スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

カードキャプター('A`)のようです (元ネタあり)

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:11:17.23 ID:6A+8y47d0
リ―――ン……

鈴の音が鳴る。
まるで池に小石が投じられた時にできる波紋のように、優しく、静かに鳴り響く。
暗闇の中には、何か赤い―――本だ。本が、見える。


「誰だ?俺を呼ぶのは」


目を見開くと同時に、身体に風が当たるのを感じた。
眼前には鋭くライトアップされた東京タワーと、その後ろには大きな満月が悠然と佇んでいる。
更にその下には無数のビル群が広がっていて、その窓や看板からは白色や金色の光をきめ細やかに放ち、それら全体が闇夜を彩っていた。

どうやら自分は今そのビル群のうちの一つの屋上に立っているらしい。
学生服を着ていて、杖のようなものを持ち、何かを決心したかのような目で前方を見据えているのだ。
右隣には黄色い妖精のような、ぬいぐるみのような何かが、小さな翼を羽ばたかせて飛んでいて、
そしてその隙間を掻い潜るかのように、何十枚ものカードのようなものがまた、風に乗って飛ばされている。

視界に捉えているのは人の姿。
誰だろう。知っているような、しかし知らない人でもあるような……。
その人物もまた、自分と同じようにこちらの方を睨み、決然とした表情をしている。

ふいに、意識がぼんやりと霞み始めた。
時間の経過がとてもゆっくりに感じられる。
そして前方へと体勢が崩れてゆき、ついに地からは足が離れ、何もない空間へと自ら身体を投げ出した。


意識はとうとう、そこで途切れた。



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:11:55.30 ID:6A+8y47d0
カードキャプター('A`)のようです




.

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:14:02.21 ID:6A+8y47d0
ピピピピ! ピピピピ! ピピピピ! ピピピピ!


(;'A`)「ほぇぇー!?」

がば!という音を立てて、俺は勢いよく飛び上がった。
ベッドのすぐ横にある窓からはきらきらと朝の陽光が差し込んできていて、眩しい。
今なお鳴り響く電子音以外はまったく不愉快な騒音のしない、とても静かな朝だ。

('A`)「なんだ……。この音か」

冴えない頭をどうにか働かせて、俺はようやく目覚まし時計の頭を叩いた。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:15:40.93 ID:6A+8y47d0
「ドクオー!朝ごはんできたわよー!」

('A`)「はぁーい!今いくー!」

大胆なあくびを一つかましてからベッドから這い出す。
そうして今日も学校へ行くため、もぞもぞと制服に着替え始める。


俺、鬱田ドクオ。
星條高校に通う2年生だ。

好きな科目は保健!
嫌いな科目は体育と英語。
とりあえず、元気(健康)が取り柄の男の子!

家族構成は……

('A`)「おはよーお」

J( 'ー`)し「おはようドクオ。ごはん、そこに置いておいたから。先に顔洗ってきなさい」

('A`)「ん。はーい」

この、台所に向かってフライパンを揺すっているのが、俺のカーチャン。
優しくて、料理や裁縫なんかも得意だ。
近所の花屋で働いていて、俺がまだ幼い頃から女手ひとつで育ててくれた。
苦労ばかりかけたと思うが、しかしそんなカーチャンが俺は大好きで、とても感謝している。
なんて普段は口にできないけど。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:16:57.22 ID:6A+8y47d0
ん?父親はどうしたのかって?
実は、俺は父親のことは全く覚えていない。

俺が生まれたときにはこの家にいたとは思うのだが、物心ついたときには既にその姿はどこにも見えなかった。
このことはなんとなくカーチャンにも聞きづらいものがあるし、
左手の薬指には何も嵌まっていないことから俺は察して、今なお追究せずにいる。

('A`)「う゛ーっ……顔にしみるぅ」パシャパシャ

そんなことは今はいいのだ。
別に父親がいないせいでそれほど寂しい思いをしたことはないし、今でも充分幸せだ。
まぁ、あまりに平凡な幸福に慣れてしまって、なにか刺激のある出来事が起こらないかなとは、最近ちょっと思ったりして。

洗面所で冷たい水を顔に浴びせかけ、スッキリした気持ちになったところで、今度はダイニングへと向かう。

('A`)「今日の朝飯な~にかな~♪」

J( 'ー`)し「あら、顔は洗ったの?」

('A`)「洗ったってば。……ん?……カーチャン……なにそれ」

J(*'ー`)し「あ、気付いちゃった?カーチャンねぇ、今、朝バナナダイエットしてるの。うふふ」

('A`)「そう……」

朝バナナダイエットとは、はたしてぐちゃぐちゃに潰したバナナを顔面いっぱいに塗りたくるというようなものだったろうか。
どうせまたテレビ番組の変な情報を真に受けたのだろう。
流行という言葉に乗せられやすいのが唯一の欠点である、俺のカーチャンだ。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:19:09.71 ID:6A+8y47d0
J( 'ー`)し「じゃ、カーチャン仕事行ってくるから。これ、お弁当ね」

(;'A`)「うん。お弁当はいいけど、ちゃんと顔洗ってから行ってね」

J( 'ー`)し「なにいってんの、ちゃんと洗うわよ。カーチャンそこまで馬鹿じゃないよ」

('A`)「それならいいけどさ」

俺は朝ごはんに手をつけながら、カーチャンが洗面所に向かっていくのを見届けた。

困ったカーチャンだと軽く溜め息を一つついた後は、食事に集中することにした。
うん……、美味い。
白米に味噌汁、ウインナー、玉子焼き、野菜炒め、ほうれん草の黒胡麻和え、バナナの入ったヨーグルト。
夕飯は勿論、朝ごはんや昼の弁当まで、料理には手を抜かないのは流石カーチャンだ。
おかげで今日も一日体調良く過ごせるだろう。

「あらやだ、お肌つるつるー!」

('A`)「……」

洗面所のほうから歓喜の声が聞こえてきた。
俺はなんとも言えない心持ちで、デザートのバナナヨーグルトをじいっと見つめた。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:21:02.38 ID:6A+8y47d0
('A`)「いってきまーす」

玄関を出て、通学用カバンを自転車のカゴに放って、学校へと続く道にペダルを踏み出す。

季節は春。4月だ。
車の通りの少ない住宅街の道路を走ると、心地よい風が身体を突き抜ける。
交差点を右に曲がると満開の桜が道に沿ってずうっと並んでいるのが見え、花びらが風に乗って踊る。
なんとも幻想的だ。

('A`)(綺麗だなぁ)

('A`)(この道の先に幼なじみの女の子が俺が来るのを待ってくれてたりなんかしたら、言う事無しなんだが……)

そんな夢みたいなことがあり得るわけもない。
ついに桜並木を通り過ぎ、20分程で学校に到着してしまった。

駐輪場に自転車を停めると、周りからはおはよーおはよーと挨拶を交わす声が聞こえてくる。
が、俺にかかる声は校門前で挨拶運動をしている生徒会の人達からだけで、
俺はぼそっと聞こえない程度の声を発し、そして淡々と教室へと歩を進めた。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:22:44.06 ID:6A+8y47d0
.

              「ういーす」(゚∀゚ )
( ・∀・)「はよー」                      o川*゚ー゚)o「ねね、聞いた?あいつさぁー」
     (,,゚Д゚)「おっすおっす」       ('A`)              「うっそ!付き合ったの!?」ζ(゚ー゚*ζ
                                               「へぇー」('、`*川


極端な人見知りのせいで、クラスの中に俺の友達である人などは一人もいない。

つい1週間前に2年生に進級し、クラス替えもあって1年生の時の二の舞にならぬよう今度こそは!
と意気込んだのはいいが、結局意気込んだだけで終わった。

どうしても最初になんて声をかけたらいいのかわからない。
明日こそは!明日こそは!とぐずぐずしているうちに、周りは早々とグループを作り上げていた。

('A`)(いじめられないだけマシ、か)

幸いいじめは起きていない。
が、自分のこの痩せ型で長髪の暗そうな外見から、周囲には「なんかオタクっぽい」と思われているらしく、
声をかけてもらうこともまた叶わなかった。

('A`)(まぁ、今更どうしようもないか)

('A`)(よいせっと!1時間目は何の教科だったかな~)

自分の席に腰を下ろし、周囲のおしゃべりをなんとなく耳に入れながら、カバンから荷物を取り出した。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:25:18.93 ID:6A+8y47d0

……

(*゚ー゚)「The Sun is at the center of all things in our solar system.
     Its light and heat give life to everything on Earth.Without……」

1時間目の授業は英語だった。
生徒たちが文章を順番に音読したり、また和訳していく授業内容は退屈で仕方ない。
窓側の一番後ろの座席に座る俺は、1年生がグラウンドでサッカーをしている様子をぼーっと眺めながら、考え事に耽っていた。


('A`)(あの夢……一体なんだったんだろう)

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:27:10.59 ID:6A+8y47d0
今日見た夢を思い出す。
リ―――ンという鈴の音だけが頭の中ではっきりと木霊する。
ふわふわと宙に浮いているような不思議な感覚がして、
なんだかあり得ない事が起こっているような気がするのに、でも妙に現実感のあったあの夢……。

あのビルの屋上に立っていたのは、自分だったろうか。
学生服を着ていて、雰囲気もどことなく似ていたが、しかし霞がかってあまりはっきり思い出せない。
東京タワーがあったから場所はここ、東京で間違いないとは思うが。
そして……


あの人は一体誰だったんだろう。


知っているような、しかし知らない人でもあるような……。
それに、こちらを見据えるあの表情、あの目。
それは、なんだかとても……

('A`)(冷たい……悲しい目をしていた―――……)

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:29:40.16 ID:6A+8y47d0
( ゚∀゚)「我らの祖であり、またこの世界の万物を支配する太陽神サン。
     おおっ、神よ!その光と熱量を持ってしていざ我らに生命を与えん……」

(;'A`)(……なんだと!?)

( ^ω^)「はーいジョルジュ君。そんなどっかの宗教っぽく訳さなくていいからねー」

(,,゚Д゚)「wwwwwwwwwwwwwwww」

o川*;ー;)o「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

(;'A`)(な、なんだジョルジュ君か……。なんて自由な訳し方……)

前の座席に座る長岡ジョルジュの突然のボケにより、俺は唐突に現実に引き戻された。
クラス内にはクスクスと噛み殺したような笑いが生まれている。
場の空気を引き締めるために、先生がパンパンと手を打った。

( ^ω^)「はぁ、仕方ない。じゃあ後ろのドクオ君、代わりに訳してー」

(;'A`)「あっ、はい!」

(;'A`)(えーっと、さっきの英文のとこだから……っと)

(;'A`)「えー……。太陽は、我らの太陽系の全ての物の中心にある……」

こうして授業は進んでいった。
英語の授業が終わった後の教科の授業でも、俺はまたあの夢のことをたまに思い出しては考えた。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:31:38.45 ID:6A+8y47d0

……

キーンコーンカーンコーン

昼休みとなった。
途端に教室内がざわざわと騒がしくなり、ある者は友達を誘って弁当を広げ、
ある者は友達を連れだって購買部にパンなどを買いに行ったりと、自由勝手に動いている。

(*゚∀゚)「しぃちゃーん。一緒たーべーよー」

(*゚ー゚)「ん、いいよっ」

( ・∀・)「おーいジョルジュー購買行くぞー」

( ゚∀゚)「ちょっ、今ノートとってるから待っててちょー」

そんな中で、俺は一人寂しく自分の席にてカバンから弁当を取り出す。
いや、もちろん俺の他にも一人自分の席で昼ごはんを食べる人はちらほらいるのだが、
しかし自分の席は窓側の端っこにあるために、なんだか一層哀愁が漂っている気がするのだ。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:34:53.25 ID:6A+8y47d0
そんなことはさて置いて、弁当箱の包みを取る。

('A`)(さーて、今日の弁当は何かなー)

弁当箱を開けると、冷めてもなお美味しそうな海鮮類と、ほのかにするニンニクの香ばしい臭いが鼻腔をくすぐった。
なんとごはんの方は地中海風パエリアであった。
おかずの方もまた手が込んでいて、敷きつめられたレタスの上には細かく刻まれたバジルとオリーブオイルがかけられたカプレーゼが乗せられている。
トマトとモッツァレラチーズの赤と白のコントラストが鮮やかだ。

(;'A`)(カーチャン……こんな平日によくやるよ……)

('A`)(しかしカプレーゼか。地中海に合わせてイタリアンサラダを添えてくるとは、こだわってるなぁ)

('A`)(じゃ、早速食べましょうかね。いただきまーす)

('~`)モグモグ

('A`)(おお、パエリアにレモンの風味が!流石カーチャン。料理学校卒……)モグモグ

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:38:01.89 ID:6A+8y47d0
( ゚∀゚)「よし!終わりーっと……ん?」

('A`)(カプレーゼも久々に食べたけど、これ、チーズによってトマトの美味さを5倍は引き立ててるよなぁ。うぅん……)モグモグ

( ゚∀゚)「おおー。ドクオ、今日も弁当美味そうだなー」

('A`)(ほえ?)モグモグ

カプレーゼのトマトの酸味とチーズのなめらかさに舌鼓を打っていると、前の席に座っていたジョルジュがこちらを向いて話しかけてきた。
どうやら今までしていた作業を丁度終わらせたところらしい。

( ゚∀゚)「なぁそのチャーハン、ちょっと食わして?ちょっとだけ!な?」

('A`)「ぁ……う、うん。いいよ」

承諾すると、俺はジョルジュに箸を渡して、ついでに食べやすいように弁当箱を彼の側に寄せてやった。
「やたー!いただきまーす!」とジョルジュは嬉しそうにパエリアを口に運ぶと、間髪入れずに「うっま!!」と顔をほころばせた。

実は、このやり取りは今日に始まったことではない。
クラス替えのあったその日の昼休みから始まり、以降毎回、ジョルジュは俺の昼ごはんをちょっとだけとおねだりしている。

俺は、このやり取りがちょっとした楽しみだった。
自分のカーチャンが作った弁当を他人が美味しいと褒めてくれるのは、なんだか自分のことのように照れ臭くて、嬉しいのだ。
それに、何より、この瞬間だけ友達が出来たような気がして……。

というのも、ジョルジュとは昼休み以外は特に会話を交わしたりもしないので、これを友達と呼ぶにはなんだかおこがましい気がしているのだった。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:39:44.63 ID:6A+8y47d0
( ゚∀゚)「うんまいなぁこのチャーハン。お前のカーチャン天才か!」

そう言って、ジョルジュは二口、三口と箸を進めていく。

(*'A`)「あ、ありがとう……お、俺の分、残しといてね」

( ゚∀゚)「あーわりぃわりぃ!止まらなくなるところだったわ!」

(*'A`)「う、うん。あの、これ、チャーハンじゃなくって、パエリアっていうんだ」

( ゚∀゚)「パエリア?へぇー外国の料理か?こっちのは何だ?」

(*'A`)「こっちのは、カプレーゼっていうやつ。よかったら……食べてみる?」

( ゚∀゚)「いいんか!?恩に着るぜ!」

( ・∀・)「おーいジョールジュー」

( ゚∀゚)「今いくー!」

(*'A`)「あ、あの、これ、トマトとチーズを一緒に食べるんだよ」

( ゚∀゚)「こうか?」

モララーの呼びかけをそっちのけにして、ジョルジュは慎重にカプレーゼを口に入れた。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:42:13.96 ID:6A+8y47d0
( ゚∀゚)「すげぇ!なんだコレ!?うめぇ!!」

(*'A`)「う、うん」

ジョルジュは目を見開いて咀嚼を続けると、その後何度も「うめぇ!」「うめぇ!」とはしゃいでいた。

( ・∀・)「ジョーーールーーージューーー」

( ゚∀゚)「わーったよ!!今行くって!」

教室の入り口のドアの前で待っていたモララーはとうとう痺れを切らしたようで、若干声を低く呻らせ、再度ジョルジュに呼びかけた。
それに対しジョルジュは少し大きな声でそれに応じながら、よっこらせと自分の席を立った。

( ゚∀゚)「じゃ、あんがとなドクオ!またよろしく頼む!」

(*'A`)「あ、うん。またね」

俺は控えめに手を振りながら、モララーの元に駆け寄っていくジョルジュを見送った。
その後周りにはわからない程度にふぅと小さく一つ溜め息を吐いて、また箸を持ち直した。




( ・∀・)「…………」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:44:40.68 ID:6A+8y47d0
~廊下~

( ・∀・)「ほら、急ぐぞ。ぐずぐずしてたせいでパンが無くなっちまう」

( ゚∀゚)「んな焦らなくても、コッペパンくらい残ってんだろーが」

(;・∀・)「あれ味ついてないだろ!午後からのエネルギーになる重要な昼飯を味無しパンごときで補えるかっての!」

( ゚∀゚)「あれはあれで美味いと思うけどな。パン本来の味がして」

( ・∀・)「……」

( ・∀・)「ああそうか。そういやジョルジュ、さっきあいつに飯たかってたもんな。味無しコッペでも充分か」

( ゚∀゚)「そんな言い方すんなよぉ。俺はちょっと、その、お恵みをだな」

( ・∀・)「たかりじゃねーか完全に。……そんな美味いの?あいつのメシ」

( ゚∀゚)「おー!めっちゃくっちゃ美味いぞ!」

( ・∀・)「そう……」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:45:32.74 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「なあ、あいつに関わるの、やめたほうがよくね?」

( ゚∀゚)「えー?やだよ」

( ・∀・)「なんで」

( ゚∀゚)「なんで?」

(;・∀・)「……え?」

( ゚∀゚)「いや、なんでやめたほうがいいの?」

( ・∀・)「ああ。いやその……だってあいつ、暗いしさ。なんかオタクらしいし……」

( ゚∀゚)「えー、それだけ?」

(;・∀・)「う、や、だって」

( ・∀・)「ら、らしくないんだよ!ジョルジュさぁ!どう考えたっておかしいっしょ!」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:47:28.43 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「お前はリーダー的存在なのにさぁ。それがあんな暗いヤツと話してたらさぁ。引かれるっしょ!周りから!」

( ・∀・)「だからやめたほうが……」

( ゚∀゚)「お前は引いたの?」

(;・∀・)「え?」

( ゚∀゚)「お前はあいつと話してる俺を見て、引いたのかって」

( ・∀・)「いや……俺はそんなこと、ないけどさ……」

( ^∀^)「だったらいいじゃん」

(;・∀・)「う……」

( ゚∀゚)「おら!ぐずぐずしてると味無しコッペしかなくなるぞ!ダッシュだダッシュ!」

(;・∀・)「あ、ちょ、おい!」



( ・∀・)「…………くそっ!」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:50:05.92 ID:6A+8y47d0

……

「ばいばーい」

「またねー」

('A`)(……)

昼休み後、午後の授業もスムーズに終わり、ホームルームを経て、俺は真っ直ぐ帰路へと着いた。

部活には入っていないので、いつも4時には帰ることができる。
自転車に跨り、陸上部がちらほらとグラウンドに集まってきているのを横目で見送りながら、スピードを上げる。

自転車を漕いでおよそ20分後。
やがて桜並木が見え、その終わりにある交差点を左に曲がり、だんだん見えてきた我が家を目指す。

すると後ろからトラックが一台、俺の横を通り過ぎていった。
それから数十メートル進んだところでそのトラックはゆるゆるとスピード落としていき、やがて我が家の前で完全に止まった。

('A`)(なんだろ。宅配かな?)

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:52:01.24 ID:6A+8y47d0
どうやらそうらしい。
降りてきた運転手はトラックの荷台からダンボール箱を一つ抱えてきて、我が家の玄関扉の前でインターホンを鳴らした。
俺はその数秒後に我が家に到着したのだったが、宅配屋はその俺をこの家の住人だと認めるとホッとした顔をして、
「ここにサインお願いしますー」とボールペンを差し出してきた。

手早くサインを済ませると、宅配屋は「どうもー」と言って足早にトラックに乗り込み、そのまま走り去っていった。


('A`)(ん……?この荷物、俺宛てか。何か頼んだっけかな?)

何も頼んだ覚えはないと思うが、伝票の宛名人欄には「鬱田ドクオ様」と書いてある。
そのままダンボールを脇に抱えて、玄関の鍵を開けた。

('A`)「うんしょ。ただいまー」

ダンボール箱を抱え、家の中に入った。
そのまま二階にある自室まで真っ直ぐ進み、部屋に入ると堅苦しい学生服の上着は脱いで、ベッドに放った。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:53:10.31 ID:6A+8y47d0
('A`)(さて、なにが入ってるのかねー)

部屋の中央で、ダンボール箱を閉じているガムテープを摘まんで、びりっと剥がす。
包装は案外ぞんざいで、それだけで簡単に開けることができた。
のだが……

(;'A`)「なんだこりゃあ……」

外側も大概だったが、その中身もなかなか乱雑であった。
プチプチのシートがたった一枚だけむちゃくちゃに詰められていて、その中に包まれていたであろう肝心の品物がむき出しになっている。
こんなに適当がすぎるギフトを貰ったのは初めてだ。

('A`)(それで、これは何だ?……本?)

品物はどうやら本のようだった。
重厚で高価そうな見た目をしたその本は背景がワイン色に染められていて、表紙にはライオンに翼が生えたような獣の姿が中央にあり、
そのすぐ下には大きく太陽のマークが描かれていた。
上部には「THE CLOW」という文字があり、ついでに月のマークも小さく描かれている。

持ち上げて観察してみると、背表紙と裏表紙にも「THE CLOW」の文字。
さらに裏表紙には魔法陣と、これまた太陽と月が描かれている。

('A`)(見たことある本だな……。本屋にも売ってなさそうな見た目だけど……)

('A`)(もしかしたら間違って配達されたのかもな。俺にはこんな本……ん?)

(;'A`)(俺……さっきなんて思った?「見たことある本だな」?そんなはず―――)


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:55:18.29 ID:6A+8y47d0
パキン!

(;'A`)「うおっ!?」

不意に本から音がした。
俺は驚いておもわず本を放り投げてしまうところを、なんとか思いとどまった。

それからよく見ると、本にはどうやら裏表紙から伸びている帯によって、封、鍵がかけてあるらしかったのだが、これがいつの間に外れていた。
今しがたの音はこれが外れた音か?
これによって、中身を見ることが可能になったわけだ。

俺は生唾を飲み込みながらおそるおそる表紙をめくった。
表紙の裏には……注意書きか何かだろうか?
ドイツ語かフランス語か判別は着かないが、10行くらいの文章が記載されている。

しかしなにより注目すべきは、その隣の1ページ目。
なんと、この1ページ目からいくらか後ろのページまで、中央に長方形の穴が開いている。
何か文章が書かれている様子もなく、そもそも2ページ目以降は開けないようになっている。

そして、その長方形の穴の中にスッポリと収まっている、謎のカード……。

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:56:22.17 ID:6A+8y47d0
('A`)(裏表紙と同じ魔法陣だ……)

カードの裏側には太陽と月の描かれた魔法陣があった。
俺はそのカードを一枚手に取り、しげしげと眺める。
その後で、ひっくり返して表側を見た。

カードの表側には、妖精のようなものの絵が描かれていた。
妖精は幼い女の子のような顔立ちをしていて、髪はわしゃわしゃとウェーブがかかっており、
ついでに足はなく、人魚のように魚の尾がついている。

その絵の下には英語が書かれていて、「CLOW」に続きようやく理解できる言語を見つけた俺は、無意識のうちにその英単語を呟いていた。

     ザ    バ ブ ル
('A`)「THE……BUBBLES……」


呟いた瞬間、手に持っていたカードがカッ!と青白く、強烈に光った。

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:57:46.08 ID:6A+8y47d0
(;'A`)「うおおおおおお!!?な、なんだあ!!?」

俺の周りを纏う空気がキンと張りつめた気がした。
足元には例の魔法陣がでかでかとフローリングの床に出現し、青白く光る。

そしてブク、ブクブクと音がしたかと思うと、何もないところから次々と、しゃぼん玉が生まれだした。
ブクブク、ブクブク、ブクブク……。
その勢いはとどまることを知らず、ついに俺の視界をいっぱいに埋め尽くしたところで、ようやく止まった。

(;'A`)「………………」

口をぽかんと開けたまま茫然と座りつくす。
きっとこの時の俺はさぞ間抜けな顔をしてただろう。
手に持ったカードをもう一度眺めるが、何も考えることはできず、頭の中は真っ白だった。

すると間もなく、今度は目の前にある本のほうが金色に光り出す。
今度は何だと目を見張る。
すると、なんと、本の表紙から何かがぬぅっとゆっくりと頭を出し、やがては全貌を露わにし、
そのまま空中に浮かんで俺の頭の高さの程までくると、フヨフヨと止まった。

小さな翼と長いしっぽを持った黄色い妖精のような、ぬいぐるみのような何かは、
俯いていた顔をそっと上げると閉じていた目をフッと開き、そして―――

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 21:58:19.90 ID:6A+8y47d0
.



( ФωФ)「こにゃにゃちわー」




無表情のまま棒読みの挨拶をした。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:10:44.05 ID:6A+8y47d0
('A`)「……え?」

( ФωФ)「……」

('A`)「…………え?」

( ФωФ)「いや、え?じゃなくて。挨拶しなさいよ、挨拶。なんか吾輩だけ馬鹿みたいじゃん」

('A`)「あ、はい。え?……あの……こ、こにゃにゃちわ……」

( ФωФ)「普通でいいよ普通で」

('A`)「はぁ……こんにちは……」

( ФωФ)「うん」

('A`)「…………」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:12:08.29 ID:6A+8y47d0
また、夢でも見ているのだろうか。
あまりに突飛な出来事ばかりで、頭が上手く回転してくれない。
しかし先程ばらまかれたしゃぼん玉の冷たさが、腕や脚に確かに残っているので、もしかしたら現実なのかもしれないと思ってしまう。

('A`)(ん?夢?)

('A`)「……あっ。ああ!」

と、そこで思い出した。
そうだ、そういえば。
夢と言えば、今日見たあの夢にも、この黄色いぬいぐるみが出てきていたっけ。
混乱しているのか、目の前のぬいぐるみにこんな質問をぶつけてしまった。

('A`)「あのぅ……つかぬことをお聞きしますが、今日俺の夢に出てきませんでした?」

( ФωФ)「ぬ?」

めいぐるみはちょっと黙って何か考え込むと、また顔をあげて口を開いた。

( ФωФ)「お主の夢に、吾輩が出てきたのであるか?」

('A`)「あ、はい。その、俺の隣でパタパタ飛んでて……」

( ФωФ)「ふむ……。予知夢か……。ではこいつが選ばれし者ということであるか……?」

俺の話すのを無視して、ぬいぐるみは何かぶつぶつと呟いて難しい顔をしていた。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:13:54.67 ID:6A+8y47d0
( ФωФ)「まぁ、いずれにしてもクロウの本の封印を解いたのだ。間違いはないであろう」

(;'A`)「あの」

( ФωФ)「よし、お主。今からこの本はお前のものである」

(;'A`)「ほぇ?」

ぬいぐるみは何か決意したような目でこちらを見ながら、そう言った。

( ФωФ)「いいか?まず吾輩は、この本を守る封印の獣、ケロベロスである」

('A`)「はぁ。封印のけもの……」

( ФωФ)「そう。この本の中にあるカードが悪さをしないように、見張っておくのが吾輩の役目で……」

( ФωФ)「ん!!!?????」

(;'A`)「ど、どうした!?……んですか?」

(;ФωФ)「少なっ!カード少なっ!!なんで!?え、なんで!!???」

('A`)「カード……。ああ、これのこと?」

それまでの冷静な口調から一転して慌てふためくケロベロスに、俺は手に持っていた一枚のカードをほいっと差し出した。


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:16:00.99 ID:6A+8y47d0
( ФωФ)「あ、うん、これこれ。確かにこれだけど……他は?」

('A`)「え、最初から入ってなかったけど……」

(;ФωФ)「んなばかな!!!!」

そう叫んで、ケロベロスは俺の部屋をヒュンヒュンと飛び回ってカードを探し始めた。
机の引き出しを開けたり、ゴミ箱の中を漁ったりと騒がしい。

(;ФωФ)「え、ていうか、何でこの部屋、こんなに泡だらけなの!?ここ風呂!?」

(;'A`)「ああ、これは、俺がこのカードの英語の部分を読んだら、なんか急に泡が出始めて……」

ピタッとケロベロスの動きが止まった。
顔だけこちらに向けて、茫然とした表情を浮かべている。

( ФωФ)「使った、の?カード」

(;'A`)「いや、使ったっていうか、偶然っていうか……」

( ФωФ)「泡、か……。バブルのカードであるな?」

ケロベロスは俺の手に握られているカードに目を細めた。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:17:11.63 ID:6A+8y47d0
( ФωФ)「いや、でもバブルはただ泡を出すだけのカードであるはず。バブルでカードが消えるなんてことはないのである!」

( ФωФ)「お主!!」

(;'A`)「はい!」

( ФωФ)「ウィンディのカードは使わなかったか?風のカードで、カードを吹き飛ばしちゃったとか!」

(;'A`)「いや……俺が使った?のは、バブルのカードだけだけど……」

(;ФωФ)「じゃなんでないのよおおおおおお!!!!!」


ないのよおおおおぉぉ ないのよおおおぉぉぉ……

ケロベロスの悲壮な叫びは、ご近所中に響き渡ったという……。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:19:13.70 ID:6A+8y47d0

……

('A`)「で、本当ならカードは全部で52枚あるはずなのに、何故かこの本には収まってなかった、と」

( ФωФ)「うん……」

叫んだあとのケロベロスはしばらくの間、固まって動かなくなっていた。
よほどショックだったのだろう。
その状態のケロベロスに事情を聞くのは無理だなと判断し、立ち直るまで、俺は泡まみれになった自室の床を掃除することにした。

掃除が終わった頃にカーチャンが仕事から帰ってきたので、夕飯の支度を手伝い、そのまま夕飯を食べた後、
自室に戻ったらある程度元気を取り戻していたケロベロスから今こうして事情を聴取しているわけだ。
ちなみに夕飯はすきやきで、何故かラム肉が出てきた。
意外と美味かった。

('A`)「なんつーか、災難だったな。……うん」

( ФωФ)「…………」

( ФωФ)「よし、決めたのである」

('A`)「?」

机の上で、しょぼくれた顔から急に真面目な顔になって姿勢を正すと、ケロベロスは俺を指さしながらこう言った。

( ФωФ)「お主、カードキャプターになるのである」


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:21:41.59 ID:6A+8y47d0
('A`)「カード、キャプター……?」

( ФωФ)「端的に言うと、なくなったカードを全部探してほしい。ということである」

(;'A`)「おっ、俺が!?」

突然の申し出に声がうわずってしまった。
俺は人差し指で自分を差し、「自分でいいのか?」という不安な顔をしてみせる。

( ФωФ)「もはや、悠長なことも言ってられないのである。事態は深刻で、一刻の猶予もない」

('A`)「……そんなにやばいの?」

( ФωФ)「『クロウカード』……その封印が解かれるとき、この世に災いが訪れる……」

( ФωФ)「このクロウカードは、昔々にクロウ・リードという魔術師が作った特別なカードなのである」

( ФωФ)「一枚一枚が生きていて、すごい力が宿っているのだが、それぞれ好き勝手に行動したがる上、並の者では歯が立たない」

( ФωФ)「だからクロウ自身がこの本を作って、封印の獣である吾輩を本の表紙に置いたわけなのであるが……」

('A`)「居眠りしてる間にカードがどっかいっちゃってた、と……」

(#ФωФ)「居眠りしていたわけではない!」

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:23:12.55 ID:6A+8y47d0
(#ФωФ)「吾輩がそんなぐうたらな木偶の坊に見えるのか!?吾輩は断じて居眠りなどしていない!!」

( ФωФ)「……ただ、意識がはっきりしてなかっただけなのである……。居眠りでは……ない……」

(;'A`)(それって居眠りじゃないのか?)「わ、わかったから……。落ち着いて……」

( ФωФ)「それに、この本は多少なりとも魔力のある者にしか開けられぬよう、封印がしてあったのだ」

( ФωФ)「例え魔力ある者が本を開いたとしても、封印の解ける音で吾輩が目覚めるはずである。盗むことだってできるはずはない」

('A`)「じゃあ……なんでカードはなくなっているんだ……?」

( ФωФ)「……わからない……」

('A`)「……」

( ФωФ)「……とにかく、カードを集めないと災いが起こってしまうのである」

( ФωФ)「それを防ぐために、魔力のある者しかなることのできない、カードキャプターの役目をお主に担ってもらいたい」

( ФωФ)「今から他に魔力のある者を探すのには時間がかかりすぎるのだ。だから……いや」

( ФωФ)「お主だからこそ頼みたい!どうか!」

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:26:40.09 ID:6A+8y47d0
そう言ってケロベロスは頭を下げてきた。
どうやら、この封印の獣は見た目はかわいい成りをしているくせに、ちょっと真面目すぎるところがあるらしい。

('A`)「本当に、俺でいいんだな?」

( ФωФ)「引き受けてくれるのであるか!?」

('A`)「ああ。……丁度刺激が欲しかったところだし」

( ФωФ)「かたじけないのである……!」

(;'A`)「いやいいから、頭上げなって!」

('A`)「あの、ほら、これからパートナーになるんだからさ。もっとフランクにいこうぜ。ね?」

( ФωФ)「そうであるな……」

( ФωФ)「お主、名前は?」

('A`)「ドクオ。鬱田ドクオだ。よろしくな」

( ФωФ)「ドクオ……。覚悟は、いいな?」

('A`)「お、おう?」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:27:51.10 ID:6A+8y47d0
少し離れろという指示を受け、俺はケロベロスのいる机から数歩離れた。

ケロベロスの体がほのかに輝きだす。
照明を点けているはずの室内はフッと暗くなり、まるで別の空間に飛ばされたかのように周囲は怪しく青黒く染まっている。
目の前の床にはまた太陽と月のシンボルが描かれた大きな魔法陣が現れ、それは金色の光を放つ。

( ФωФ)「封印の鍵よ」

ケロベロスがそう言うと、クロウの本から蛍のような小さな丸い光が一つ、ポッと出てきた。
淡く青白いその光の玉は真っ直ぐ魔法陣の中心まで浮いて近づくと、そこで止まった。

( ФωФ)「汝との契約を望む者が此処にいる。少年、名をドクオ」

( ФωФ)「鍵よ。少年に力を与えよ」


            レ リ ー ズ
( ФωФ)「―――RELEASE!―――」


.

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:29:29.05 ID:6A+8y47d0
突如、光の玉からは堰を切ったように輝きが溢れ出し、瞬時に俺の視界を一面真っ白に染め上げた。

その輝きを放つ原因、それは光の玉の中心にあったらしいキーホルダーのような小さな鍵。
今でははっきりと視認できるその鍵は、ググググと成長するように段々大きくなり、杖の形状へと変化していった。

(;'A-)「ぐ……眩しい……」

( ФωФ)「ドクオ!杖を取るのである!」

俺は片目を瞑りながら、一歩ずつ地面を踏みしめるようにして杖に向かって歩く。
ようやく距離が縮まったところで、手を伸ばして杖を掴んだ。

すると杖はさらにグググと伸び、1メートル弱くらいの長さになるとその成長もキィンという音と共に止まった。
ようやく両目を開けて見てみると、その杖の先端は大きく鳥の頭のような造形で、そこから伸びる棒の部分は濃いピンク色に染められている。
俺は杖を両手で持ち直し、うん、と一つ頷いてみせた。

( ФωФ)「これで完了だ……」

( ФωФ)「カードキャプタードクオの誕生である!!」

辺りに吹き荒れる風を浴びながら、魔法陣の中心で魔法の杖を握りしめているこの俺は今、
未来にある壮大な物語のスタートを切ったような清々しい気持ちでいっぱいであった。


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:32:00.17 ID:6A+8y47d0

……

儀式が終わると、すぐに風景は元の俺の部屋の様相を取り戻した。
杖もどうやらさっきの鍵の姿に戻すことができるようで、収納にも困らなくて便利だ。


('A`)「しかし……俺に魔力ねぇ……」

( ФωФ)「何だ。まだ信じられないのであるか?」

('A`)「うーん、現実味薄い」

風呂から上がって、ベッドに横になりながらつぶやく。
本の封印を解いたり、杖を発動させたり、あげく何もない空間からしゃぼん玉まで出したものの、やっぱり今日起こったことが信じられない。
事実一般的に見たら間違いなく不思議な出来事だろうが。

( ФωФ)「まあ、魔力などと突飛した名前ではあろうが、つまり霊感などと同じようなものだと考えればいいのである。
      根本的には違うものではあるが……」

('A`)「え……それって、間接的に幽霊の存在を肯定しちゃってるよね……」

( ФωФ)「もちろんだ。幽霊は実在し……」

(;'A`)「わーーーっ!言わなくていい!言わなくていいから!」


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:34:38.22 ID:6A+8y47d0
(*ФωФ)「ところで、このプリンという食べ物はすごく美味いであるな!」

('A`)「うん。まさか封印の獣がプリンを食べるとは思わなかったよ」

杖の儀式が終わった後、ケロベロスは魔力を大分消耗してしまったらしく、その回復にとなんと俺に食べ物を要求してきた。
食事によって魔力が回復するとは、意外だ。

そして「ケロベロス」というぐらいだから肉しか食べないのかなと思い、夕飯のすきやきに出たラム肉の余りを生で出したところ、
「こんな生の獣臭い肉なんて食えるか!」と突っ返されてしまった。
その代わりに出したのがプリンだったのだが、どうやら気に入ってくれたらしい。

(*ФωФ) パクパク

('A`)(……)

('A`)「なんか、ケロベロスっていうより、ケロちゃんって感じだな。見た目可愛いし」

( ФωФ)「なっ!吾輩は可愛くなんかないっ!言うなら格好良くて凛々しいと言ってもらいたいである!」

('A`)「あはは。全然そんなふうに見えないけど?」

( ФωФ)「この姿は仮の姿なのである。カードが集まって力を取り戻せば、本来の格好いい姿に戻れるのだ」

('A`)「へぇ~。じゃあ、それまではケロちゃんと呼ばせてもらうよ。ケロベロスって、言いにくいし」

(;ФωФ)「むぐ……今に見ておれよ……」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:37:02.16 ID:6A+8y47d0
('A`)「ところで、カードがどこにあるのか、見当ついたの?」

( ФωФ)「いや、だめである……。どこにあるかさっぱりわからない」

ケロベロス、もといケロちゃんによると、本に魔力を送るとカードが今どこにあるのかが分かるらしい。
が、今はその能力を使ってもカードの所在は毛ほども掴めないらしかった。

( ФωФ)「一枚くらいは見つけられてもよさそうなものなのであるが……」

('A`)「なぁ……もしかして、だけどさ……」

('A`)「カード、『世界中に』散らばってたりするんじゃないのか……?」

(;ФωФ)「そ、そんなことはない!……はず」

(;'A`)「はず、かよ……」

(;ФωФ)「だ、大丈夫である。魔力のある者は引かれ合う性質があるから、きっと近くに潜んでいるはずである!」

(;'A`)「信用していいのかよ、その理論……」

カードキャプターになったはいいが、さすがにカード捕まえに外国まで行くなんてことは無茶である。
段々不安になってきた……。


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:39:08.15 ID:6A+8y47d0
( ФωФ)「今手元にあるカードは……三枚だけ、か……」

ケロちゃんが本からカードをパタパタと取り出して、魔力によってその三枚を空中に整列させた。
そんなこともできるのか。

('A`)「まずは、俺が誤って発動させちまった、バブルのカードだね」

( ФωФ)「うむ。これは知ってのとおり、泡を出すカードだ」

( ФωФ)「昔クロウの元にいたときは、吾輩よくこのカードで体を洗ってもらったものだ」

('A`)「へぇ~。石鹸いらずで便利だね」

( ФωФ)「次はレイン。雨のカードであるな。雨を降らす。それ以外の使い道はないな」

('A`)「干ばつで苦しんでる人達に使ってあげたいカードだね」

( ФωФ)「最後に、これはムーブ。物を動かすカードである」

('A`)「これが一番使えそうなカードだけど……」


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:40:46.91 ID:6A+8y47d0
( ФωФ)「いや、実際そうでもないぞ。大きい物や生き物は動かせないし」

( ФωФ)「使い道といえば、せいぜい遠くにある本をベッドから動かずに手元に引き寄せたりするくらいであるな」

('A`)「うわぁ……なんか現実的すぎる魔法ばっかだね……」

( ФωФ)「本当はもっと、炎を出したり、何でも切れる剣であったりっていうカードもあるのであるがな。それらは今はどこへやら、である」

('A`)「!何その剣!使ってみてぇ」

( ФωФ)「ならば、さっさとカードを探さねばであるな!」

('A`)「そうねぇ。ま、ぼちぼち頑張ることにするよ」


会話もそこそこに、俺は部屋の電気を消して布団にもぐり、その日は深い眠りに入った。

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:42:49.80 ID:6A+8y47d0

……

ピ……ピピ……
ピピピ……ピピピ……

ピピピピ! ピピピピ! ピピピピ! ピピピピ!

( ФωФ)「ぅおーい。鳴ってるぞー。起きなくていいのであるかー?」

(-A-)「んぅ……。あと5分だけ……」

( ФωФ)「もうそのセリフ3回は聞いたぞ」

(-A-)「んー?…………ん、ん?」

(;'A`)「はっ!!今何時だ!?」

( ФωФ)「お、ようやく起きた」

がば!と勢いよく起き上がった。
窓からはきらきらと朝の陽光が差し込んできていて、今日もいい天気のようだ。
昨日もこんな感じの目覚め方をしたなあと思い出すが、違うのはふよふよと飛んでいる封印の獣がいることと、
カーチャンの起きろー!という声が聞こえなかったことだ。

(;'A`)「うわ、もう8時じゃねぇかよ……」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:44:49.44 ID:6A+8y47d0
そういえば昨日夕飯を食べてる時、
J( 'ー`)し「明日はカーチャン朝早いから、よろしくね」なんてことを言っていたっけ。

せっせと制服に着替えてから、手鏡を見ながら寝癖を直し、教科書を放り込んだカバンを持って部屋を出る。
ドタバタと一階に下りると、ダイニングの机の上には弁当と、朝食のサンドイッチが皿に盛られてラップをかけて置いてあった。

俺は素早くサンドイッチを口に入れる。

('A`)(お、具はレタスとトマトとローストビーフか。今日も豪勢だなぁ)

ローストビーフの凝縮された肉汁と野菜のフレッシュ感、
さらにはケチャップをベースに作られたグレイビーソースが口の中で混ざり合い、至福のひとときを堪能する……。

美味い美味いと味わうのもつかの間、2つ目のサンドイッチを片手に持ち、靴を履いて玄関を開けた。


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:47:27.75 ID:6A+8y47d0
(;'A`)(はぁっ……ふぅ……。……セーフか)

俺の通う星條高校は朝8時半までには教室に入ってないと遅刻となってしまうのだが、今日はどうやら間に合ったらしい。
時計の長針は29分を指している。

チャイムの鳴る1分前だが、きちんと座って担任のホライゾン先生が来るのを待っている生徒は少なく、
教室内は挨拶やおしゃべりの声であふれている。

荒くなった呼吸を落ち着かせて、俺はカバンから筆記用具や教科書を取り出そうと、カバンのジッパーをスライドさせると……。


( ФωФ)「お、開いた開いた。ここが学校であるか?」

(;'A`)「!!?ちょ……」


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:49:45.31 ID:6A+8y47d0
ハッとして口をつぐむ。
驚いて大きな声を出してしまったか?
気付かれるとまずい。そう思って周りの様子を伺うが、どうやらこちらに注意を向けている生徒はいないようだ。

ケロちゃんはなおもカバンの中で身をひそめながら、ヒソヒソ声で話す。

( ФωФ)(なに、安心するである。バレないように細心の注意はするである)

(;'A`)(当たり前だろ!……どうしてついてきたんだよ)

( ФωФ)(カードキャプターの普段の日常を観察するために、な)

('A`)(はぁ。そんな大したもんじゃないよ?別に)

( ФωФ)(そうか?しかし……最近の学校では鏡を使った授業をするのか?変わってるであるな)

('A`)(鏡?……あ)

そこで俺は、カバンの中に教科書と一緒に、手鏡が入っていることに気が付いた。
慌てていたせいで、カバンの中に入れて持ってきてしまったらしい。

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:51:14.29 ID:6A+8y47d0
('A`)(これは間違って持ってきたんだよ)

( ФωФ)(そうであるか。ま、昼飯どきになったら起こしてくれ。吾輩寝るから)

(;'A`)(飯食いについて来たのかよ!)

キーンコーンカーンーコーン

そこでチャイムが鳴った。
生徒たちはガタガタと自分の席に座っていく。

俺はケロちゃんがカバンの底で寝る体勢に入るのを見届けながらジッパーを閉め、机の脇にさげる。

同時にホライゾン先生が教室に入ってきて、教卓の前についた。

( ^ω^)「はい、みんなおはよー。じゃあ今から出席とるから」

このちょっとなげやりな態度をとる人が、担任の内藤ホライゾン先生。
36歳の独身らしい。
教科担当は英語全般で、そういえば昨日も授業があったっけ。


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:54:14.31 ID:6A+8y47d0
教師のくせに生徒を気にせず堂々としたあくびをしながら、生徒一人一人の名前を出席番号順に呼んでいく。

( ^ω^)「伊井いようー」

(=゚ω゚)ノ「はーい」

( ^ω^)「鬱田ドクオー」

('A`)「はい」

こうして順調に読み上げられていったのだが

( ^ω^)「長岡ジョルジュー」

( ゚∀゚)「ほーい」

( ^ω^)「猫田ギコー」

(,,゚Д゚)「ゴルァ」

( ^ω^)「毛利モララー」


( ^ω^)「……は、来てないか。休みかぁ?んん?」

教室の真ん中あたりにあるモララーの席だけは、誰も座っておらず、ぽつんと寂しく影が落ちていた。

ついにモララーは今日、学校に来ることはなかった。


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:57:02.65 ID:6A+8y47d0

……

('A`)(……ふぅーっ)

('A`)(さあってと、帰りますか)

昼休みにはジョルジュといつものやり取りをし、ついでにケロちゃんにもおかずを分けてやり、
6時間あった授業を終え、今日もあとは帰るのみとなった。

カバンを持ち、自転車の鍵をポケットの中で弄りながら昇降口に向かった。
ここまではいつも通りだったのだが、しかし下駄箱を開けてみると、その中身がいつもとは違うことに気付く。

手紙が入っているのだ。
真っ白い便箋には「鬱田ドクオ様へ」と間違いなく俺の名前が書かれている。
勘のいい俺はすぐに気が付く。

('A`)(これは……もしや……)

(*'A`)(らららららララララララ、ラ……ラブレター!!?)

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 22:58:54.46 ID:6A+8y47d0
突然の予期しなかった出来事に、俺はごくりと喉を鳴らし、心臓はバクンと高鳴った。
急いで便箋を開けて中の手紙を取り出し見てみると、女子の書くような丸っこい字体で、
「今日の放課後、屋上で待ってます。」とだけ簡素に書かれていた。

(*'A`)(どどどどどど、どうしよう!?)

まともな思考を働かせられない俺は、しばらくその場で立ちすくんだ。
なかなか動き出さないのをケロちゃんは不思議に思ったのか、ジッパーを開けて小さな声で俺に話しかけてきた。

( ФωФ)(おい!帰らないのであるか?)

(*'A`)(それどころじゃない!ラブレター貰ったんだ!ほら!)

そう言って俺はカバンの中からでも見えるように、手紙をぐっと近づけてみせた。

(;ФωФ)(……ラブレターと決めつけるには、早すぎるんじゃないのか?これ……)

(*'A`)(どんな人かな~。可愛い子ならいいけどなぁ~)

('A`)(うん、よし。行こう。屋上へ)キリッ

(;ФωФ)(ちょっとまっ……おお!?)

にへら顔から急に真面目な顔つきを作り出し、ユッサユッサとカバンを揺らしながら俺は屋上を目指して歩きだした。


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:02:30.64 ID:6A+8y47d0
コツ、コツ、コツ

屋上へと続く階段を上る。
なんだか緊張してしまって、手がいやに汗ばんでいる。

現在、俺は特に好きな女子などはいないのだが、しかし告白されようものなら話は違ってくる。
あ、もしかしたら1年生かもしれないな。
つい先日入学してきたばかりの子が一目惚れ……とか!

('A`)(というか、まだ放課後になったばかりだけど、もう相手の子は屋上に着いてるのかな?)

('A`)(もしかしたら、俺のほうが先に来ちゃったかもしれないなぁ)

扉の前まで来た。
しかし、あれ、待てよ?
たしか屋上は危ないからといって、常に鍵がかけられいるんじゃなかったか?

そう思いながらドアノブに手をかけたが、それは簡単に回すことができた。

('A`)(なんだ、開いてるじゃないか)

('A`)(ふぅぅ……。さて、既に着いているとすれば、一体どんな子なのか、行くぜ俺!)

('A`)(オープン!!)

キィ……。

おそるおそると扉を押すと、扉は少し軋んだ悲鳴を上げながら開いていった。


99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:04:35.58 ID:6A+8y47d0
屋上はがらんとしていて、遮蔽物などは一切なく、とても見晴らしがよかった。
西に傾きかけた太陽の光を灰色のタイルが照り返している。
体に当たる風は強く、少し体を押してくる。

転落防止のために周りはぐるっと高いフェンスに囲まれているのだが、
そのフェンスの網に片手をかけて向こう側を向いている人が一人、見受けられる。

その人物は俺が屋上へ入ってきたことを耳で確認したようで、
フェンスから手を離すと、ゆっくりともったいぶるように、こちらへ体を振り向けた。


俺はその人物を知っていた。
予想外の人物に、既に甘い恋模様を心に描くのは止めている。
男子の黒い制服を着た、今ここにいるはずのないその人物……君は……。



('A`)「モララー……君……?」


( ・∀・)「やあ。待ってたよ」


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:06:57.53 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「手紙、読んでくれたんだね。嬉しいな」

(;'A`)「モララー君、どうしてここに……」

( ・∀・)「ん?この学校の生徒である俺が、学校に来てちゃおかしいかな?」

(;'A`)「いや……あの……だって、休みのはずじゃ」

( ・∀・)「確かに、授業は出なかったけどね。でも学校には来てたのさ」

(;'A`)「な……どうして……?」

( ・∀・)「どうして?さあ。どうしてだろうね」

モララーは微笑をたたえながらスタスタとこちらに歩いてくる。
その様子にいいようのない不気味さを覚えた俺は、頭の中では「逃げなければ!」と反芻しているのに、
足は竦んでしまってその場から動けずにいた。

(;'A`)「あ…………あ…………」

( ・∀・)「それは、ねぇ……クク」


( ・∀・)「お前をぶっ殺すためだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:08:25.43 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「バキュウウウン!!!!」

モララーが右手を鉄砲の形にして腕を突き出すと、声による発砲音と同時に、手の鉄砲の先から何かが発射された。

その白い光を帯びた何かは、ものすごいスピードで俺の顔目掛けて真っ直ぐと飛んでくる。
死の危険を感じた俺は、それでも顔を逸らすことすらできず、光はそのまま顔面へと直撃―――


(#ФωФ)「うおおおおおおおおおおドクオオオオオオオオオオ!!!!」


ドンッ!!
右方から全力でカバンから出てきたケロちゃんが俺に体当たりをかます。
おかげで俺の身体はそのまま左へと吹っ飛ばされ、バランスを崩して床に倒れ込んだ。
白い光はさっきまで俺の顔があった場所のすぐ後ろ、屋上の扉に命中し、見ると黒い焦げ跡が出来上がっていた。

(;゚A゚)「はあっ!はあっ!はあっ!……っはあっ!」

(;ФωФ)「大丈夫かドクオ!」

(;'A`)「し……死ぬかと思った……」

冷や汗が頬をつたう。息が荒い。
モララーは未だその顔に微笑を貼り付けたまま、俺のほうに顔だけ向けて見下ろしている。

( ・∀・)「あらら。外しちゃったか」


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:10:43.38 ID:6A+8y47d0
(;ФωФ)「とりあえず距離を取るのだ!立て!走れ!」

(;'A`)「お、おう!」

言われるがまま俺は立ち上がって走り出す。

といっても、屋上はそれほど広くもなく、せいぜい教室3つ分の広さがあるだけなので、
すぐにモララーのいる場所と反対側のフェンスまで着いてしまった。

モララーは特に慌てる様子もなく、またゆっくりとこちらに歩いてくる。

(;'A`)「モララー君……一体どうなっちゃってんの」

( ФωФ)「ドクオ。落ち着いて、よく聞け。あれはクロウカードの仕業である」

('A`)「!!あれが!?」

なるほど。確かにあれがクロウカードの魔法のせいだとすれば、辻褄が合うだろう。

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:12:36.26 ID:6A+8y47d0
(;'A`)「じゃあ、モララー君がクロウカードを使って、俺を攻撃してきてるってことだな!何で!?」

( ФωФ)「いや……「使っている」かどうかは分からないであるな。もしかしたら「乗っ取られている」のかもしれん」

(;'A`)「……そんな恐ろしいことできるの?このカード……」

( ФωФ)「中にはそういうことを出来るカードもあるのだ。しかし……」

(;ФωФ)(あのカードは人を乗っ取ることなど、できたであろうか?)


( ・∀・)「バァアン!!」

(;'A`)「うおっ!?」

モララーがある程度距離を詰めてきたところで、また光を撃ってきた。
今度は寸でのところで身体を翻して避け、そのまままた走って距離をとり、ケロちゃんとの相談を続ける。

(;ФωФ)「間違いない。あれは「ショット」のカードである」

(;'A`)「ショット?撃つって意味か?」

(;ФωФ)「うむ」


112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:14:49.50 ID:6A+8y47d0
( ФωФ)「ショットはその名の通り、撃つことが出来る。鉄砲のようなカードであるな……」

( ФωФ)「本当は相手の名前を宣言してから、一度だけ「撃つ」だの「狙う」だの言えば自動で追尾し攻撃することが可能なカードであるが……」

( ФωФ)「モララーとやらは、一回一回「発砲音を声に出す」ことで弾を出しているらしい」

(;'A`)「そうか……。なんとかして止めさせないとな……っ!逃げろっ!!」

( ・∀・)「パァンパァン!!」

相談している間にもまたモララーに距離を詰められ、ショットの光を、今度は2発撃たれる。
どうやら連射もできるらしい。
避けて、走って距離をとる。

(;ФωФ)「クッ!とにかくこのままじゃだめである!ドクオ!鍵を発動させるのである!」

(;'A`)「そ、そうか!って……えーっと……どうするんだっけ?」

(;ФωФ)「鍵を出して、吾輩に続けて詠唱するである!いくぞ!」

(;'A`)「お、おう!」

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:16:43.66 ID:6A+8y47d0
走りながら、俺はネックレスにしていた鍵を胸元から引っ張り出し、ケロちゃんの後に続けて呪文を唱える。

( ФωФ)「闇の力を秘めし鍵よ」

('A`)「や、闇の力を秘めし鍵よ……」

( ФωФ)「真の姿を我の前に示せ」

('A`)「真の姿を、我の前に示せ」

( ФωФ)「契約の元、ドクオが命じる」

('A`)「契約の元、ドクオが命じる!」

( ФωФ)「レリーズ!」

         レ リ ー ズ
('A`)「―――RELEASE!!―――」


117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:20:30.03 ID:6A+8y47d0
足元には魔法陣が浮かび上がり、詠唱が終わると同時に風が吹き上げ、鍵はグググと大きくなり杖の姿へと変化した。
パシッと杖を取ると杖はさらに成長し、やがて昨日と同じ形になると、その成長も止まった。

( ・∀・)「へぇ……」

それを見てもモララーは顔色のひとつも変えることはなく、またスタスタと近づいてくる。


(;'A`)「そっ、それで!?この後どうしよう!?」

(;ФωФ)「とにかく、考えるのである!今手元にあるカードでどうにかしてショットをカードに戻すのだ!」

(;ФωФ)「あやつを気絶させたりすれば、おそらくカードもその姿を現すであろう。だから……」

(;'A`)「んなこと言ったって……」

俺はポケットの中にあるカードを取り出した。
ケロちゃんに言われて、封印の鍵とカードだけは肌身離さず持っているようにしているのだ。
そして自分の手元にある3枚のカード、「バブル」「レイン」「ムーブ」を広げてみせる。
が、しかし……。

(;'A`)「この微々たる力しかないカードで、どうやって鉄砲のカードと戦えってんだよおおおおお!!!」


120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:22:13.48 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「ガァンガァンガァン!!」

モララーがまたある程度まで近づいてきたところで、光の玉を撃つ。
今度は3発。
しかしただの威嚇のつもりなのか、弾は当たらない。俺はまた走って距離をとった。

(;'A`)「とにかく、ものは試しだ!いくぜ!」

('A`)「レイン!!」

俺はレインのカードを目の前に放り、杖の鳥の頭の嘴の部分を、カードに描かれた可愛らしい妖精の絵に打ちつけた。

カッ!!
カードが青白く輝きだす。
そしてそのレインのカードからは上へ上へと飛行機雲のような煙が勢いよく立ち上り、やがて空の彼方まで届くと、ザアアアと雨が降り始めた。

( ・∀・)「?」

('A`)「おお……ほんとに降ってきた……」


122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:24:01.61 ID:6A+8y47d0
ザアアアアアアアアアアアアアア

('A`)「……」

( ФωФ)「……」

( ・∀・)「……」



(;ФωФ)「…………何で雨を降らせたのだ?」

(;'A`)「いや、豪雨でモララー君の視界を悪く出来ないかなぁと……。でもこれが限界みたいだな……」

台風並みの強い雨を期待していたのだが、「あ、これは傘ささないとまずいかな?」くらいの雨しか降らすことができなかった。
グラウンドで部活に勤しんでいる陸上部や野球部からは「うわっ雨かよぉ」という声が聞こえてきそうである。


125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:27:02.83 ID:6A+8y47d0
(;'A`)「とりあえず、レインはだめだ」

しばらく雨を身体に受けた後、俺はレインをカードに戻し、雨を止ませた。
このカードがモララーに与えたダメージといえば、服を少し濡らして気持ち悪くさせたくらいか。
なお、そのダメージは俺にも同様に降りかかってきたわけだが。

('A`)「はぁ……帰ったら乾かさなきゃだな……」

( ・∀・)「バン!!」

(;'A`)「うおっとお!?」

( ・∀・)「無事に帰れると思ってんのか?お前は俺がぶっ殺すっつってんだろ」

モララーはそう言いながら光の弾を連射してくる。
フェンスに沿って走り続け、逃げ回りながらも、俺は必死に何か打開策はないものかと思考を巡らせる。

(;'A`)「くっ……何か……何かないのか?」

(;'A`)「せめて、鉄パイプなんかでもあれば対抗できるんだけど……」

キョロキョロと辺りを見回してみるが、そんな都合のいいものが落ちているはずもない。


127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:29:01.22 ID:6A+8y47d0
数メートル先で浮き止まって頭を抱えているケロちゃんも逆転の策を必死に考えているようで、
あーでもないこーでもないとぶつぶつ独り言が聞こえてくる。

(;ФωФ)「くそっ……なにか……」

その時、ケロちゃんが興味深いことを呟くのを、俺は聞き逃さなかった。


(;ФωФ)「なにか……ショットの攻撃を跳ね返せるものがあれば、こちらも反撃できるのであるのに……」


('A`)「……」

('A`)「……そっ」

m9(゚A゚)「それだあああああああ!!!」

(;ФωФ)「え?」

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:30:33.96 ID:6A+8y47d0
俺は数メートル先に浮かんでいるケロちゃんの方を指さして叫んだ。
一方ケロちゃんのほうは「なにがどうした?」というようなキョトンとした顔をしている。

俺は素早く、屋上の出入り口の扉の前に落とした自分のカバンに近づくと、モララーには気付かれないように中から手鏡を取り出した。

( ФωФ)(!そうか鏡なら!)

( ФωФ)(光であるショットの弾を跳ね返すことができるである!ドクオ、でかしたぞ!)

('A`)(狙うのは足だ。なるべく怪我させないようにしなきゃ……)

俺は杖を左手に持ち替え、右手に持った手鏡を後ろ手に隠し、モララーが近づいてくるのを待った。
モララーはどうやら手鏡の存在には気付いていないらしく、不用意にこちらへと歩いてきて、やがて一定の距離を空けて立ち止まった。


131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:33:04.39 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「……で?俺を倒す方法は見つかった?」

(;'A`)「へへ。いいや、さっぱりだよ……」

( ・∀・)「そ。じゃあぶっ殺される覚悟が決まったってことなのかな?」

(;'A`)「そんなところかな……」

( ・∀・)「ふぅん……。じゃあ死んでね」

言うとモララーはスッと右手をまた銃の形にして、俺に突き付けた。
よし、いいぞ。そのまま撃ってくれればいける!
俺は手鏡を強く握り直した。

( ・∀・)「ガァァアン!!!」

('A`)(今だ!!!)

132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:35:23.86 ID:6A+8y47d0
(;・∀・)「!?」

俺は右手に持った手鏡をサッと前に差し出した。
跳ねかえった光の弾が、丁度モララーの右足の脛に当たるように角度も合わせる。
モララーはマズイ!と思ったのか、初めてその表情を歪ませた。
しかしもう遅い。弾は既に発射されていてそれはこの手鏡に当たり―――




パリィィィィィイイン!!!




光の弾が当たった手鏡は、弾を跳ね返すことなく、そのまま割れて砕け散ってしまった。


134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:37:45.88 ID:6A+8y47d0
(;ФωФ)「ドクオ!!!」

(;'A`)「なっ!!?―――ぐうっ!!」

鏡を割った後も威力の落ちない弾を咄嗟に避けようと身体をずらしたのだが、弾はギリギリ俺の左肩を掠めた。
制服は割け、そこから見える傷口からは血がジワジワと滲み出てきている。

(;・∀・)

モララーはこれに少しポカンとしていたが、やがて事態を把握すると安心したようで、声高々に笑い出した。

(;・∀・)「……ふっ…………ははっ。ははははは」

( ・∀・)「あははははははははははははははははははははは!!!なんだそりゃ!!あはははははははは!!!」


137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:39:57.68 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「あはははははははははははははははははははは!!!」

(;'A`)(くそっ!これじゃだめなのかよ!!)

鏡が丈夫じゃなかったから?
それともやっぱり魔法の力の前では、普通の鏡なんぞでは太刀打ちできないのか?

俺は痛む左肩を押さえながらヨロヨロと後ろに下がり、モララーとの距離をとる。

( ・∀・)「クックッ……やっぱりそうだ。こんなクソ弱っちいヤツ、ジョルジュが関わっていいはずないんだって!」

モララーはそう言うと、口端をニイイと吊りあげながら、俺のことを睨んで、なお続ける。


139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:42:55.15 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「俺はさぁ……強いヤツとだけ組みたいんだよね」

( ・∀・)「ずっとそうやってきたんだ!そうすれば周りのヤツらから舐められることもないし、コソコソと逃げ回る必要もない!」

( ・∀・)「そういう意味ではジョルジュは最高のパートナーだよ。リーダー気質だし、スポーツもできるし、喧嘩だってもちろんつええ!!」

( ・∀・)「それなのにさぁ……。ジョルジュはよりにもよってお前みたいな貧弱なヤツに話しかけるんだ。ナニコレ?意味不明」

(#・∀・)「ジョルジュがお前みたいのと仲良くするとさぁ!舐められんだよ!!お前のせいでよぉ!!!」

(#・∀・)「そうなると俺まで舐められちまう……。これっておかしいよなぁ?じゃあどうするか!?」

(#・∀・)「死んでもらうしかないだろうがよぉ!!!お前によお!!!あ゛ぁ!!?」

(#・∀・)「あ゛ーっ。話してたらまたむかついてきた。じゃ、そういうことだから。理由も話したし、さっさと死んでね?」

モララーはまた右手を銃の形にして俺のほうに突き出すと、間髪入れずに「バン!!」と言って、弾を撃った。


145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:50:50.46 ID:6A+8y47d0
(;'A`)(ぐうっ!?)

狙いがよく定まってなかったのか、顔や左胸には当たらなかったものの、
しかし弾は左足に命中し、痛みに耐えかねて俺はがくんと膝を折ってしまう。

(#・∀・)「チッ。外れたか。まあいい」

そう言うとモララーは確実に俺を仕留めるためにと、こちらに向かってツカツカと歩いてくる。
俺を睨むその目の横のこめかみには青筋が浮かび上がっており、本気でイラついているんだなと納得させられる。
が、しかし―――


(;'A`)(そんな理由で殺されてたまるかってんだ!!!)


俺はまだ諦めちゃいなかった。
この状況を切りぬけるための打開策を、頭の中で必死に考える。
考えろ……考えろ……この絶望的な状況を覆し、彼をカードの呪縛から解き放つ方法を―――


151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:53:35.82 ID:6A+8y47d0
ん?待てよ?

今手元にあるカードは「バブル」「レイン」「ムーブ」の3枚だけ……。

モララーは「ショット」のカードに取りつかれていて、光の弾を撃ち出して攻撃してくる……。

その発動には「発砲音を声に出す」ことが必要で、連続で言えば連射が可能……。

そして、この状況に見合ったカードを選ぶなら……?








('A`)(……そうだ!!このカードなら……イケる!!!)

152 :>>146ありがとうございます:2013/10/11(金) 23:54:55.20 ID:6A+8y47d0
( ・∀・)「じゃ、これで本当に最後だ。あばよ」

俺との距離を1メートル程まで詰めたところで、モララーは再び右手を構えた。
発砲音を言うために口を開き、躊躇いなくいざ声を出そうとした、その瞬間。

( ・∀・)「バ……」

(;'A`)「泡よ!彼の者の前に無数に展開せよ!!」

       バ  ブ  ル
(;'A`)「THE BUBBLES!!!」


その瞬間、モララーの周りをぐるっととり囲むように、無数のしゃぼん玉が一瞬にして現れた。


154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:56:48.22 ID:6A+8y47d0
(;・∀・)「なっ!?」

突然視界を覆い尽くした無数のしゃぼん玉に驚いたモララーは、誤ってそのしゃぼん玉の一つに触れてしまう。
その衝撃に耐えかねたしゃぼん玉は、「パァン!」という大きな音を立ててはじけ飛んでしまった。

するとどうしたことか。
モララーの右手からは、勝手に光の弾が発射されたのだ。
しかもその弾はさらに別のしゃぼん玉に当たり、そのしゃぼん玉がはじけ飛ぶ音と共にまた次の弾が右手から発射される。
その連鎖は無限に続き、制御の効かなくなった右手をモララーは左手で必至に抑えて止めようとした。

(;・∀・)「クソッ!おい!止まれよ!!止まれ!!!止まれ止まれ止まれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/11(金) 23:59:33.11 ID:6A+8y47d0
今だ!!
バブルのカードを発動させた後、すぐにしゃぼん玉の周りを半周して回り込んだ俺は、
モララーのテンパる叫び声を聞くと無数のしゃぼん玉の中に飛び込んだ。

視界が開けると、モララーは俺に背中を向けて慌てているのが見て取れた。
俺はそのままモララーに向かって、雄叫びを上げながら思い切り突進する!

(;'A`)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

(;・∀・)「うわあああああああああああ来るなあああああああああああああ!!!!!」

モララーは未だ光の弾を出し続ける右手をそのまま俺に向かって構えようとする。
が、

(;'A`)「泡よ消えろ!」

俺がそう叫ぶと、一瞬にしてしゃぼん玉は全て消え失せ、モララーの右手も弾を撃ち出すのを止めた。
そして―――

(;'A`)「うらあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

(  ∀ )「グッハ!!!」

俺はモララーに全力で体当たりし、そのまま二人とも床に叩き付けられた。


158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/12(土) 00:01:01.01 ID:6A+8y47d0
ドドサァッ!!

(;'A`)「ぐうっ!……いっつつ…………」

(  ∀ )

起き上がった俺はすぐにモララーがどうなったか確認をした。
モララーはどうやら気絶してしまったらしく、仰向けになったままピクリとも動かない。

少し安心した俺だったが、不意にモララーの身体がほのかに輝いた。
その輝きはそのままモララーの身体から離れ、やがて人の形になると、モララーのすぐ隣に横たわった。
ギザギザの髪型をした少年のようなそれを、俺はすぐにショットのカードだと判断し、魔法の杖を振り上げる。

(;'A`)「汝のあるべき姿に戻れ!」

('A`)「クロウカード!!!」

杖を少年に向かって振り下ろす。
するとカードの形をした青白い光が杖の先端に現れ、少年は吸い込まれるようにカードに封印されていく。
封印が終わると、やがてカードは実体を伴い、ヒラヒラと、俺の膝の先に落ちた。

159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/12(土) 00:02:45.06 ID:PhM1rwUM0
(;ФωФ)「……ド……ドクオ……」

(;'A`)「ああ……ケロちゃん。やったよ……」

(;ФωФ)「う、うむ。ひとまずは、よくやったのである」

ケロちゃんが俺の側に飛んできて、心配そうな目をして見つめてくる。

(;'A`)「なんとかなって……よかったなぁ……。マジで……」

(;ФωФ)「まったく、無茶も大概にするであるよ……」

(;'A`)「あ、はは。まあ、たしかに無茶だったかなぁ」

(;ФωФ)「体が痛むであろう。しばらく横になるのである」

(;'A`)「いや、その前にまずは……モララー君を起こさないと……」

(;'A`)「あ、あれ……?」

ドサッ

体に力が入らない。
立ち上がろうとするも、そのまま前に倒れてしまった。

(;ФωФ)「おいドクオ!!しっかりするである!ドク―――」

俺の意識は、そこで途切れた。


161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/12(土) 00:03:27.54 ID:PhM1rwUM0
.


リ―――ン……

鈴の音が鳴る。
まるで池に小石が投じられた時にできる波紋のように、優しく、静かに鳴り響く。


これは、ドクオたちの、クロウカードを巡る物語の、ほんの始まりの音に過ぎない。


.

162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/12(土) 00:04:00.55 ID:PhM1rwUM0
おわり







168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/12(土) 00:17:57.92 ID:Urutacn40
またさるったのでスマホから

支援、乙ありがとう
しかしすまないけど、今のところ続く予定はない
2話以降の展開が思い浮かばない…
からひとまずこれはここで終わりってことで

そのうち書けたら、また投下するよ!
いつになるかわからないけど…

じゃ、寝るわ
ありがとうございました!



元ネタ・『カードキャプターさくら』(KCデラックス)CLAMP/著 講談社(全12巻)
[ 2013/10/12 01:04 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(1)

どっくんに「ほえ~」とか「そんなのできないよぅ!」とか言ってほしい。
キモイけど。
[ 2013/12/12 22:36 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tanpentokanohokanko.blog118.fc2.com/tb.php/202-b212c121





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。