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( ^ω^)ブーンの未来は全て、/ ,' 3アラマキの手の中のようです

1 名前:080 ◆080mxUe5zE :2009/04/03(金) 22:39:49.42 ID:5uebbWaSO

( ^ω^)「……」

 誰が、信じるものか。
 心霊現象、占い、神、悪魔。
 どれも下らない。

( ^ω^)(物理的にありえねーお)

 そう、万物は物理法則に従って存在している。
 だというのに後悔だの怨念だのと、そんな感情が肉体無しに有り得るはずがない。
 実際生まれてこの方二十四年、一度も不可思議な出来事などを体験したことがない。

 仮に存在したとしても、それらの全ては恐怖などといった感情が見せる幻覚や錯覚なのだろう。
 しかし――

/ ,' 3「お前さんは明日運命的な出会いをするぞ。
    しかも女子高生じゃ、JKじゃ」

 ――この爺さんの言葉はどんな現象で説明出来るのだろうか。




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:43:18.98 ID:5uebbWaSO

――クトゥルー神話祭参加作品――











( ^ω^)ブーンの未来は全て、/ ,' 3アラマキの手の中のようです




          ――Start.


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:45:45.23 ID:5uebbWaSO


( ^ω^)「またあんたかお、アラマキ爺さん」

/ ,' 3「まぁそういうな。宝くじ、当たったのじゃろ?」

( ^ω^)「買ってねーお、胡散臭い爺さんだおね」

 ポケットに入れた二千万の当たりくじを握り締めながら、嘘を吐いた。

/ ,' 3「なんと、まだ信用されてないかのぅ……」

 そう言って肩を落とすアラマキ。

 腰が曲がり、皺が刻まれ、髪が全て白色に染まっているこの爺さんと出会ったのは、半年前のことだ。
 一番最初に会った時言われたのは、次の日の天気のことだった。
 奇妙な爺さんの言葉など信用に値しない、と傘を持たずに出掛けたところ、突然降り出した雨に会社の大切な書類を濡らしてしまった。

 それからというもの、最低でも週に一度は現れて自分の未来を予言された。
 どの予言も百発百中。爺さんの言葉と一字一句違わない台詞を友人に言われたこともあった。

 そして極めつけは、宝くじ。
 爺さんの予言した販売店で予言された数だけ買ってみたところ、見事的中したのだ。

( ^ω^)(流石に、信憑する価値があるお)


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:48:17.84 ID:5uebbWaSO


/ ,' 3「お前さんは何も特別なことをする必要など無い。
    ただいつものように仕度し、いつものように出勤するだけじゃ」

 自分が爺さんの予言を色々と思い出している間にも、今日の予言は続く。

/ ,' 3「本物のJKとアドレス交換をして、行く行くは――」

( ^ω^)「もういいお、アラマキ爺さん」

/ ,' 3「なんじゃい。まぁ楽しみは取っとくもんじゃしの」

( ^ω^)「そうじゃないお。もう僕の予言をしなくていい、と言ってるんだお」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:49:56.89 ID:5uebbWaSO


/ ,' 3「何故じゃ? ワシの予言が外れたことは一度も無いはずじゃが?」

( ^ω^)「そういう問題じゃないお、二度と僕の前に現れないでくれお」

 得体の知れない爺さんに自分の未来を把握されていることは、気分の良いことではない。
 自分にとってプラスになる予言ばかりであっても、それは変わらない。
 何より、自分はそういった類のことは信じないから。

( ^ω^)「じゃあ、僕は行くお。サヨナラ」

/ ,' 3「……」

 目尻を下げ、真一文字に結んだ口が、爺さんの哀しみを表していた。

 だが、そんなことは構うものか。
 他人に情を掛けてられるほど、自分には余裕もない。
 くしゃくしゃにした宝くじの当たり紙をその場に投げ捨てて、踵を返した。

 繁華街から少し逸れた路地裏から出て、人波に呑まれる。
 清々しい気分が、胸を一杯にした。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:51:18.30 ID:5uebbWaSO


( ^ω^)「お?」

 窓から差し込む光が、身体を暖めている。
 身を起こし、時刻を確認してみれば、朝。

( ^ω^)「さぁ、用意するかお」

 決意の声と共に起き出し、準備を済ませた。
 今日は会議なども無く、楽な勤務な日なので、時間に余裕もあった。

( ^ω^)「……」

 アパートの一室から出て鍵を閉めた時、思い出した。

  / ,' 3「お前さんは明日運命的な出会いをするぞ。
      しかも女子高生じゃ、JKじゃ」

 昨夜の路地裏での爺さんの言葉を。

 今までのことのように、予言は的中してしまうのか。
 もし的中したなら――

( ^ω^)「フヒ」

 ロリコン趣味などは一切無いのだが、顔がニヤついてしまった。
 そして、そんな自分に腹が立った。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:53:29.47 ID:5uebbWaSO


( ^ω^)(非科学的なことだお、有り得ないお)

 そうして予言を否定しながらも、妄想を繰り広げて歩いていると、前方に曲がり角が見えてきた。

( ^ω^)(運命的って言うと、曲がり角でぶつかる、とかかお?)

 ならばここが予言の場所なのか。
 二度と爺さんに会うつもりなど無いが、最後の予言なのだから的中させてやるか。
 と、思い切って曲がり角を飛び出した。

( ^ω^)「ってあれ?」

 しかし予想していた衝撃は来なかった。
 代わりに自分の心には、空虚感が漂った。

( ^ω^)(なんだ、やっぱり有り得無いのかお)

 残念半分、持論の肯定された嬉しさ半分。
 思えば爺さんの予言を妄信し過ぎていたのかもしれない。
 そんな感情を思考のカーネルに預けて、歩み出そうとした時――

川 ゚ -゚)「あの……」

 ――予言は的中した。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:56:33.51 ID:5uebbWaSO


(;^ω^)「は?」

 黒髪を風になびかせながら、目の前に立つ女の子は言葉を続ける。

川 ゚ -゚)「毎朝、この道を通ってますよね?」

 それがなんだというのだ。
 全く思考が追い付かない自分に、更に言葉は紡がれる。

川 ゚ -゚)「なんていうか、雰囲気がすごくタイプなんです」

( ^ω^)「……」

 爺さんの予言にしても、余りに出来すぎている。
 現実とは思えない事実の展開に、現実への信頼が揺らいだ。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 22:58:54.28 ID:5uebbWaSO


( ^ω^)「それで? 君は僕にどうして欲しいんだお?」

川 ゚ -゚)「つ、付き合って……下さい」

 場所は変わり、喫茶店。
 昼休みの時間を利用して、クー、と名乗った少女と話をしていた。

( ^ω^)「付き合うってねー……君まだ高校生だお?」

 難色を示しつつ、言葉を濁した。
 援助交際でもする男のような口調になったが、構わない。
 今までの経験から言って、予言からは逃れることが出来ないのだから。

( ^ω^)(まぁ確かに……)

川 ゚ -゚)「恋愛に歳なんて……」

 クーは高校生とは思えない程綺麗な少女だ。
 付き合い、行く行くは……、というシナリオも納得出来る。

( ^ω^)(なら、僕のすべきことは?)

 予言など信じない自分。
 いや、信じないつもりで居た自分。
 しかし今の状況で信じない、というのは無理があるだろう。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:02:32.50 ID:5uebbWaSO


川 ゚ -゚)「……私は本気です」

 少女の表情からは強い意志が感じられた。
 同時に自分の意志が揺さ振られるのも。

( ^ω^)「わかったお。付き合おう、クー」

川 ゚ -゚)「!」

 言ってしまった。
 少女の言葉通りならば、彼女との年齢差は七。
 それも未成年の学生相手に、本気の恋愛を了承してしまった。

( ^ω^)(まぁ、なるようになるかお)

川 ゚ -゚)「今度の日曜日、暇ですか?」

 浮き浮きしながらデートの予定を組んでいくクー。
 細い指。きめ細かく長い黒髪。幼さを残しつつも美しい顔立ち。真摯な態度。
 予言の上での事でも、本気の恋愛も悪く無いと思った。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:04:23.53 ID:5uebbWaSO


( ^ω^)「おお? 可愛いんじゃないかお?」

川 ゚ -゚)「ホント?
     でもやっぱりブーンさんと釣り合うような大人っぽい感じがいいな」

( ^ω^)「いやいや、まだ高校生なんだからそれらしい服装すればいいお?」

川 ゚ -゚)「やだ、子供扱いしないで」

(;^ω^)「おー……」

 クーと共に服を選んでいた。
 日曜日の午後、センスのいい服があると評判の店。

川 ゚ -゚)「ブーンさんのも選ぼうよ」

( ^ω^)「あー、そうだおね」

 流石は現役高校生。
 オシャレに気を使う年頃だからなのか、服一着を選ぶのにも真剣である。
 自分はそういうのに疎い人間であるので、少々置いてけぼりを喰らっている。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:06:15.08 ID:5uebbWaSO


川 ゚ -゚)「ブーンさんのセンスって独特だよね。
     スーツ姿はカッコイイんだけど……」

( ^ω^)「ほっとけおwww」

川 ゚ -゚)「正直、ダサい」

(;^ω^)「……選んでくれお」

川 ゚ -゚)b「任せて」

 半ば振り回される感じであるが、クーと過ごす時間に幸せを感じた。
 こんな時間がずっと続けば、と願い、一瞬を噛み締める。

( ^ω^)(これが、本気の恋愛かお)

 今更ながら、爺さんに感謝した。
 以前までの自分は、非科学的な存在などは信じなかった。
 だが、今は――

( ^ω^)(有り得ないなんてことが、有り得ない。かお)

 世の中には絶対は存在しない。
 そんな言葉が心に浮かんでいた。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:08:17.86 ID:5uebbWaSO


川 ゚ -゚)「あ、カッコイイね」

( ^ω^)「そ、そうかお?」

川 ゚ -゚)「すごく似合うよ」

 クーに選んでもらった服。
 クーの、自分の肌に触れる指。
 クーが自分を見つめながら、微笑む姿。

川 ゚ -゚)「ちょっとトイレで着替えてくるね。
     ブーンさんも着替えてきたら?」

( ^ω^)「そうするかお」

 全てが、愛おしく思えた。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:10:53.13 ID:5uebbWaSO


/ ,' 3「予言通り。じゃろ?」

( ^ω^)「爺さん……」

 トイレには、爺さんがいた。
 自分を待ち構えていたかのように洗面台の前に立っていた。
 先に着替えるように促され、

( ^ω^)「それじゃあ」

 と断り、個室での着替えを終えた。
 気分を一新し、高揚感を味わいながら個室の扉を開くと、まだ爺さんは洗面台の前にいた。

( ^ω^)「この間は、酷いことを言ってすまんかったお」

/ ,' 3「ほっほ。あれ程現実主義だったお前が、ワシに礼を言うとはの」

( ^ω^)「僕が間違ってたんだおね」

/ ,' 3「ほっほ。ほっほっほっほっほ!!」

( ^ω^)「ありがとう、爺さん。また縁があったら会おうお」

 洗面台の鏡に映る爺さんの姿を最後に目に収め、トイレを後にした。
 背後からはまだ、異様なまでの爺さんの笑い声が聞こえた。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:13:42.85 ID:5uebbWaSO


川 ゚ -゚)「今日は楽しかった」

( ^ω^)「僕もだお」

川 ゚ -゚)「……好き」

( ^ω^)「……好きだお」

 一回だけ唇を重ね、それぞれの帰路についた。
 一日の出来事を振り返り、思わず頬が緩んだ。
 一度、背後で轟音が響いた。

( ^ω^)「……は?」

 振り向けば、クーの姿は無かった。
 トラックに跳ね飛ばされた肉塊が宙を舞い、地面を強く打ち付けた。
 なんだ、やっぱり現実は現実か。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:15:29.18 ID:5uebbWaSO


(  ゚ω゚)「クーッ!!」

 クーの服を纏ったそれに駆け寄り、声を掛ける。
 返ってくる声は無い。返ってくる笑顔は無い。先程までの幸せは、そこに無い。

「だ、大丈夫か!?」

 トラックの運転手が慌てて降りてくる。

 大丈夫なように見えるか?
 まだクーが笑顔を作れると思うか?
 現実と非科学的な事象が混合すると信じるか?

(  ゚ω゚)「ああああああああああああッ!!!!」

 絶叫を上げて、走り出した。
 トラックの運転手を突き飛ばし、元来た道を駆け戻る。

 爺さんはどこだ。
 アラマキと名乗った老人はどこだ。
 予言の伝導者たる男は、どこだ。

(; ゚ω゚)「はぁ……はぁ……」

 疲れ果てても、脚は止めなかった。
 止めれば、崩れた幸せが現実になってしまう気がしたから。


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:18:13.55 ID:5uebbWaSO


/ ,' 3「ほっほっほっほっほ!」

(; ゚ω゚)「爺さんッ!!」

 歩道の真ん中で、いつもと同じように待ち構える爺さんが立っていた。

/ ,' 3「どうじゃった? ワシの予言は?」

(; ゚ω゚)「一体どういうことなんだお!!!!」

 爺さんの言葉など、既に耳に入らない。
 現実から逃げるように、叫ぶ。

(; ゚ω゚)「なんでクーが!! なんで!?」

/ ,' 3「それがお主の現実じゃよ」

(; ゚ω゚)「返せお!! クーを返せお!!!! 幸せを返せお!!!!」

 爺さんの胸倉を掴み、手首を返して締め上げる。
 しかし、自分の手が震えるほどに締めているというのに爺さんは顔色一つ変えない。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:20:42.38 ID:5uebbWaSO


/ ,' 3「……最後の予言をしてやろう」

(; ゚ω゚)「あああああああふざけんなあああ!!!!」


/ ,' 3「駅前のビルには決して近づくな。死にたくなかったらな」

(; ゚ω゚)「現実はどこなんだおおおおおおおおお!!!!」

 最早自分の言葉の意味すら理解出来ない。
 それなのに、爺さんの予言は妙にはっきりと理解出来た。

 だから、という訳ではない。
 だが、何故と問われれば答えられない。
 自分の脚は、駅前のビル目指して動き出した。

(; ゚ω゚)「おおおおおおおおおおおお!!!!」

 現実と、非科学的、もしくは非現実的な事象の違いは何だ。
 一日限りであったが、自分に笑顔を振り撒いてくれたクーの存在は、どちらなのだ。

 初めての女性経験。初めてのデート。初めての、キス。
 全て夢なのか。全て現実なのか。全て非現実なのか。


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:24:10.56 ID:5uebbWaSO


/ ,' 3「――――ッ!!!!」

(; ゚ω゚)「うあっ!!」

 衝撃。
 疲労困憊した自分の身体は、爺さんの華奢な腕にいともたやすく突き飛ばされた。
 空から。ビルの屋上から降ってくる鉄骨。

/ ,' 3「ほっほ」

 スローになる世界の中、爺さんの笑顔がはっきりと目に焼き付いた。

(; ゚ω゚)「あ……あ……」

 血飛沫が舞い、自分の服を染めた。
 拡がる、爺さんの血の海。
 何故か冷静になる自分。

( ^ω^)「……」

 やっぱり、非現実的なモノは存在しないのか。
 予言なんてモノは、現実には存在しないのか。

 意味不明。
 言葉に表すのは容易い状況が、脳内を蹂躙する。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/03(金) 23:26:34.87 ID:5uebbWaSO


( ^ω^)「おっおっおっ」

 知るものか。
 と、思わず声を出して笑ってしまった。
 目の前の惨状から目を背け、歩み出した自分の目には――

( ^ω^)「……」

 ――現実しか、見えなかった。






( ^ω^)ブーンの未来は全て、/ ,' 3アラマキの手の中のようです



           ――Fin.







61 名前:080 ◆080mxUe5zE :2009/04/03(金) 23:36:44.35 ID:5uebbWaSO

以上。
久々の携帯からの投下に手間取り、投下間隔が乱れましたが、
080がお贈りしたクトゥルー神話でした。

クトゥルー神話では現実と恐怖の非現実の境界が不明である、という解釈のもと書きました。
合作なので出来るだけ短くもしました。

恐怖とは即ち無知、ということですね。

そんなこんなで上手く先陣を切れたなら幸い。
そうでなくても楽しかったです、ありがとうございました。

三日間、他作品様を楽しみにすることにし、今日はペンを置くことにします。

[ 2010/12/14 21:28 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(0)

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