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ラムネを飲むようです

7 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:24:08.51 ID:jME8siy0O

一緒に、海で泳いだね。

一緒に虫を捕まえたね。

一緒に花火、したね。

一緒にアイスを食べたね。

一緒に宿題やったね。

一緒に空を見上げたね。



一緒に、ラムネを飲んだね。




  『ラムネを飲むようです』




8 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:26:04.71 ID:jME8siy0O
青くて透明な瓶の、ラムネを飲んだね。

ビー玉が欲しいと、私は泣いて、君を困らせたね。

お日様にかざすときらきらしてたね。

しゅわしゅわ喉が気持ちよかったね。

瓶を振った時の、ころんころんって音が好きだったね。


ラムネが好きだったね。
私も君も、ラムネが好きだったね。

ああ、喉が乾いたね。

ラムネを飲みたいね。


青くて透明で爽やかで、甘いんだけれど涼しいラムネを。

飲みたいね。

二人でね。



久しぶりに飲みたいね。


9 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:28:03.53 ID:jME8siy0O
私と君は、いわゆる幼なじみってやつだったね。

小さい頃からずっと一緒だったね。

幼かった私と君は、よく遊んだね。

ここは海が近いから、よく一緒に泳いだね。

子供だけで行くなって、よくお母さんたちに怒られたね。

怒られては二人で泣いて、泣き疲れて眠ったね。



お日様が傾いた縁側で目をさますと、隣で寝てたはずの君がいなかった。

私は寝ぼけながら君を探したよ。

けれど私の目が届く範囲に君はいなくて。

私はなぜだか悲しくて、どうしようもなく寂しくて。

一人で、大泣きしてしまったね。


10 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:30:03.94 ID:jME8siy0O
わんわんと、ひぐらしに負けない声の大きさで泣いてたよ。

すると君は、ラムネの瓶を2つ持って外から帰ってきたね。

そして私の泣いて赤くなった頬に、ラムネの瓶を押し付けたね。

私は驚いて泣き止んで、ラムネを受け取ったね。

ラムネを飲むと、私はすぐに笑顔になったね。

君は少し呆れた顔で、私の頬をつついて笑っていたね。



ラムネ、おいしかったね。

とても、とても。

怒られたことの悲しさなんて、もう覚えていなかった。


11 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:32:10.78 ID:jME8siy0O
麦わら帽子をひるがえして、走ったね。

汗の吸ったシャツをひるがえして、走ったね。

私の手には、虫かご。

君の手には、虫取りあみ。

よく、二人でセミやカブトムシを捕まえたね。

いっぱいとろうねって笑って、君は一心不乱にアミを振り回したね。

汗だくになりながら、お日様が傾くまで続けたね。

世界が赤くなったころには、虫かごはもういっぱいだったね。



たっくさんの虫に、満足げに笑っていたね。

楽しかったねって笑って、駄菓子屋さんでラムネを買ったね。

たっくさん汗をかいた後のラムネは、とっても美味しかったよね。


12 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:34:04.94 ID:jME8siy0O
夜になると、二家族で花火をしたね。

子供だけだと出来ないから、みんなで一緒に花火をしたね。

暗い世界に、色とりどりの火がぷわあと広がっていたね。

とっても、綺麗だったね。

大きい花火、小さい花火、色々したね。

でも一番最後はやっぱり線香花火で、二人でひとつの花火を持ったね。

火が大きくなって、ぽとんと落ちたね。

私が揺らしたから、君が揺らしたから、そんな事で喧嘩したね。

ちょっとした事なのに、いつのまにか大喧嘩になってたね。



あの時の、君なんて大嫌いって言葉ね。

嘘だから、本気にしないでね。

本当は君が、大好きだったんだよ。

恥ずかしいから、言えなかったけど。


16 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:36:03.99 ID:jME8siy0O
花火の事で喧嘩して、翌朝には私、もう後悔してたよ。

あれは君のせいじゃなくて、私のせいだったんだって。

本当はわかってたはずなのにね。

みんなの前だと、恥ずかしくて素直になれないの。

ツンツンしちゃって、ごめんね。

二人きりだと、素直になれるのにな。



一人でしょんぼりしながら、アイスを食べてたの。

すると、いつのまにか君は縁側に立っていたね。

私は驚いて、でも君を見て、頭を下げたね。



ごめんなさい。

二人、一緒に言ったね。


19 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:38:14.83 ID:jME8siy0O
私が悪かったの、僕が悪かったよ、二人で言い合ったね。

顔を見合わせて笑っちゃったね。

でも今度は、自分が悪いって言い張って、喧嘩になったね。



『わたしがわるいの、あなたはわるくないでしょっ?』

『ちがうお、わるいのはぼくだお、きみはわるくないおっ』

『ちがうってばあ! わるいのはわたしなのぉっ!』

『ちがうおっ! わるいのはぼくだおーっ!』



なんて、馬鹿みたいに言い合って。

結局ふたりとも悪いって事でおさまって。

仲直りに、君には私の食べかけのアイス。

私には、君の飲みかけのラムネ。

アイスは溶けててラムネはぬるくて、でも、美味しかったね。


21 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:40:02.96 ID:jME8siy0O
小学校に上がってからも、私と君は変わらなかったね。

変わった事と言えば、夏休みに宿題が出来たこと。

初めて出されたいっぱいの宿題に、驚いたね。

私は初めてのそれに、どきどきしながら毎日手をつけたよ。

でも君は、宿題をほっぽって遊んでたね。

一緒に遊ぼうって君は言うけど、私は宿題を片付けなきゃ行かなくて。

君はすごく拗ねてたけど、夏休みの終わりごろ、理解したんだよね。



泣きそうな顔で私のとこにやって来て、さんすう教えてって言ったの。

覚えてるかな。

私、だから言ったでしょって怒っちゃって。

そしたら君は、ついに泣き出しちゃったよね。


23 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:42:02.54 ID:jME8siy0O
夏休みはあと三日で終わるのに、君は宿題に全く手をつけてなかったね。

それどころか、夏休みの友の裏に、名前すら書いてなかったよ。

私は呆れちゃって、でもおんおん泣く君をほっとくなんて出来なくて。

三日間、必死で二人で宿題をしたね。

私はもう絵日記の残り3ページ以外、全部終わってて。

けっきょく君は、さんすうだけじゃなく全部を私の前に置いて。



さんすうはやり方を教えるから、泣かないで。

こくごは書き取りばっかりだから、自分でして。

あさがおの観察はもう無理だから、私のを写して。

自由研究はどうぶつの本があるから、それを見て書いて。

読書感想文は、その本の事を書くの。

工作は私が作った貯金箱の材料、残ってるから一緒に作ろう。



ね、私も、けっこう悪知恵が働くでしょ?


26 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:44:12.43 ID:jME8siy0O
さんざん泣いて、さんざん怒られて、なんとか二日で終わらせたね。

二日間、寝ずに宿題をしたから手が痛かったね。

全部終わらせて、もう手伝わないって怒ろうとした時。

君はラムネを買ってきて、ホントにありがとうって笑ったね。

私、もう怒る気もなくなっちゃって。

縁側に並んで座って、つかれたねーってラムネを飲んで。

空を見上げたら、もう、そこには夏の入道雲がなかった。

秋の魚みたいな雲になっちゃってて、私は少し寂しくなって。

そしたら君はにっこり笑って、夏さんまた来年だねって。



その夏最後のラムネは、少しだけせつない味だった。

夏が終わるのは、こんなに寂しい。

汗をかいたラムネの瓶。

青くて透明なそれを、左右に振った。

ころんころん。


28 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:46:04.28 ID:jME8siy0O


私はラムネの瓶を片手に、そっと瞼を持ち上げた。

広がるのは緑の田畑、少し向こうには堤防と海。

久しぶりに戻ってきた故郷の風景は、ひどく胸にしみた。


ねぇ、君は今でもあんな笑顔でラムネを飲むの?


瓶を左右に揺らして、私は笑った。

いつのまにか、そんな事もわからなくなったのかと。


ζ(゚ー゚*ζ「ねー、どうしたの?」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、デレ……何でもないわよ?」


30 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:48:09.66 ID:jME8siy0O
ζ(゚ー゚*ζ「おかーさんほんとー? どこも痛くないー?」

ξ゚⊿゚)ξ「本当、痛くないわよ。デレは良い子ね」

ζ(^ヮ^*ζ「えへー」

ξ*^ー^)ξ「えへー」

ζ(^ヮ^*ζ「おかーさんのにっこり、好きー」

ξ*^ー^)ξ「ふふっ、ありがとうデレ。お母さんもデレが大好きよ」

ζ(>ヮ<*ζ「きゃーっ、はずかしーから遊んでくるー!」

ξ*^ー^)ξ「遠くには行かないのよーっ」


はーいと言う元気な返事を聞きながら、私はベンチから腰を上げた。

空っぽのラムネ瓶を返しに行こうと一歩踏み出した時、背中に、声がかけられる。

それはとても耳に馴染んだ声で、私は後ろを振り返り、声の主を目で探す。


31 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:50:07.03 ID:jME8siy0O
( ^ω^)「お、ツンだけかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「デレなら、ほら、あそこ」

( ^ω^)「おー、子供は元気だおー……」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、あなたも昔はああして駆け回ってたでしょ?」

( ^ω^)「お、君だって」

ξ゚ー゚)ξ「ふふっ、まあね……あら、それ?」

( ^ω^)「お? おー、懐かしくなって買ってきたんだお」


彼の手には、三本のラムネ瓶。
蓋の開けられたそれをベンチにそっとおいて、一本を私に差し出す。

そして、私の手に握られた瓶に気付いて、小さく肩を落とした。


(;´ω`)「も……もう飲んでたのかお……」

ξ*^ー^)ξ「ふふっ、先に思い出にひたらせて貰いました」

( ^ω^)「お? 思い出?」


34 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:52:16.32 ID:jME8siy0O
ξ*^ー^)ξ「えぇ、昔よく飲んだでしょ?」

( ^ω^)「お、確かに飲んだお」

ξ*^ー^)ξ「今飲むとね、昔の事をすごく思い出すの……小さい頃に戻ったみたいに」

( ^ω^)「お……じゃあ僕も」

彼が、目の前でラムネをぐいとあおる。
それを見て、私は真新しいラムネと持っていたラムネを交換した。

ぐ、と彼と同じようにラムネをあおる。

二人向かい合って、立ったまま。


( ^ω^)「ぷはふ……あー、うまいおー……」

ξ*^ー^)ξ「でしょ」

( ^ω^)「……ツン、なんかさっきから機嫌が良いお?」

ξ*^ー^)ξ「ふふっ……ちょうどね、一緒にラムネ、飲みたかったの」

( ^ω^)「お……」

ξ*^ー^)ξ「ちょっとね、昔に戻りたくて」

(*^ω^)「……お」


37 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:54:03.86 ID:jME8siy0O

彼は照れ臭そうに、ごくんごくんとラムネをあおる。

私もそれにならって、喉を晒してラムネを飲む。


ああ、身体中の渇きが癒されて行く。

潤って行く。


ラムネから口を離して、私たちは顔を見合わせる。


そして、にっこりと笑った。



ああ、今でも笑えるね。



39 名前: ◆xY85BWjgzIOj :2009/08/25(火) 20:56:08.60 ID:jME8siy0O

ζ(^ヮ^*ζ「おかーさーん、おとーさーん! こっちこっちー!」


ほら、私たちの笑顔から生まれた子が呼んでるね。

行こうか、手にラムネの瓶とあなたの手を握って。



これからも、一緒にラムネを飲もうね。

これからも、一緒に笑って行こうね。

これからは、二人じゃなくて三人で。

みんな、きらきら笑顔でいようね。

青くて透明に輝く、ラムネみたいに。

次は、三人でラムネを飲もう。
夏が終わっても、一緒に。



おしまい





元スレ:ブーン系サマー三国志総合スレ(リンク先( ^ω^)ブーン系小説とか読み物とかの倉庫様)
[ 2014/02/01 00:23 ] スレ内短編 | TB(0) | CM(0)

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