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( ^ω^)は機械仕掛けのようです 1/8

14 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:19:51 ID:yuwQGzwI0

 太陽は皆に平等に光を与え、多くのものに活力を与える。
 それは人間のみならず、植物にも例外なく恩恵をもたらしていた。

 その恩恵を受諾したひとつの結果が森の中にもあった。
 それは、ツンの両親によって栽培されたある畑。

 鍵なくしては立ち入ることができない塀に囲まれたその畑に
 一人いや二人の姿はあった。





( ^ω^)は機械仕掛けのようです

    1/8「酒飲み宿と垂れ眉の店主」


15 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:20:09 ID:yuwQGzwI0
ξ;゚⊿゚)ξ「ふぅ」


 少女はそう漏らし、額に流れる汗を拭った。
 手につかんでいるのは手のひらサイズの実で、同様の実は少女が背負うバスケットの中にも見ることができる。


ξ゚⊿゚)ξ「このくらいで今日はいいかな」


 そう言って、次は水道の蛇口をひねった。
 勢いよく水が出て、それは全て水色のバケツへと注がれていく。


ξ゚⊿゚)ξ「ブーン」


 視線の先で空を見つめるロボット、ブーンはツンに呼ばれてツンの元へ歩み寄った。

16 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:20:28 ID:yuwQGzwI0


ξ゚⊿゚)ξ「お願い」


( ^ω^)「おっおー」


 渡されたバケツを嬉しそうに持ち、畑に撒いていく。
 降り注がれた水は葉を辿り、徐々に、ゆっくりと地面を濡らしていった。

 その作業を何度か繰り返し、畑の土が全て色を変えるまで続けた。


ξ゚⊿゚)ξ「水のあげすぎも、確かだめなのよね」


 お父さんの言葉を思い出し、少し懐かしくなる。
 お父さんとお母さんは、死んだ今もなお、ツンを護ってくれている。
 例えば生活費を得るためのこの畑も両親が残してくれたものだ。

17 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:20:50 ID:yuwQGzwI0

 畑の管理方法や、炊事洗濯などの家事だって、幼い頃から両親が教えてくれた。
 なにより、ブーンだって残してくれたんだ。

 きっと、ブーンがいなかったら、ツンはとっくに孤独に殺されていただろう。


ξ゚⊿゚)ξ「でも、お父さんとお母さんはなんで殺されちゃったのよ」


 ううん、お母さん達は悪くないと首を振り、ツンは手のひらサイズの実を見つめた。
 この実は、薬として使われているらしい。


ξ゚⊿゚)ξ「そういや、ブーンのデータにこれのデータあったわよね?」


ξ゚⊿゚)ξ「なんて名前だったっけ?」


( ^ω^)「ケシ、ソムニフェルム種だお」

18 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:21:12 ID:yuwQGzwI0

 相変わらずの笑顔。
 知識があるのを自慢されているみたいでちょっとむかつく。


ξ-⊿-)ξ「あーそんな名前だったね」


ξ゚⊿゚)ξ「病を消す実だからケシなのかしら?」


 だとしたら万能薬だ。

 もしかしたら、ぼったくられてるのかもしれないが、
 今の生活には困ってないから、まぁいい。

 第一価格なんてブーンに聞いてもわからないんだから、私がわかるはずもないしね


ξ゚⊿゚)ξ「じゃあブーンは部屋でお留守番しててね」

19 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:21:27 ID:yuwQGzwI0


 壊れてきているブーンを一人にするのは怖いけど、ブーンは拠点登録という便利な機能を使っている。
 つまり、ブーンは私の家から離れた場所に行くことはできないのだ。

 そして家の周りに危ないものはないだろう、多分。


( ^ω^)「気をつけてね、ツン」


ξ゚⊿゚)ξ「うん。ありがとう」


 私は畑を出ると、森を出て街へ向かった。

20 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:21:48 ID:yuwQGzwI0

 寂れた街の、寂れた酒屋。
 そこで会話を交わす、一人と一体。


(´・ω・`)「ヴィップという街を知ってる人がどれだけいるだろう」


( ФωФ)「知ってる人、でありますか
       そのデータは私はもってないであります」


(´・ω・`)「ははは、真実なんて誰もわからんさ
     君はどう思うんだい?」


( ФωФ)「わからないであります」


 そこで会話は一旦止まり、垂れ眉の男は困ったように笑った。


22 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:22:06 ID:yuwQGzwI0
(´・ω・`)「……ふぅ」


 垂れ眉の男はため息をつくと、ふと斜め上に視線を浮かべた。


( ФωФ)「申しわけないであります、ショボン様」


(´・ω・`)「いや、いいさ」


 そう言って、ショボンは垂れ眉をいっそう斜めにした。

23 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:22:29 ID:yuwQGzwI0

( ФωФ)「……」


 ロボットはロボットで、謝罪が受け入れられないという状況に
 言葉が見つからないのか、黙ってしまう。

 その沈黙は人間、つまりショボンが何か言葉を発するまで続くのだ。


(´・ω・`)「ん?」


( ФωФ)「……どうしたでありますか?」

24 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:22:43 ID:yuwQGzwI0

(´・ω・`)「常連さんのご来店さ」


 ショボンがその言葉を言い切る直前に、勢いよく扉が開けられた。
 扉についた鈴がカランコロンという心地いい音を出し、金髪の来訪者を歓迎した。


ξ゚⊿゚)ξ「すいませーん」


(´・ω・`)「バーボンハウスへようこそ、やあツンちゃん」


ξ゚⊿゚)ξ「ショボンさん、こんにちわ」


 そう言って表情を和らげたツンは、よっこしょ!と声を出して、
 背負ったバスケットを地面に下ろした。

25 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:23:20 ID:yuwQGzwI0

(´・ω・`)「こらこら、若い娘がそんな言葉を使うのはよしなさい」


ξ゚⊿゚)ξ「あら?よっこしょ!はショボンさんの口癖が移ったんだけど」


 そう言ってツンは口端を緩めた。


(´・ω・`)「おじさんはいいんだよ」


 自称気味に笑ったショボンはツンの置いたバスケットを、よっこしょ!と声を出し、カウンターの奥にしまう。


(´・ω・`)「よっこしょって言うのはね、僕の故郷ではおばさん達が使う言葉なんだよ」


ξ;;゚⊿゚)ξ「なっ、おばっ」


 麗しき乙女になんて言葉を覚えさせるんだ。
 ああ、お父さんお母さんごめんなさい。

26 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:23:43 ID:yuwQGzwI0

( ФωФ)「はじめて」


 文句を言おうとした矢先、視界に入ってきた人。
 一体誰だろう?


( ФωФ)「ロマネスクであります」



 そういえば、バーボンハウスのもう一人の店員の姿が見えない。
 ブーンと同じ型のロボットで、ブーンよりも口が悪い。
 辛い時だって、ショボンとの黒い会話を聞いてるだけで不思議と笑顔になったのだ。


(´・ω・`)「ああ、修理もできないって言うしね、ついに買い換えたんだ」


 修理はできないのか、まあそれは仕方ないわね
 そして、もうこの村に、ブーンと同じ型のロボットは存在しないことになる。

 いろんな物を壊れながらも使っているのが普通のこの村で既にないのだから、
 もしかしたらもう世界に存在しないのかもしれない。

27 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:24:00 ID:yuwQGzwI0
ξ゚⊿゚)ξ「買い換えちゃったんですか……」


(´・ω・`)「うん」


 ショボンさんの相棒も、ブーンと同じ症状をしていた。
 もしかしたら機種特有の症状なのかもね、と言ってショボンは小さく笑った。


(´ ω `)「ただ、事あるたびに買い換えてくださいという姿に耐え切れなくてね」


 そう言って表情を曇らせるショボンさんは、
 近い将来の私の姿なのかもしれない。

28 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:24:21 ID:yuwQGzwI0
(´・ω・`)「ああ、そうだ、これ」


 そう言って、ショボンさんは私にお金と何日か分のパンをくれた。


ξ゚⊿゚)ξ「はい、じゃあまた」


 ちょっと話しすぎちゃったか
 そう思い、ツンは家路を急いだ。


ξ゚⊿゚)ξ「はい、これブーンのぶん」


( ^ω^)「だから何度も言ってるけど、ブーンはパンは食べれないお」


ξ゚⊿゚)ξ「気分よ気分」

29 : ◆Ymtt.Y6YOc:2011/02/21(月) 00:24:52 ID:yuwQGzwI0
 食事の度に繰り返されるやり取り。
 両親が死んでから、家族はブーンだけなのだ。

 だから、ブーンの分も食事は用意する。それだけ。



 もっとも当然ブーンはパンを食べることできない。
 ブーンが食べるのは電気だ。

 ブーンのためのパンは森の小鳥達にあげている。

 コンコン

( ^ω^)「お?」

 小屋に響くノックの音。
 そして、緩やかな時は終わりを告げた。




( ^ω^)は機械仕掛けのようです

    1/8「酒飲み宿と垂れ眉の店主」終


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