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呪詛のような恋でした、のようです (閲覧注意)

1 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 02:05:11 ID:6JJwTuSg0



人魚というものは、意外と繊細で、生来愛情深い生き物なのです。



2 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 02:06:19 ID:6JJwTuSg0
とあるところに、人魚と暮らしている男がおりました。

( ^ω^)

名は、ブーンといって、

3 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 02:13:49 ID:U6094Nd20
たいへんおひとよしな男でありました。
彼は誰にでも優しく、困った人がいれば手を差しのべずにはいられなかったのです。
なぜそうなってしまったのかはわかりません。
おそらく天性のものなのでしょう。
とにかく彼は同情や人助けといったことを好いていたのです。

さて、ブーンが助けたのは人ばかりではありませんでした。

ζ(゚ー゚*ζ

ブーンの部屋の風呂場に住み着いている、この美しい人魚の名は、デレと言います。
つい先日の嵐で、ぼろ雑巾のような状態で浜辺に打ち上げられていたところをブーンに助けられ、こんなところにいるのです。

4 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 02:24:37 ID:OQOAgZjc0
( ^ω^)「人魚が、こんなところにいるなんて珍しいお」

ζ(゚ー゚*ζ「どうか命だけは勘弁してくださいな。人魚の肉を食らって不老不死など、バカなことはおやめください」

( ^ω^)「そんなひどいことはしないお、僕は悲しそうな人やつらそうな人、不幸そうな人は助けたくなるんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「けれどもわたしは人魚です、完全な人間ではありません」

( ^ω^)「完全な人間なんていないお。みんな不完全なのだから、きみも人間だお」

ζ(゚ー゚*ζ「ですが、」

( ^ω^)「きみは人間だ。住むところが違くて、からだの半分が魚なだけで。でもやっぱり人間で、殺すなんてひどいことはできないお」

そんな暴論で、ブーンはデレを黙らせて、自宅に連れ帰ったのでした。

5 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 17:40:11 ID:2O14E25s0
当時のデレは、人間が大嫌いでした。
というのも、彼女は以前、人間に手を切られそうになったのです。
それは、人魚の肉を食らって不老不死になろうとする人間の仕業でありました。
ですから、ブーンのことも同じように考えていたのです。


ζ(゚ー゚*ζ「ねぇブーン」

と、デレはブーンを呼びました。

( ^ω^)「なんだお?」

ζ(゚ー゚*ζ「わたしは、あなたのことが好きよ」

ゆるゆるとした笑みを浮かべながら、デレは言いました。

( ^ω^)「……ありがとうだお」

なんともいえない表情でブーンはそう言って、デレの頭を撫でました。

ζ(゚、゚*ζ(まただわ)

と、デレは思いました。
ブーンに助けられて以来、彼女は彼に惚れていたのですが、彼はお礼をいうばかりでありました。
その理由をデレは知っていましたが、それでも恋慕を諦める理由にはなりませんでした。

6 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 17:54:27 ID:kgKG2YZs0
( ^ω^)「それにしても、デレの肌がさがさだお」

気遣うように肩を触られて、デレは少しもの悲しげな表情になりました。
ブーンはそれに気付かないふりをして、言いました。

( ^ω^)「やっぱり水道のカルキが合わないんだお」

それは暗に、海に帰ったほうがいいんじゃないかという意味が含まれていました。
ブーンはデレのことを大切に思っていました。
自分に対して特別な想いを寄せていることも、それにこたえられそうにないことも、ブーンは知っていたのです。
彼女の幸せを考えれば、諦めて海に戻ることが最良であるように彼は思えたのです。
けれどもデレはそうではありませんでした。

ζ(゚ー゚*ζ「これくらい、クリームを塗ればすぐ治るわ。人間の薬はとても優秀だもの」

ほんの少し嫌みを含ませて、デレは言いました。

( ^ω^)「……そうとも限らないお」

間をあけて、ブーンは答えました。
と、その時、賑やかなメロディーがリビングから飛び込んできました。
それは流行りの恋の歌で、時たまデレの耳に入るもので。

ζ(゚ー゚*ζ「…………」

彼女はとても、憂鬱になるのです。

7 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 18:11:17 ID:HEHXgaAM0
( ^ω^)「ちょっと待っててお」

ζ(゚ー゚*ζ「うん」

ばたばたと浴室を出たブーンは、リビングに放置されていた携帯電話を手にとって、電話にでました。

( ^ω^)】「もしもし?久し振りだお、元気かお?」

(*^ω^)】「おっおっ、暇ならいくらでもつくるお!」

( ^ω^)】「大丈夫だお、僕はツンのことを……」

( ^ω^)】「…………」

( ´ω`)】「わかったお、なるたけ早く行くお」

そうしてブーンは、電話を切りました。
その会話はすべて、デレの耳に入っていたのでした

( ^ω^)「ちょっと出掛けてくるお!」

ほんの少し上擦った声で、ブーンは言いました。

ζ(゚ー゚*ζ「……いってらっしゃい」

デレはなにも聞かずに、ブーンを送り出しました。
おおかた想像はついたのです。
きっと、彼女に会いにいくのです。
ブーンのだいすきな、ツンという女の子に。
本命の、女の子に。

8 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 19:45:01 ID:b4T4pF8M0
ブーンの好きな女の子の家は、わりかし近くにあります。
が、そこに彼女がいないことをブーンは知っていました。
というのも、ツンは自分の家が嫌いで、あてもなく街をふらふらしていることが多かったからです。

ξ ゚‐゚)ξ

待ち合わせの駅前で、きゅっとくちびるを閉ざした少女がおりました。
彼女こそ、ブーンの思い人である、ツンでした。

( ^ω^)「おまたせだお」

息を切らして走ってきたブーンに対し、ツンは噛み締めていたくちびるを、ようやくゆるめました。

ξ ゚⊿゚)ξ「元気?」

( ^ω^)「僕はいつだって元気だお」

おどけてブーンが言うと、ツンはうっすらと笑いました。

( ^ω^)「それで、今日はどこ行きたいんだお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん、今日は町外れの美術館に行こうかな」

( ^ω^)「わかったお」

そうして、二人は歩きだしたのです。

9 :名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 20:06:53 ID:mSw9wILU0
ところで、ツンにはなんの因果が働いたのか、とても不幸な体質をしておりました。

彼女の体は、他人に触れるとガラスのように透き通ってしまうのです。
ほんの一瞬なら、しばらくすると元に戻るのですが、触れ続けているとしまいにはヒビが入って割れてしまうのだと言われておりました。

ですから彼女は、他人に触られるのをたいへん嫌がりました。
長年付き合いのあるブーンですら、彼女に触れたことはたったの一度もありませんでした。

それでも彼女に恋をしたのは。
ツンのことをどうにか助けたい、幸せにしてあげたいという気持ちからでした。

( ^ω^)「ツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「なに?」

( ^ω^)「好きだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ありがとう」

けれどもツンは、ブーンの想いには決してこたえませんでした。
ただあやふやに言葉を濁し、お礼をいうばかりでした。
そう、それはブーンとデレの関係にそっくりでありました。

12 :名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 00:36:47 ID:d4jklhc.0
以前、ブーンはツンにこう聞いたことがありました。

( ^ω^)「どうして、ツンはふってくれないんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ブーンのことはね、人間的に好きだから。でも恋愛感情とは違うの」

(  ω )「…………」

ξ ゚⊿゚)ξ「人間なんて嫌いよ。自分が人間であることを嫌悪してして今すぐ死んでしまいたいくらい嫌い」

( ゜ω゜)「そんなこと、言うなお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「…………」

( ゜ω゜)「俺は、ツンがいなきゃダメなんだお。そんな、助けたいのに、だって、」

ξ ゚⊿゚)ξ「…………」

(  ω )「もし死んだら、俺も」

ξ ゚⊿゚)ξ「ばか」

(  ω )「…………」

13 :名も無きAAのようです:2013/01/08(火) 00:45:37 ID:ZSXj7onU0
ξ ゚⊿゚)ξ「そういう考えはやめてよ。わたしはね、大切な友人をこんな身勝手な事情で道連れにする気なんてないの」

( ´ω`)「ツン……、」

ξ ゚⊿゚)ξ「それに、こんな体質じゃブーンはわたしのことを殺そうとしてるようなものよ」

(  ω )「…………」

ξ ゚⊿゚)ξ「もしブーンのせいでわたしが死んだら、ますます巻き込むことになるでしょう?」

ξ ー⊿ー)ξ「そんなの、わたしも望んでない」

( ´ω`)「……ごめんお、ツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「なにが?」

( ´ω`)「助けたいって口ばかりで、僕自身はなにもできてなくて」

ξ ゚⊿゚)ξ「……こんなのね、ブーンが気にしたってどうにもならないのよ。どんな薬でも治すことはできないって言われてしまったんだから」

その、諦めた笑顔が、また悲しくて。
ブーンの気持ちをますます強める材料と化していったのです。

14 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 09:47:46 ID:epKGTkR60
ζ(゚゚、*ζ

デレは、狭くて小さな浴槽のなかで、ブーンのことを想っておりました。

ζ(゚゚、*ζ(わたしって、ブーンにとっては邪魔じゃないのかしら)

だから彼は早く手放したい?
違う、彼は優しい。

( ^ω^)「僕も、デレのことが好きだお」

ζ(゚ー゚*ζ「ほんと?」

( ^ω^)「でも、僕の好きは違うお。デレのことは妹とかそういう好きだお」

ζ(゚ー゚*ζ「?」

(  ω )「はじめはこんなつもりじゃなかったんだお。でも、きみが人間嫌いな理由を知ってしまったから、きみがたくさん僕を求めるから」

ζ(゚ー゚*ζ「ブーン、」

(  ω )「僕は、最低だお。そうやって、人のせいにして」

( ^ω^)「どうして、デレは僕を好きなんだお」

絞り出すような声に、デレは言いました。

ζ(゚ー゚*ζ「こんなわたしに優しくしてくれたから」

(  ω )「…………」

ζ(゚ー゚*ζ「優しかったから、好きになった。それじゃダメなのかな」

(  ω )「優しくないお、ただ僕は」

15 :訂正:2013/01/09(水) 09:53:02 ID:5S3dWlhI0
ζ(゚、゚*ζ

デレは、狭くて小さな浴槽のなかで、ブーンの ことを想っておりました。

ζ(゚、゚*ζ(わたしって、ブーンにとっては邪魔 じゃないのかしら)

だから彼は早く手放したい? 違う、彼は優しい。

( ^ω^)「僕も、デレのことが好きだお」

ζ(゚ー゚*ζ「ほんと?」

( ^ω^)「でも、僕の好きは違うお。デレのことは妹とか家族とか、そういう好きだお」

ζ(゚ー゚*ζ「?」

(  ω )「はじめはこんなつもりじゃなかったんだお。でも、きみが人間嫌いな理由を知ってしまったから、きみがたくさん僕を求め るから」

ζ(゚ー゚*ζ「ブーン、」

(  ω )「僕は、最低だお。そうやって、 人のせいにして」

( ^ω^)「どうして、デレは僕を好きなん だお」

絞り出すような声に、デレは言いました。

ζ(゚ー゚*ζ「こんなわたしに優しくしてくれたか ら」

(  ω )「…………」

ζ(゚ー゚*ζ「優しかったから、好きになった。そ れじゃダメなのかな」

(  ω )「優しくないお、ただ僕は」

16 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 09:58:42 ID:5S3dWlhI0





不幸な人間を、幸せにしてやりたいだけ。




.

17 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 10:09:11 ID:zzmHpYf.0
不幸な人間を幸せにすることは優しさとは言えないのでしょうか。
現実に辟易して歩みを止めた者の手を取るのは優しさとは違うのでしょうか。
生きることを諦めた人間に必要性を見出だすのは優しさとは別なのでしょうか。

どちらも不幸なことには変わらないのに、どこに違いがあるのでしょうか。
こんなにも想っているのに、どうしてブーンは叶わぬ恋慕に夢中なのでしょう。

どうして、どうして、


ζ( ‐ ζ「…………」

ζ( ‐ ζ(どうして、わたしはブーンの恋人になれないの)

18 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 10:21:16 ID:xe6tkS2.0
そんな風にぐるぐると考えていた時でした。

ζ(゚ー゚*ζ「あら?」

一匹の蜘蛛が、浴槽に入ってしまって溺れているのを見つけたのです。
デレはそれを何の気なしにすくいとって外に出してやったのですが、実はその蜘蛛は魔法使いが化けていたものでありました。

lw´‐ _‐ノv「危ない危ない、うっかり死ぬところだった」

ζ(゚ー゚*ζ「まぁ、あなたは魔法使いだったのね」

lw´‐ _‐ノv「ええ、なんの意味もなしにただ旅をしているしがない魔法使いだよ」

魔法使いは続けます。

lw´‐ _‐ノv「お礼にひとつ、なにか願いを叶えてあげましょう」

ζ(゚ー゚*ζ「まるでお伽噺ね」

lw´‐ _‐ノv「そうとも、わたしはお伽噺の魔法使いさ」

なんて、魔法使いは茶化して言いました。

さて、デレは何を願おうか考え始めました。

19 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 12:56:19 ID:tK39U1BY0
ブーンの恋慕の対象を自分に変えましょうか?

ζ(゚ー゚*ζ(でもそれって両思いと言えるのかしら)

たとえそれで結ばれたとしても、本命の女の子は消えないのです。
それに、心から愛されなければ人魚は魂を得ることができないのです。
魂があれば、たとえ死んだとしても来世でまた相手と結ばれるのですが、魂がなければ、人魚は死んだあとに泡となって消えてしまいますから、永遠の愛など得ることができません。

ζ(゚‐゚*ζ(やめよう)

けれども、本命の女の子を消したとして、それはそれでブーンを悲しませることになります。
それどころか、ますます想いは強まるばかりでしょう。

では本命の女の子の、病気を治せば?
それも嫌です、きっとブーンはデレのことを特別視しなくなるでしょう。

20 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 13:19:17 ID:tEOeNQ1c0
そうして、考え込んで。
抑え込んでいた、どす黒い感情に、想いに、デレは目を向けて。

ζ( ー *ζ「決めました」

lw´‐ _‐ノv「どんな願いにするんだい?」

ζ(゚ー゚*ζ(もし、願いがひとつ叶うなら)

ζ(^ー^*ζ「どうかわたしの好きな人の、ブーンの、」

ζ(;ー^*ζ「魂に、心に、二度と消えない疵を、刻んで」

致命傷に、なり得るほどの。
そんな、醜い愛を。
どうかあの人に。

21 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 13:27:39 ID:tEOeNQ1c0
lw´‐ _‐ノv「…………」


lw´‐ _‐ノv「……それは、それは」

lw´‐ _‐ノv「大層な、願い事で……」

lw´‐ _‐ノv「叶えてさしあげましょう」

lw´‐ _‐ノv「泡にもならず、相手を縛り続ける最良の方法を」

ζ( ー ζ



すでに、こと切れた人魚に、魔法使いはひどく優しい声音で、そう言いました。

そして魔法使いは、同時にこうも思いました。

lw´‐ _‐ノv(なんて不毛な愛なんだろう)

と。

23 :名も無きAAのようです:2013/01/09(水) 23:12:29 ID:hv8rBn3A0
( ^ω^)「おっおっ、久々に美術館行ったお!」

ブーンの言葉に、ツンは言いました。

ξ ゚⊿゚)ξ「ごめんね、ブーンはこういうの興味なかったかもしれないけど……」

( ^ω^)「なに言ってるんだお、僕はツンと一緒にいられればそれでいいんだお」

( ^ω^)「……それに、僕はツンのためならなんでもできるお。もっと体よく使ってくれていいんだお、振り回しても構わないんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「…………」

( ^ω^)「好きだお、ツン」

ξ ゚‐゚)ξ「…………」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ありがとう」

( ^ω^)「……うん」

いつも通りの返事に傷心しつつも、ブーンは精一杯明るく接します。
少しでもツンに笑ってほしかったのです。

( ^ω^)「体調は平気かお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ、なんともないわ」

( ^ω^)「ならよかったお」

二人はてくてくと歩きます。
どこに行くかはあんまり考えていませんでした。
ただなんとなく、一緒にいるだけでした。

( ^ω^)「ところでお腹すいてないかお?」

ブーンの言葉に、少し間をあけてツンはうなずきました。

( ^ω^)「おっおっ、そしたらどこかで夕飯を食べようお」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも、」

( ^ω^)「お金の心配はしなくていいお」

しばらく揉めたのですが、けれども最終的にはツンが折れました。
そこで二人はお店を探し始めました。

24 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 01:31:38 ID:6O3dX2bY0
しばらく歩いた頃。

ξ ゚⊿゚)ξ「あら?」

と、ツンは声をあげました。

ξ ゚⊿゚)ξ「こんなところに、洋食屋さんなんかあったかしら」

( ^ω^)「ほんとだお、知らなかったお」

個人でやっている洋食屋さんというものは、どこか心が惹かれるものです。
ですから二人は、その中へと入っていったのです。


川 ゚ 々゚)「いらっしゃいませ」

と、店主らしき女性が言いました。

川 ゚ 々゚)「当店ではメニューがございません、わたくしが自由に料理を作ります。それでもよろしいでしょうか?」

( ^ω^)(なんだか高そうなお店に来ちゃったお)

ブーンは内心そう思ったのですが、後にはひけません。
うなずくと、店主は二人を席に案内しました。

川 ゚ 々゚)「では少々お待ちを」

とんとん、じゅうじゅう。
料理をする音がやけに心地よく感じられました。
ふとツンは、自分の体質について考え始めました。

ξ ゚⊿゚)ξ(人が嫌いだから、割れてしまうのかしら)

ξ ゚⊿゚)ξ(それとも割れてしまうから、人が嫌いなのかしら)

ξ ゚⊿゚)ξ(どちらにせよ、早く死にたいわ。でもそれはブーンが許さないでしょうね)

同じ頃、ブーンはデレについて考えていました。

(  ω )(僕は最低だお、ツンのことが好きなのに、あの子の気持ちを弄んだりなんかして)

(  ω )(優しくなんかないんだお。僕は自分を求めてくれる人がすきだから。あの子は、好きって言ってくれるから)

(  ω )(だから、海に返せない)

25 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 01:58:51 ID:Mlb8.5/Y0
気づくと二人の前には、カルパッチョとシチュー皿が並べられていました。

川 ゚ 々゚)「本日のメニューは、恋に恋する乙女のカルパッチョとどす黒い嫉妬のタンシチューになります」

( ^ω^)(食欲なくしそうなメニュー名だお)

とはいえ、出されたものを食べないのはいくらなんでも罰当たりです。
おそるおそる二人は料理に手をつけました。

ξ*゚⊿゚)ξ「……おいしい」

(*^ω^)「おっおっ!食べたことのない味だお!」

カルパッチョは、レモンの爽やかな酸味とハーブの香りがよくあっていました。
玉ねぎのしゃきしゃきした食感と、よくわからない魚の赤身のやわらかさが口のなかを飽きさせません。

タンシチューはよく煮込まれているのか、口にいれた途端にお肉がほろほろと溶け出して、すぐに舌になじんでしまいました。
その体験したことのない感覚が、やみつきになり、二人は無我夢中で食べ進めました。

川 ゚ 々゚)「食事が済みましたら、デザートをお持ちします」

そんな店主の言葉が届いているのかどうか。
もはやわかりません。
それくらい二人は目の前の料理に集中していたのです。

26 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 12:52:20 ID:.mEzPZ9c0
(*^ω^)「もうお腹いっぱいだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも、まだデザートがあるんじゃなかったっけ?」

川 ゚ 々゚)「ご安心を、デザートはちょっとした小話でございます」

そういって店主は、ツンをじっと見つめます。

ξ ゚⊿゚)ξ「?」

川 ゚ 々゚)「時にお嬢さん、料理はお口に合いましたでしょうか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ、食べたことのない味でしたけど……」

川 ゚ 々゚)「そうですか」

と、店主は急にツンの顔を掴んだのです。

ξ ⊿ )ξ「ああ゛ぁぁあ゛
ぁあ゛あ゛っっ!!?」

( ゜ω゜)「なっ……!?」

みしり、びきり、ばきっ。
ツンの肌がこおる音がします。
濁った叫びがブーンの鼓膜を揺らします。
そのうち、悲鳴は鳴りやんで。

ばりんと、ツンは砕けたのです。

30 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 18:18:22 ID:k3u3ZUm20
( ゜ω゜)「ツ、ン……?」

粉々になった透明なそれを見つめながら、ブーンはうわ言のように呟きました。
それから、ようやく店主に目を向けて。

(#゜ω゜)「お、おまえ、なんてことを……!!」

怒りに任せて、殴り付けようとした時でした。

(# ω )「、……ぁっ?」

ずぶりと冷たい鉄が、腹に食い込むのを感じたのです。

(  ω )「……なんで、だお」

その言葉に、店主、いえ魔法使いは答えました。

lw´‐ _‐ノv「ささやかな願い事を叶えてやったからさ」

と。





その真意を知る間もなく、ブーンの意識は途切れました。

31 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 18:32:42 ID:Mlb8.5/Y0
(  ω )「…………」



(  ω )「、」


(; ω )「っあ、」


(;゜ω゜)「っぁ、はぁ……!」


気づけば、ブーンは自分の家のリビングにいました。
もしかして先程ツンが死んだのは、悪い夢だったのかもしれません。

(; ω )「…………夢、なのかお?」


ぼんやりした頭で考えながら、ブーンは浴室に向かいます。
デレと話がしたかったのです。
でも。


( ゜ω゜)「」


( ゜ω゜)「…………、」


( ゜ω゜)「……デレ?」

32 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 18:39:46 ID:40qFgLVE0







浴槽の中は、からっぽでした。








.

33 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 18:58:30 ID:8J7q0s520
その時、賑やかなメロディーがジーンズのポケットから響ききました。
それは流行りの恋の歌で。

無我夢中でブーンは携帯電話を取り出したのです。

(;^ω^)「もしもし!?」

「ああ、ブーン?」

か細い声でした。
呂律の回らない、どこか幼げな声でした。

(;゜ω゜)】「ツン……?」

「ねぇ、死ねないの」

( ゜ω゜)】「……は?」

「わたし、絶対に死んだのに、いつのまにか顔が元通りになってて」

「手首を切ったら傷がふさがって。さっきたくさん薬を飲んだの」

( ゜ω゜)】「おま、なに、して、」

「でもまた生き返るきがするの。死ねないんだわきっと」

ごとり、と携帯電話の落ちる音。
それは、受話器の向こう側の出来事で。

(;゜ω゜)「…………」

そういえば、あの洋食屋さんで、食べた肉と魚は、結局なんだったのでしょうか。

34 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 19:03:53 ID:8J7q0s520
lw´‐ _‐ノv「ずいぶん肉が余ったな」

lw´‐ _‐ノv「もったいないから、冷凍しちゃいましょう」

lw´‐ _‐ノv「ああ、でも、これは食べるところがないから、返そうか」

lw´‐ _‐ノv「…………」

lw´‐ _‐ノv「うん、これはおまけだ」

lw´‐ _‐ノv「どうせ傷つけるなら、徹底的に」

35 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 19:13:38 ID:Wdq4TQMA0
恋に恋する乙女のカルパッチョとどす黒い嫉妬のタンシチュー。
どうして、そんな料理名だったのでしょう。
おかしいのです。
だってそれはまるで。


(; ω )(デレの、)


べしゃっ。


不意に、目の前の浴槽に、なにかが落ちました。


(; ω )「?」


(;゜ω゜)「っ……!!!」


ζ( o ζ

まるい頭。
見慣れた顔。
断面にこびりついた深海色の血。
ぽっかり空いた口には、舌がなくて。



(; ω )「うそだ……!!」



(; ω )「うそだぁぁあ゛あ゛ぁぁあぁあ゛ぁぁ!!!」


ようやく、すべてを悟ったのでした。

36 :名も無きAAのようです:2013/01/10(木) 19:18:39 ID:Wdq4TQMA0







人魚というものは、不老不死の象徴で、古来より呪詛を産み出す生き物なのです。







呪詛のような恋でした、のようです   おわり





シベリア図書館感想&絵祭りより 支援絵
[ 2013/08/29 21:32 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(0)

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