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95 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:27:50 ID:FMEDZlIo0
規則的に顔を出す太陽は、また規則的に顔を隠す。
新緑の木々はとっくに明るさを失い、月が反射させた薄明かりのみがあたりを照らしていた。
(´・ω・`)「……いないね」
( A )「……」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ^ω^)は機械仕掛けのようです
5/8「追憶の記憶と泣いてる少女」
96 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:28:04 ID:FMEDZlIo0
(´・ω・`)「……ドクオさんの言うとおり
もしこの山を転がっていったとしたら、見つけるのは厳しいと思う」
ξ ⊿ )ξ「……そう、ですね」
( A )「……」
(´・ω・`)「……今日はもう暗いし危ない
ブーン君を探して、他の誰かが犠牲になっても仕方ない」
川 ゚ -゚)「ドクオ様」
( A )「……クーか」
97 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:28:19 ID:FMEDZlIo0
川 ゚ -゚)「やはり、山の下にはいませんでした」
( A )「……そうか」
川 ゚ -゚)「ドクオ様」
(´・ω・`)「……ドクオさん
今日は私の宿に泊まりなさい」
( A )「……はい、ありがとうございます」
川 ゚ -゚)「……」
(´・ω・`)「……ツンちゃん
早く寝るんだよ」
ξ ⊿ )ξ「……はい」
98 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:28:41 ID:FMEDZlIo0
なぜ、機能は眠ってしまったんだろう。
そもそも、ドアに鍵をかければ良かったんだ。
お父さん達が死んでから、鍵はずっと壊れたままだ。
ξ ⊿ )ξ「……私のせいだ」
ブーンがおかしくなったのも、思えばあの日からだった気がする。
なんでその後、鍵をつけることを考えなかったのだろう。
不審者なんて来たことないから?
そもそも来訪者がほとんどいないから?
そんなことは理由にならない。
99 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:29:05 ID:FMEDZlIo0
私が悲しんでると知ったら、ブーンは悲しむだろう。
私は悲しむよ、悔やんでるよ、
だからブーン、戻ってきて……
ξ ⊿ )ξ「……」
物心ついた時から、ブーンはずっと傍にいた。
お父さんとお母さんは畑仕事で忙しかったから、私の遊び相手はブーンだった。
ξ*゚⊿゚)ξ「ブーンブーン」
( ^ω^)「おっおー」
ξ*゚⊿゚)ξ「だっこしてぇー」
( ^ω^)「いいお」
( ^ω^)「たかいたかーい」
そう言ってブーンは私を持ち上げた。
普段とぜんぜん違う視界。
100 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:29:20 ID:FMEDZlIo0
( ^ω^)「ひくいひくーい」
ξ*゚⊿゚)ξ「ぶー、いつもと変わんないよー」
ブーンがふざけて地面スレスレの高さにする。
ちょうどその時、カチャッという音がしてドアが開いた。
ζ(゚ー゚*ζ「ただいまー」
また玄関に振り替えり、鍵をかける。
ξ*゚⊿゚)ξ「あ、あかーさん、おかえりー」
101 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:29:43 ID:FMEDZlIo0
ζ(゚ー゚*ζ「今お昼作るわ、ツン」
そう言って野菜を切るお母さんが私は大好きだった。
ブーンは私をお母さんの太ももの近くに持って行き、言った。
( ^ω^)「ふといふとーい」
ζ(゚ー゚#ζ「おい」
( ^ω^)「おっおー」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、もうすぐお父さんが帰ってくるから
懲らしめてもらおうかしら」
(; ^ω^)「おっおー」
困ったように唸るブーンを見て、私もお母さんも爆笑したものだ。
102 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:29:59 ID:FMEDZlIo0
カチャッ
( ・∀・)「ただいまー」
( ・∀・)「あ~、腹減った~」
ζ(゚ー゚*ζ「お帰りなさい、すぐご飯できるわ」
( ・∀・)「今日は何かな?」
お父さんが台所を覗きこみ、白い湯気の匂いをかいだ。
( ・∀・)「シチューか、おいしそうな香りだ」
103 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:30:37 ID:FMEDZlIo0
ζ(゚ー゚*ζ「さて、出来ましたよ~」
温かいシチューがお皿に注がれ、テーブルに並べられた。
テーブルの真ん中にはパンが置かれている。
( ・∀・)「では、いただきます」
ξ*゚⊿゚)ξ「いただきます」
ζ(゚ー゚*ζ「いただきます」
( ^ω^)「いただきます」
お母さんは必ずブーンの分もご飯を用意する。
結局ブーンは全部残すんだけど、お母さんは幸せそうだ。
私が残すと鬼のように怒るのにね
104 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:31:04 ID:FMEDZlIo0
( ・∀・)「ツン、聞きなさい」
ξ*゚⊿゚)ξ「ほぇ?」
( ・∀・)「大事な話だ」
ζ(゚ー゚;ζ「あなた」
( ・∀・)「デレ、もう話さなくてはならない」
( ・∀・)「私たちに何かあっても、ツンが生きていけるように」
ξ*゚⊿゚)ξ「なぁに?お父さん」
( ・∀・)「明日から、ツンにはお父さん達の仕事を覚えてもらう」
それから私はあの畑に連れていかれ、絶対に口に含んではいけない。
畑に火が出たら何も考えず街まで逃げ、一週間は近づかないことなどを聞いた。
105 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:31:37 ID:FMEDZlIo0
( ・∀・)「ブーンも手伝ってくれるだろうが、それだけじゃだめだ」
( ・∀・)「いいか、ブーンは家族なんだ。召使ではない」
( ・∀・)「わかるね?」
ξ*゚⊿゚)ξ「はい、お父さん」
私がお父さんと話している間
ブーンはお母さんと何か話していたらしいけど、何を話していたかは私にはわからなかった。
(`・ω・´)「モララーさん」
( ・∀・)「いつもすまないね、シャキンさん」
(`・ω・´)「いやいや、ん?ツンちゃんかな?」
ξ*゚⊿゚)ξ「こんにちわ」
106 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:31:53 ID:FMEDZlIo0
( ・∀・)「今の内に仕事を覚えさせておこうと思ってね」
(`・ω・´)「……うん。立派だねぇ
うちの弟にも見習わせたいよ」
( ・∀・)「ショボンくんにはショボンくんのいいところがあるさ
はい、今週の分」
(`・ω・´)「……うん。できればあの話、前向きに考えてくれないかな?」
(;・∀・)「いや~、やっぱり今の量でも手一杯でして」
(`・ω・´)「人の手なら私が貸しますよ?
お互い損にはならないでしょう」
107 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:32:08 ID:FMEDZlIo0
( ・∀・)「すみません、その話は」
そう言って、お父さんは私に視線をやった。
(;`・ω・´)「そうですね、ではまた」
集めた実の変わりに、いくばくかのお金を渡し、シャキンさんは帰っていった。
( ・∀・)「ツンがいて良かったよ」
お父さんはツンに微笑み、ツンもお父さんに微笑んだ。
ξ*゚⊿゚)ξ「役に立てたー?」
( ・∀・)「もちろんさ」
108 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:32:21 ID:FMEDZlIo0
そしてその日が、お父さんと仕事をした最後の日だった。
ξ;⊿;)ξ「……ブーン」
109 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:32:36 ID:FMEDZlIo0
薄暗い月明かりはバーボンハウスをも照らし、月影に二人のシルエットを浮かばせた。
('A`)「今、なんて言った?」
川 ゚ -゚)「申し訳ありません」
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「ブーンを見つけました」
('A`)「それで、ブーンはどこにいる?」
川 ゚ -゚)「わかりません」
110 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:33:08 ID:FMEDZlIo0
('A`)「なぜだ?」
川 ゚ -゚)「ブーンに頼まれ、拠点情報をリセットし、逃がしました」
( A )「アハハハッハハハハおかしいと思ったよ
そういうことか」
( A )「登録情報は保護回路の次の優先順位だったはずだ
設定情報等の関連情報をいじれる場所は自分では触れられない」
川 - )「……」
(゚A゚)「クー、ブーンを探して連れて来い」
(゚A゚)「行け、今すぐだ!」
111 :
◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 19:33:24 ID:FMEDZlIo0
川 - )「……申し訳ありません、ドクオ様」
(゚A゚)「俺は一週間は、隣町の宿にいる
見つけるまで帰ってくるな」
( ^ω^)は機械仕掛けのようです
5/8「追憶の記憶と泣いてる少女」終