の話、今頃になって思い出したよ
俺達はその三人のことは知らないが、アンタが俺達を育ててくれたように、俺達もあの子を育てたかったよ
まぁ、そんな事言ってるバカの結末がこれじゃあ、その三人組やあんたの足下にも及ばないけど

もっともっと書きたいことがあるけど、時間が無いのでここらで終わる
最後に一つ、あんたに『ありがとう』と
デレの永久なる幸せを願って、この手紙を締めくくろうと思う
どうか、あの子をよろしく頼みます


『すてきな三にんぐみ』より





<ヽ`∀´>「…」


<ヽ`∀´>「…本当に、バカな三人ニダ」


<ヽ ∀ >「あの子を悲しませて、何が幸せニダ…バカ野郎、バカ野郎が…」

79 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 02:03:47 ID:R.63uyx60




それから、十数年が経った



.

80 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 02:04:49 ID:R.63uyx60
現れ出たのは、黒マントに黒い帽子の三人組
それはそれは、こわーい泥棒様のおでましだ


一人目は、胡椒を吹きつけ馬を止め
二人目は、赤い大きな斧で馬車の車輪を真っ二つ
三人目は、クロスボウを突きつけ、『さぁ、手を上げなさい』


さて、墨を流したような夜のこと
三人組はいつものように馬車を止め、襲った


ところが、お客はたった一人


お人形のような、『女の子』だった



o川*゚ー゚)o「? あなた、だぁれ?」

81 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 02:05:35 ID:R.63uyx60
「…人に誰かを尋ねる前は、先ず自己紹介するのが礼儀よ?お嬢ちゃん」


クロスボウを肩に担ぎ上げた泥棒は言った


o川*゚ー゚)o「あたし、ステファニー・キュート!!お姉ちゃん、泥棒さん?」


「そうよ」


o川*゚ー゚)o「私を盗んでくれるの?」


「盗まれたいの?」


o川*゚ー゚)o「うん!!だって私、いじわるなおばさんのとこ、行きたくないんだもん…」


泥棒達は、外に盗むものも無かったので


「なら、私たちと一緒に来る?」


o川*^ー^)o「うん!!」


女の子の手を引いて、連れて帰ることにした

82 :名も無きAAのようです:2013/12/26(木) 02:07:25 ID:R.63uyx60
o川*゚ー゚)o「お姉さん、お名前は?」


「私?私はね…」


泥棒は帽子を取って、女の子の頭に被せた




ζ(゚ー゚*ζ「デレ、『デレ・マクリーヌ』」


ζ(゚ー゚*ζ「大泥棒、『すてきな三にんくみ』の一員よ」




おしまい






84 :mkdHuman ◆XksB4AwhxU:2013/12/26(木) 02:20:56 ID:R.63uyx60
あとがき


『すてきな三にんぐみ』を元ネタにした短編でした
今読むと『こいつら盗んだ金で子供養ってんのかよ…』と、微妙な気持ちになりますねアレ
でも、第三者的には悪党でも、救われた子供たちにとっては『すてきな三にんぐみ』に映っているとわかって今とてもスッキリしてます。抜いたからかうわやべえ伊58出たビックリした

『祝福』の意味をググってみたところ
1 幸福を喜び祝うこと。また、幸福を祈ること。「結婚を―する」「前途を―する」
2 キリスト教で、神の恵みが与えられること。また、神から与えられる恵み。
と出たので、『じゃあ幸せ祈るってことでいいや』と書き始めました


ホラー映画好きな方にはもうお分かりでしょうが、三人とデレのファミリーネームはホラー映画から取っています

ブーンは13日の金曜日の『ジェイソン・ボーヒーズ』から
ドクオはエルム街の悪夢の『フレディ・クルーガー』から
ショボンはハロウィンの『マイケル・マイヤーズ』から
そしてデレはエクソシストの『リーガン・マクニール』…マクニールだった…クソ…マクリーヌじゃねえじゃん…マクしかあってねえじゃん…

リア充滅びろ…私は美しい…



『The Three Robbersのようです』>>94より 支援絵


元スレ:『The Three Robbersのようです』(リンク先( ^ω^) ブーン系創作板のようです

元ネタ・トミー・ウンゲラー/著 今江 祥智/訳 『すてきな三にんぐみ』 偕成社 1969 ほか
[ 2014/03/24 12:44 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(0)

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