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( ^ω^)男は可愛く美しくのようです 七月

28 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:24:54 ID:lekLUSJUO
【それは陽炎の揺れる七月の物語】


从;゚∀从「あぢぃー、だりぃー」

( ・∀・)「ハイン、いくらなんでもそれは下品だよ」

从 ゚∀从「なんために俺がわざわざ、女装用制服なんて着てきたと思ってんだ」

( ・∀・)「もしかして、スカートをパタパタするために着てきたの?」

从 ゚∀从「ザッツライト。ただ下半身は涼しいんだが、誤算があったとすればウィッグが蒸すことだ」

( ・∀・)「それくらい考えればわかるでしょうに」

从 ゚∀从「あー、パッドブラもいらん。いっそ脱ぐか」

( ・∀・)「やめなよ、だらしない」





29 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:26:25 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「ぶー。うちの女装用制服はワンピース型だから、風通しがいいのがせめてもの救いだな」

( ・∀・)「エプロンドレスじゃないけど、形状はメイド服とかに近いよね。僕個人としては、フレアスカートが可愛くて好きだよ」

从 ゚∀从「スカートが可愛いから好きなんて、完全にこの学園に馴染んだな」

(;・∀・)「……いわれてみると確かに。本当に色々あったし、慣れたっていうか慣れるしかなかったっていうか」

从 ゚∀从「モララーなんて初めは、軽いスキンシップだけで顔を真っ赤にしてたもんな」

( ・∀・)「ハインのはスキンシップじゃなくてセクハラだから! でも、結構みんな友達同士でベタベタしてるよね」

从 ゚∀从「女子校的なノリっていうのか、ウチだと同性で手を繋いだり、腕組んだりするぐらいは普通だもんな」

( ・∀・)「抱き着いたりとかもあるよね」

从 ゚∀从「この時期だと、暑苦しいったらないけどよ」


30 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:27:54 ID:lekLUSJUO
( ・∀・)「そういえば前から思ってたんだけど、ハインって女装用制服好きだよね?」

从 ゚∀从「んー、俺にとっちゃこの制服は憧れっつうか、特別なもんだからな」

( ・∀・)「憧れ?」

从 ゚∀从「あれは、まだ俺が中坊んときの話なんだけどさ」


当時の俺は粋がっていた、というのとは少し違うかもしれないが、似たような状態だったんだろうな。
やっぱり、こんななりしてると、馬鹿共がちょっかいかけて来るじゃん。

( ゚∀゚)「女みたいな顔したやつにやられる気持ちはどうよ? 悔しかったらもっとかかってこいやコラァァァ!!」

それがたまらなく嫌でさ、俺のことを女みたいだって馬鹿にしたやつは、徹底的にぶっ潰してやったよ。
身体を鍛えて、武術を学んで、それこそ喧嘩に勝つ為だけに、血反吐が出るような努力までして。


31 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:29:10 ID:lekLUSJUO
( ゚∀゚)「はあ、はあ、次……こいよっ!」

その甲斐あってか、連勝街道まっしぐら。
気がついたら俺も周りからは、馬鹿共の仲間みたいな扱いを受けてたっけかな。

次第に敵の数も芋蔓式に増えてってさ、笑えることに二十対一とかで喧嘩してるんだぜ。
殴って殴られて、意識が朦朧とするなかそれでも殴り続けて、最後に立っていたのは俺一人だけだった。

( ゚∀゚)「はあ、はあ、……」

さすがにその日からしばらくは、喧嘩をふっかけて来るやつもだいぶ少なくなったよ。

でも、馬鹿共は結局馬鹿でさ、次は五十対一で喧嘩だぜ。
さすがにかなわねえっての、そんとき数の力は凄いんだなって思い知ったよ。


32 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:30:37 ID:lekLUSJUO
<ヽ`∀´>「ジョルジュ、お前も年貢の納めどきニダ」

( ゚∀゚)「……フン」

<ヽ`∀´>「散々てこずらせやがって! そんなに、この顔をのことをいわれるのが嫌だったニダか!」

(;゚∀゚)「ぐはあ、ゲホッゲホッ……!」

<ヽ`∀´>「おっと、ちょうどいい位置にツラがあったせいで、思わず蹴っちゃったニダ」

(;-∀゚)「はあ、はあ、くそ、野郎、が……! げはあっ!」

<ヽ`∀´>「……その余裕ぶっこいた表情が気に入らないニダ。おい、ナイフ持って来い!」

(;-∀゚)「ペッ! それで、くうっ、どうしよう、てんだ……」

<ヽ`∀´>「なあに、ワイルドな顔にして、男前を上げてやるだけニダ。泣いて許しを請うなら今のうちニダよ」

(;-∀゚)「はあ、はあ、好きに、しろよ。だが、次に俺と会うときは、鼻や耳が落ちるぐらいの覚悟はしとけよ!」

<ヽ`∀´>「うっ、本当に泣いて謝るならウリもそこまでは……」


33 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:32:01 ID:lekLUSJUO
(;-∀゚)「さあやれ! やれよ! やってみせろよチキン野郎!」

<;`∀´>「くそっ! やっ、やってやる、やってやるニダ!」

さすがにこのときばかりは、俺も覚悟を決めたよ。
どこを切られるかわからないが、下手すりゃ失明とか、最悪死ぬ可能性すらあったわけだしな。

「ちょっと待った!」

そんなときに現れたのが、あの人だった。

(*゚ー゚)「若いうちの喧嘩なんていうのは青春の一種だけど、それはやり過ぎじゃないかなー?」

(;-∀゚)「誰だよ」

(*゚ー゚)「誰だっていいでしょ。とにかく、子供同士の喧嘩で刃物なんか出す悪い子は、お姉さんがお仕置してあげる」

<ヽ`∀´>「はあ? 頭がいかれて……はぐうぅぅ!」

(*゚ー゚)「面倒だし、来ないならこっちから行くよ!」


34 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:33:27 ID:lekLUSJUO
どこの誰だか知らない変な人は、もう鬼のように強かったよ。
無双っていうのはああいうのをいうんだろうな、何十人といた馬鹿共を物の数分で片付けたんだから。

(;-∀゚)「アンタ、マジで誰だよ!」

(*゚ー゚)「ふふ、通りすがりのお姉さんだよ。正しくはお姉さん見習い、かな?」

イタズラっぽく微笑みながらそういい残すと、その人はどっかへ行っちまった。


.

35 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:34:41 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺を助けてくれた人が、そのとき着ていたのがうちの制服だったってわけさ」

从 ゚∀从「それで俺は、この制服のことを調べてるうちに、学園のこととか女装師のこととか色々知って、面白そうだからここに入ったんだ」

( ・∀・)「…………」

从 ゚∀从「おーい、ちゃんと聞いてるか?」

( ・∀・)「駄目だよ……」

从 ゚∀从「なにがだよ?」

( ・∀・)「駄目だよ! そんな危ないことしちゃあ! 下手したら今頃ジョルジュは……!」

从;゚∀从「おわっと! 昔の話だっての、暑いから引っ付くなよ」

( ・∀・)「だって……」

从 ゚∀从「それ以来喧嘩なんてしてねえよ。馬鹿共も引っ込みつかなかっただけで、相当俺のことビビってたらしいしな」


36 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:35:46 ID:lekLUSJUO
( ´∀`)「あー! ハインとモララーが、なにやら楽しげなことしてるモナ。野郎共、僕達もハインにくっつくモナー!」

从;゚∀从「なんだテメェら!」


从 -∀从(女顔が嫌いだったってのに女装なんかして、周りから避けられてきたってのにみんなから抱き着かれて)

从 ゚∀从(人生を変える出会いなんてのは、どこに転がってるかわかったもんじゃねえな)


从;゚∀从「ああもう! 暑い、暑いから寄ってくんなああああ!!」


.



37 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:38:00 ID:lekLUSJUO
【乙女心と夏の劇】


(*゚∀゚)「つまりここをこうすると、下着や水着になっても女性のように見える……っと、もうチャイムか」

(*゚∀゚)「今日の授業はここまでだ。これを生かすも殺すも自分次第、せいぜい努力するこったな」


从 ゚∀从「くうぅぅぅ、本日の御勤め終了ー!」

l从・∀・ノ!リ人「最近は授業も本格的になってきたせいか、難しいのが増えたよね」

从 ゚∀从「そうだな、裏を返せばここで頑張れるやつが伸びるんだろうな。例えば、ほら」


ζ(゚ー゚*ζ


从 ゚∀从「……モナーみたいに」


38 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:39:13 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「んー? どうしたの、私の顔になにかついてるかな?」

从 ゚∀从「目と鼻と耳と口」

l从・∀・ノ!リ人「他にも顔ダニとかね」

ζ(゚ー゚;ζ「新手の嫌がらせ?」

从 ゚∀从「いやいや、なんつうのか、数日前までモナーの女装姿って――」


リハ´∀`ノゝ


从 ゚∀从「こんなんだったじゃん? なにがあったのかとさ」

ζ(゚ー゚*ζ「そこはほら、男子三日会わざれば刮目して見よって感じかなー?」


39 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:40:28 ID:lekLUSJUO
l从・∀・ノ!リ人「でも、毎日会ってたはずだけどね」

ξ゚⊿゚)ξ「女装術のテクニックって、ある時期に来ると急激に伸びるのよね」

川 ゚ -゚)「いわゆる成長期というやつだな」

l从・∀・ノ!リ人「なんで毎度毎度、一年生の教室にいるんですか!」

川 ゚ -゚)つ゛「細かいことを気にしていては、大きくなれんぞ」

l从////ノ!リ人「ど、どこを触ってるんですか!? これはパッドだから大きくなりません!」

ζ(゚ー゚*ζ「その、成長期というのもあるかもしれないけど、上達できたのはお姉様の指導がよかったからですよー」

ξ゚⊿゚)ξ「謙遜しないの。私が教えたことなんて、貴女が授業で習ったことの応用程度よ」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、それでもお姉様のおかげです。だから女装名をモナ子から、お姉様に頂いたデレに変更します!」


40 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:41:41 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「前からそうだったけど、異様にツンさんに懐いてるな」

l从・∀・ノ!リ人「メイクも同系統だし、ああやってると本当に姉妹みたいだよね」


ζ(゚ー゚*ζ「お姉様♪」

ξ゚⊿゚)ξ「もう、甘えん坊なんだから」

ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、お姉様の匂いだー」

川 ゚ -゚)「今日は蒸すし、そんなにくっついたら二人とも暑かろう」

ξ゚⊿゚)ξ「それが不思議と、この子体温低いのよね」

川 ゚ -゚)「そうか、ならばいい」


l从・∀・ノ!リ人「あれって、やっぱり嫉妬してるのかな」

从 ゚∀从「あのクーさんが? まさか」

l从・∀・ノ!リ人「そうだよね。あのクーさんだもんね」


41 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:43:34 ID:lekLUSJUO
ξ゚⊿゚)ξ「ところで話が変わるんだけど」

川 ゚ -゚)「というより、正しくは私達がここに来た本題だな」

ξ゚⊿゚)ξ「来週の金曜日、私達と一緒にコンテストに出ない?」

从 ゚∀从「来週の金曜日、一緒にってことは」

l从・∀・ノ!リ人「もしかしてアレですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「そう、アレよ!」

川 ゚ -゚)「アレに出るには人数が必要だからな。お前達も実力が着いてきたし、良い経験にもなるだろう」


ζ(゚ー゚*ζ「……アレ?」


.

42 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:45:22 ID:lekLUSJUO
廊下に響くのは、自分の足元から奏でられる靴音。
先程つー先生に『廊下を走るな』と注意されたばかりだというのに、気が付くと足が前へ前へと速くなっている。

从 ゚∀从「まあ、あんまり待たせたら悪いからな」

と、もっともらしい言い訳を自分自身にしてみるが、本心は別だ。
早くあいつに会いたい、ただそれだけ。

从 -∀从「すーはー、すーはー」

教室の前で二度深呼吸、なんとなくだが息が切れていたら恥ずかしい。

よし、後はいつも通りにするだけ。
いつもと同じように、努めて親友として接する。

胸の内に秘めた想いなど、決して悟られないように。

从 ゚∀从「悪い悪い、遅くなっちまった。とっとと帰ろうぜ」

l从-∀-ノ!リ人「……すぅ、すぅ」

从 ゚∀从「寝てる……のか?」

どうやら妹者は、俺を待っている間に眠ってしまったらしい。
しかもなぜか俺の机で。


43 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:47:32 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「おーい、起きろよ。起きないとセクハラすんぞ」

l从-∀-ノ!リ人「……んむぅ」

揺すってみるがなかなか目を覚まさない。
寮では、いつも俺より先に起きているから知らなかったが、どうやら妹者はあまり寝起きがいいわけではなさそうだ。

从 ゚∀从「いいのか、本当にセクハラしちゃうぞ……?」

l从-∀-ノ!リ人「…………んっ」

妹者のうっすらと濡れた薄桃色の唇に、視線を奪われた。
俺は花唇に誘われる蝶のように、ゆらゆらと顔を少しづつ近付けていく。

互いの唇が触れ合うまで残り数センチ、妹者の甘い吐息が思考を麻痺させる。
後少し、ほんの少し顔を突き出すだけで――

从;゚∀从「だあぁ、何やってんだ! 馬鹿か俺は!」

寝込みを襲うような真似して、最低だ。
きっとここで本当にすれば、必ず後悔する。


44 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:48:47 ID:lekLUSJUO
l从-∀-ノ!リ人「…………むにゅ」

从 ゚∀从「人の気も知らないで、幸せそうな寝顔しやがって。……ずっと友達だと思ってたはずなのになあ」

いつからだろう、こんなにも心惹かれるようになったのは。

夕日の差し込む教室で二人きり。
時折窓の外から聞こえる葉擦れのメロディーが、臨場感をいやが上にも高める。

从 ゚∀从「……好きだよ、妹者」

決して相手に伝えられることのない言葉。
それはまるで儚い淡雪のように、空気に触れただけで溶けて消えていった。



ζ(゚ー゚*ζ「ハイン…………」


.

45 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:49:59 ID:lekLUSJUO
从 -∀从「はあぁぁぁ」

川 ゚ -゚)「幸せが逃げるぞ」

从 ゚∀从「逃げるほど残ってるといいんですけどね」

食べてる飯の味もわからないぐらいなんだから、相当イカれてる。
こんな状態で、これから妹者と同じ部屋で寝るっていうのだから、溜め息の一つも出るというものだ。

ξ゚⊿゚)ξ「箸も全然進んでないわね。悩みごとなら相談に乗るわよ?」

从 ゚∀从「むー、悩んでるっちゃ悩んでるんですけど」

川 ゚ -゚)「言いづらいことなら、無理に話せとはいわないが」

从 ゚∀从「……世にありふれた、ただの恋煩いですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ただのなんていわないの。女の子にとっては死活問題でしょ」

从 ゚∀从「女だけに限った問題でもない気がしますが」


46 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:51:59 ID:lekLUSJUO
俺の抱えている問題が男女間の恋愛ならまだいい。
それならまだ報われる可能性はある。

だが救いようのないことに、俺は同性の親友を好きになってしまった。
恋は理屈じゃないなんて言もあるが、まさかそれがここまで真実とは思いもしなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「それで、どうするの?」

从 ゚∀从「どうするとは?」

川 ゚ -゚)「粉をかけるのかってことだ」

从;゚∀从「粉って」

ξ゚⊿゚)ξ「言い方を変えれば告白するの? ってことよ」

从 ゚∀从「告白、告白かあ……。しないっすね」

ξ゚⊿゚)ξ「なんでしないのよ?」

从 ゚∀从「なんでって、なんでもですよ」


47 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:53:35 ID:lekLUSJUO
上手くいかないと分かりきっているのに、告白をする理由がない。

川 ゚ -゚)「ハインは臆病になっているのだろう。様々な障害ばかりが目に入り、足がすくむ」

从 ゚∀从「障害が乗り越えられない程高いんですよ。しかも、失敗すれば大切なものまで失う」

親友という名の、大切な大切な絆まで。

ξ゚⊿゚)ξ「他人がとやかく口出しできる問題じゃないのは、わかってるんだけどね」

川 ゚ -゚)「いつも賑やかなお前達がそんなだと、な」

从 ゚∀从「すみません……」

ξ゚⊿゚)ξ「謝ることじゃないわよ。ただこれだけは覚えておいて欲しいの」

川 ゚ -゚)「誰かが涙を飲むことになるのだろうが、私達は三人とも幸せになれることを願っているよ」

从 ゚∀从「三人? 誰のことですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「さて、誰のことでしょうね」

その後いくら尋ねてもツンさんは、優しく微笑むだけで答えてはくれなかった。


48 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:55:09 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「急にどうした、しかもこんなところで」

ζ(゚ー゚*ζ「本当はそれほど急ってわけじゃないんだけどねー」

ツンさん達と別れた後、自室に歩を進める俺を呼び止めたのはデレだった。
話があるから着いて来てほしいと、連れ出された場所は寮の屋上。

ζ(゚ー゚*ζ「…………」

デレは次に切り出す言葉を迷っているのか、視線を上方へとさまよわせる。
静寂の中、デレの洗い髪の香りが、風に乗ってほのかに届いた。

从 ゚∀从「いくら夏とはいえ、湯冷めには気をつけろよ」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがと。えへへ、やっぱりハインは優しいね」

从 ゚∀从「普通だろ」


49 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:56:31 ID:lekLUSJUO
ζ(゚、゚*ζ「……私、ずっとハインに伝えたいことがあったんだ」

引き締められた口角に、俺の心の底までを射抜くような瞳。
いつも笑顔で、少し抜けたところのある普段の彼女を知る者なら、別人とすら疑う程の剣呑な雰囲気。

ζ(゚、゚*ζ「今まで、私が我慢すれば問題ないって思ってた。それだけで全てが上手くいくんだって」

从 ゚∀从「なんのことだよ」

ζ(゚ー゚*ζ「でもそれは間違いだったんだよ。だって私は、ハインがこんなにも臆病者だったなんて思わなかったんだもん!」

从 ゚∀从「なっ、誰が臆病――」

ζ(゚ー゚*ζ「私は! 妹者のことが好きっ!!」

从;゚∀从「はっ!? えっ、あっ」

好き、スキ、すき、言葉は聞き取れたのに意味が理解できない。
まるで考えることを放棄したかのように、頭が回らなくなる。

好き、誰が、誰を。
好き、デレが、妹者を。


50 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:58:53 ID:lekLUSJUO
从;゚∀从「ちょっと待てよ、好きもなにもお前と妹者は同性で」

ζ(゚ー゚*ζ「関係ないよ、だって好きなものは好きなんだもん。私は性別を理由に、自分の気持ちに嘘を吐きたくない!」

从;゚∀从「でも、待てよ、だって、だって……!」

待てよ、待ってくれよ。

焦燥感に駆られる中、デレを諌める台詞を何通りも考えるが、駄目だ。
こんな体面通りの言葉では、デレには届かない、デレの心に響かない。

嫌だ、妹者を取られたくない。

从 ゚∀从「だって! だって、俺だって妹者のことが好きなんだからっ!」

ζ(゚ー゚*ζ「親友というぬるま湯を失うのが怖くて、何もして来なかったハインが今更?」

从 ゚∀从「だったらデレはなにをして来たんだよ。それこそ自己犠牲をダシにして、自分が傷つかないようにしてただけじゃないか」

ζ(゚ー゚*ζ「そうだよ、私は何もして来なかった。だからこれから始めるの、これからは私もモーションをかけてく」

从 ゚∀从「つっ……」


51 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:59:51 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「例えハインの想いを踏みにじることになっても、私は退かないから」

全てを語り終えたとばかりに、デレはきびすを返すと、一度もこちらを振り返ることなく去っていった。


从 -∀从「なんでだよ、俺達三人はずっと親友だったじゃないか。なんで、こんなことに……!」


.

52 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:01:17 ID:lekLUSJUO
なんで、どうして、どうすれば。
部屋に戻りベッドで横になるも、同じ言葉ばかりが頭の中を駆け巡る。
そんな精神状況では、到底眠ることなどかなわなかった。

从 -∀从「もう朝か」

こちらがどんなに鬱屈とした情緒であろうと、関係なく夜は明け、朝日は昇る。

それからは毎日の習慣通りに妹者と共に朝食を取り、一緒に登校し、授業を受ける。
まるで昨日の悶着など、嘘であったかのような日常。

从 ゚∀从「あー、午前の御勤めも終了! 妹者、一緒に昼飯食いにいこうぜ」

l从・∀・ノ!リ人「ごめん。今日はデレと二人だけで、昼食を取る先約があるから」

从 ゚∀从「えっ?」

ζ(゚ー゚*ζ「ごめんねー、というわけで妹者は借りてくね」

从 ゚∀从「あ、ああ……」

本当に嘘であってくれればどれだけよかったか。


.

53 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:03:19 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「はあぁぁぁ」

l从・∀・ノ!リ人「幸せが逃げるよ」

ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、逃げるほど残ってるといいんだけどな」

l从・∀・ノ!リ人「悩みごとがあるの?」

ζ(゚ー゚*ζ「恋煩い、かな。上手くはいかないよねー」

l从・∀・ノ!リ人「恋煩い……」

ζ(゚ー゚*ζ「妹者も恋を煩ってるんでしょ?」

l从////ノ!リ人「そ、そんなことは……」

ζ(゚ー゚*ζ「子供の頃に夢見てた恋愛はさ、甘くて優しくて素敵なものだったのに。現実はどうしてこんなにも、辛いんだろうね」

l从・∀・ノ!リ人「きっと辛くて困難で、どうしようもなく苦しいから、だから人は一生懸命になれるんじゃないかな」

ζ(゚ー゚*ζ「……そうなのかもしれないね」


.

54 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:04:36 ID:lekLUSJUO
午後一番の授業は体育、種目はハードル走。
そこそこ上背に恵まれた俺には、有利な競技ともいえる。

从 ゚∀从「よっ、ほっ、たっ!」

さすがに睡眠不足で、平常時ほどの記録は出せないが、それなりにこなしていく。

しかし、有利とはいえこの手の競技は、集中力を欠かせば危険だってある。
それなのに、気が付くと俺の視線は妹者を追っていた。

l从・∀・;ノ!リ人「えいっ、はうっ、……っ! うあぁぁぁ!!」

そして、視線が触れ合った瞬間起こったのが、妹者の転倒。

(*゚∀゚)「大丈夫かっ!? ……どうやら擦り剥いただけみたいだな。誰か、妹者を保健室へ連れて行ってやれ」

从 ゚∀从「お、俺が――」

ζ(゚ー゚*ζ「先生、保健委員の私が連れていきます」

保健委員、確かにデレは保健委員だ。
なら譲るのが正解なんだろう、でも嫌だ。


55 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:05:52 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺が連れていく」

ζ(゚ー゚*ζ「なんで? 寮の部屋が同室だから? 友達だから?」

从 ゚∀从「…………」

ζ(゚ー゚*ζ「言えないような理由なら、私が連れて行くよ」

好奇の眼が俺達に集まる。
逃げることは簡単だ、今までやってきたことなんだから。
でも、俺は、俺は――

从 ゚∀从「俺が、妹者のことが好きだからだ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「……そっか、なら任せるよ。よろしくねー」

从 ゚∀从「ああ、ほらいくぞ。つかまれ」

l从・∀・ノ!リ人「う、うん……」



ζ(゚ー゚*ζ「はは、あはは! ハインも初めから素直になれば早かったのに。まったく、恋のキューピッドなんてがらじゃないんだけどなあー」

ζ(;ー;*ζ「あは、あはは……ほんと、がらじゃないなぁ……」


.

56 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:10:12 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「むー、こんなときに限って保健医がいないじゃないか」

妹者を椅子に座らせ、消毒薬と絆創膏を用意する。

从 ゚∀从「水道水で綺麗に洗ったし、とりあえず消毒するか」

怪我を負った妹者の左足を手に取る。
透き通るような白色、きめ細やかな肌、これが自分と同じ人間のものだとは考えられない。

从 ゚∀从「触る、からな?」

l从////ノ!リ人「うん……」

患部に消毒薬を塗り込む。
少しでも痛みを感じさせないように、ゆっくりと優しく。

l从・∀-;ノ!リ人「うぅっ!」

从;゚∀从「痛かったか!?」

l从-∀-ノ!リ人「だ、大丈夫だから、続けて……」

从 ゚∀从「もっと、優しくするから」


57 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:11:27 ID:lekLUSJUO
指先に神経を集中させると、左手から伝わってくる、妹者の滑らかなふくらはぎの感触。
支えているだけで形を変える程柔らかく、それでいて弾力があって、いつまでも触れていたくなるほど気持ちいい。

妹者は痛い思いをしているのに、俺は何を考えてるんだと申し訳なくなる。

l从-∀-;ノ!リ人「うっ、くっ、あっ!」

从 ゚∀从「もうすぐ、もう少しで終わるから! よし、これでOK」

後は絆創膏をつけて出来上がり。

从 ゚∀从「もう終わったからな。大丈夫か?」

l从・∀-ノ!リ人「うん、ハインが優しかったから、ちっとも痛くなかったよ」

健気に微笑む妹者の目元には、うっすらと涙が浮かんでいる。
痛くないわけなどないだろうに。


58 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:12:48 ID:lekLUSJUO
l从・∀・ノ!リ人「…………」

从 ゚∀从「…………」

l从・∀・ノ!リ人「…………」

从 ゚∀从「……あの、さ」

l从・∀・;ノ!リ人「なっ、なに?」

从 ゚∀从「さっき俺、妹者のことが好きだっていったじゃん」

l从・∀・ノ!リ人「う、うん」

从 ゚∀从「あれは――」

l从・∀・ノ!リ人「わ、わかってるよ! ハインは親友として好きということをいったのであって、つまりはその……」

从 ゚∀从「わかってねえよ。妹者は何にもわかってねえ」

l从・∀・ノ!リ人「えっ?」

从 ゚∀从「俺がいいたいのはさ、どさまぎなんて嫌だから、今改めて告白させてくれってことだよ」

l从////ノ!リ人「こ、告白……」


59 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:14:17 ID:lekLUSJUO
从 ゚∀从「俺は妹者のことが好きだ! いつからかはわからないが、気が付いたら好きで好きでどうしようもなかった!」

飯を食ってても、風呂入ってても、妹者のことしか考えられなかった。
例え妹者が、俺のことを友人としか思ってなくても関係ない。
今この瞬間に俺の胸を占めるのは、今まで隠してきた想いの全てを伝えたいということだけ。

从 ゚∀从「もう親友ってだけじゃ我慢できないんだ。……俺と、恋人として付き合ってほしい」

l从・∀・ノ!リ人「その、だって僕は子供っぽいし」

从 ゚∀从「俺だって子供だよ。俺達はこれから大人になっていくんだ」

l从・∀・ノ!リ人「でも、ハインにはもっとお似合いの、格好いい人が現れるかもしれないし」

从 ゚∀从「そんな会ってもないやつのことは知らん」

l从・∀・ノ!リ人「実は結構独占欲が強くて、焼きもちも焼くよ?」

从 ゚∀从「俺に焼いてくれるのなら嬉しい」

l从////ノ!リ人「えっと、えっと、その……こんな僕でよければ恋人にしてください」

从 ゚∀从「絶対後悔させない、大切にするよ」

l从////ノ!リ人「うん……」

60 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:15:38 ID:lekLUSJUO
どちらからとなく寄り添う二つの影。
妹者の吐息が優しく俺の頬を撫でる。


――この日、俺達は初めて互いの気持ちを確かめ合った。



(゚、゚トソン「以上、ハイン妹者チームでした」

ミセ*゚ー゚)リ「甘酸っぱい少女達の恋愛。もう最後のキスシーンなんかは、演技じゃないんじゃないかなーってレベルでしたよ」

(゚、゚トソン「これでひとまず全チームが終了したね。ボクは等しくどのチームにも興味ないけど」

ミセ*゚ー゚)リ「みんなは審査が終わるまで、席に着いて良い子でまっててねー!」


.

61 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:16:42 ID:lekLUSJUO
l从////ノ!リ人「こっ、こっ、ここ……!」

从 ゚∀从「ニワトリの真似か?」

l从・∀・;ノ!リ人「この野郎ほんとにキスしやがったあああああああ!! したように見せるだけって決まってたじゃんっ!」

从 ゚∀从「盛り上がるかなって」

l从////ノ!リ人「初めてだったのに……! 初めてだったのにっ!」

从 ゚∀从「安心しろ、俺も初めてだ」

l从・∀・ノ!リ人「なにを安心しろっていうんだよっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「まあまあ、落ち着きなさいよ」

川 ゚ -゚)「同性だし、ノーカンにすればいいだろう」


62 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:18:04 ID:lekLUSJUO
ζ(゚ー゚*ζ「ハインばっかりずるい! 私も妹者とちゅーするー!」

l从////ノ!リ人「わわっ!? 顔近いって!」

从 ゚∀从「そうだよなー。話の中とはいえ、デレは妹者と結ばれなかったもんな」


ξ;゚⊿゚)ξ川;゚ -゚)「「はあああぁぁ!?」」l从・∀・;ノ!リ人ζ(゚ー゚;ζ


从 ゚∀从「えっ? なに、なにかおかしなこといった?」

ζ(゚ー゚*ζ「あのねー、リアルで鈍感っていうのはよくないと思うんだよね」

l从・∀・ノ!リ人「これは僕でもちょっとびっくりするよ」

从 ゚∀从「なんだよ、鈍感って」


63 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:19:39 ID:lekLUSJUO
ξ゚⊿゚)ξ「はあ、作中でデレがいつも気にかけていた人物は誰か考えてみなさいよ」

川 ゚ -゚)「つまり、デレはハインのことが好きだったってことだ」

从;゚∀从「はあっ!? でも、妹者のことが好きって」

ξ゚⊿゚)ξ「あんなもん、ぐずぐずしてるハインに発破をかけただけに決まってるでしょ」

川 ゚ -゚)「デレは最初から最後まで、ハインと妹者が上手くいくようにしか考えていなかったのさ」

从;゚∀从「乙女心ってわかんねえええええ!」



ミセ*゚ー゚)リ「優勝は乙女心を見事に表現した、ハイン妹者チームでーすっ!!」


.




27 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 22:23:19 ID:lekLUSJUO
今回で四回目となりました
男は可愛く美しくです

ちょっとした小話ですが実はこの作品、一回の投下につき作品内の時間が一ヵ月進んでいるんですよ
だから今回は七月の話になります

恐らく後何回か進んだらこんなこと言わなければ良かったと可愛く綺麗に美しく後悔します


64 :名も無きAAのようです:2011/10/08(土) 23:27:57 ID:lekLUSJUO
投下終了です
お付き合い頂き感謝を

ジョルジュの過去話とたぶん最初で最後のガチ百合回
個人的にはもちろんゆるい百合も大好きですが、濃ゆい百合も大好物だぜ!と守護霊がいっておりました

次回は夏休みの話かオープンキャンパスにかこつけた設定集になります
では次回も必ずみるべし!




元スレ:( ^ω^)男は可愛く美しくのようです(リンク先( ^ω^) ブーン系創作板のようです

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