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ξ゚⊿゚)ξ美しさは罪、のようですζ(゚ー゚*ζ

1 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:21:09.16 ID:m3hngubp0
:0

神様 どうか この時だけは
我らが 幸せで ありますように

神様 どうか この場所だけは
我らが 安らげ ますように

遠くから聞こえるのはこの国で最も一般的な、修道女達が歌う賛美歌の一種である。
城に住まう身寄りの無い少女達は、神に仕えるものの役割として、その歌を毎晩歌う。
その美しい声と旋律が高く鳴り、合わせるように0時の鐘がなる。

だから少女の声はかき消され、届かない。

从'ー'从「はっ、はっ、はっ……」

優美なドレスを身に纏うその少女は、頭を飾る、煌く宝石が散りばめられたティアラが、床に転がる事すら気にせずに、走る。
修道女達のコーラスが重なり、最も大きく響く瞬間と

从'ー'从「助けて――!」

少女が助けを求める声は、同時だった。

ヒュン。



2 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:22:40.34 ID:m3hngubp0

:1

ζ(゚ー゚*ζ「鏡よ鏡、この世で最も美しい女はだあれ?」

VIP国は周辺諸国の中でも、特に力を持つ強国だ。
この地にある、建国されてから未だ尽きぬとされている金鉱脈のおかげである。
純度の高い金を使った調度品や装飾品などがいくつも作られて、輸出し、その金でまた輸入を行う。

高い経済力を誇るこの国の名を、更に広める事になったのは現在のこの国の支配者であるデレ王妃の美しさだ。
今は亡きショボン国王が、彼女に一目ぼれをしたのも無理やらぬ事である。

王の座は空いており、国の予算は潤沢、更に王妃が美しいとくれば他の国々は放っては置かない、毎日の様に求婚の使者がやってくるが。

( <●><●>) 「それは、デレ王妃、貴女であることはわかってます」

デレ王妃はそんな男達など気にも止めず、魔法の鏡に毎日の様にその言葉を問いかけていた。
森の小人が作ったと言われる、『真実を話す』という魔法がかけられた鏡で、映っている人物の姿で問いに答えてくれる。
装飾の巨大な瞳が少々怖いが、それはご愛嬌といったところだ。



3 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:24:08.73 ID:m3hngubp0

しかし、時間がたつにつれその事情は変わる。

ζ(゚ー゚*ζ「鏡よ鏡、この世で最も美しい女はだあれ?」

いつもの様にそう問いかけると、鏡は彼女の顔でいう。

( <●><●>) 「それは、素直国のキュート姫であることはわかってます」

ζ(゚ー゚*ζ「……なんですって?」

鏡のなかのデレは表情を歪め、そしてそのまま淡々と告げる。

( <●><●>) 「どれをとっても現在最も美しいといえる少女であることはわかってます」

ζ(゚ー゚*ζ「そう」

深く、深く静かに頷く。そして

ζ(゚ー゚*ζ「死神」

川 ゚ -゚)「はっ」

デレ王妃が呟くと、その後ろに現れたのは髪の長い女だった。
紺碧の装飾に飾られた、黒いローブに身を包み、その手には巨大な鎌を持っている。


5 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:25:11.24 ID:m3hngubp0

ζ(゚ー゚*ζ「素直国のキュート姫を消しなさい」

冷たく言い放たれる声に、死神は眉をひそめ。

川 ゚ -゚)「それはご命令でしょうか」

ふぅ、とデレは、死神と呼んだ女に向って溜息を吐く。

ζ(゚ー゚*ζ「貴女は何に仕えるものかしら?」

川 ゚ -゚)「……VIP国です」

ζ(゚ー゚*ζ「ではそのVIP国で最も偉い、この国の支配者は誰かしら?」

川 ゚ -゚)「……デレ王妃、貴女です」

ζ(゚ー゚*ζ「わかっているのなら行きなさい」

それで問答は終わりだ、と言うように手を振った。
それはいつもの光景だった。


7 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:27:05.41 ID:m3hngubp0

('A`)「お前も働き者だねえ」

川 ゚ -゚)「…………」

王宮は人の目が届かぬところですら美しく彩られている。
外壁に沿った、表からは見えない庭の一角ですらそれは例外ではなく、色とりどりの花であふれていた。

デレ王妃が集めた調度品が並ぶ地下室から外に出れば、まだ太陽が真上に昇っている時間で、その場所に一般の兵はおらず。

川 ゚ -゚)「騎士団長ドクオ、こんなところで何をしている」

('A`)「サボりだよサボり」

ドクオと呼ばれた男はひらひらと手を振り。

('A`)「大変だな、クー」

死神、クーと呼ばれた女は、暑い日差しを浴びながら、その分厚いローブの下で汗一つかかず、首を振る。

川 ゚ -゚)「国家の為だ、必要な事だ」

そう言って、長い衣を翻す。
数瞬後にはその姿はきえており、ドクオは、はぁ、と溜息をついた。

('A`)「さて、俺も自分の仕事をしますかね」



9 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:28:41.27 ID:m3hngubp0

ξ゚⊿゚)ξ「あのね、私ドクオにプレゼントがあるの!」

('A`)「ん?」

はい、と目の前に差し出されたのは不細工な木彫り細工だった。
お世辞にも上手とはいえないが、幼い手で必死に作られた事がよくわかる。

ξ゚⊿゚)ξ「兵隊さんに、おまもり!」

('A`)「……そりゃどーも」

仮にも姫に対する口の利き方ではないのだが、ツンはそれがドクオにとっての礼だとわかっていたので、笑顔でそれを渡した。

('A`)「でも兵隊じゃなくて騎士だからな?」

ξ゚⊿゚)ξ「何か違うの?」

それから十年後が、物語の始まりとなる。



10 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:30:08.49 ID:m3hngubp0




ξ゚⊿゚)ξ美しさは罪、のようですζ(゚ー゚*ζ






13 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:31:57.83 ID:m3hngubp0

:2
十四歳になったツン王女の外見は、母親であるデレ王妃の美しさと今は亡き父親であるショボン王の気品ある強さを兼ね備えていた。
太陽の眩しい日差しに当たれば、淡い金髪を巻いた髪の毛が、ふわふわと揺れて微かに光の尾を引く。
多少男勝りで気の強いところはあるものの、公式な場であれば立ち振る舞いも王家のものとして恥ずかしくない見事なものだ。

ξ゚⊿゚)ξ「ふんふふふーん」

鼻歌を歌いながらステップを刻むその仕草すら美しく、挙動の一つ一つに老若男女問わず目を奪われるのもやむなしといえた。

「今日も相変わらずお美しいな、ツン様は」
「ああ、俺達の女神だ」
「あの巻き毛がたまりませんな」

城に勤める兵士達がそういった声を漏らすのも日常であり。

ζ(゚-゚*ζ「…………」

そんな会話を通りすがりの王妃が聞いて、表情を歪め、慌てて背筋を伸ばすのもまた日常だった。

一年一年、時が進むにつれ王女が美しく育っていく度に、デレ王妃の機嫌は悪くなっていく。
自らの娘が美しく育つ毎に、自分は醜く老いて行く。
まだツンが幼かった時分は、残された一人娘を可愛がり、慈しんでいたのだが。


15 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:33:16.33 ID:m3hngubp0

ζ(゚ー゚*ζ「鏡よ鏡、この世で最も美しい女はだあれ?」

王妃が年を重ねるに連れ、魔法の鏡が、自分以外のものを美しい、と言うことが多くなってきた。
本当なら不良品と破壊してしまいたいところだが、それは今までこの鏡が告げてきた自分の美しさを否定する事になってしまう。

( <●><●>) 「それはニート王国のカーチャン王妃なのはわかってます」

ζ(゚ー゚*ζ「なん……です……って?」

カーチャン王妃……何度か国家間の交流で顔を見たことがある。
J( 'ー`)し←この人
器量のよさで国王を懸命に支える良妻賢母であるという話は聞いていたが。

ζ(゚ー゚*ζ「な、何よそれ……ババアじゃない!」

( <●><●>) 「真の美しさは外見だけでは決まりません、内包された心の美しさもまた美なのはわかってます」

ζ(゚ー゚*ζ「私が劣っているというの!?」

( <●><●>) 「そのとおりなのはわかってます」

その断言にデレ王妃の体は凍りつく。

ζ(゚ー゚*ζ「あのババアに……この私が、劣るというの……!?」

嫉妬。
端的に言えばその感情で、その表情は鬼の様にゆがむ。


17 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:38:23.47 ID:m3hngubp0

ζ(゚ー゚*ζ「死神!」

川 ゚ -゚)「はっ」

ζ(゚ー゚*ζ「ニート王国のカーチャン王妃を殺しなさい! 今すぐ! 出来るだけ惨たらしく!」

川 ゚ -゚)「お言葉ですが王妃、今月だけでもう三人目です、誰もが国の将来を担えるべき、姫や王妃達です、これ以上は……」

ζ(゚ー゚*ζ「貴女は誰に仕えているの!?」

それはヒステリックな叫びだった。

川 ゚ -゚)「……VIP国です」

ζ(゚ー゚*ζ「ではそのVIP国で最も偉い、この国の支配者は誰!?」

川 ゚ -゚)「……デレ王妃、貴女です」

ζ(゚ー゚*ζ「わかっているのなら早く行きなさい! そして醜く歪んだ首をかききって私の元へ持ってきなさい!」

川 ゚ -゚)「……はっ」

それ以上死神は何も言わず、す、と姿を消した。
デレ王妃ははぁ、と一つ荒い息を吐いて、呟いた。

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、憎憎しい、憎憎しいわ」


19 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:40:32.22 ID:m3hngubp0

彼女が死神に暗殺させた要人の人数は、実際のところ両手の指では数え切れないほどだ。
周囲で不穏な話があれば、当然、各国は自分たちの姫や王妃を守るために護衛や騎士をつける、城の防備も固める。

しかし死神はそれらを問題なく突破する、究極的なまでの暗殺者だった。
姿を気取られない、痕跡を残さない、確実に殺害を遂行する。

川 ゚ -゚)「…………」

眠っているカーチャン王妃の前に、クーは静かに立っていた。
見張りは既に意識を失っている、殺してはいないが朝までは起きないだろう。
普段なら鎌を振り下ろし、その首を落せばおしまいだ。

だが王妃の命令は『醜く歪んだ首』を持って帰ることだった。


21 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:42:21.66 ID:m3hngubp0

だから死神は、そうする。

J( 'ー`)し「ぐっ!?」

くぐもった声が一瞬響き、後はもう喋ることはできない。
喉に鎌が突き刺さり、声帯に穴を開けたからだ。

川 ゚ -゚)「……」

そのまま両手足を裂き、動く事を封じる。

J( 'ー`)し「…… ……!」

川 ゚ -゚)「すまないが」

その顔が恐怖と混乱で歪んでいる事を、暗闇の中で確認してから

川 ゚ -゚)「我が国家の為に」

体から切り離された首は、その形相を確かに残していた。



22 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:45:26.20 ID:m3hngubp0

:3

ξ゚⊿゚)ξ「お花よ、お花」

('A`)「はぁ」

この国で最も武力のある騎士団長は、この国で最も可愛らしいお姫様の持論を聞かされていた。

ξ゚⊿゚)ξ「金なんて趣味が悪いわよ、やっぱり『金の国、VIP』じゃなくて『花の国、VIP』のほうがいいと思うのよ」

('A`)「花ならそこらじゅうにあるけどな」

デレ王妃の命令により、城のいたる所、普段誰も足を踏み入れないような空間にまで、色とりどりの花で埋め尽くされている。

ξ゚⊿゚)ξ「こんな綺麗な花なんだから、嗜好品としても売れると思うんだけどな」

('A`)「黒い事考えてんじゃねえよ」

ξ゚⊿゚)ξ「何よ、お金は大事じゃない!」

ぎゃーぎゃー言い合う二人の姿は日常的な光景だ。


23 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:48:09.20 ID:m3hngubp0

('A`)「つってもなあ、今の国庫を使いまくってるのはお前の母ちゃんだぜ?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなのよねぇ、お母様、ちょっと無駄遣いが多いのよね」

デレ王妃は平和にあかせて、自らを宝石で着飾り、豪華な調度品を作り、欲しいものは何でも手に入れていた。
大臣達も流石にそれは、と思うほどの金使いぷりであったが、戦争も無いし金の採掘はまだ続いているし、なぁなぁで結局止める事はできていない。

ξ゚⊿゚)「今度お話してみましょう」

('A`)「聞いてくれるとは思えんけどな」

それもドクオの偽らざる本音であった。
二人がそんな会話を続けていると、そ、っと影が現れた。
侍女服を着た、髪の長い女性だ。

川 ゚ -゚)「こちらにおいででしたか」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、クー、どうしたの?」

川 ゚ -゚)「デレ王妃がお呼びです、至急円卓の間にお越しください」

ξ゚⊿゚)ξ「円卓の間に?」

('A`)「もうすぐ昼飯の時間だしなぁ」

ドクオが真上を見ると、そこには太陽がギラギラと輝いていた。


24 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:50:30.39 ID:m3hngubp0

:4

ξ゚⊿゚)ξ「舞踏会?」

ζ(゚ー゚*ζ「そう、ニューソク国主催のね」

それは昼食の時間の出来事。
食事の準備を整えた給仕たちを下がらせ、その場に残ったのはデレ王妃とツン王女、そして騎士団長のドクオと二人の大臣だけだった。

('A`)「ニューソク国が?」

特製のスパイスによって、食欲をそそる独特に香りを放つ、分厚い牛肉をナイフで丁寧に切りながら、ドクオが問うた。

( `ハ´)「左様」

ニューソク国と言えば、間違いなくこの大陸で最強最大の大国だ。

( ><)「ニューソク国のブーン王子は十六歳、そろそろ妻となる人物を決めるべきと、現ニューソク国王ジョルジュ様が近隣諸国に御触れを出したんです!」

( `ハ´)「曰く、王子の相手として相応しいと思う者は皆集まれ、ということですアル」

ξ゚⊿゚)ξ「へー」

('A`)「かっるいなお前」


25 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:53:38.73 ID:m3hngubp0

近隣の小国にとっては、これは大きなチャンスである。
ニューソク国と親類関係を結ぶ事が出来れば、一気にその国は大国へと成り上がるだろう。
現在力を持っている国家も、他の国にそんなチャンスを与えるわけには行かない、我こそはと名乗りを上げ、姫を立てるだろう。

即ちこの舞踏会が今均衡し、平和を保っているバランスを崩す一大事であるという事だ。

そして

ζ(゚ー゚*ζ「この国からはツン、貴女が代表として出席する事になるわ」

ξ゚⊿゚)ξ「へ?」

森の果実と野菜をふんだんに使った新鮮なサラダを口に運んでいたツンは、その動きを止めた。

ζ(゚ー゚*ζ「貴女がVIPの代表として、舞踏会に出てもらうことになるわ」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと待ってよ!」

がたりと席を立ち、ツンは声を上げる。

ξ゚⊿゚)ξ「お母様が出ればいいじゃない!」

ζ(゚ー゚*ζ「私も当然出席します、しかしそれはあくまで娘の付き添い、姫を育て上げた者として、です」


26 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 20:55:33.28 ID:m3hngubp0

どこか嘲る様な笑みが含まれていることを、ドクオは見抜いた。
ツンの一言が、自分の美しさを肯定しているものと認識したのだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「これはVIPにとっても重要な問題なのです、他の国の姫とブーン王子が婚姻を結ぶ事があったら、この国の平和が脅かされかねません」

それも事実だ。
VIPと言う国は有り余る資源を利用した『強引な』戦争をしてきた国でもある。
過去幾数多の戦争の中で『負け』はなかったが、その分、買っている恨みも多いのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「逆に言えばVIPとニューソクの王族が婚姻を結べば、これほど安泰な事はありません」

('A`)「政略結婚、ってことすか」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

ツンが黙ったのは母親が語る言葉が全て正しい事であると理解しているからだろう。
自らの美しさを磨く事に力を注いではいるが、この王妃は決して自己の快楽に酔いしれるだけの女ではない。
王がいなくなった後、この国の頂点に君臨し、支え続けてきたのは彼女なのだから。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:57:34.81 ID:m3hngubp0

ξ゚⊿゚)ξ「……舞踏会は何時なの?」

( ><)「今から数えてちょうど一ヵ月後なんです」

少し考え込む仕草をして、じっとテーブルに目をやって、それからツンは顔を上げた。

ξ゚⊿゚)ξ「……そう、わかったわ」

がた、と席を立つ。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、明日から付き合って頂戴」

('A`)「お? おう、何をだ」

ξ゚⊿゚)ξ「決まってるじゃない」

ツンは言う。

ξ゚⊿゚)ξ「ダンスの練習よ」


29 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:00:42.12 ID:m3hngubp0

:5

昼食が終わって数時間後、国務をある程度片付けたデレはまた地下室にいた。

ζ(゚ー゚*ζ「くすくす」

魔法の鏡を前に、王妃は静かに笑う。
舞踏会の情報が耳に入った時は小躍りしかねない程だったが、家来達がいたので自制した。
しかし今この場で彼女に意見するものはいない、だから微笑は段々と大きな笑みに変わっていった。

ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、ふふふふふふ、あーっはっはっは!」

ニューソク国で開かれる舞踏会、と言う事は大陸中の各国の要人達が一堂に会するという事だ。
それは即ち

ζ(゚ー゚*ζ「私の美しさを! 世界に! 堂々と! 見せ付ける事が出来るのね!」

そこそこに美しく、教養を身につけさせた娘を装飾品として、豪奢なドレスを身に纏い、全ての視線を自らに集める。
その快感と恍惚を想像しただけで身震いしてしまいそうだ。

ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、ツンにもドレスを仕立ててやらないといけないわね、私の装飾品に不備があったら大変だもの」

うきうきとした表情で、デレはいつもの定型文を告げる。

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、鏡よ鏡、この世で一番美しい女はだあれ?」

( <●><●>) 「それは、デレ王妃、貴女なのはわかってます」

その反応を聞いてまた高い声が室内に響く。


30 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:02:34.48 ID:m3hngubp0

:6

あくまで練習なので、豪奢なドレスに身を包んでいるわけではない。
しかし、その動きの美しさ、優雅さはその踊っているものの気品を満遍なく示していた。

ツンの足の動きとドクオの足の動きには欠片の乱れも無い。
お互いがお互いの表情を眺めあっており、そこには複雑なステップに気を配っている気配など欠片も感じさせない。

曲に合わせてクルンと周り、軸のぶれない少女の体をドクオが礼儀として静かに支える。

( ><)「ワンダホーなんです……」

大臣がぽつりと呟いた言葉に反応するように、見学していた若い騎士達も声を上げる。

「すげえ……」「綺麗だ……」「ていうか団長死ねよ……」
「美味しすぎだろ団長……」「団長マジ空気読めよ……」「独身の癖に」

('A`)「お前等後で覚えてろよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタ慕われて無いわね」



31 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:05:13.62 ID:m3hngubp0

城のダンスホールを使った、舞踏会のための小さな練習。のはずだったが。
若者達の歓声に引かれ気がつけばメイドやコック等、城に勤めるさまざまな人間がそれを眺めに来ていた。
最初は小さな楽曲が、気がつけば誰かが楽器を持ってきて優美なクラシックに楽しげな音を混ぜ始める。
そのテンションに合わせて他の人間達も手を取り合い、中心で回る姫と騎士の舞に合わせるように、彼らもまた回りだす。

そのままさらに数分ダンスは続き、演奏をしていた者たちが最後のリズムを終わらせる。
同時に二人の、そして周囲の全ての動きが止まった。
数秒間の静寂の後、盛大な拍手が沸き起こる。

( ><)「これなら問題ないんです!」

( `ハ´)「完璧ですアル」

傍で眺めていた大臣達も感嘆の息を漏らす。踊り終えた直後で多少息を荒げているツンは、それでも湧き出す高揚感に胸を張った。
他の踊っていたもの達も楽しそうにハイタッチを行い、その熱はまだ冷めそうになかった。

ζ(゚ー゚*ζ「あら、どうしたの?」

そこに、ダンスホールの扉を開いて現れたのは、デレ王妃だった。


32 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:06:56.93 ID:m3hngubp0

ξ゚⊿゚)ξ「お母様?」

ζ(゚ー゚*ζ「騒がしいから来て見たら……何かしら、これは」

デレ王妃の視線に、位の低い使用人達は一斉に萎縮する。
本来彼らは働いている時間であり、こんなところで遊んでいるはずはないのだから。
若い騎士達も同様に、どこかバツの悪そうな表情を見せていた。

ζ(゚ー゚*ζ「ダンスの練習をしておきなさいとは言ったけれど、パーティを認めた覚えはなくてよ?」

厳しい険を孕んだ台詞に、全員の体が硬直する。
その緊張に満ちた空間を割いたのは、ツンだった。

ξ゚⊿゚)ξ「ごめんなさいお母様、私が皆に頼んだの」

ζ(゚ー゚*ζ「なんですって?」

ξ゚⊿゚)ξ「本物の舞踏会でも、周りでいろんな人が踊っているわ。二人だけじゃ本番で緊張してしまうかもしれないもの」

('A`)「そうそう、なぁお前等」

ドクオが便乗して騎士達に語りかけると、彼らは一様に『そうなんです』と頷いた。

ζ(゚ー゚*ζ「ふうん……」


33 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:09:17.65 ID:m3hngubp0

しばらく黙っていたが、『早く仕事に戻りなさい』という一言と共に、踵を返し去っていった。
それからさらに数十秒経過して、ようやくその場に居た全員が腰を下ろす。

「あー怖かったぁー!」「仕事抜けてきちゃったもんなぁ」「ツン様ありがとうー!」
「マジ可愛いっす!」「最高っす!」「やっぱ団長死ねよ!」「そうだくたばれ!」('A`)「お前等表でろぉぉ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ふう」

(;><)「しかし女王様、よく納得してくれたんです」

冷や汗をぬぐう大臣に、ツンは笑って

ξ゚⊿゚)ξ「可愛い娘の言い訳を察してくれたのよ、きっと」

と言った。

('A`)(やーな予感がすんなあ)

まだ熱に浮かれる場のなかで、ドクオ一人だけが渋い表情をしていた。

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあ皆、仕事に戻って! ドクオはもうちょっとステップの練習!」

姫の声に従い、各々自らの持ち場へと戻っていった。


34 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:13:22.07 ID:m3hngubp0

:7

川 ゚ -゚)「姫様、失礼致します」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがと」

空はもう太陽が沈み、城下町には明りがぽつぽつと灯り始めている。
練習の汗を流す為、熱いシャワーを浴び、浴槽から出てきた所に、侍女が頭を垂れて、タオルを構えていた。

川 ゚ -゚)「お疲れのようですね」

ξ゚⊿゚)ξ「うん……なんだかんだ一日踊ってたから」

体を拭きながら、侍女は尋ねる。

川 ゚ -゚)「どうしてダンスの練習をなさるのですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「へ?」

意外な問いだったのか、ツンは思わず首をかしげた。

川 ゚ -゚)「舞踏会で上手く踊りきる事ができれば、ツン様はニューソク国の王子に見初められるかもしれません」

それはドクオも言っていたが。

川 ゚ -゚)「そうなれば、政略結婚と言うことになります、決して好きあって結ばれる事ではありません」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

川 ゚ -゚)「一介の侍女がこのような事を申し上げるのは無礼だと、百も承知でお尋ねします、それで宜しいのですか?」


35 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:16:07.41 ID:m3hngubp0

彼女は小さい頃からツンの身の回りの世話をしてくれている侍女だ。
ツンが自由奔放な性格である事は、よく知っている。
こういった「決まりごと」の極みである政略結婚は、本意ではないはずなのだ、と。

ξ゚⊿゚)ξ「それでよろしいのよ」

だからツンは勤めて笑顔を作り、言った。

ξ゚⊿゚)ξ「舞踏会に出るって事は国の代表で出るってことだもの、粗相は許されないわ」

それに、と続けて。

ξ゚⊿゚)ξ「お母様が私に何かを求めてくれて、嬉しかったから」

川 ゚ -゚)「……申し訳ありませんでした、お許しください」

頭を垂れたクーを見て、ツンは面白そうに笑った。


37 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:19:37.12 ID:m3hngubp0

:8

('A`)「舞踏会への出席は王妃とツン、俺とビロード大臣ですか」

( ><)「はいなんです、留守はシナー大臣に任せるんです」

ドクオと大臣は円卓の間で、向かい合わせに座って迫り来る舞踏会への準備を進めていた。

( ><)「奉納品は黄金の装飾品を三十、インゴットを三十、金貨を三十、合計で三億相当なんです」

('A`)「結構な量っすね……」

( ><)「相手が相手なんです、VIPの力を近隣諸国に見せ付ける意味合いもあるんです」

重量も相当な物になる、馬車は二台用意する必要がありそうだ。

('A`)「道中の騎士団護衛はどれぐらいの規模でいきましょうか」

( ><)「あとで算出するんです、死神の件もありますし」

('A`)「それも、わかってます。俺が全力で守りますよ」

この大臣は死神がこの国の人間である事を知らない。
もう一人のシナー大臣と、デレ王妃、そしてドクオ、その存在を知っているのはこの程度だ。
だから防備が他国に対して不自然に見えない、ビロード大臣は本気で暗殺者を警戒している為だ。

だが。


38 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:23:42.04 ID:m3hngubp0

( ><)「私が調べた限り……今月だけで、周辺諸国の要人は二十二人死んでるんです」

('A`)「…………はあ!?」

ドクオは思わず席を立ってしまった。二十二人、それは口にすれば簡単だが。

('A`)「それ……マジっすか?」

( ><)「マジなんです、被害にあってないのはVIPとニューソク、あとはアニイタとユトリぐらいなんです」

それも多くは姫や王女、そのほか有能といわれていた武人や指揮官、王族の世話役や教育係等、端まで見ればキリが無い。
どれも共通するのはその人物が死ぬ事で、確実に国益が損なわれると言う事だ。

( ><)「どれも暗殺とわかるような、露骨な死に方ではありません、急に心臓発作を起こしたり、行方不明になったり、です」

意味するところは、よくわかる。
自然死に見せかけた暗殺、どこかの誰かが犯人だと突き止めることの出来ない。
いや、むしろそれが自然な暗殺なのだ。

( ><)「だから我々も警戒しすぎるに越した事はありません、いえ、むしろ最重要に警戒しなくてはなりません」

デレ王妃が死神に命じているのは、単に殺害するだけではない、肉体的損傷を与える事による相手の外見美を破壊する殺し方だ。
姫や王女の暗殺ならばデレ王妃の指示だとは思う、だがそれ以外の要人で、しかも鎌を使った暗殺ではない。
自分達が行っている事を、他国が行っていないはずもない。そんな当然のことが、どこか頭から抜けていた。

('A`)「……やれやれ」

忙しくなりそうだ、と心の中で呟いた。


39 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:24:51.29 ID:m3hngubp0

:9

それから二週間が経過し、国内が静かにだが、確実に浮き足立って来た頃。

ξ゚⊿゚)ξ「細工師?」

('A`)「おう、金細工の名手でな」

蹄の音と振動が響く。
馬を駆るドクオにしがみついているツンは、自らがドコへ向っているのかをこの段階になってようやく問うた。

('A`)「変わりモンで森の奥に住んでるんだが、そいつに頼んだ金細工を取りにいくんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「なんで私が一緒に行くのよ」

('A`)「変わりモンつったろ、王族の人間が直に取りに来る事が仕事の条件なんだよ」

普段その人物に以来を頼んだ時は、デレが騎士を引き連れて受け取りにいっていたらしい、が

('A`)「舞踏会に向けて色々国交があるらしい、だからツンに取りにいかせてくれってさ」

ξ゚⊿゚)ξ「それで朝早くから叩き起こされたのね――ふあ」

('A`)「腕は確かだ、ニューソクに奉納しても問題ない見事な金細工だろうぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「ふうん」

過分にしてそんな話を聞いた事の無いツンは、眠気もあって気の無い返事を返した。


40 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:26:27.58 ID:m3hngubp0

それから一時間ほど馬を走らせ、木々の生い茂る森の中に入る。
馬が歩きにくそうに足を動かし、ドクオはそれを制御するのに意識を集中させていた。

('A`)「あー、相変わらず面倒だな」

ξ゚⊿゚)ξ「降りて歩いたら?」

('A`)「たどり着くまで三時間かかるぞ。 ココを抜ければ後は道が開けてるから……」

そう言ってさらに歩みを進ませようとして――

('A`)「!」

木の上から、「それ」は現れた。
背の高い、葉の生い茂る木々だ、人が隠れていてもわからない。

馬が驚いて前足を上げ、背に乗る物を振り下ろそうとした。

('A`)「くっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「きゃあっ!」

男が三人、前、そして後ろに二人。全員手に長柄の剣を持っている。
その中の一人が、狼狽する二人の様子を見て、口を開き、笑う。

( ´ー`)「VIP国のツンだな?」

男が三人、前、そして後ろに二人。全員手に長柄の剣を持っている。
その中の、前に立つ男が口を開き、笑う。


43 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:28:16.55 ID:m3hngubp0

( ゚∋゚)「…………」

(-_-) 「…………」

後ろに立っていた二人も、同時に行動を起こす。
馬の尻に持っていた剣を突き立てると、けたたましい泣き声と共に暴れだし、今度こそ二人は振り下ろされた。。

('A`)「ちっ!」

ツンを庇いながら地面に転がり。

('A`)「ぐっ、ビロード様の懸念は大当たりってことか!」

( ´ー`)「その命貰いうけるだーよ」

相手もプロの暗殺者だろう、その隙を逃さないとばかりに、するりと暴れる馬を勢いのままに走らせた。手にした剣を振りかざし

( ´ー`)「じゃあな」

一直線に――

('A`)「……舐めんな」

キィン、と金属音がなった。
転がった体勢から、賊が近寄ってくるわずかな間に、ドクオはもう反撃体勢を整えていた。
膝を突いた状態で、片手でまだ立ち上がれないツンを庇うようにマントで覆い、もう片方の手で抜いた剣を相手の刃に重ねる。


44 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:29:43.15 ID:m3hngubp0

('A`)「暗殺されるかも知れねえと、警戒してる中、王族の護衛に俺一人しかつけない理由がわかるか」

受け止めた刃の力を、そのまま外に流し

('A`)「ただ、それで十分だからだ」

体勢を崩した相手の心臓をまぎれもなく、貫いた。

( ´ー`)「……!」

剣を通したその体を、自らの体を回転させて後ろの男達への盾とする。
更に勢いを持ってそのまま立ち上がり、残った賊がアクションを起こす前に対峙する形となった。

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

('A`)「平気か、ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「……ちょ、ちょっと怖かったけど、なんとか」

まだしりもちをついているツンを横目で確認し、ドクオは剣を掲げた。

('A`)「VIP騎士団団長、ドクオ。 貴様等が手を出した存在がどれほど大きいか、身をもって思い知れ」

その威圧感に、二人は気おされるように一歩退き

('A`)「……死ねると思うなよ」

それは捕らえて、誰の差し金か吐くまでは拷問すると言う意味だ。


45 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:31:12.65 ID:m3hngubp0

じり、とさらに一歩下がり、同時にドクオが踏み出した。
その時。

トスッ という軽い音が響いた。

('A`)「……!」

ξ゚⊿゚)ξ「……え?」

ツンの胸に、矢が突き刺さっていた。
角度が急なそれは、高い位置から放たれた事を示すもので。

ふらり、とか細いからだが地面に倒れた。

('A`)「上か……!」

賊は最初から四人で、最初に降りてきた三人は囮。
確実に暗殺をこなすための……連携!

( ФωФ)「押さえろ!」

さらに木の上から、放たれる矢をとっさにマントで庇い。

( ゚∋゚)「しゃあー!」
(-_-) 「…………!」

そのタイミングに合わせて、同時に斬りかかって来た。


47 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:32:29.57 ID:m3hngubp0

ぐるん、と長剣をなぎ払う様に一周させる。
ただそれだけで、二人の体を真っ二つに裂いた。
相手が高い位置に潜むために、鎧を着けていなかった事が幸いした――

だがその時点で、矢を放った賊は、倒れたツンのすぐ横にいた。

('A`)「貴様!」

( ФωФ)「御免」

胸から血を流す姫を片腕で軽々と抱え、もう片方の手で何かを地面に叩きつける。
瞬間、濃密な煙が周辺を覆った。

('A`)「くっ!」

ツンに当たる危険性を考慮すると、消滅した視界の中で剣を振るうわけには行かない。
判断を一瞬でおえ、剣を持っていない手を前に伸ばすが

('A`)「しまった、畜生、ツン、ツン!」

煙が晴れた時、残っていたのはかすかな血溜まりと、三つの死体だけだった。


48 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:34:01.07 ID:m3hngubp0

:10

あらかじめ森の中に用意していた隠れ家へ、賊は移動していた。
確実に殺さなくてはならない、打ち込んだのは神経性の毒矢だが、即効性のあるものではなかった。
体が動かず麻痺をしている間に、確実に殺害し、速やかにこの場を離れる。
その為に、少女の首に刃を当て――

「こいつは恐らく悪い奴だな」
「そうだな、かなり悪い奴だな」
「刃物とか持ってるものね」
「うおおおおおおおお! よし!」

( ФωФ)「!?」

唐突に聞こえてきた声に、その作業を中断する。

( ФωФ)「誰だ!」

「私だああああああああ!」

ごす、と後頭部に衝撃を喰らう。

( ФωФ)「がはっ……!」

予想外に強いその威力に、思わず攻撃を受けた部位を押さえ蹲る。

ノパ⊿゚)「よくわからんが悪そうな面構えをしている!」


49 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:35:32.75 ID:m3hngubp0

(;ФωФ)「……なんだ貴様『等』は!」

賊が見ていたのは地面だった。
そこには

( ´_ゝ`)(´<_` )ノパ⊿゚)('、`*川

全長三十センチにも満たない、小人達だった。
全員、手に何かしら物を持っている、殴りつけてきたのは一際威勢のいい小人の持つ金槌だろう。

(´<_` )「なあに、怖がる必要は無い」
( ´_ゝ`)「そうだな、すぐにお前はこの事を忘れる」

( ФωФ)「何……」

何かを言おうとしたのだろう、だがいえなかった。
男の小人の後ろで、香をたいている小人が、呟いた。

('、`*川「貴方はこの森に来た記憶も、理由も、全てを忘れて、ココを去るの」
( ´_ゝ`)「それが小人に出会ったものの宿命だ」
ノパ⊿゚)「本当なら殺してやりたいぐらい憎いが!」
( ´_ゝ`)「小人は人を殺せない」

『だから全て忘れて、お帰りなさい』

四つの声がハミングすると、くらりと視界が揺れる。
甘い香りを最後の記憶として、彼の意識はそこで途絶えた。


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:37:44.94 ID:m3hngubp0

:11

時間は少し前にさかのぼる。
デレはいつもの様に地下室にいて、鏡に向って問うていた。

ζ(゚ー゚*ζ「鏡よ鏡、この世で最も美しい女はだあれ?」

最近の鏡はその答えを『デレ王妃』と返していたので、彼女は鏡の発する言葉を一瞬理解しかねた。

( <●><●>) 「それは、VIP国の」

そう、VIP国の王女である、この私――

( <●><●>)「ツン姫であることはわかってます」

ぴた、と動きが止まった。

ζ(゚ー゚*ζ「――何、ですって?」

( <●><●>)「この世で最も美しい女性は、VIP国のツン姫であることはわかって――」

ζ(゚ー゚*ζ「黙れ!」

誰も居ない部屋で、反響する叫び声。

ζ(゚ー゚*ζ「ツン? ツンですって? 何を馬鹿な……あの子は私の娘なのよ!?」

( <●><●>)「その通りです、デレ王妃、貴女が美しいのはよくわかってます」

しかし、と鏡は続けた。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:39:32.12 ID:m3hngubp0

( <●><●>)「故にツン姫は貴女の血を受け継いでいます、そして若い」

つまり鏡は、こういっているのだ。

( <●><●>)「ツン姫の美しさは、母である貴女の血を継ぎ、そして越えた事はわかってます」

その瞬間。
びしり、と鏡に皹が入った。

( <●>/<●>)「このののおのよおよよよおでええええちいちちちたいばばば」

ζ( ー *ζ「…………」

杭打ち器のような物、デレ王妃が気まぐれに集めた骨董品の一つだったが、それを手に取りおもむろに、鏡に向けて撃ったのだ。
性能は衰えていないようで、尖った、金属製の細い杭は鏡に突き刺さり、致命傷を負わせた。

( <●>/    /<●>)

じゃらら、と甲高い音を立てて割れだす鏡など、もはや彼女に眼中には入っていない。

「ツン」「私の娘」「可愛い可愛い私の娘」「美しい私を引き立たせる装飾品」「違う」「愛した先王と私の大事な子」
「愛した?」「私は金銀宝石に身を包むために王に取り入り」「違う」「愛していた」「私は愛していた」
「だからその娘のツンも大事」「愛している」「私を彩るアクセサリーの分際で」「生まれた時は本当に嬉しかった」
「愛して」「いる」「可愛」「い子」「私の装飾」「品」「大事な先」「王との子」「これからのVIPの未来を作る姫」
「私は最も美しい」「最も美しいのは私でなければならない」「可愛い娘」「憎憎しい」「若さが憎憎しい」
「私が醜く腹を膨らませてまで「愛している」この世に生んでやったのに「愛している?」あの娘は恩を仇で返すのか――――――!」


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:41:17.71 ID:m3hngubp0

川 ゚ -゚)「デレ様」

その時、音もなくすっ、と現れたのは、死神だった。

川 ゚ -゚)「哨戒中、不審な四人組を目撃しました。 金細工職人の住む森へ向っています」

怪しいが、それだけの理由で殺すことも出来ない。
ツンとドクオがこの時、その森に向っている事をクーはまだ知らなかった。

ζ( ー *ζ「捨て置きなさい」

死神には目もくれず、デレ王妃は言った。

川 ゚ -゚)「――はっ」

それだけで己の役目を終えたとでも言うように、一瞬でその場から失せる。

ζ( ー *ζ「――――」

その男達が他国の間者だとしたら、娘は危機に晒されるだろう。
だが今までの様に死神に、殺せと命じる事もできなかった。
護衛にドクオをつけている、大丈夫だろう、恐らく。
そして仮に死んだとしたら、その時は。


54 名前: ◆rXpfNSMw8Y5Q :2009/08/24(月) 21:43:12.27 ID:m3hngubp0

:12

意識がぼんやりとしている。
夢心地、体がふわふわ浮いている感覚、私はどうしたんだろう。
頭に直に響くような声は、きっと幻、そう、まるで可愛い、お話しの中に居る小人が出すような、声……

「毒だな兄者」
「そうだな弟者」
「どうしたらいいんだあああ!」
「落ち着いて、先ず鋸で頭を開いて次に細い釘をその中に打つの、あとは硫酸をぶちまければ」

ξ#゚⊿゚)ξ「死ぬわああああああああああああ!」

がばっと体を叩き起こし、ぜぇぜぇと息をしてからキッ、キッと周囲をにらみつけた。
ひいいいい、と露骨に恐怖の声を上げざざーっと小人達が壁まで下がる。

ξ゚⊿゚)ξ「……あら?」

ツンが辺りを見回すと、そこは絡まりあう枝でつくられたドームの中だった。
次に自分の胸元を見る、ドレスは脱がされていて、代わりに包帯が巻かれており、何かに貫かれた形跡は無い。

('、`*川「あ、目を覚ましたわ!」

髪の毛の長い小人が、そう言って駆け寄ってきた。

('、`*川「始めまして、ツン姫様」


55 名前: ◆rXpfNSMw8Y5Q :2009/08/24(月) 21:44:59.55 ID:m3hngubp0

ちょこんとお辞儀をする様は、見ていて可愛らしい。

ξ゚⊿゚)ξ「……えーっと?」

('、`*川「私たちは、森の小人です」
(´<_` )「我々はこの森を守っている」
( ´_ゝ`)「そして王家の人間を守る役目を司っている」
ノパ⊿゚)「危ないところだったんだぜええええええ」

ツンが首をかしげると、全員がそばに寄ってきてわいわいと騒ぎ出す。

ξ゚⊿゚)ξ「私を……助けてくれたの?」

(´<_` )「その通り」
( ´_ゝ`)「この国の紋章を作る作業は森にすむ金細工職人が行っているのだが」
('、`*川「その職人が今朝、誰かに殺されていたの」
ノパ⊿゚)「だから森のなかを見回ってたんだああああああ!」

その折にあの現場に遭遇したと言う事らしい。

ξ゚⊿゚)ξ「その、ありがとう……私、どうなったの?」

('、`*川「貴女は毒の矢で撃たれたのです、私たちはそれを治療しました」
ノパ⊿゚)「特製の薬を使ってな!」
(´<_` )「我々でなければ危うかったな」
( ´_ゝ`)「ああ、強い毒を使われなくて幸いだった」


56 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:46:03.41 ID:m3hngubp0

彼等の口ぶりは非常に軽い物だったが、とどのつまり、自分が暗殺されかけたと言う事だ。
それを自覚して、ぞくっと身震いする。

ξ゚⊿゚)ξ「……そうだ、ドクオ、ドクオは!?」

('、`*川「ドクオ?」
ノパ⊿゚)「知ってるか!」
(´<_` )「いや、知らぬ」
( ´_ゝ`)「聞き覚えが無いな」

小人達はこそこそと相談し

('、`*川「姫がお望みなら、探しに行きましょう」

そういうと、男の小人二人が『応!』と声を張り上げ、ぱたぱたと出て行った。

ξ゚⊿゚)ξ「あ……その、ありがとうね」

さっきからお礼しかいっていないなぁ、とぼんやり思うと

ノパ⊿゚)「気にするなあああ、小人は王家の人間には全面的に協力するんだ!」
('、`*川「はい、私たちはその為にいるのです」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなの? 何で?」

ノパ⊿゚)「二十二代前の国王シャキンは我々を助けてくれた!」
('、`*川「そしてこの森と言う居場所を与えてくださいました。以来、我々はこの森に住み、小人の力でこの国を守っています」


59 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:47:53.61 ID:m3hngubp0

ξ゚⊿゚)ξ「小人の力って何?」

ツンが好奇心から聞いてみると、小人は目を輝かせて言った。

('、`*川「私は小人の秘法を使った薬を作る事ができます、ツン様の怪我も私の薬で治したのですよ」
ノパ⊿゚)「私は魔法を使った調度品が作れるんだ、王家の人間が成人した時に献上するんだぜ、前は鏡だったっけ」
('、`*川「もう一人はこの国の自然を保ち」
ノパ⊿゚)「もう一人はこの国の鉱源を保ってる!」

途中から、それは歌うような響きに変わっていた。
その中でツンが理解したのは、幼少期から疑問に思っていた、尽きぬ金鉱脈の不思議と。
嗜好品として売り物になると彼女が判断した、花々の美しさは彼等が保っていてくれたと言う事だった。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ貴方達は……この国を守ってくれてるのね」

('、`*川「はい、それが私たちが受けた恩を返す、唯一つの方法です」
ノパ⊿゚)「小人は森の中で無いと生きていられないからな!」
('、`*川「だから貴女の事も精一杯、助けさせていただきます」
ノパ⊿゚)「ここにいる限りは何人たりとも近寄らせないぜ!」

小さな小人達が胸を張る様は、可愛くも頼もしくもあった。
ツンはくすりと笑って、身を起こそうとしたが

ξ゚⊿゚)ξ「あいたぁ!」

('、`*川「まだ傷は完全に塞がりきっておりません、しばらくはここにいてください」
ノパ⊿゚)「安心しろ、舞踏会までには回復するさ!」


60 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:49:05.78 ID:m3hngubp0

痛む胸を押さえながら、ツンは首をかしげ

ξ゚⊿゚)ξ「舞踏会のことを知ってるの?」

ノパ⊿゚)「小人は噂話が好きなんだ、だから何でも知ってるぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「へえ、それは面白いわね」

ノパ⊿゚)「だろ、国政の裏だって気になるあの子の秘密だってどんとこいだ!」
('、`*川「こらっ!」

ぽかんと髪の長い小人が小突くと、ころんとひっくりかえって「いててー」と声を上げる。

ξ゚ー゚)ξ「あははははっ」

ツンはそれを見て、楽しそうに笑った。
それからしばらく、小人達の雑談を聞いていた。
デレ王妃に献上されたと言う魔法の鏡の話や、ツンが知らない物語の話。小人達の生活の話など。
それは童話に出てくるお姫様が、妖精と戯れているようだった。


62 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:51:03.05 ID:m3hngubp0

:13

一個師団が、今まさに形成されようとしていた。
目的はツン姫の捜索。

(  ゚Д゚) 「急げー! 間に合わなくなっても知らんぞぉー!」

ギコ副団長の号令に従い、この国のほぼ全ての騎士の位を得ている者達が纏め上げられていた。

('A`)「スマン……俺の所為だ」

森の中を探索するにも、その規模はあまりに広大だった。
馬も逃げてしまったので、鎧を捨て走り続け、国に戻ったのはそれから三時間後の事であった。
既に日は沈み、暗い。
その後、騎士として姫を守れなかった不名誉と、その責任を問われ、ドクオは一時、その身を拘束されていた。

報告を受け、身軽に動ける者達が即座に森へと散策に向かい、見つかったのは賊の死体が『四つ』。
姫の胸に刺さっていた矢はその近くに転がっており、その行方は知れなかった。
故に、騎士部隊は一師団を形成し、馬を持って、振るえる限り最強の力で国内全てを探索する。

砦の外で今正に準備を整えている騎士達を眺め、ドクオは小さく悪態をついた。

('A`)「……くっ」

( ><)「たかだか賊四人程度に後れを取るとは……!」

ビロードは憤慨していたが、相反してシナーは落ち着いたものだった。


63 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:52:20.21 ID:m3hngubp0

( `ハ´)「貴方が冷静にならなくてどうするアル、騎士団長にも責任はあるがそれは後で問えばよい事アル」

(#><)「貴方こそ何故そんなに冷静でいられるんですか!」

(#`ハ´)「お前が冷静じゃないからアル!」

( ><)「!」

( `ハ´)「我々はこの国の政治を任されたものアル、その頂点である二大臣でアル、二人とも理性を失ってはならぬアル!」

( ><)「……すまないんです」

ビロードは自らを恥じ、視線を逸らした。

(  ゚Д゚) 「準備が終わりました!」

それからほんの数秒後、騎士団副団長のギコがマントを翻しながら現れ、膝を付く。

(  ゚Д゚) 「団長、ご指示を!」

('A`)「!?」

その言葉に、ドクオは驚愕する。

(  ゚Д゚) 「我々を率いるのは、貴方を置いて他居ません」

頭を上げ、力強い瞳で言う。

(  ゚Д゚) 「今は動けずに居るその身でも、我々に一言『姫を見つけ出し、騎士の汚名を削げ』とご命令する事はできましょう!」


64 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:53:01.87 ID:m3hngubp0

('A`)「だが、俺は……」

(  ゚Д゚) 「貴方の失態は我等全員の失態です!」

ギコは叫ぶ。

(  ゚Д゚) 「ならば、取り戻して見せましょう! 我等の不名誉を姫を救うと言う名誉で塗り替えましょう!」

ドクオはゆっくりと歩みを進め、ギコがその後ろに付く。
彼がその姿を現すと、どよ、と一瞬のざわめきが聞こえた。

('A`)「……俺の失態で、皆の名誉を汚してしまった」

静かにその口から漏れる後悔は、騎士全員にしみこんでいく。

('A`)「剣を捧げ、忠誠を誓った姫を守れなかった、俺は団長以前に騎士として、失格だ」

冷たい視線も、幾ばくか刺さる。
騎士だけではない、この国に住む全ての人間は、その宣言を聞いていた。


65 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:54:53.61 ID:m3hngubp0

('A`)「だから……恐らく、これが俺がお前達に下す最後の命令になるだろう、どうか、達成してほしいと思う」

その言葉の直後、ギコが叫ぶ。

(  ゚Д゚) 「全隊! せいれえええええええええつ!」

一個師団、二万人もの騎士達が、一斉にざ、と足音をそろえた。

('A`)「騎士達よ! 我等の汚名を払い、我等が忠誠を誓った姫を取り戻せ!」

おおおおおおおおおおおおおお! と声を上げ、一斉に駆け出していく。
それは地響きとなって、国全体を覆いつくした。

( ><)「姫様……!」

ビロードが両手を組んで、天に祈りをささげるポーズをした。

( ><)「しかし……」

そして、心にわいたその疑問を、ぼそりと呟く。

( ><)「こんな時に、デレ王妃は何をなさっているのだろう……」


66 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:56:24.17 ID:m3hngubp0

:14

デレは割れた鏡の破片をじっと眺めていた。
小人から献上された、魔法の鏡、その欠片。
王妃は後悔していた、鏡がもし健在だったなら、娘の居場所など直ぐに答えてくれるだろうに。

ζ( ー *ζ「鏡よ鏡、私の娘はドコにいるの?」

その問いに、鏡は答えない。だが、言葉はなくとも反応はあった。
ぼや、と鏡面がゆれ、その向こう側に世界を映し出す。

ζ(゚ー゚*ζ「!」

駄目元で尋ねてみたのだが、鏡はまだ魔法を失っていなかったようだ。
彼女が食い入るようにそれを眺めると、そこには

ξ゚⊿゚)ξ

ノパ⊿゚)('、`*川(´<_` )( ´_ゝ`)

ξ^ー^)ξ

ノハ#゚⊿゚)('、`*川(;´_ゝ`)(´<_`;)

小人達と談笑する、ツンの姿があった。

ζ(゚ー゚*ζ「……はあ」

どうやら娘は無事らしい、自分も王家の人間だ、小人達の存在は知っているし、彼等にかくまわれているなら安心だ。
その時、ツンを憎悪していた自分の中の気持ちが、空気が抜けてしぼんでいくように消えていくのを感じていた。


67 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 21:57:23.45 ID:m3hngubp0

そうだ、血を分けた娘じゃないか。自らの美しさに囚われるより、私の美しさを継いだ娘を見て喜ぶべきではないのだろうか。
こんな事になったのも、死神の忠告をあえて捨て置いた自分の所為だ。
ごめんなさい、許して頂戴、無事に帰ってきたらこの腕に抱きしめたい……
そう、確かに思った。

だが次の瞬間。

(<○>/「ウツクシイノハツンヒメツンヒメツンヒメツンヒメツンヒメ」

ζ(゚ー゚*ζ「きゃあ!」

割れた鏡から、甲高い声が響きだした。

(<○>/「ウツクシイノハツンヒメツンヒメツンヒメツンヒメツンヒメ」

ζ(゚ー゚*ζ「な、何!? やめなさい! 鏡よ鏡、喋るのをやめなさい!」

オマエハミニクイオマエハキタナイオマエノココロハナニヨリキタナイ
オマエノウツクシサナドミセカケダダレモダマサレヌダレモミトメヌ
オマエノビボウナドタダノカザリダオマエハタダノオイボレダ

ζ(゚ー゚*ζ「やめて――――」

キサマノヨウナババアナドウツクシイワケガナイ―――!

ζ( ー *ζ「――――!」

しゃりいいん、と甲高い音を立てて、残っていた鏡の破片は無数の硝子の粉となった。
鏡がそう言った気がした、それは幻聴だったのか、本当に告げられた言葉なのか、それはもうわからない。
ただ確実なのは、湧き出るように浮かんでいた娘を思う母の気持ちが、女としてのプライドに塗りつぶされた、というその一点のみ。


68 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:00:50.89 ID:m3hngubp0

ζ( ー *ζ「死神」

川 ゚ -゚)「はっ」

死神は常にそこにいたかのように、さっと姿を現す。

ζ( ー *ζ「殺しなさい、ツンを」

川 ゚ -゚)「……今なんと?」

死神はその無表情を崩さぬまま、問い返した。

ζ( ー *ζ「殺すのよ。ツンを。確実に。首を持ってきなさい」

川 ゚ -゚)「……本気ですか?」

ζ( ー *ζ「貴女は誰に仕えているの?」

それは静かな声だった。


69 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:01:50.70 ID:m3hngubp0

川 ゚ -゚)「……VIP国です」

ζ( ー *ζ「ではそのVIP国で最も偉い、この国の支配者は誰?」

川 ゚ -゚)「……デレ王妃、貴女です」

ζ( ー *ζ「わかっているのなら早く行きなさい」

その顔に表情は、もうなかった。
何を見ているのかもわからない、無表情。
凍りついたその顔は――驚くほどに、美しかった。

川 ゚ -゚)「…………」

死神は無言で、その姿を消した。


72 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:03:37.37 ID:m3hngubp0

:15

ノパ⊿゚)「どうやらちゃんと見つかったみたいだ!」

ξ゚⊿゚)ξ「よかった、ドクオは無事なのね」

ほっ、と安心したように溜息を吐いたツンに、小人は続ける。

ノパ⊿゚)「んでもって人間の騎士達が大勢姫様を探してるよ、出て行かないと不味いかもな」
('、`*川「そうね、随分時間が立ってしまったし」
( ´_ゝ`)「だが動かしていいのか?」
(´<_` )「まだ不味いんじゃないか?」

ξ゚⊿゚)ξ「うーん……」

傷の痛みはもうだいぶ治まっていた、小人達との会話は楽しくて気もまぎれたし。

ξ゚⊿゚)ξ「これ以上心配かけても悪いし……やっぱり帰らないと」

ツンはゆっくりと体を起こす、瞬間、ずきっとした痛みが体を貫いた。

ξ゚⊿゚)ξ「っ!」

( ´_ゝ`)「やはり無理では無いのか」
(´<_` )「なんとかならんか」
ノパ⊿゚)「ペニサスー」
('、`*川「なんで私なんですか」


73 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:04:55.14 ID:m3hngubp0

('、`*川「仕方ない、皆で木の実を取ってきましょう」
(´<_` )「木の実?」
( ´_ゝ`)「どういうことだ」
ノパ⊿゚)「また薬を作るのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「薬?」

('、`*川「ええ、痛み止めを作ります、あと一日眠っていれば回復出来るとは思うのですが」

ξ゚⊿゚)ξ「小人って凄いのね……」

ツンは感心したように頷いた。
小人達は矮躯こそ小さいが、その知識や技術は人間の比ではない。

ノパ⊿゚)「よっしいくぞー!」
('、`*川「貴女はお留守番です」
ノパ⊿゚)「ええええええええ!?」
(´<_` )「妥当だな」
( ´_ゝ`)「森の外の様子がわかるのはお前だけだしな」
('、`*川「姫様だけを置いておくわけには行きませんから」

ξ゚⊿゚)ξ「その、ごめんね?」

申し訳なさそうに謝るツンをみて、小人は仕方ないなーと呟いた。

ノパ⊿゚)「んじゃ任せたぜ!」
('、`*川「はい、お任せください」
(´<_` )「直ぐに帰る」
( ´_ゝ`)「ああ、のんびり待っててくれ」


74 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:06:19.64 ID:m3hngubp0

ξ゚⊿゚)ξ「本当に色々ありがとね」

ノパ⊿゚)「気にすんなよ、私たちの役目だからさ」

ぱたぱたと手を振る小人を見て、ツンは呟いた。

ノパ⊿゚)「それより舞踏会頑張ってくれよ、この国のエトワールにな……」

ぱささ、と音がした。
そちらにツンと小人が同時に目を向けると、小さな蝙蝠が一匹、木々のドームに飛び込んできた。

ξ゚⊿゚)ξ「何!?」

ノパ⊿゚)「大丈夫、森の仲間だよ。 でもどうし――へ?」

きぃきぃと鳴く蝙蝠の声が、小人には理解できるのか、目を丸くして――次の瞬間。

ノパ⊿゚)「大変だ、逃げなくちゃ!」

ξ゚⊿゚)ξ「え、何、どうしたの!」

ノパ⊿゚)「ごめん、ここにいちゃいけない、逃げないと!」

明らかに焦っている様子の小人を見て、ツンも何事かと問いかける。

ノパ⊿゚)「何でココがわかったのかわかんないけど、不味い、滅茶苦茶不味い!」

「死神が来る――!」



75 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:07:49.54 ID:m3hngubp0

ノパ⊿゚)「蝙蝠たちは噂好きなんだ、私達小人はその噂を聞いて森の外の事情を把握してる」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなの?」

ノパ⊿゚)「さっきの蝙蝠がこういったんだ、死神が来る、早く逃げろって」

ξ゚⊿゚)ξ「死神?」

森は既に暗く、月明かりすら木の葉がさえぎっていた。
ツンが胸を押さえながらよろよろと歩く、小人は、ツンから見たら小指の爪みたいなサイズのカンテラを持って、行く道を照らしてくれる。
その明りで暗闇に浮かぶ、小人の表情は、焦燥のそれだった。

ノパ⊿゚)「デレ王妃の命令で、死神が姫様を殺しに来たんだ!」

ξ゚⊿゚)ξ「――え?」

言われた事が理解できない、と言うように、ツンは首をかしげた。

ξ゚⊿゚)ξ「――お母様、が?」

ノパ⊿゚)「信じたくないかもしれないけど信じて! デレ王妃は今までも何人もの、美しい女の人を殺してる!」

死神と呼ばれる暗殺者を使って、殺している。
魔法の鏡を作ったのは自分、どんな風に使われたかは蝙蝠の噂話で聞いている。
自分の美しさを頂点に置くためなら、どんな相手でも迷わず殺す――

ξ゚⊿゚)ξ「だからって、何で、何で私を!」

ノパ⊿゚)「多分……鏡が言ったんだ、『デレ王妃よりツン姫のほうが美しい』って」


77 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:09:37.34 ID:m3hngubp0

小人は泣きそうな目で、いや、確かに涙を流して、ごめんごめんと謝った。

ノハ;⊿;)「ごめん姫様、私があんな鏡を作らなければ、こんな事にはならなかったかもしれないのに!」

ぼろぼろ泣きながら、ゆっくりと歩くツンを導くように、小人は進む。
その様子を見て、ツンは言葉を噤んだ、そして、無表情に言う。

ξ ⊿ )ξ「――貴女の所為じゃないわ」

キィキィと、頭上で蝙蝠の鳴く声がする。

ノパ⊿゚)「……! よかった、近くに騎士団が来てるみたいだ!」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあそこまでいけば?」

ノパ⊿゚)「うん、大丈――」

大丈夫、と最後までいえなかった。
その前に、ばさ、と暗闇に混ざる、影。


川 ゚ -゚)「…………」


ノパ⊿゚)「……!」

小人は驚愕し、ぺたんとしりもちをついた。
だがツンはぱぁっと顔を輝かせ。

ξ゚⊿゚)ξ「クー! クーじゃない! 貴女も助けに来てくれたのね!」


78 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:12:30.76 ID:m3hngubp0

そう言って、よろよろと歩きながら彼女の傍による。
手に持っている、鎌は、森の暗さに隠れていて見えない。
ツンがやっとクーの前について、安心したようにクーにもたれかかる。

ノパ⊿゚)「だめだ姫様! そいつが死神だ!」

小人が叫んだ、二人に向って駆けて来る。
小さな歩幅でなにができると言うのか、クーはツンの耳元でぼそぼそと何かを呟いた。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンはそれを聞いて、クーの顔を無表情に、じ、っと眺めた。
そして返すように、何かを呟く。

ノハ;⊿;)「姫様から離れろぉー!」

小人が飛び掛るのと、死神の鎌がツンの首にかかるのは、ほぼ同時だった。


80 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:13:23.92 ID:m3hngubp0

:16

ζ( ー *ζ「…………」

魔法の鏡はもはやない、山となった硝子の粉を、デレ王妃は無表情に眺めていた。

川 ゚ -゚)「戻りました」

ざ、と背後から、かすかに床を踏む音がする。
黒衣に身を包んだ死神が、そこにいた。
手には布袋を持っており、赤い何かが滲み出ていた。
まるで、小さな、割れたスイカが入っていて、果汁を滴らせているような。

ζ( ー *ζ「ご苦労様」

一言つげ、顔を死神へと向ける。

ζ(゚ー゚*ζ「確認するわ、寄越しなさい」

その命令に、無言で従った。
受け取ると、ずしりと重い、そしてかすかに香る血と肉の臭い。

余程醜い造形になっているのだろう、ざまあみろ、一番美しいのはいつまでもこの私だ――

袋をあけ、中を確認する。入っていたのは


81 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:14:19.27 ID:m3hngubp0



ノハ  ⊿  )




93 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:37:48.32 ID:m3hngubp0

手足を折られ、丸められ、間接から血を吹き出させる、丸められた小人だった。

ζ(゚ー゚*ζ「…………!?」

慌ててそれを取り落とす、べちゃり、と床に湿った音が響いた。

ζ(゚ー゚*ζ「こ、これは何! 貴女、一体何を」

「そんなの、決まってるじゃない」

いや見ていなかった、いや、成果を確認するのに夢中で意識を向けていなかった。
死神の後ろから現れたのは

ξ゚⊿゚)ξ「御機嫌よう、お母様」

スカートの裾を摘んで、丁寧に礼をする。あまりに他人行儀なその仕草に、デレは一瞬それが誰なのかわからなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「これは……どういう事……!?」

その台詞に呼応するかのように、かたん、と地下室の扉が開いた。

('A`)「アンタはやり過ぎたんですよ、王妃」

鎧に身を包んだドクオが、かつ、かつ、と足音を立てて、現れた。


95 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:40:00.60 ID:m3hngubp0

ξ゚⊿゚)ξ「お母様がどんな人でも、私を、いいえ、この国の未来を……思ってくれてると思ったんだけど」

ツンは残念そうに、非常に残念そうに、眉を寄せた。

ξ゚⊿゚)ξ「貴女にもう、その位置に居てもらうわけにはいかないの、お母様」

それは静かな、静かな、死刑宣告。
死神は頭を垂れ、膝を付き、言う。

川 ゚ -゚)「ご命令を、我が主」

姫はそれに応じた、右手を上げ、ゆっくりと、静かに宣言する。

ξ゚⊿゚)ξ「命令します、死神よ」



『デレ王妃を、殺しなさい』



川 ゚ -゚)「イエス、ユアマジェスティ」

する、と鎌を取り出す。
デレ王妃がとっさに、鏡を割ったくい打ち機に手を伸ばそうとして。

ヒュンッ

その手首が、飛んだ。


96 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:42:35.11 ID:m3hngubp0

ζ(゚ー゚*ζ「あ”あ”あ”! ……な、何をするの! 何故っ!」

ξ゚⊿゚)ξ「お母様は殺しすぎたんです」

きっぱりと、ツンは言った。

ξ゚⊿゚)ξ「この国での暗殺は、私が襲われた、という実害が残るのみです。ですが、誰も死んでません」

かつん、と死神の靴の音が鳴る。王妃は這って逃げようとし、、硝子の粉を踏んで足を滑らせた。

ζ(゚ー゚*ζ「あっ!」

無様に転んだその姿を見ながら、ツンは続ける。

ξ゚⊿゚)ξ「ただでさえ、お母様が指定したターゲットは美しい姫や王女ばかり。周辺諸国に、VIPの行った暗殺だと疑われては、困るの」

故に

ξ゚⊿゚)ξ「VIPからも、暗殺された王族の女性を出す必要があります、この国の平和のために」

ゆっくりと振り上げられる鎌に、始めて死の恐怖を感じた。

ζ(゚ー゚*ζ「クー! ツンを殺しなさい! 殺して! 貴女は私に仕えるものでしょう!」

川 ゚ -゚)「いいえ」

血の滴る鎌を手に、無表情に死神は告げる。

川 ゚ -゚)「私は、この国に仕えてきました。手を汚してきたのは、全てのこの国の為です」


97 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:45:06.05 ID:m3hngubp0

だから、この国の未来を奪おうとしたデレと言う存在は、もう自らの主ではない。
彼女の主は、彼女が仕える国の長は、もうデレではないのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ああ……」

涙と鼻水と、恐怖。
歪んでもはやどんな表情をしているかわからなくなった、その顔を前に、ツンは特に何事もなく告げる。

ξ゚⊿゚)ξ「安心して、お母様。 この国は私が守ります」

だから。


ξ゚ー゚)ξ「もう、おやすみなさい」


なにが悪かったのだろう、娘を産んだ事だろうか。
なにが悪かったのだろう、娘を殺そうとした事だろうか。
なにが悪かったのだろう、魔法の鏡を得たことか。
いいえ、もっともっとずっと違う、遠い、私にはどうにも出来なかった事――

最後に耳に入ったのは、自らの体を引き裂く鎌が、風を切った音だった。


100 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:47:23.03 ID:m3hngubp0

:17

ガタゴトと、馬車が揺れる。
ビロード大臣は金を積んだ馬車を、ドクオはツンとクー、それにおまけを乗せた馬車をそれぞれ走らせていた。
周囲にはその護衛の為の騎士が、数十機、馬に跨り歩幅を合わせている。

ノパ⊿゚)「いやー死ぬかと思ったぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「今更だけど貴女、森の外に居ていいの?」

ノパ⊿゚)「ペニサスから秘蔵の薬を貰ったから、一日二日は大丈夫。痛い思いをしたから報酬だってさ」

ツンの膝の上にのっている小人はけらけらと笑った。

ノパ⊿゚)「それでも体を折りたたまれるなんて初めてだったからさー、いや驚いたぜ」

川 ゚ -゚)「すまなかった」

ノパ⊿゚)「いいって事よ」

本当のいいのかそれで、と馬の上に居るドクオは思ったが、口には出さなかった。

ノパ⊿゚)「大陸一の王宮の舞踏会をばっちり見させてもらうぜー!」

ξ゚⊿゚)ξ「お願いだからニューソクについたら静かにしててね?」


102 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:50:33.58 ID:m3hngubp0

ツンが小人の始末を決めたのは、クーが死神であると言う正体を知ったからだった。
しかしこの生き物は、どうやら相当頑丈らしく、あの状態でもまだ生きていて、森に戻すと直ぐに回復した。
そして恨み言を吐くでもなく、相手が王家の人間ならばそれでも構わないと、言い切った。
なんとなく申し訳なくなって、何かお詫びをしたいと申し出た所、なら「舞踏会を見てみたい」と引っ付いてきたのだった。

ノパ⊿゚)「ところで大丈夫なのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「何が?」

ノパ⊿゚)「いや、舞踏会で相手の王子様に見初められないといけないんだろ? 姫様、自信あるのか?」

それを聞いて、ツンはふふ、っと笑った。

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ、散々練習したし」

それに、と付け足す。


「面倒そうなライバルは皆お母様が片付けてくれたから」


殺害されたのは、最高峰の美貌を誇る、デレ王妃よりもなお美しいとされた姫達。
ダンスはもちろん教養もあり、人気もある、将来有望な娘達。

ニューソクの王子に見初められてもなんらおかしくないような才能溢れる乙女達、だ

('A`)「…………」


105 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:52:51.85 ID:m3hngubp0

ドクオは理解していた。
今月に入って殺された、各国の要人二十二人。
悲惨きわまる殺され方をした姫達の横で、静かに殺された者達。
クーの暗躍を、ツンは知っていた。

  
だからそれに乗じてクーにその他の要人も暗殺させた。


方法を変える事で、それらが共通の人物の犯行で無いと思わせる。
片方が残虐なだけに、同一犯の犯行だと匂わせない。
デレが見過ごしたほかの有力候補も、恐らく始末しただろう。

デレ王妃の死体も、自室で胸元を×字にざっくりきられた物だった。
王妃の死亡の公表と同時に、ツンは自らが母の代わりとなり、この国を導くと宣言した。

国民の支持は、美しい王妃が殺された怒りもあって圧倒的だった。
それすら計算に入れて、彼女は自らの母を殺したのだろうか。

母親の美しさを、自分が持っている事は、既に理解の範疇だった。
デレの存在は、ツンにとってそのまま反面教師となっていた、のだろう。
同じ美しさを持ちながら、それに溺れない、むしろ武器として使う。
その為に王妃は存在していたのだ、と。

('A`)「……やれやれ、か」


106 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:54:00.58 ID:m3hngubp0

舞踏会はもうすぐ始まる。
遣るべき事は全て遣った、後はただ力を尽くすのみ。
さまざまな思惑が渦巻く、パーティと言う名の、各国の政治と言う名の戦争の場。

ξ゚⊿゚)ξ「さぁ、行きましょう。VIPの未来の為に」

姫と騎士と従者と小人。
彼等を乗せて、ゆっくりと馬車は進んでいく。


107 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:54:56.85 ID:m3hngubp0

:18

………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………

……あの日から、今日この時まで、全ては平穏安泰だった。
私が剣を捧げた姫は、つまり最高の王だったのだ。

彼女の子は大きく立派に育った、我々の手から巣立った鳥に、教える事は何も無い。
新たな王は優秀な指導者となるだろう、私もそれを望む。

我々は罪人である、自らの利益の為に殺す事を躊躇わなかった。
願わくば、全ての悪をこの身に押し付け、次の世代は白い、穢れない道を歩んでもらいたい。

最後に、この言葉を持って、我が人生を記した手記の終わりとする。


108 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 22:55:51.09 ID:m3hngubp0





――――まったくもって、美しい事は罪である。
そして自らの罪に気がついた人間ほど、恐ろしい者は居ない。

 ~ドクオ・ウツ・ダ・シュヴァリエ 享年前の日記、最後の章より抜粋。



ξ゚⊿゚)ξ美しさは罪、のようですζ(゚ー゚*ζ
                        END









114 名前: ◆Kpeu7zUJq/tW :2009/08/24(月) 23:07:34.88 ID:m3hngubp0

HEY最後にさるもらったぜ。

70レスきっかり三国志参戦作品になります。
後半駆け足で申し訳ない、支援&保守ありがとうございました!

質問とかあればどうぞ! ない! OK残りの祭りを楽しもうぜアディオス!
[ 2010/11/29 00:00 ] スレ立て短編 | TB(0) | CM(0)

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