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('A`)は蟲士のようです

1 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 21:42:46 ID:R.gt67DIO


('A`)

深い山の中を、一人の男が歩いている。

('A`)

背には大きな木箱。着物はかなり古いものだが、清潔にされている。

('A`)「何とも不思議な木々だな……今にも動き出しそうだ」

('A`)「……お、着いたな」

男の視線の先には、山に隠れるようにそこそこの大きさの村があった。

2 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 21:45:02 ID:R.gt67DIO








黄金の野









3 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 21:50:27 ID:R.gt67DIO


('A`)

村に入って驚いた事、それはこの村の異質な空気。

('A`)(肌にまとわりつくようだ……やはりここが……)

('A`)「……ん?」

*(*‘‘)*「あはは、そうなんだ」

('A`)

*(*‘‘)*「駄目よそんな事したら、うふふ」

たくさんの蟲に囲まれながらも

その異質な姿を畏れる事なく

まるで昔からの馴染みのように話している

('A`)(あの子が……)

4 :名も無きAAのようです:2012/07/04(水) 22:08:10 ID:R.gt67DIO


(,,#゚Д゚)「何だお前!どこの村のもんだ!」

('A`)「お、坊主、この村の者か?」

(,,#゚Д゚)「ヘリカルに何のようだ!変質者なら俺が追い出してやるぞ!」

('A`)d「何だ坊主、お前あそこの嬢ちゃんのこれか?」

(,,*゚Д゚)「ちちちちち違うし!何言うんだこの変質者!」

('A`)「変質者じゃねえよ」

(,,゚Д゚)「その顔はどっからどう見ても変質者だろが!」

('A`)「それは自分でもそう思うがな」

(,,゚Д゚)「この変じゃお前みたいな変な顔見た事ねえぞ!」

('A`)「そりゃそうだ、俺は旅をして暮らしているからな」

(,,゚Д゚)「旅?」

*(‘‘)*「あらギコ」

6 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/04(水) 23:25:08 ID:R.gt67DIO


(,,*゚Д゚)「お、おうヘリカル」

*(*‘‘)*「蟲さんから面白い話を聞いたの!あのね……」

(,,;゚Д゚)「ヘリカル!部外者の前でそんな話しちゃ駄目だ!」

*(‘‘)*「大丈夫よ、この人にも蟲が見えているから」

*(‘‘)*「そうでしょ?蟲士のドクオさん?」

('A`)「ほぉ……どこから俺の名を?」

*(‘‘)*「蟲さんが教えてくれたわ」

('A`)「物知りな蟲だな」

*(*‘‘)*「うん!いっぱい面白い話をしてくれるのよ!あのね……」

('∀`)

きゃっきゃっ

*(*‘‘)*



(,,゚Д゚)「……」

8 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/04(水) 23:32:26 ID:R.gt67DIO


(,,#゚Д゚)「……おっさん!ちょっとこっち来い!」

ギコはドクオの腕を掴み、どこかへ連れていく。

('A`)「なんだ?」

(,,#゚Д゚)「村長に挨拶に行くのが礼儀だろ!」

('A`)「それもそうだな、案内してくれ」

*(*‘‘)*「ドクオ!またねー!」



('A`)「お前の女に手を出すつもりはねえから安心しろよ」

(,,*゚Д゚)「そそそそんなんじゃねーし!」

9 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/04(水) 23:35:09 ID:R.gt67DIO


村長の家

/ ,' 3「……ほう、あなたは蟲士とかいう者なのですか」

('A`)「はい、蟲士のドクオといいます」

/ ,' 3「この村には一体どのような御用件で?」

('A`)「この地に蟲と会話する少女がいると風の噂で聞きましてね、その調査に」

/ ,' 3「……それはそれは、御苦労な事で」

/ ,' 3「この村には宿らしい宿はなくてな、ヘリカルの家に泊まって下さいな」

(,,;゚Д゚)「!?」

('A`)「感謝します」

('A`)「では私はこれで……」

10 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/04(水) 23:38:39 ID:R.gt67DIO


村の外れを歩くドクオとギコ。

('A`)「どうやらここでは蟲の存在は信じられていないようだな」

(,,゚Д゚)「みんな蟲だなんだと言い出す奴はペテン師だと思ってんだよ」

('A`)「無理もないな、蟲のほとんどは普通の人には見えんし」

(,,゚Д゚)「まあ気にすんなよ、この村はいつもこんなもんだ」

('A`)「お前さんは?蟲はいると信じているかい?」

(,,*゚Д゚)「お、俺は……ヘリカルの事は信じているよ」

('A`)「少し喉が渇いたな」

(,,゚Д゚)「あそこに井戸があるよ」

11 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/04(水) 23:41:40 ID:R.gt67DIO


('∀`)「ふぃー、冷たくてうめえな」

(,,゚Д゚)「なあおっさん、蟲って一体何なんだ?」

('A`)「ん?」

(,,゚Д゚)「ヘリカルは蟲の事を『命そのもの』と言っていたけど、よく分からんぞ」

('A`)「……ふーむ、そうさな……」

バシャッ

ドクオは桶を井戸に戻した。

('A`)「坊主、あの空に浮かぶ白いの、何だか分かるな?」

(,,゚Д゚)「雲だろ、それぐらい知ってるよ」

('A`)「そう雲だ、雲は何でできてるか知ってるか?」

(,,゚Д゚)「水」

('A`)「ほう、頭良いな」

12 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/04(水) 23:44:33 ID:R.gt67DIO


('A`)「雲は雨を降らす、雨が降るとどうなる?」

(,,゚Д゚)「畑に落ちる」

('A`)「そうだな、地面に染み込んだ水はやがていろんな所に集まり始める」

('A`)「川、沼、湖……または植物に吸い上げられ霧となったり……様々だな」

('A`)「川が山を下って流れ続け、何本もの川が合流して大きな川となる、ここまでは分かるか?」

(,,゚Д゚)「うん」

('A`)「さて、この大きな川はどこへ行き着く?」

(,,゚Д゚)「それは……海ってトコだろ、俺は見た事がないけど……」

('A`)「そう、海となる」

('A`)「ならば、海は次にどうなる?」

(,,゚Д゚)「え……海になって終わりじゃ……」

('A`)「違う、海は太陽によって熱せられ、水蒸気となる」

13 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 00:21:53 ID:fV5hIlUwO


(,,゚Д゚)「ヤカンのあれか」

('A`)「そう、海から立ち上った水蒸気は集まり、やがて雲となる」

('A`)「そしてまた雨を降らすんだ」

(,,;゚Д゚)「……!じゃあまたその雨が川となって、海になって、もう一度雲になって……そして……!」

('A`)「そうだ、水はこの世界をぐるぐると回っているんだ」

(,,゚Д゚)「でもそれが蟲とどう関係が?」

('A`)「水が雲、雨、川、海に分けられるように、生き物も人間、動物、植物、菌類と分けられるだろ?」

(,,゚Д゚)「うん」

('A`)「雨や川や海は全て元を辿れば『水』だ、そして生き物にとってのこの『水』にあたるもの……」

全ての生き物の元……命そのもののカタチ……それを俺達蟲士は……



――――蟲と呼んでいる



(,,゚Д゚)「命の……カタチ……」

14 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 00:26:08 ID:fV5hIlUwO


('A`)「この蟲ってのがお茶目な奴らでな、中には無意識に人に害をもたらしてしまうモノがいる」

('A`)「それを愛と勇気と知識で解決するのが俺のような『蟲士』だな」

(,,゚Д゚)「愛と勇気は余計なんじゃないのか?」

('A`)「わかってねえな、愛と勇気が1番大事で……」

がさがさっ

(,,;゚Д゚)「……!そこに誰かいるのか!?」

ギコは茂みの中を探る。

(,,;゚Д゚)「……誰もいない」

('A`)「……どうやら話を聞かれていたようだな」

('A`)(……面倒な事にならないと良いが)

15 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 00:30:39 ID:fV5hIlUwO


(,,゚Д゚)「着いたぞ、ここがヘリカルの家だ」

('A`)(村の外れか……)

*(*‘‘)*「あはは、そうなんだー」

(#゚ー゚)「ヘリカル!お客さんの前でそんな事しちゃ駄目!」

*(‘‘)*「でもお母さん、蟲さんが……」

(#゚ー゚)「虫なんかと話せるわけないじゃない!早く家におはいり!」

('A`)「すいませんね、お世話になります」

(*゚ー゚)「……どうぞ、ろくなおもてなしはできませんが」

(,,゚Д゚)「じゃあなおっさん!また明日面白い話聞かせてくれよ!」

('A`)「ドクオさんって呼べ、坊主」

16 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 00:35:28 ID:fV5hIlUwO




(*'A`)「ははは、そりゃ面白い蟲だな」

*(*‘‘)*「でしょー?」

(*゚ー゚)「……」

*( - -)*「ふぁ……」

('A`)「お、悪いな、遅くまで付き合わしちまって」

*(*‘‘)*「ううん!ドクオさんのお話面白かったよ!おやすみ!」

てててっ

('A`)「良い子ですね」

(*゚ー゚)「お客さん……あまりヘリカルの妄想を引き伸ばすような事はしないで下さいな」

('A`)

17 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 00:41:07 ID:fV5hIlUwO


(*゚ー゚)「あの子が生まれてすぐの頃に、夫が山で熊に襲われて死にましてね……」

(*゚‐゚)「私ひとりで夫の分まで愛を注いだつもりだったんですけど……足りなかったんですかね……」

('A`)「……奥さん、この家にあの子のようなチカラを持つ人間が現れたのは……あの子が初めてですか?」

(*゚ー゚)「……村に伝わる話では、私の先祖が不思議な声に導かれてこの土地に村を切り開いたと聞きましたが……」

('A`)「……そうですか」

(*゚ー゚)「あの……それが何か?」

('A`)「『金脈』というものをご存知で?」

(*゚ー゚)「金脈?」

('A`)「金と言っても金箔に使われるような金とは違います」

('A`)「蟲の集合体からなる、大地の下を流れる光り輝く命の川です」

18 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:03:12 ID:fV5hIlUwO


『ムシ?』

命そのものカタチです 全ての命の始まりにして終わりのカタチ それが蟲です

『その……ムシの大群が地面の下に?』

はい この真下にも流れていますよ

『見えるのですか?』

あなたには見えないんですか?






――――あなたも昔はここにいたのに

19 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:07:27 ID:fV5hIlUwO


('A`)「金脈の多く流れている土地は栄え、金脈の流れぬ土地は荒れ果てるといいます」

('A`)「ここにはたくさんの金脈が流れている……だがいびつな流れだ」

まるで、大昔に無理矢理金脈を引っ張ってきたように……

(*゚ー゚)「……あなたの話、よく分かりません」

('A`)

(*゚‐゚)「私はあの子に普通の人間になって欲しいんです……」

(* ‐ )「ムシだとか光りの川は見えなくて良いから……」

ただ、普通の女として幸せになって欲しいんですよ……

('A`)「……」

20 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:10:07 ID:fV5hIlUwO


ホー…ホー…

*( - -)*


ホー…ホー…


*( - -)*




*(‘‘)*



むくり

21 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:13:24 ID:fV5hIlUwO


(-A-)



トコトコ…



(-A-)



ガラッ…



ピシャンッ…



('A`)

22 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:16:08 ID:fV5hIlUwO


村から少し離れた森の中

ホー…ホー…

*(‘‘)*

ザッ…

*(‘‘)*「……ドクオさん」

('A`)「よう、夜更かしか?」

*(‘‘)*「うん」

('A`)「子供がこんな夜遅くにこんなトコに……あぶねえぞ」

*(‘‘)*「平気、蟲が教えてくれるから」

('A`)「便利なもんだな」

*(‘‘)*

ホー…ホー…

24 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:31:57 ID:fV5hIlUwO


*(‘‘)*「……ドクオさんは、みんなに信じてもらえた?」

('A`)

*(‘‘)*「村のみんなも蟲が見えたら良いのに……この世に……」

―――この世に、これほど美しいものは他に無いのに……

('A`)「……」

(;'A`)「……!?」

(;'A`)「焼ける臭い?なんだ?村で何かが焼けているのか!?」






ボオオオオオ…

25 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:37:22 ID:fV5hIlUwO


たたたっ

(,,;゚Д゚)「……!ヘリカル!良かった!無事だったか!」

*(‘‘)*「……良かった……ギコ君が来てくれて」

(,,;゚Д゚)「大変なんだ!ヘリカル!お前の家が!村の奴らが暴走して!」

*(‘‘)*「ここ、私とギコ君の秘密の遊び場だもんね」

(,,;Д;)「ヘリカル!お前の家に火が放たれて!お前の母ちゃんが中にいるのに!それなのにそれなのに……!」

*( - )*「大丈夫……熱くなる前に楽になれるから……そうお願いしたから……」

(,,;Д;)「俺止めたんだ!何度も何度も止めたんだ!でも……!でも……!」

(;'A`)「……村からできるだけ離れるぞ、村の奴らに見つかるかもしれんし……それに」

―――ヘリカル、お前もこの光景が見えているんだろう?

26 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:43:01 ID:fV5hIlUwO






(,,;゚Д゚)「……隣の山まで来れば安心だろ、村の奴らもここまでは追ってこまい……」

*( ; ;)*「……そうだね……ありがとうギコ君……」

(,, Д )「……でも……村の奴ら……」

(,,;Д;)「何で……何でこんな……」

('A`)「……理由は何でも良いのさ、家族が病気になったとか……去年より収穫が減ったとか……」

(,,;Д;)「ううう……」

*( ; ;)*「私、お母さんが死んでも悲しくなんてないよ……だって……」

―――この世から消えてしまうわけではないもの

('A`)「……はじまるぞ」

27 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:44:58 ID:fV5hIlUwO




光りが

おおきな

おおきな光りが

地面から柱のように立ったと思ったら

空まで真っ直ぐに立ったと思ったら

俺とヘリカルの生まれ育った村は








――――消えていた

28 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:47:51 ID:fV5hIlUwO


村に戻ってみると、空き家と着物だけを残してみんないなくなっていた。

俺には元々両親がいなかったけど……ごっそりといなくなられると寂しいものだ。

('A`)『この土地は大昔には草もろくに生えない荒野だったらしい』

('A`)『おそらく大昔の蟲士が金脈をこの土地まで引っ張ってきたのだろう……』

('A`)『……優れた蟲士は金脈をも操れるというからな』

ドクオは村に何日か滞在して、何やら調べた後、ふらりと村から去っていった。

('A`)『この世を生き抜くには愛と勇気と知識が必要だ』

('A`)『知識は嬢ちゃんがいるし、勇気は坊主が担当すれば良い……』

('A`)『愛は……まあいいか』

こんな台詞を残して。

29 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:52:35 ID:fV5hIlUwO


(,,*゚Д゚)「うひょー!大量だぜヘリカル!」

村は、作物の種を植えると一晩で収穫ができる土地になっていた。

*(*‘‘)*「果物の木も、もうこんなに高くなってる……」

ヘリカルが言うには、金脈の流れが綺麗になったからだという……不思議な話だ。



(,,゚Д゚)

*(‘‘)*



俺とヘリカルは子供をたくさん産んで、村を復活させるつもりだ。

どうやって子供を作るのか分からないからヘリカルに聞くと、顔を赤くして一言「馬鹿」と言われた。

30 :無職四十郎 ◆lTQkQE3XtY:2012/07/05(木) 18:54:40 ID:fV5hIlUwO


山奥

('A`)

握り飯を頬張るドクオ。

水筒にお茶を注ぐ

('A`)

ちゃぽんっ

どこから垂れた水滴が、水筒の中のお茶に落ちた。

('A`)



黄金の野 おわり





元ネタ・『蟲師』(アフタヌーンKC)漆原 友紀/著 講談社 (全十巻)
[ 2013/08/02 23:57 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(0)

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